勅封(ちょくふう)について

2020年8月10日まで、西国三十三所第13番札所・石山寺(滋賀県)の秘仏御本尊 如意輪観世音菩薩様がご開帳されていた由、存じ上げておりませんでした。

この観音様は天皇陛下の命により封じられている日本唯一の勅封観音とのこと。

勅封、、どこかで聞いたと思っていましたら

正倉院の勅封(麻縄)
正倉院の勅封(麻縄)出典:日本美術全集5 天平の美術(学研)

奈良・平安時代の重要物品を納める東大寺の正倉院でした。

勅封とは、蔵などを勅命によって封印すること(扉に錠をかけて麻縄でしばり、結び目を天皇自署の紙で封じる。開閉には勅使が参向する)と辞書(大辞林)にはあります。

写真のように、麻縄でしばられているのです。この資料は以前見せていただき、メモ代わりに写真を撮っていたもの。

これを思い出させていただいたのが、翡翠の巫女の松井久子先生でした。ブログ→「紫式部ゆかりの寺、大津 石山寺の勅封(ちょくふう)観音

こちらの観音様は33年に一度、または御代替わりの年にしかご開帳されないのですね。次回は2047年だそうです。

松井先生がその体験をご紹介させていただいたブログにつづっておられますが、観音様がお働きになっていたのです。私は観音様に20年以上前からご縁といいますかお話に聞いてきましたが(その話はまた機会あったときに)、今回それを思いあたらせていただきました。そこにありましたのが麻縄で、なんとも不思議なめぐり合わせと思いました。

 

 

・参考文献

「日本美術全集5 天平の美術」(学研)

日本の麻の産地をよみがえらせる

2017年に刊行された「大麻という農作物」(大麻博物館著)の巻末に1939(昭和14)年と1955(昭和30)年の『全国の大麻栽培面積(ヘクタール)』のデータが収められています。

全国の大麻栽培面積(ヘクタール)
全国の大麻栽培面積データ(1939年、1955年)単位:ヘクタール

産地と思われる千葉、静岡といった県などデータがないところもありますが、これによりますと、70ヘクタール以上栽培されていたところは、北海道、青森、岩手、福島、栃木、群馬、新潟、石川、福井、長野、岐阜、島根、広島、熊本、宮崎がそうです。

ちなみに2018年4月より農業法人が県の許可を得てはじまった大麻を加工して作る「精麻」の生産をおこなっている三重県は0.1ヘクタールで、かつての大規模産地ではなかったことがわかります。

いい麻が取れるのは寒暖の差があるところ、お茶が栽培されているような場所(標高)がいいと聞いたことがあります。2019(令和元)年に新天皇の践祚大嘗祭へ麻織物、麁服(あらたえ)を貢納された徳島県の阿波忌部直系・三木家も標高550メートルのところにあり、ご当主・三木信夫さんもいい麻が取れる場所のお話をされておりました(直接うががいました)。

先人の知恵というのでしょうか。いま(この10年くらいの間)、これまで培われてきた昔の人の営みから得られた知恵が急速に失われているのと、また見直そうとする動きの両方があるように思います。日本の伝統文化の分野が特にそうではないかと思います。

かつての産地には地名として残ったりしなんらかの名残があるのではないでしょうか。また栽培時に使われた古い道具類もある(残っているのでは?)と思いますし、うまくいけば昔栽培に携わった古老のお話をギリギリ聞くことができることがあるかもしれません。

そういう思いをもってこの記事を皆さまへお送りします。

 

 

・参考文献

「大麻という農作物」大麻博物館著

神社・お寺へ物品を奉納するには

神社、お寺に奉納したいけど、どうしたらいいのかわからない方へ、一般的な方法を下記にまとめます。

1.まず社務所(寺務所)へ行く

社務所とは神社の事務を取り扱う場所です(お寺の場合は寺務所でお寺の事務をおこなっている場所)。境内にあり、神社の場合は巫女さん等、お寺の場合はお寺の関係者が待機しています。

2.奉納したい旨を伝える

そこで「○○を奉納したいのですが」と伝えると、上の方が出てこられると思います。打合せ、その方の指示にしたがいましょう。

3.奉納するもの(何を奉納するか?)

