国産精麻の五色サンプルができました(貸し出しできます)

このほどお客様のご依頼により、極上国産精麻の五色のサンプルができました。

1つは草木染め、もう1つは化学染料によるもの。五色緒に近い形でできております。長さは5尺(約150センチ)です。

国産精麻五色緒の感触、草木染めと化学染料の染色のちがいなどを確認したいということで、上記のサンプルを作らせていただきました。

何度もお伝えしていますように神社仏閣用の麻製品の染色は、現在99%以上が化学染料によります。化学染料の染色と草木染めの染色の比較にもお役に立つと思います。

実物を目で見て確かめたい、触れてみたいという方は仰ってくだされば貸し出しいたします。(ただし、貸し出し中の場合はお待ちいただく場合があります)

お問合せ先メールアドレス:info☆sanuki-imbe.com(☆を@に変えてください)

タイトルを「五色サンプル」でお願いいたします。

よろしくお願い申し上げます。

国産精麻五色垂れの付いた真榊が完成

このたび、国産精麻五色垂れの付いた真榊(まさかき)が完成いたしました。

真榊とは、ご神前や神棚にお祀りされる一般には青(緑)・黄・赤・白・黒(紫)の五色絹布のついた幟(のぼり)の先端に榊を立て、それに三種の神器を掛けた一対の神具です。

平安時代に編纂された古語拾遺に「天香山(あめのかぐやま)の五百箇(いおつ)の真賢木(まさかき)」の記述があり、淵源とされます。(日本書紀にも記述があります)

5月に国産精麻の草木染め五色緒がついた神楽鈴が完成したことで、それを見られたお客様が草木染め精麻の真榊ができたらとご注文いただきました。

今回は既製の真榊(木曽ヒノキ製の台と幟)の五色絹布を五色の草木染め精麻に付け替えさせていただくことに。

精麻の垂れは、職人が技でうまく調整し自然な形にできあがったと思います。なお、真榊の高さは8寸(約24センチ)でご自宅の神棚用です。

真榊(国産精麻草木染めの五色垂れ付き)
国産精麻五色垂れ(草木染め)の付いた真榊

お客様は以前、神道学部のある大学にて1日単発の講座を受講されたことがあり、そこでじっくり祭壇や真榊、四神旗、神具などを見ることができた由。そのとき真榊の五色の美しさに感動したとのことで、それが真榊との“出会い”だったそうです。

完成した真榊を見られたお客様いわく、「もう、もうこれは感謝としか言いようがございません。(1日に神棚にお祀りし)絹の五色布も華やかでそれはそれで良いと思いますが、自然な色合いに私はホッとしています。」

あとで真榊が飾られた神棚の写真を送ってくださいました。神棚とバランスよく彩りも加わりより神聖な感じになっていると思いました(写真は公開NGとのこと)。

私は今回この真榊(神具)をつくるにあたりましてさまざまな神様がご活躍されていることにあらためて思いを向けることになりました。〔たとえば、石凝姥神(いしこりどめのかみ)は鏡を、長白羽神(ながしらはのかみ)は麻から青和幣を。※和幣(にぎて、神の心をなごませる材料)〕

 

 

・参考文献

「古語拾遺」斎部広成撰、西宮一民校注(岩波書店)

「神道いろは」神社本庁教学研究所監修(神社新報社)

サステナブルへ。草木染め標準化プロジェクト

2月に書いた記事。ここから一歩踏み出し、「草木染め標準化プロジェクト」を開始いたしました。

世の中のさまざまなサステナブル(持続可能)な社会へ向けた取り組みのように、神様仏様へお捧げするものを自然の循環型へ、化学染料から草木染めに。

私は京都の麻縄職人、山川さんから最初、国産精麻を化学染料で染色するとお聞きし違和感を持っておりました。(貴重な自然素材を循環型でない染料で染める、、早く安くということでこれは長いこと神社仏閣用の慣習になっていたようです。神社仏閣用がそうであるならと正直、それにならっているところがございました)

たとえば神社の拝殿に吊されている鈴緒とか、お寺の場合は鰐口(わにぐち)という鐘のようなものをカンカンと鳴らす鰐口紐といいますが色のつけられたものがございます。

神様(仏様)に捧げるものですので自然素材で循環型のものが本来ではと思います。

2015年春に山川さんを訪問、京都・祇園祭における国産精麻の藍染めの話をうかがってから試し染めしはじめその後、神居 和かざりの藍染め版を製品化。

次に2017年初頭に四国霊場22番札所・平等寺の山門にしめ縄を設置、国産精麻を草木染めした五色の下垂れをつけた話をうかがいこのとき製品化の話はしたものの答えは「No」、しかし昨年8月に京都へおもむき山川さんと話をしたことで藍染めおよび草木染めの話が進んで、本年より国産精麻を草木染めで染色した製品が可能になりました。

待望の草木染め(五色)ができるようになった記念としての先般の神楽鈴(巫女鈴)・国産精麻五色緒付きの名前募集でした。(考案者の方への賞品の神楽鈴、その方が五色緒が草木染め版を選ばれましたのでこのほど草木染め版が誕生いたしました)

できることからはじめませんか?

