精麻飾り(しめ縄リース)ワークショップが今治ホホホ座で開催されました

2021年7月からはじまりましたはぐくみの木IKUKO先生主催の精麻飾りワークショップ。

12月は西條神社(西条市)、今治ホホホ座(今治市)、もにこど2(伊予市)の3ヶ所開催、そのうちの今治ホホホ座会場へお手伝いに行ってまいりました。

今回はお正月用のしめ縄リースをつくります。

しめ縄の見本と素材用の貴重な稲穂
しめ縄の見本と素材用の無肥料無農薬栽培の貴重な稲穂

今回は、西条市の山間部、棚田のほとんどが耕作放棄地となった千町(せんじょう)地区「再生プロジェクト」の棚田にて無肥料無農薬栽培された稲穂と稲わらを特別に分けていただき、稲穂をつけたものや稲わらで撚ったしめ縄も可能に。

まず目を閉じて先生の誘導に合わせ呼吸を整えます。

次に見本をみて、皆さんどんなものをつくるかイメージ。

お好みで、ある人は稲わら2本と精麻1本の3本撚り、ある人は精麻の3本撚りをつくっていきます。この稲穂は美しいからと思いますが、参加者全員が稲穂をつけていました。

稲わらと精麻の3本撚りリースに稲穂をつけて
稲わらと精麻の3本撚りリースに稲穂をつけて
精麻の3本撚りリースに稲穂
精麻の3本撚りリースに稲穂

さらに水引をつけ、お正月らしさを出す方もいらっしゃいました。(水引は簡単に取り外せ、しめ縄はその後も使用することができる仕様)

できあがったしめ縄に水引をつけて
できあがったしめ縄(稲わらと精麻)に水引をつけて

会場はライブハウスのように使用することもある場所で、この2日前にはダンスの講師と精麻飾りの講師によるコラボワークショップが実現、参加者は精麻を持って踊ったそうです。参加者の1人いわく「五感すべてを使って精麻を体験できた気がしました」と。(ワークショップの写真を見せていただいたところかなり楽しそう)このような感想が2022年以降どんな風に発展していくのか楽しみです。

 

本年は以前から思っていた買う人ばかり増やすのではなく手仕事そのものを活性化させようと2月に麻縄活用コンテスト開催を打ち出し、その流れで、はぐくみの木IKUKO先生から精麻飾りワークショップを開催するため麻のお話をしてほしいとお声がけをいただきトントンと話が進んで7月に初開催となりました。

たまたま3月と4月にClubhouseで麻についてのお話をしていたことも後で考えるとそのための準備だったのかと思います。

2015年からお世話になっています神社仏閣用の麻製品を調製する京都・山川は現在5代目ですが、6代目(候補も)は今いらっしゃいません。そのことを最初のころ、また最近も5代目より直接お聞きしていましたので、職人の家系に生まれていることを私は活かそうと上記のチャレンジに結果として至ったしだいです。

微力ですが、なにか変わっていくきっかけになれば幸いに思います。

国産大麻(精麻)の五色緒付き鉾先鈴で、「浦安の舞」の奉納が実現!

昨秋に納めさせていただいた国産大麻(精麻)の草木染め五色緒付き鉾先鈴で、「浦安の舞」の奉納が実現しました。

コロナ禍により神事や神社のお祭りも規模縮小や中止を余儀なくされ、どうなることかと思っておりましたが、今年後半になってようやっと、この時がきたかという思いです。

 

代表的な巫女舞である浦安の舞は、もともとは皇紀2600(1940)年を祝ってつくられました。歌詞は1933(昭和8)年に歌われた昭和天皇御製のお歌「天地の神にぞ祈る朝なぎの海のごとくに波たたぬ世を」を用い、これに当時の宮内省楽長・多忠朝(おおのただとも)氏が作曲振り付けをしました。

浦安とは心やすらかという意味で、古くわが国が浦安の国とも呼ばれたのは風土が美しく平和な国であったことを示しています。

巫女4名が扇と鈴を手に舞いますが、前半の扇の舞は祝いの象徴である檜扇(ひおうぎ)を持って舞われます。扇のかなめを中心に豊かに開けゆく中心唯一の世界を表現しています。後半の鈴の舞は三種の神器(剣・鏡・勾玉)をかたどった鈴(=鉾先鈴)を手に舞い、その清らかな音色が万物を清め、美しい響きが神と人との心のふれあいを表現します。

