神楽鈴(巫女鈴)・国産精麻五色緒付きの名前公募の結果

神楽鈴(巫女鈴)国産精麻五色緒付きの名前募集、ご応募ありがとうございました。考えていただいた方、応募に至らなかった方にも感謝いたします。

選考の結果、「玉翠(ぎょくすい)(TM)」に決定いたしました。

「貴重な国産麻を使い、すべてを清め祓うような格調高い音色、
宝石のように玉なり鈴なりに連なる鈴の高貴さと巫女舞を舞う巫女の美しさ、
それにともない流れる神楽鈴の美しい緒をイメージした造語」とのことです。

たまみどり等ほかの読み方も考えた結果、邪を祓い氣が引き締まるような鈴の音をイメージしこの名前を選んだそうで、高貴な感じと、巫女と緒の美しさが目に浮かんでくるような気がします。

今後、神具名として使わせていただきます。古事記では、天鈿女命(あめのうずめのみこと)の舞で世界が再び陽の光に包まれ、人々が安寧に暮らせるようになったと記されています。

今後とも「玉翠」をよろしくお願い申し上げます。

 

※6月23日追記

玉翠が6月吉日、東京で巫女教室等をされています「翡翠の巫女」様にご奉納されました。経緯、その意味合いなどを丁寧にご紹介くださっております。→神楽鈴「玉翠(ぎょくすい)」をご奉納いただきました。(「翡翠の巫女」様ブログ)

※7月3日追記

神社仏閣用の麻製品の染色は99%以上が化学染料によると聞いております。今回、国産精麻の草木染めによる染色の製品ができ、しかもご奉納されたことはとてもうれしいことです。翡翠の巫女様の松井久子神職は“鈴祓い”に使わせていただくと言われていました。

2年前、BS11で放送された「フランス人がときめいた日本の美術館」、第2回MIHO MUSEUM(滋賀県)の回で案内をしていた学芸員が「古代の美術品が繊細で美しいのは神に願いをお聞き届けするにはとそれだけの思い、手間をかけてつくっているから」というようなことを仰っていました。要は、思いがちがうと。

高価なものを、そういうことではなく誠(真心)が神様に通じるのではないでしょうか?

神様にお捧げする神具類(麻製品)がこの方向に行く試金石になりましたら幸いです。

草木染めの精麻を業界標準にという夢

2015年に、神社仏閣用のしめ縄や鈴緒、鰐口紐など麻製品を調製する京都・山川と知り合い、製品を取り扱いはじめて、えっ?と思ったことの1つが、精麻を染色する際に用いるのが化学染料であることでした。

創業以来、さぬきいんべではヘンプ衣料を主に、草木染めの製品を取り扱ってきていたからです。それ以前に古神道がベースにあるので自然順応的な考えはごく普通にあります。

なぜ化学染料が使われるかというと価格が理由とのことです。白い精麻が尊ばれる、精麻の漂白とは理由は異なります。

そんな中、山川の製品を扱いはじめてまず藍染めの製品を2016年に投入、それが神居 和かざりの藍染め版です〔京都・祇園祭の山鉾に藍染めされた精麻が用いられる、それにヒントを得ました。先人の知恵と思います。(参考)京都に夏を告げる祭り「祇園祭」〕。

このたび、待望の草木染めの製品、神楽鈴・国産精麻五色緒付きを取り扱い可能になりました。2尺5寸(約75センチ)の五色の精麻の緒を草木染めの五色で対応いたしました。

草木染めとは現代のように化学染料がなかった時代の染色方法です。

「草木は人間と同じく自然より創り出された生物である。染料となる草木は自分の命を人間のために捧げ、色彩となって、人間を悪霊より守ってくれるのであるから、愛(なさけ)をもって取扱い、感謝と木霊(こだま)への祈りをもって染の業に専心すること」-古代の染師の間に語り伝えられた「染色の口伝」の一節である(前田雨城著『日本古代の色彩と染』)。

古代の人々は強い木霊の宿る草木を薬草として用い、その薬草で染めた衣服をまとって、悪霊から身を守りました。まず火に誠を尽くし、よい土、よい金気、素直な水をもって、命ある美しい色を染めました。

いずれも天地の根源より色の命をいただいたというわけです。

化学染料による染色にはない、素朴さ、色の深み、質感、、

化学染料は色と色を混ぜ合わせることによって新しい色を作ります。単一の色では色に底がありません。また化学染料は脱色することができますが、植物染料は脱色することができません。

人間が主か、自然が主か、、

神様(仏様)に自然の循環型のものを捧げさせていただく、またサステナブル、持続可能な社会にという流れの中、神社仏閣の麻製品でも草木染めが標準になっていったらいいと思わずにはいられません。(^^)/

山門にかけられた国産精麻しめ縄と草木染め垂れ(四国霊場22番札所・平等寺)
山門にかけられた国産精麻しめ縄と草木染め垂れ(四国霊場22番札所・平等寺、2017年)

 

・参考文献

「色を奏でる」志村ふくみ・文、井上隆雄・写真(ちくま文庫)