お金

しめ縄、鈴緒、鰐口紐、鐘つき紐、精麻などの神具・仏具。

お酒など

ただし奉納を断られる場合もあります。(たとえば、鈴緒を奉納したい場合に前に奉納された鈴緒がまだ新しい場合など)

4.奉納

神社の場合は御初穂料をお供えし、昇段参拝させていただくのも神様へのご報告となりいいと思います。

 

神具・仏具は高価なものになりますので、思いますのは麻(精麻)そのものを奉納してはいかがでしょうか(1キロと言わず数百グラムでも)。またはできる範囲のお金の寄付など、要は奉納とは「その方の気持ち」だと思います。

鈴緒、鰐口紐(鐘緒)の取扱いも開始いたしました。こちらもご検討ください。2022.2.9追記

個人で、ご夫婦で、またご家族、グループ、団体などでいいご奉納となり、見守ってくださっている神様・仏様にお喜びいただけますように。(願わくば、個人もよし、麻農家もよし、職人もよしというような「三方よし」のご奉納になれば幸いです)

サステナブルへ。草木染め標準化プロジェクト

2月に書いた記事。ここから一歩踏み出し、「草木染め標準化プロジェクト」を開始いたしました。

世の中のさまざまなサステナブル(持続可能)な社会へ向けた取り組みのように、神様仏様へお捧げするものを自然の循環型へ、化学染料から草木染めに。

私は京都の麻縄職人、山川さんから最初、国産精麻を化学染料で染色するとお聞きし違和感を持っておりました。(貴重な自然素材を循環型でない染料で染める、、早く安くということでこれは長いこと神社仏閣用の慣習になっていたようです。神社仏閣用がそうであるならと正直、それにならっているところがございました)

たとえば神社の拝殿に吊されている鈴緒とか、お寺の場合は鰐口(わにぐち)という鐘のようなものをカンカンと鳴らす鰐口紐といいますが色のつけられたものがございます。

神様(仏様)に捧げるものですので自然素材で循環型のものが本来ではと思います。

2015年春に山川さんを訪問、京都・祇園祭における国産精麻の藍染めの話をうかがってから試し染めしはじめその後、神居 和かざりの藍染め版を製品化。

次に2017年初頭に四国霊場22番札所・平等寺の山門にしめ縄を設置、国産精麻を草木染めした五色の下垂れをつけた話をうかがいこのとき製品化の話はしたものの答えは「No」、しかし昨年8月に京都へおもむき山川さんと話をしたことで藍染めおよび草木染めの話が進んで、本年より国産精麻を草木染めで染色した製品が可能になりました。

待望の草木染め(五色)ができるようになった記念としての先般の神楽鈴(巫女鈴)・国産精麻五色緒付きの名前募集でした。(考案者の方への賞品の神楽鈴、その方が五色緒が草木染め版を選ばれましたのでこのほど草木染め版が誕生いたしました)

できることからはじめませんか?

天然染料を使うことで排水された染料は生分解されるので河川を汚染することはなく、石油系の染料や顔料の場合、身体によくないものがほとんどです。

 

《化学染料の特長》

安定している、安価である、長期保存できる、色が強い。

《天然染料の特長》

・安全性が高い、環境にやさしい、中間色や微妙なニュアンスの色の堅牢度が高い、薬効がある。

上記の特長はこちらの記事から抜粋しまとめたものですが、化学染料は人間目線なんですね。地球とともに生きていく、環境のことを考えると天然染料に軍配があがります。天然染料から得られるものは色だけでなく、薬効もございます。

業界の標準化は時間がかかると思いますが、少しずつ賛同する人が増え私たちの生活と地球環境が守られ後世に受け継がれますように。

きょう4月22日は地球環境について考える日、アースデイです。(香川県の標高422mの山、讃岐富士の日でもあります)

よろしくお願いいたします。

梅、桜、藤、桔梗、菊、紅葉。日本人は四季それぞれに移り変わる山野の植物の姿を鑑賞して楽しみ、詩や歌に詠んでその心を表わすとともに、自らの衣裳にもこうした美しい色彩を染めて楽しんできた。これが日本の伝統色である。花や樹の色を美しく染め上げるため、植物の花、葉、樹、根などのどこかに潜んでいる色素を採り出して染めてきたのである。