 

国産精麻の草木染め五色緒付き鉾先鈴での浦安の舞の奉奏(奉納)は、今年8月、長野県軽井沢の熊野皇大神社様でを皮切りに、その後、11月から東京都内の神社の月次祭で奉奏されているそうです。(現在はメンバーが3名のため2人が檜扇、1人が鉾先鈴または神楽鈴)

神職の仲間うちで精麻の草木染め五色緒は「麻(の五色緒)、いいですね」と好評で、参列者から「(麻だと)ありがたみを感じます」などお声をいただいているとのこと。

精麻の五色緒は2017年に最初、神社仏閣用麻製品を調整する京都・山川により、現在主流の化学染料で染めたものからはじまり、昨春、お客様のご要望により草木染め版ができ、そして今回の話につながってまいりました。

熊野皇大神社様のFacebookページ投稿と、ご参拝の方が撮影された東京の戸越八幡神社様での浦安の舞のInstagram投稿(短い動画)をシェアさせていただきます。(いずれも国産精麻の草木染め五色緒)

 
 
 
 
 
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・参考文献

「図解巫女」朱鷺田祐介著(新紀元社)

心は光!国産精麻の縄でつくる神聖幾何学図・フラワーオブライフ

「精麻でフラワーオブライフをつくる」と聞いたのは2021年8月のこと。

それは、国産精麻と銅線をいっしょに撚って縄にし、それで世界創造の形とされる神聖幾何学図・フラワーオブライフをつくるという企画でした。

その11月、その制作現場に潜入。

会場のしまなみアースランド(愛媛県今治市)の学習棟の一角で「精麻 de フラワーオブライフ・精麻縄編み体験会」が開かれていました。この日は第1回コトハ・フェスティバル(主催:一般社団法人コトハ・インテグラルリサーチ)が開催されており、さまざまな発表や出展がありそのブース出展の1つです。

事前予約を募ったところ予定の定員を越える方の参加があったそうで、各1時間の時間制で、参加者が手を動かして精麻に銅線を入れて縄を撚っていました。はじめて精麻に触れる方も多い中、最初は慣れない手つきですがだんだんリズムをつかんで結果、事前につくった縄をふくめて合計63個の輪ができ、後日それをつなげて(意外と簡単ではないそう)、以下の形になったということです。

※フラワーオブライフは、輪が重なったところに花びらができ、6枚の花びらで1つ花ができます。

「精麻でフラワーオブライフ」できた輪をつなげていく途中。
「精麻でフラワーオブライフ」できた輪をつなげていく途中。

 

中心部は草木染めの精麻で赤・青・緑の光の三原色。
中央部は草木染めの精麻で赤・青・緑の光の三原色を表現。

 

完成。全体はこんな感じ。
完成。全体はこんな感じ。

 

最初、精麻と銅線を撚ると聞き、相撲の横綱が土俵入りの際に締める綱(横綱)を思い出しました。横綱はさらし木綿の中はやわらかくした精麻と銅線芯からできています。

企画者によると、精麻には「響きを具現化する」、銅には「作る人の思いを贈る」という働きがあるそう。

なぜ横綱に銅線芯を入れるか、成形のためだけかと思っていましたが、昔の人が意図したより深い意味があるのかもしれません。(調べると、最初の横綱は江戸時代につくられたようです)

それから、潜在意識も顕在意識も「光」でできている、心は光であると丸山修寛さん(丸山アレルギークリニック理事長・医学博士)がおっしゃっています。

さまざまな方が参加、つくられた個性ある精麻の輪(光)が人の手でつながれてできあがったフラワーオブライフ。中央に光の三原色があることで、それぞれの「光」の調和を表しているように感じました。

なお、この精麻縄のフラワーオブライフは2022年4月3日(日)の第2回コトハ・フェスティバルにて展示予定だということです。

 

 

・参考文献

「クスリ絵ぬりえ」丸山修寛著(バンクシアブックス)