「函谷鉾(財団法人設立三十周年記念)」財団法人函谷鉾保存会編

京都・山川製。国産大麻(精麻)より紐、より縄に藍染め、草木染めも追加

この度、極上国産精麻のより紐、より縄(大麻紐、大麻縄)の取扱いを開始いたしました。

職人の手仕事による国産精麻のより紐(縄)。
職人の手仕事による極上国産精麻のより紐。写真は太さ5ミリ。

しめ縄や鈴緒など神社仏閣用麻製品を調製する京都・山川の職人の手仕事による麻ヒモ、麻縄を「リーズナブルにできる限り早く」が狙いです。

神事、祭礼用はもちろん、結界、手芸・アクセサリー作りにお役立てくださればと思います。

太さは2ミリから可能で現在、2ミリ、3ミリ、5ミリ、6ミリ、8ミリ、10ミリ、15ミリのご注文をお請けしておりますが、ミリ単位で製作でき、その他の太さも製作可能です(お問合せいただければお見積させていただきます)。ほつれ止めのための端部の処理もやっこ結び、木工用ボンド止めなどお選びいただけます。

きなり太さ2ミリ(上)と3ミリ。端部の処理はやっこ結び。
きなり太さ2ミリ(上)と3ミリ。端部の処理はやっこ結び。

ちなみに、令和の大嘗祭にむけて麻の織物、麁服を織るための麻糸を紡いだ徳島県の三ツ木八幡神社の拝殿の中には紙垂のついた精麻のしめ縄が四方に張られていました。紡女(巫女)が麻糸を紡ぐ「初紡式(はつつむぎしき)」の様子を新聞記事、ニュースなどでご覧になったかもしれません。こちらのしめ縄は6ミリ径です。

麻縄のしめ縄
(用途例)しめ縄。写真は20ミリ径。(麻の垂れ、紙垂もお付けできます)

藍染めもできます。茜染めなど草木染めのより紐、より縄も承ります。現在、可能な染めは紺色(藍染め)、赤色(茜染め)、緑色(藍+ざくろ染め)、黄色(ざくろ染め)、紫色(藍+茜染め)の五色で、すべて先染めの精麻で製作しております。

藍染めのより紐。太さ5ミリ径。
こちらは藍染めのより紐。太さ5ミリ。

麻ヒモ、麻縄の用途例:紙垂をつけてしめ縄。拍子木同士を結ぶ縄、各種祭礼用、添棒縄、結界、手綱や命綱、凧糸に。ペンダント(ネックレス)のヒモ、バッグの取っ手ヒモ、手芸用、オリジナルアクセサリーの製作に。

草木染め二色の麻ヒモも可能に。(写真は藍・ざくろ染め)4ミリ径以下。
草木染め二色のより紐も可能に。(写真は藍・ざくろ染め太さ2ミリ)4ミリ径以下。

 

草木染め三色と五色のより紐も。(5ミリ径以上から)
草木染め三色と五色のより紐も。(5ミリ径以上から)

しめ縄(紙垂をお付けすることも可能)はもちろん、ネックレス、ブレスレット用、オリジナル作品づくり、ジュエリーなどとしてご活用いただいております。

むすぶ・たばねる・つるす・まく・かける・つなぐ・しばる・いろどる、麻縄職人による極上国産精麻を用いた一級の手仕事のより紐、より縄をさまざまな用途にご活用いただければ幸いです。

※伊勢宮忠も同じ職人、極上国産精麻によるより紐を取り扱っています。

祈り、染め、植物

SNSで投稿して今までで一番シェア数が多かった記事がこちら。2014年のものですがこちらに転載させていただきますね。(一部編集)

 


蓮の糸というのも、あるんですね。
ヘンプの衣料に関わりはじめて、普通にそこには「草木染め」がありました。自然な色合いで綺麗なんですね。

昨日たまたま、テレビでみたNHK「日曜美術館」。もう番組の終わりに近かったのですが、その映像に引き込まれました。
草木染めをしていたからです。それも、蓮の糸。

染めているのは染織家の志村ふくみさん(89歳=当時)という方。語っていることが心に響きました。

『結局は植物をある程度敬ってその植物から色を頂くっていう。
そうすると植物に対して自分たちはどういう向き合い方をしたらいいかといえば植物が喜んでくれるいい色を出して喜んでくれる。
それが「復活」かなって思うんですよね。
だから古代は植物染料とも言わないですよね。
こういう草木で染めるのを祈りの染めだって言ってるんですよね。
なぜそんな事言うかというとみんなこれ薬草なんですよね。
薬草で染めてそれで着るとかそれを身にまとう事によって悪から病気とか疫病とかいろんな事から身を守る。
そういうために染めてたらしいの。
だから祈りながら染めた。
祈りは最高の科学であるって書いてあるんですよ。
すごいなと思って私。
祈る気持ちがなくて植物染料をこうやって扱ってはいけないって事でしょうね。
そういう事忘れてますよね今の現代人はとっても。』
(文は、「Mediacrit」さんからいただきました)

縁あって手元にある、藍染めのヘンプ糸。
植物の命の糸だとは思っていましたが、もっと、大切に扱おうと思いました。