今からおよそ150年前、19世紀の中葉、ヨーロッパを中心に吹き荒れた産業革命の嵐は、それまでの職人衆が自らの肉体とわずかな道具を使って行なっていた仕事を、機械へと変えてしまった。染色では、それまでは植物から色を採っていたのに、石炭のコールタールから、化学的に合成する染料を発明したのである。

日本には明治時代の中頃、文明開化の名のもとにヨーロッパの産業革命の成果が怒濤のように押し寄せてきた。京の堀川の近くに軒を連ねていた染屋も同じで、またたくまに、スプーン一杯の粉で便利に染まる化学染料に変わってしまった。

日本人が飛鳥・天平の昔から江戸時代の終わりまで育んできた、日本の伝統色は失われたのである。〔『自然の色を染める』吉岡幸雄・福田伝士監修(紫紅社)吉岡氏による“はじめに”冒頭より〕

 

※「草木染め標準化プロジェクト」のリンク先のうち、宮崎朝子氏(天の川工房)の製品は神社仏閣用ではなく、また国産の麻糸(手織りの場合)、生地を用いてはいませんが、自然順応の心で作っていると思われますので本プロジェクトに加えたことをお断りいたします。草木染めの標準化が衣料にも波及していきますように。

新型コロナ退散 特集!日本の文化が一段とクローズアップ

京都の祇園祭にならい、疫病(感染症)退散特集を組みました。

こちらに書いた通り、祇園祭で運行される山鉾の「鉾」と「山」の一部に藍染めされた精麻が使われています。麻と藍染めによる相乗効果、祓い清め、、いわゆる先人の知恵と思われます。

また、祇園祭を斎行する八坂神社(京都市東山区)では、毎年6月下旬と、祇園祭の最後に夏越祓があり疫病退散や息災を祈る「茅の輪」が設置されますが、新型コロナの退散を願って茅の輪がいま設置されています。

・新型コロナも退散して!「茅の輪」くぐり息災祈る 京都・八坂神社(京都新聞)

思わぬ形で昔の人が大切にしてきた知恵がクローズアップされる事態に神様の意図を感じませんか?

さらに、各地の神社で感染症の終息を祈願する神事もおこなわれています。

疫病の早期終息祈願 徳島の大麻比古神社で宮司ら(徳島新聞)

・<新型コロナ>「湯立神事」で終息祈願 江戸期疫病収めた伝承 八王子の2神社(東京新聞)

・非公開の長刀「三条長吉」でおはらい 疫病退散の祈り、祇園祭の起源 新型コロナ(京都新聞)

しぶき浴び息災祈る 徳島・大麻比古神社で「湯立神楽」(徳島新聞)

148年ぶり「疫神斎」 美里の伊佐須美神社(福島民報)

上記で共通するのは、はらい清めること、祈ること。→麻ではらい清め。茅の輪ではらい清め。神事。そして、食事はみそ汁や納豆など発酵食品で腸内環境を整えたり、、まさに日本の文化です。昨今の情勢は昔からある日本の良い習慣を取り戻せという形を変えたメッセージではないかと思います。

1日も早い終息を祈ります。

神楽鈴(巫女鈴)・国産精麻五色緒付きの名前募集のお知らせ

先月こんな記事を書きました。

本年よりやっと精麻の藍染め以外の草木染めによる製品ができるようになり
ました。第1弾は神楽鈴(巫女鈴)・国産精麻五色緒付き、五色の緒が草木染め版です。

これを記念して、下記の神楽鈴のネーミング(名前)を皆さまより募集させて
いただきます。(会員以外の方にも告知いたします)

ふさわしいネーミングをお考えいただけませんか?

https://www.sanuki-imbe.com/SHOP/HG1410013.html

京都の錺(かざり)金具師と麻縄職人から生まれた、他にない古くて新しい神具。〔一般に存在しているのは化学繊維か絹製の五色緒です。「古語拾遺」という書物に天の岩屋戸にお隠れになった天照大御神(あまてらすおおみかみ)の心をひくために天鈿女命(あめのうずめのみこと)が鈴をつけた矛を持って舞ったことが記されこれが巫女舞の起源とされていますが、この矛には精麻がついていたかもしれないです〕