11月23日は新嘗祭、日本の祭り、感謝と前もって祝福する「予祝」

11月23日は、新嘗祭(にいなめさい)ですね。

毎年、この日には天皇陛下がその年の新穀を神々にご親供なされる新嘗祭が宮中・神嘉殿(しんかでん)においておこなわれています。

新嘗祭の起源は、日本書紀の神代巻で天照大御神が「吾が高天原にきこしめす(召し上がる)斎庭(ゆにわ)の稲穂を以て、また吾が児(みこ)にまかせまつるべし」と仰せになり、皇御孫尊(すめみまのみこと)の降臨に際して、斎庭の稲穂をお授けになったことにさかのぼります。

斎庭の稲穂とは、天照大御神が食物の神・保食神(うけもちのかみ)の体に生じた五穀のうちから取って、天狭田(あめのさなだ)・長田(ながた)に植えられた稲のことで、斎庭は清浄な場所を意味します。

高天原で育てられていた穀物の種が、皇御孫尊により初めて葦原中津国(あしはらなかつのくに)=日本でも栽培されました。

このご神恩に対する感謝の祭りとして、天皇陛下(皇御孫尊)御自ら、五穀豊穣を神々に奉告されるのが新嘗祭であり、これにならって全国の神社でも新嘗祭がとりおこなわれています。

ちなみに、天皇陛下の一世一代の新嘗祭は大嘗祭(だいじょうさい)といいます。ご存じのとおり、今上陛下の大嘗祭は、麻織物・麁服(あらたえ)、絹織物・繪服(にぎたえ)が調進され、2019(令和元)年に斎行されました。

 

ところで、3800以上の神社仏閣を参拝するなど古神道の研究をしている河野貴希さんによれば、お祭りはすべて予祝(よしゅく)だそうです。

例えば秋祭りは豊作を感謝するのですが、翌年も豊作になるという予祝(=あらかじめ祝う)も兼ねて神様に感謝しています。

お酒や食べ物は、まず神様にお供えをして食べていただき、その後を私たち人間がいただくのです。

 

明治神宮の新嘗祭奉納品の中に栃木県から精麻が。↓(4枚目の写真)

 
 
 
 
 
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・参考文献

「神道いろは」神社本庁教学研究所監修(神社新報社)

「神様に好かれる生き方」河野貴希著(本心庵)

 

祝・11周年 さぬきいんべ年末感謝祭2021をささやかに開催中☆

2017年から毎年開催させていただいております年末感謝祭。

本年は11周年を祝って、開催させていただきます。(2021年12月31日まで。2022年1月4日に12周年を迎えます)

四国の麻栽培を願うキャンペーンのプレゼント、京都・山川のオリジナル国産精麻アクセサリー「あわむすび」は好評で、年頭にさらに別のアクセサリー、年末のしめ縄予約特典にもう1つ仲間に加わりました。同じものがつづくとどうかと思いますので、今後お買い上げの価格帯ごとにこれらをプレゼントさせていただくことといたします。

それとあわせて、染織作家・宮崎朝子さんの手織りヘンプマフラーおよびストールの在庫分をそれぞれ500円引きさせていただきます。ささやかですが、日ごろの感謝をこめてお届けさせていただければと思います。

 

振りかえりますと、本年は昨年の神様を大切にする人が増えたらいいなという思いと国産精麻の草木染め精麻の拡充路線を引き継いで、製品開発、普及に取り組みました。春に女子神職用の国産精麻の飾り紐付きの釵子(さいし)草木染め五色の国産精麻の房付きの巫女の頭飾り、前天冠が完成しました。幸先よく、釵子のこの飾り紐は埼玉県の神社の宮司よりご注文をいただき納めさせていただきました。6月にはサイズ、飾り方、価格などを見直し一新した「ミニチュア横綱」の取扱いを開始、この動きと平行して6月より、おお麻(ヘンプ)神具店へと思い切って舵を切らせていただきました。お客様からご要望もあり、これまでの藍染めに加えて草木染め精麻五色の取扱いができるようになって今日に至っております。

一方で、おお麻(ヘンプ)について話してほしいとご依頼をいただき、春に瓊奈川神社(翡翠の巫女様)主催でClubhouseにて、夏ははぐくみの木IKUKO先生主催の精麻飾りワークショップにてお話させていただきました。

