シテ方観世流の能楽師・井上和幸先生が主宰する「緑幸会」が、5月14日、京都のホテルロイヤルヒル福知山にて春の謡曲・仕舞大会を開きました。
稽古を重ねてきた小学生から99歳までの会員約40人が出演し、素謡(すうたい)や仕舞などを33演目を披露されたそうです。
謡曲仕舞奉納家・一扇様が素謡「西王母」のシテ(能における主役)と、みろく涼香舞「杜若」キリ(※)で出演されました。みろく涼香舞ご存じない方はこちらを。
※仕舞には大概、クセとキリがあり、クセは能の中で一番見せ所があるところで大体は弱い感じの舞 で、キリは能の最後の部分で強い感じの舞が多い。(南山大学観世会「能楽用語いろいろ」より)
今回は後者のみろく涼香舞「杜若」キリで前天冠・国産大麻(精麻)五色房付きをつけ、扇を手に持ち、舞われた由。(こちらの一扇様のブログで前天冠に杜若を飾り舞う姿が紹介されています)
ご活用いただきたいへんうれしく思います。
「西王母」については一扇様いわく、「『西王母』という曲は、お能の曲には珍しく『ありがたや』からはじまります。この世にすばらしい平和の世が実現したので、それを言祝ぐために3000年に1度しか咲かない桃の花の実を『西王母』という天女が捧げにくるというお話です。理想の世の中がすでにできあがっていることを謡っている曲です。」
西王母はイザナミノミコト。当日は祈りを捧げる心で謡わせていただいたそうです。一扇様にぴったりではないでしょうか。
理想の世の中、ミロクの世が1日も早く訪れますように。