天然染料を使うことで排水された染料は生分解されるので河川を汚染することはなく、石油系の染料や顔料の場合、身体によくないものがほとんどです。

 

《化学染料の特長》

安定している、安価である、長期保存できる、色が強い。

《天然染料の特長》

・安全性が高い、環境にやさしい、中間色や微妙なニュアンスの色の堅牢度が高い、薬効がある。

上記の特長はこちらの記事から抜粋しまとめたものですが、化学染料は人間目線なんですね。地球とともに生きていく、環境のことを考えると天然染料に軍配があがります。天然染料から得られるものは色だけでなく、薬効もございます。

業界の標準化は時間がかかると思いますが、少しずつ賛同する人が増え私たちの生活と地球環境が守られ後世に受け継がれますように。

きょう4月22日は地球環境について考える日、アースデイです。(香川県の標高422mの山、讃岐富士の日でもあります)

よろしくお願いいたします。

梅、桜、藤、桔梗、菊、紅葉。日本人は四季それぞれに移り変わる山野の植物の姿を鑑賞して楽しみ、詩や歌に詠んでその心を表わすとともに、自らの衣裳にもこうした美しい色彩を染めて楽しんできた。これが日本の伝統色である。花や樹の色を美しく染め上げるため、植物の花、葉、樹、根などのどこかに潜んでいる色素を採り出して染めてきたのである。

今からおよそ150年前、19世紀の中葉、ヨーロッパを中心に吹き荒れた産業革命の嵐は、それまでの職人衆が自らの肉体とわずかな道具を使って行なっていた仕事を、機械へと変えてしまった。染色では、それまでは植物から色を採っていたのに、石炭のコールタールから、化学的に合成する染料を発明したのである。

日本には明治時代の中頃、文明開化の名のもとにヨーロッパの産業革命の成果が怒濤のように押し寄せてきた。京の堀川の近くに軒を連ねていた染屋も同じで、またたくまに、スプーン一杯の粉で便利に染まる化学染料に変わってしまった。

日本人が飛鳥・天平の昔から江戸時代の終わりまで育んできた、日本の伝統色は失われたのである。〔『自然の色を染める』吉岡幸雄・福田伝士監修(紫紅社)吉岡氏による“はじめに”冒頭より〕

 

※「草木染め標準化プロジェクト」のリンク先のうち、宮崎朝子氏(天の川工房)の製品は神社仏閣用ではなく、また国産の麻糸(手織りの場合)、生地を用いてはいませんが、自然順応の心で作っていると思われますので本プロジェクトに加えたことをお断りいたします。草木染めの標準化が衣料にも波及していきますように。

神楽鈴(巫女鈴)・国産精麻五色緒付きの名前公募の結果

神楽鈴(巫女鈴)国産精麻五色緒付きの名前募集、ご応募ありがとうございました。考えていただいた方、応募に至らなかった方にも感謝いたします。

選考の結果、「玉翠(ぎょくすい)(TM)」に決定いたしました。

「貴重な国産麻を使い、すべてを清め祓うような格調高い音色、
宝石のように玉なり鈴なりに連なる鈴の高貴さと巫女舞を舞う巫女の美しさ、
それにともない流れる神楽鈴の美しい緒をイメージした造語」とのことです。

たまみどり等ほかの読み方も考えた結果、邪を祓い氣が引き締まるような鈴の音をイメージしこの名前を選んだそうで、高貴な感じと、巫女と緒の美しさが目に浮かんでくるような気がします。

今後、神具名として使わせていただきます。古事記では、天鈿女命(あめのうずめのみこと)の舞で世界が再び陽の光に包まれ、人々が安寧に暮らせるようになったと記されています。

今後とも「玉翠」をよろしくお願い申し上げます。

 

※6月23日追記

玉翠が6月吉日、東京で巫女教室等をされています「翡翠の巫女」様にご奉納されました。経緯、その意味合いなどを丁寧にご紹介くださっております。→神楽鈴「玉翠(ぎょくすい)」をご奉納いただきました。(「翡翠の巫女」様ブログ)

※7月3日追記

神社仏閣用の麻製品の染色は99%以上が化学染料によると聞いております。今回、国産精麻の草木染めによる染色の製品ができ、しかもご奉納されたことはとてもうれしいことです。翡翠の巫女様の松井久子神職は“鈴祓い”に使わせていただくと言われていました。

2年前、BS11で放送された「フランス人がときめいた日本の美術館」、第2回MIHO MUSEUM(滋賀県)の回で案内をしていた学芸員が「古代の美術品が繊細で美しいのは神に願いをお聞き届けするにはとそれだけの思い、手間をかけてつくっているから」というようなことを仰っていました。要は、思いがちがうと。

高価なものを、そういうことではなく誠(真心)が神様に通じるのではないでしょうか?