今後は、さらに神様を大切にする人が増えますように、そして神社仏閣向けに草木染め製品を普及させていただきたい、また個人様においては手仕事が盛んになりますようにと願っております。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

※webページからだけでなく、お電話、FAX、メールでのご注文も承っております。

鋭い感受性を持った「巫女体質」、松井久子先生のご著書を読んで

このほど、瓊奈川神社宮司 松井久子先生のご著書、「巫女体質」(SeleneBooks)を拝読いたしました。

さぬきいんべでは、2017年から国産精麻の五色緒がついた神楽鈴、鉾先鈴を取り扱うようになり、その関係で巫女や巫女舞について調べていますが、女性が書いた書籍は今までなかったと思います。

 

この「巫女体質」という本は2021年10月に電子書籍として出版されました。

内容は一言で言えば、鋭い感受性を持った巫女体質の人たちに向けてのメッセージです。なかなか人に言えないことだと思いますし、巫女体質のことは巫女体質でないとわからないと思います。

それと近年、巫女体質という言葉が一人歩きしていることを受け、日本の精神文化を支える「巫女」の品位をおとしめてしまう恐れがあると懸念し、本を書かせていただくことにしたそうです。

ご購入者に新・巫女体質チェックシートのプレゼント付き。

この本を読んで救われる人がいらっしゃるかもしれません。

宮司として、また戦没者の慰霊や神前神楽舞の指導をし「巫女」を養成するかたわら、巫女体質とうまく向き合えずに悩んでいる方の支援をする巫女体質、巫病の専門家としてこれまで3000人以上の巫女体質の方と向き合ってきた松井先生の本をご紹介させていただきました。

年末年始を迎えるにあたり心得ておきたいこと(2021-2022年)

年末年始を迎えるにあたって、3つお伝えさせていただきます。(年々状況が変わっていっていますので、例年と特にちがう点にはアンダーラインを入れました)

まず1つ目。毎年しめ縄の注文をいただく方がいらっしゃいます。今年もご希望の方に年内にきちんと届くようにと、国産大麻(精麻)しめ縄&鈴緒 年内お届け超早期ご予約ページを開設しております。

例年ですと12月初旬までにご予約いただければ年内のお届けが可能です。しかし、製作が12月に集中しすぎるため職人の負担軽減にと、上記の超早期ご予約の受付締め切りを今年は11月15日に早めております。ご了承くださいませ。

※ご予約は終了しました。多数のご予約ありがとうございました。

大根型、牛蒡型、各種和かざりをお求めの方はさぬきいんべwebショップよりご注文ください。在庫のあるものはもちろん、在庫切れになっている場合や、既製ではない「こんなしめ縄を」という方は12月10日頃までにご注文いただければ年内お届けが可能です。2021年11月27日追記

 

2つ目。「しめ縄は毎年変えた方がいいですか?」とお問合せいただくこともあります。

答えは否。ご予算などに応じて新しくしたらと思います。スーパーで売られているような市販のしめ縄、しめ飾りなら躊躇ないとは思いますが、国産精麻、あるいは稲わら製の職人の手仕事でできたしめ縄は大切に使いたくなる人も多いのではないでしょうか。

氏子からしめ縄や鈴緒が奉納されている神社では毎年変えてないところも多いです〔それでもすす払い(家庭でいう大掃除)をし紙垂を新しくしたりして新年を迎えているところが多数ですが、神職がしめ縄を手づくりし新しくする様子を伝えるニュースや新聞記事を近年、年末に頻繁に見るようになってきている気がします〕。

本年はそういった方のために、紙垂の取扱いを開始しております。もし、自分でしめ縄、鈴緒をつくることができるなら、それが一番です。(自分の誠をお捧げする意味で)

ちなみにしめ縄、鈴緒を民芸とみるなら、使っていく中での素材の変化にも目を向けて楽しんで、あるいは使用後はお焚き上げせずに大切にしまっておくのもありかもしれません。濱田庄司氏(1894~1978年)はよく「作ったところで半分だ。そこから先は使い手が作る。だから、使うことも創作だ。」と話しておられたようです。例えば新しい青い竹かごが使っているうちにアメ色になるとかありますが、そのへんの判断は各自にお任せいたします。

