精麻における草木染めと化学染料染め、いずれ草木染め精麻を主体へ

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草木染めとは植物染料で染める方法、化学染料染めは石油由来の合成染料で染める方法です。

志村ふくみさんの「色を奏でる」(ちくま文庫)の一節「色をいただく」のなかにこんなことが書いてあります。

ある人が、こういう色を染めたいと思って、この草木とこの草木をかけ合わせてみたが、その色にはならなかった、本のとおりにしたのに、という。

私は順序が逆だと思う。草木がすでに抱いている色を私たちはいただくのであるから。どんな色が出るか、それは草木まかせである。ただ、私たちは草木のもっている色をできるだけ損なわずにこちら側に宿すのである。

草木染めは、化学染料とちがい、光の反射がやわらかいため色が目にやさしいです。また、色の深み、素朴さ、渋さ、質感があります。バイブレーションがそれぞれの染めによりちがうと思います。

一方、化学染料染めの場合は、色と色を交ぜ合わせることによって新しい自分の色をつくります。単一の色では色に底がありません。また、化学染料は脱色ができますが、植物染料は脱色することができません。自然が主か、人間が主かのちがいだと思われます。

 

何度もお伝えしていますが現在、神社仏閣用の麻製品の染色は99%が化学染料です。

なぜなら、安価に早く染めることができるからです。さぬきいんべの製品の化学染料染めは麻縄職人が、草木染めは染め職人がおこなっております。

化学染料染めの五色緒。
化学染料染めの五色緒。

 

しかし、神社仏閣用に化学染料染めは主体なのはどうかと(それまで草木染めのヘンプ衣料を扱っていたこともあり)違和感を覚え、2015年から徐々に藍染めからはじまって草木染めした精麻の普及に取り組んでおります。

先の記事でご紹介したように、先人が藍染めの薬効に着目したと思われる京都・祇園祭での精麻使用の事例を最初に知ったことで俄然やっていこうと思いました。

2017年には四国霊場22番札所・平等寺の山門に草木染め5色(緑・黄・赤・きなり・紫色)の前垂れのついた国産精麻のしめ縄がかけられました。

このことを知ってなんとかと、さらに精麻の草木染めをと思い取り組み、2020年にようやく、国産精麻・草木染め五色緒付きが誕生しました。

草木染めの五色緒。(2020年以降)
草木染めの五色緒。(2020年以降)

 

写真ではなく、実物を見て確認したいというお客様へ、極上国産精麻(野州麻)の化学染料染めのものと、草木染め5色のサンプルもございます。五色緒のように長さ5尺(約150センチ)に麻縄職人が加工したものです。ちがいを見比べてみたい方はお気軽にお問合せください。きていただいてもいいですし、宅配便で貸し出しもさせていただきます(送料のみご負担ください)。