採用された方には、同じ神楽鈴をお1つプレゼントさせていただきます。
ふるってご応募ください♪

募集期間:2020年3月31日(火)まで。

募集を締め切らせていただきました。ご応募ありがとうございました。

応募方法:メールにて、この神楽鈴にふさわしい名前と、その名前を選んだ理
由をお送りください。メールのタイトルを「神楽鈴のネーミング」でお願いいたします。

送付先メールアドレス:info☆sanuki-imbe.com(☆を@に変えてください)

賞品および発表:採用された方には、上記の神楽鈴(従来版、または草木染め
版のいずれか)を1つプレゼントいたします。
また、今後商品名(神具名)として使わせていただきます。

藍染め国産精麻の取扱い開始♪

2015年から国産精麻の藍染めを試していましたが、このたび、きなりと同じように提供できるようになりました。

私自身、いくつか藍畑、染め場を見学させていただきました。(例えば、こちらの記事)

【タデアイ(蓼藍)の効能についての伝承】

○殺菌効果
足袋などにも使用、水虫にならないとされた。

○遠赤外線効果
冬あたたかく、夏涼しい。

○虫よけ
ヒルや虫が寄ってこないとされた。(タンスに入れたり、蚊帳を染めたり)

○消臭効果
オムツや産着、仕事着などに用いられた。

○UVカット効果
野良着などに利用された。

○染色によって繊維がしまり丈夫に
特に藍染めは丈夫であるとされた。

その他、 漢方薬として用いられたり、止血・あせもに効果がある等、、以上のような理由から古来、身を包み守る染色として大切にされてきました。

さらに、京都・祇園祭で運行される山鉾の話。

山鉾の「鉾」と「山」の一部に藍染めされた精麻が使われています。それに疫病神を祓い清める目的があると思われます(精麻+藍染めの相乗効果、函谷鉾保存会 財団法人設立30周年を記念した冊子には、この垂れは「しゃくま垂れ」と記載)。

藍染めされた精麻(赤い幕の上の紺色の垂れ部分)。写真は、北観音山。
藍染めされた精麻(赤い幕の上の紺色の垂れ部分)。写真は、北観音山。

山鉾の「山」は、常緑樹である松を神の依代に見立て、自然の山を象徴する(そこに神様が降りて清める役目をする)。「鉾」は、疫病神を鉾に集めて祓い清める役目をする。

株式会社山川(京都市)によると、すでに大正時代には藍染めされた精麻が使われていたとのこと。また、渡御する神輿の轅(ながえ)と横棒を縛る縄も紺色の麻縄だそうで、こちらも元々は藍染めだったかもしれません。

原点をたどれば、祇園信仰の本質は疫病退散への願い。山鉾の巡行は東御座(櫛稲田姫命)、中御座(素戔嗚尊)、西御座(八柱御子神)の三基の神輿を渡御・還御するための「先祓い」なんです。前祭(左回り)できれいにした後に神社から神様がお出ましに、また後祭(右回り)できれいにした後に神社へ神様がお帰りになる。

そういう目で祇園祭を見ていただくと、れっきとした神事だということがわかるのではないでしょうか。

 

いま、新型コロナウイルス感染症のことが連日報道されています。2020年に入り、藍に抗インフル効果というニュースもありましたし、翌年には藍にコロナ不活化効果が確認というニュースもありました。宗教に科学が追いついた感じです。

藍は洋の東西を問わず色の基本。

疫病退散の願い、新型コロナ拡大の早期終息の祈りをこめて、この藍染めの国産精麻を世に送ります。(藍染めの精麻の発表がこの時期になったのはたまたまです。準備など都合で今になりました)

場の浄化、お守り作りに(みんなに配る等)。祓い清めの神具に。

 

 

・参考文献

「藍Ⅰ 風土が生んだ色」竹内淳子著(法政大学出版局)

草木染めの精麻を業界標準にという夢

2015年に、神社仏閣用のしめ縄や鈴緒、鰐口紐など麻製品を調製する京都・山川と知り合い、製品を取り扱いはじめて、えっ?と思ったことの1つが、精麻を染色する際に用いるのが化学染料であることでした。