もし、迷うようなことがありましたら、心の声を聞いてみるといいと思います。心がイエスと言った方、心が明るくなった方、心が軽くなった方を選ぶのをおすすめします。

 

3つ目はその根本にある理由です。

日本の神道は黄泉(よみ)の国から帰った伊邪那岐命(いざなぎのみこと)の禊ぎにみられるように「きれいになる」、また「再生」を尊ぶという、言わば「新生」する精神があります。これに付随し、黄泉の国から帰ることを意味するよみがえり(黄泉がえり)という言葉もあります。

また常若(とこわか)といういつも若々しいさまをいう言葉もあります。前述のすす払いや大掃除、お神札、しめ縄などを1年毎に納めて新しくする背後にはこういう意味合いがあります。

なお、使い終わったものは、社寺の境内等で家庭の門松やしめ飾りなどを一緒にはやす(燃やす)正月の伝統行事、どんど焼き(左義長、とうどうさん、地域によって呼び名がちがう)へ。そこで1年の無病息災を祈りましょう。

年越しの大祓も忘れずに。日々の生活の中で気づかないうちに生み出した目に見えない罪穢れをすべて祓い清めて新しい年を迎えます。

新年は1年で一番神様を感じる時ではないでしょうか。その新年を迎える前と、迎えた後。伝統行事は1年を健やかに過ごす先人の知恵です。

皆様がいい年末年始をお迎えいただけますようにお祈りいたします。

地域資源を活かす 生活工芸双書「大麻(あさ)」(農山漁村文化協会)

書籍のご紹介です。

きちんと調べようと思うと、専門書のようなものに行きつくのですが、こちらは写真や挿絵が多く、比較的わかりやすいと思います。(巻頭数ページはカラー写真)

日本人の暮らしを支えた植物「大麻(あさ)」を見直す

本書は、大麻の植物としての特徴、薬物問題と大麻栽培の現状、これまでの日本での大麻利用の歴史を概観します。

戦前までの日本各地で栽培・利用されていた歴史を20道県にわたって掘り起こし、栃木県の野州麻の栽培を詳述したあと、大麻の繊維、麻幹(おがら、皮を剥いだ大麻の木質部)などの利用をまとめています。

忘れられようとしている、日本列島に住む人間の日常生活にかつては恩恵をもたらしていた植物資源大麻(あさ)に光を当てます。(見開きより)

 

地域資源を活かす 生活工芸双書「大麻(あさ)」(農山漁村文化協会)
地域資源を活かす 生活工芸双書「大麻(あさ)」(農山漁村文化協会)

農文協(一般社団法人 農山漁村文化協会)という耳慣れないところから出版とお思いかもしれませんが、「ヘンプ読本」(赤星栄志著)では参考文献として農文協の本が取り上げられています。

この本は、2年前の秋ぐらいに図書館の新刊コーナーで出会いました。同じシリーズで、「苧(からむし)」、「萱(かや)」、「楮(こうぞ)・三椏(みつまた)」、「漆(うるし)」、「桐(きり)」、「棉(わた)」、「藍(あい)」があります。近年、手仕事や民藝が見直されてきているのと時期を同じくして、「大麻(あさ)」を含むこれらが再び見直されてきているということですね?

私の読み方は目的の物事を調べるか、同じ本をしばらくぶりに開き「こんなことが書いてあった?」と気づくパターンかです。

「答えは現場にあり」ということで、つくったり染めたりする方が副読本としてお読みになると興味をもって読めるのではと思います。

 

 

 

・参考文献

地域資源を活かす 生活工芸双書「大麻(あさ)」(農山漁村文化協会)

 

京都・山川による麻の神具(仏具)、麻製品、最近の仕事をご紹介

1886(明治19)年創業、120年以上にわたり神社仏閣用の麻製品を手がけていらっしゃる京都・山川の最近の仕事をご紹介させていただきます。(5月からInstagramで投稿がはじまっています)

 

 
 
 
 