神様にお捧げする神具類(麻製品)がこの方向に行く試金石になりましたら幸いです。

草木染めの精麻を業界標準にという夢

2015年に、神社仏閣用のしめ縄や鈴緒、鰐口紐など麻製品を調製する京都・山川と知り合い、製品を取り扱いはじめて、えっ?と思ったことの1つが、精麻を染色する際に用いるのが化学染料であることでした。

創業以来、さぬきいんべではヘンプ衣料を主に、草木染めの製品を取り扱ってきていたからです。それ以前に古神道がベースにあるので自然順応的な考えはごく普通にあります。

なぜ化学染料が使われるかというと価格が理由とのことです。白い精麻が尊ばれる、精麻の漂白とは理由は異なります。

そんな中、山川の製品を扱いはじめてまず藍染めの製品を2016年に投入、それが神居 和かざりの藍染め版です〔京都・祇園祭の山鉾に藍染めされた精麻が用いられる、それにヒントを得ました。先人の知恵と思います。(参考)京都に夏を告げる祭り「祇園祭」〕。

このたび、待望の草木染めの製品、神楽鈴・国産精麻五色緒付きを取り扱い可能になりました。2尺5寸(約75センチ)の五色の精麻の緒を草木染めの五色で対応いたしました。

草木染めとは現代のように化学染料がなかった時代の染色方法です。

「草木は人間と同じく自然より創り出された生物である。染料となる草木は自分の命を人間のために捧げ、色彩となって、人間を悪霊より守ってくれるのであるから、愛(なさけ)をもって取扱い、感謝と木霊(こだま)への祈りをもって染の業に専心すること」-古代の染師の間に語り伝えられた「染色の口伝」の一節である(前田雨城著『日本古代の色彩と染』)。

古代の人々は強い木霊の宿る草木を薬草として用い、その薬草で染めた衣服をまとって、悪霊から身を守りました。まず火に誠を尽くし、よい土、よい金気、素直な水をもって、命ある美しい色を染めました。

いずれも天地の根源より色の命をいただいたというわけです。

化学染料による染色にはない、素朴さ、色の深み、質感、、

化学染料は色と色を混ぜ合わせることによって新しい色を作ります。単一の色では色に底がありません。また化学染料は脱色することができますが、植物染料は脱色することができません。

人間が主か、自然が主か、、

神様(仏様)に自然の循環型のものを捧げさせていただく、またサステナブル、持続可能な社会にという流れの中、神社仏閣の麻製品でも草木染めが標準になっていったらいいと思わずにはいられません。(^^)/

山門にかけられた国産精麻しめ縄と草木染め垂れ(四国霊場22番札所・平等寺)
山門にかけられた国産精麻しめ縄と草木染め垂れ(四国霊場22番札所・平等寺、2017年)

 

・参考文献

「色を奏でる」志村ふくみ・文、井上隆雄・写真(ちくま文庫)

「函谷鉾(財団法人設立三十周年記念)」財団法人函谷鉾保存会編

祈り、染め、植物

SNSで投稿して今までで一番シェア数が多かった記事がこちら。2014年のものですがこちらに転載させていただきますね。(一部編集)

 


蓮の糸というのも、あるんですね。
ヘンプの衣料に関わりはじめて、普通にそこには「草木染め」がありました。自然な色合いで綺麗なんですね。

昨日たまたま、テレビでみたNHK「日曜美術館」。もう番組の終わりに近かったのですが、その映像に引き込まれました。
草木染めをしていたからです。それも、蓮の糸。

染めているのは染織家の志村ふくみさん(89歳=当時)という方。語っていることが心に響きました。

『結局は植物をある程度敬ってその植物から色を頂くっていう。
そうすると植物に対して自分たちはどういう向き合い方をしたらいいかといえば植物が喜んでくれるいい色を出して喜んでくれる。
それが「復活」かなって思うんですよね。
だから古代は植物染料とも言わないですよね。
こういう草木で染めるのを祈りの染めだって言ってるんですよね。
なぜそんな事言うかというとみんなこれ薬草なんですよね。
薬草で染めてそれで着るとかそれを身にまとう事によって悪から病気とか疫病とかいろんな事から身を守る。
そういうために染めてたらしいの。
だから祈りながら染めた。
祈りは最高の科学であるって書いてあるんですよ。
すごいなと思って私。
祈る気持ちがなくて植物染料をこうやって扱ってはいけないって事でしょうね。
そういう事忘れてますよね今の現代人はとっても。』
(文は、「Mediacrit」さんからいただきました)

縁あって手元にある、藍染めのヘンプ糸。
植物の命の糸だとは思っていましたが、もっと、大切に扱おうと思いました。