創業以来、さぬきいんべではヘンプ衣料を主に、草木染めの製品を取り扱ってきていたからです。それ以前に古神道がベースにあるので自然順応的な考えはごく普通にあります。

なぜ化学染料が使われるかというと価格が理由とのことです。白い精麻が尊ばれる、精麻の漂白とは理由は異なります。

そんな中、山川の製品を扱いはじめてまず藍染めの製品を2016年に投入、それが神居 和かざりの藍染め版です〔京都・祇園祭の山鉾に藍染めされた精麻が用いられる、それにヒントを得ました。先人の知恵と思います。(参考)京都に夏を告げる祭り「祇園祭」〕。

このたび、待望の草木染めの製品、神楽鈴・国産精麻五色緒付きを取り扱い可能になりました。2尺5寸(約75センチ)の五色の精麻の緒を草木染めの五色で対応いたしました。

草木染めとは現代のように化学染料がなかった時代の染色方法です。

「草木は人間と同じく自然より創り出された生物である。染料となる草木は自分の命を人間のために捧げ、色彩となって、人間を悪霊より守ってくれるのであるから、愛(なさけ)をもって取扱い、感謝と木霊(こだま)への祈りをもって染の業に専心すること」-古代の染師の間に語り伝えられた「染色の口伝」の一節である(前田雨城著『日本古代の色彩と染』)。

古代の人々は強い木霊の宿る草木を薬草として用い、その薬草で染めた衣服をまとって、悪霊から身を守りました。まず火に誠を尽くし、よい土、よい金気、素直な水をもって、命ある美しい色を染めました。

いずれも天地の根源より色の命をいただいたというわけです。

化学染料による染色にはない、素朴さ、色の深み、質感、、

化学染料は色と色を混ぜ合わせることによって新しい色を作ります。単一の色では色に底がありません。また化学染料は脱色することができますが、植物染料は脱色することができません。

人間が主か、自然が主か、、

神様(仏様)に自然の循環型のものを捧げさせていただく、またサステナブル、持続可能な社会にという流れの中、神社仏閣の麻製品でも草木染めが標準になっていったらいいと思わずにはいられません。(^^)/

山門にかけられた国産精麻しめ縄と草木染め垂れ(四国霊場22番札所・平等寺)
山門にかけられた国産精麻しめ縄と草木染め垂れ(四国霊場22番札所・平等寺、2017年)

 

・参考文献

「色を奏でる」志村ふくみ・文、井上隆雄・写真(ちくま文庫)

「函谷鉾(財団法人設立三十周年記念)」財団法人函谷鉾保存会編

四国霊場22番札所・平等寺で初会式(麻レポート)

1月19日、徳島県阿南市の四国霊場22番札所・平等寺の初会式に行ってきました。

山門にかけられた国産精麻のしめ縄を見に行ったのが2016年3月(こちらの記事)。以来、4年ぶり。

本堂での晋山式法会
本堂での晋山式法会〔左に新品の鰐(わに)口紐、住職の左肩には修多羅〕

この日は本堂で晋山式(新住職就任)法会も行われ、それに参列させていただきました。仏教は詳しくないのであれですが椅子席には「先達」の方がずらっと並ばれているようでした。

初会式に合わせて本堂の鰐口紐2本、鐘楼の鐘突き紐(いずれも国産精麻製)が新しく付けられていて文字通り新品でした。

この初会式は、谷口真梁(しんりょう)住職が副住職だった頃に大勢の稚児や参拝客であふれかえった昭和初期の初会式の写真を見て感動し、2016年に再興。今回が再興5回目。門前や境内では仮装マルシェ、太師堂横のステージで太鼓、阿波踊り、ヴァイオリンコンサート、そして餅投げ(3回!)もあり多くの人でにぎわっていました。

太師堂横のステージで太鼓演奏中
太師堂横のステージで太鼓演奏中

そう、このステージで五色の綱引き大会もあって、この綱がまた麻製なんです。

住職の左肩にかかっていた立派な修多羅(国産精麻製)も遠目に見させていただきました。

さぬきいんべに至る前、私は弘法大師・空海の足跡を追いかけていたことを思い出します。御厨人窟、出釈迦寺(我拝師山)、焼山寺(焼山寺山)、太龍寺、大滝山、高越山、高野山、、