 
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精麻のしめ縄(1、2枚目)と鈴緒(3、4枚目)です。

どこかで見た感じがし手元の写真を確認しましたら、徳島県木屋平・三木家の氏神様、三ツ木八幡神社のもののようです。令和の践祚大嘗祭に向けた麁服調進に先立ち、2019(平成31)年3月にNPO法人神麻注連縄奉納有志の会(安間信裕代表理事)が麻のしめ縄、鈴緒を奉納した際、山川さんともご一緒し奉仕させていただきました。〔この神社が麁服麻績殿となり令和元年8月7日に御殿人(みあらかんど)三木信夫さんと5人の紡女により初紡式が執り行われました〕

 

 
 
 
 
 
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相撲で横綱が土俵入りの際に締める綱を小型化した「ミニチュア横綱」。

土俵入りの型に合わせて雲竜型と不知火型の2種類、本物と同じように白い木綿布の内に精麻と銅線芯が入った本格派です。従来はサイズが大・中・小3種類ありましたが、本年サイズを一番人気があるものに一本化、さらに飾り方などを見直し一新しました。(山川さんから命を受け当店が本年6月に販売開始)

 

 
 
 
 
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五色の鰐口紐。

こちらも精麻でできています。下から見ると鰐が口を開けたように見える「鰐口」は金属製の円盤状の音具で、綱を振って打ち鳴らし神仏に来意を伝えます。こちらのお地蔵さんはあそこにお祀りされているものですね。(京都で近くへご一緒に行った際はご案内させていただきます)

ビフォーアフターの写真もご覧ください。

 

 
 
 
 
 
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獅子の麻毛の復元新調。秋祭り用でしょうか。

将来こんな注文を受けたいです。

なぜ、2022年用しめ縄&ミドル鈴緒の超早期ご予約特典は「青」と「赤」か

先日ご案内しましたとおり、2022年用しめ縄&ミドル鈴緒の超早期ご予約特典は、神社仏閣用の麻製品を調整している京都・山川製のオリジナル国産大麻(精麻)アクセサリー《リボン風》の藍染めと茜染めです。(藍染め、茜染めのどちらかをご予約毎におつけさせていただきます)

藍染めと茜染めは人類最古の染料です。色としては青と赤色です。

京都・山川製オリジナル国産精麻アクセサリー《リボン風》藍染め&茜染め(非売品)
京都・山川製オリジナル国産精麻アクセサリー《リボン風》藍染め&茜染め(非売品)

 

青と赤は、古代世界においてはどちらも信仰と深く結びつき、”聖なる色”と捉えられていたようです。

時代をさかのぼってイメージされるのは、日本では青はヒスイの勾玉、赤は赤い土の力で守ってくださる丹生都比売、もみじで秋の山々を赤くする竜田姫、根来などでしょうか。世界に目を向けると青はラピスラズリ、トルコ石、赤はベンガラ、辰砂などが浮かびます。

また、青と赤は、一般的にあらゆる色のなかで最も強いイメージがあるとされる2色で、一方は静的、もう一方は動的な両極の側面を持ちます。この2つの組合せは男性と女性に見える人もいらっしゃるかもしれません。

誰もが青いと知っている空や海は、近づくと青くは見えなくなります。赤色顔料の鉱物が比較的容易に入手できたのに対し、青色の鉱物は世界的に見ても希少かつ入手困難なものでした。このように青は、つかもうとすると逃げていくような”はるかなる色”といえるかもしれません。

また、赤は何よりも自らの体内に流れる血潮すなわち命そのもの、あるいは、神聖な太陽や火を連想させたのでしょうか。赤は、人と「色」の原初の根源的な関わりを今に伝えてくれる”はじまりの色”といえるかもしれません。

 

先の見えない時代ではありますが、私たち人類共通の大元にありますこの2つの色を通して、ゆるがない根っこを確認していただき、精麻のしめ縄、ミドル鈴緒とともに清々しく明るい新年を迎えていただきたいという思いをこめております。

形に関して、この国産精麻アクセサリー《リボン風》を最初見て私の高校時代、弓道の先生(当時、五段)がおっしゃっていた「簡単に見えるものほど奥が深い。複雑に見えるものは案外大したことがない。」という言葉を思い出しました。これは手仕事でつくられるものにも当てはまると思います。

 

 

・参考文献

「赤と青のひ・み・つ 聖なる色のミステリー」(MIHO MUSEUM発行)