平等寺は空海が開いたお寺で、「弘法の霊水」(井戸)もあり、ご本尊の薬師如来は空海の御作(秘仏)です。さぬきいんべは1月4日に10周年を迎えましたが、再び訪れて今までのことを思いかえし、ご縁をあらためて感じました。

麻というと神社ばかりでなくお寺でも麻が使われています。鰐口(下から見て鰐が口を開けたように見えることからこう呼ばれる)は参拝者が綱を振って打ち鳴らすことで神仏に来意を伝えます。お寺にお参りした際、見てみてください。

 

 

・参考文献

徳島新聞「徳島・阿南市の22番札所・平等寺 50年ぶり初会式」

京都・山川製。国産大麻(精麻)より紐、より縄に藍染め、草木染めも追加

この度、極上国産精麻のより紐、より縄(大麻紐、大麻縄)の取扱いを開始いたしました。

職人の手仕事による国産精麻のより紐(縄)。
職人の手仕事による極上国産精麻のより紐。写真は太さ5ミリ。

しめ縄や鈴緒など神社仏閣用麻製品を調製する京都・山川の職人の手仕事による麻ヒモ、麻縄を「リーズナブルにできる限り早く」が狙いです。

神事、祭礼用はもちろん、結界、手芸・アクセサリー作りにお役立てくださればと思います。

太さは2ミリから可能で現在、2ミリ、3ミリ、5ミリ、6ミリ、8ミリ、10ミリ、15ミリのご注文をお請けしておりますが、ミリ単位で製作でき、その他の太さも製作可能です(お問合せいただければお見積させていただきます)。ほつれ止めのための端部の処理もやっこ結び、木工用ボンド止めなどお選びいただけます。

きなり太さ2ミリ(上)と3ミリ。端部の処理はやっこ結び。
きなり太さ2ミリ(上)と3ミリ。端部の処理はやっこ結び。

ちなみに、令和の大嘗祭にむけて麻の織物、麁服を織るための麻糸を紡いだ徳島県の三ツ木八幡神社の拝殿の中には紙垂のついた精麻のしめ縄が四方に張られていました。紡女(巫女)が麻糸を紡ぐ「初紡式(はつつむぎしき)」の様子を新聞記事、ニュースなどでご覧になったかもしれません。こちらのしめ縄は6ミリ径です。

麻縄のしめ縄
(用途例)しめ縄。写真は20ミリ径。(麻の垂れ、紙垂もお付けできます)

藍染めもできます。茜染めなど草木染めのより紐、より縄も承ります。現在、可能な染めは紺色(藍染め)、赤色(茜染め)、緑色(藍+ざくろ染め)、黄色(ざくろ染め)、紫色(藍+茜染め)の五色で、すべて先染めの精麻で製作しております。

藍染めのより紐。太さ5ミリ径。
こちらは藍染めのより紐。太さ5ミリ。

麻ヒモ、麻縄の用途例:紙垂をつけてしめ縄。拍子木同士を結ぶ縄、各種祭礼用、添棒縄、結界、手綱や命綱、凧糸に。ペンダント(ネックレス)のヒモ、バッグの取っ手ヒモ、手芸用、オリジナルアクセサリーの製作に。

草木染め二色の麻ヒモも可能に。(写真は藍・ざくろ染め)4ミリ径以下。
草木染め二色のより紐も可能に。(写真は藍・ざくろ染め太さ2ミリ)4ミリ径以下。

 

草木染め三色と五色のより紐も。(5ミリ径以上から)
草木染め三色と五色のより紐も。(5ミリ径以上から)

しめ縄(紙垂をお付けすることも可能)はもちろん、ネックレス、ブレスレット用、オリジナル作品づくり、ジュエリーなどとしてご活用いただいております。

むすぶ・たばねる・つるす・まく・かける・つなぐ・しばる・いろどる、麻縄職人による極上国産精麻を用いた一級の手仕事のより紐、より縄をさまざまな用途にご活用いただければ幸いです。

※伊勢宮忠も同じ職人、極上国産精麻によるより紐を取り扱っています。