進化をつづける国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒。手打ち本坪鈴8分&1寸仕様も

4月に完成した手打ち本坪鈴付き国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒

このとき手打ち本坪鈴は標準の8分径でした。

このたび、1寸径の手打ち本坪鈴付きのミニ鈴緒が完成いたしました。

国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒〔手打ち本坪鈴1寸(右)と8分〕
国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒〔手打ち本坪鈴1寸(右)と8分〕

お客様が「音で選んだ」という1寸径の手打ち本坪鈴付きミニ鈴緒ははじめてです。音がいい手打ち本坪鈴ですが、比較すると1寸径は深みのある感じ、8分径は軽やかな感じの音がします。

2015年1月から取扱いはじめたミニ鈴緒は当初、汎用の機械成型(プレス)の本坪鈴8分径がついておりました。(機械成型のものも音はいいと思いますが、文章で表現すると、機械成型は体に響く感じ、手打ちのものはハートに響く感じが私はします)

「精麻を身近に感じていただきたい」のコンセプトでつくられたミニ鈴緒はアクセサリーの要素も備えております。手打ち本坪鈴付きは、れっきとした神具です。

「以前、その日の最後の帰宅時に玄関で鈴を鳴らすのが良い、と読んだことがありそのための鈴を探していたら御社のホームページに出会いました。」とご注文をいただいたお客様からこんなご感想をいただきました。

とても素敵な音色です。この時期なのでお正月まで待つつもりでしたが、ワクワクしすぎて待ちきれないので来週の誕生日に使い始めとすることにしました。
本当にいい音色ですね。心が落ち着きます。ずっと揺らして聞いていたいくらいです。

 

機械成型、手打ちの本坪鈴付きミニ鈴緒もどちらもすばらしい製品です。このように少しずつ進化をつづけているのは基本がしっかりしているからではないでしょうか。

他に、京都・山川オリジナルの五色のミニ鈴緒、きなりと藍染めの2色使いなどもできます。ご自分に合ったものをお選びいただきたいと思います。

命が大事か、経済が優先か。命を大事にする文化の中心にあるのは

こちらで書いたように、私は伯家神道・十種神宝御法の修行座を受け、学ぶうちに日本の文化はすばらしいと思うようになった1人です。

一番感嘆したのが、目の前のものすべてが命ということです。稲は稲が作る。トマトを作るのはトマトなんです。ものを大切にする、もったいない精神。礼をするということ。

そして、すべてつながっている。すべて縁であること。和を大切にする。

さらに、古神道で最重要視されている祓いといえば、おお麻(ヘンプ)だと思い、それを伝えようと今日のさぬきいんべがあります。

 

ここで、山形県のレストラン「アルケッチャーノ」のシェフ、奥田政行さんの著書「地方再生のレシピ」の中で、日本人にはない視点で日本の魅力を世界に発信してくださっているマンリオ・カデロさん(駐日外交団長、サンマリノ共和国特命全権大使)と奥田さんの対談を抜粋してご紹介させていただきます。

~日本人は世界で一番自然に近い民族~

カデロ大使 『日本は紀元前660年の神武天皇の即位によって創建されたのが始まりです。古事記や日本書紀をひも解くとちゃんと書いてある。神話というのは国にとってとても大切です。ギリシャもギリシャ神話があるからヨーロッパで歴史を重んじられているでしょう。日本も神話があるから世界から尊ばれるのです。
日本という国は2675年もの間ずっと天皇制という同じシステムを貫いています。こんな長きにわたって続いている国はほかにありません。世界の歴史を大きな視野で眺めると、日本は世界最古の君主国と言えるのです。最初から同じシステムを貫いている日本とサンマリノは似ている国だなと私は思っています。』

奥田 『なるほど。そんなふうに日本が見られているとは知りませんでした。』

カデロ大使 『もう1つ、日本が世界から尊ばれているのは神道が国家精神の背景にあるということです。日本には「八百万の神」という言葉がありますね。山や川にも神さまが宿るという考え方はとても神聖で神秘的です。日本人は世界で一番自然に近い民族だと私は思います。
食べ物に関してもそうですね。「もったいない」「いただきます」の心は、食べ物の命に対する敬いの気持ちです。食堂などで見ていても、日本人の多くは1人で食事をするときでもいただきますと言います。中には胸の前で両手を合わせる人もいます。そして食べ終わると「ごちそうさま」と言う。
日本以外の民族ではそういうことはありません。店員に「サンキュー、グラッチェ」を言う人はいますが、敬虔なクリスチャンでなければ黙って食事を始めて黙って終えていきます。
日本人にとって当たり前過ぎて気にしたことはないでしょうけれど、私は日本にやって来た時になんて素晴らしい習慣なのだろうと思いました。日本人は礼儀正しく、環境に優しく、平和的な民族なのです。』

奥田 『確かに日本人の中で日常の生活で神道という言葉そのものを意識している人は多くないでしょうね。でも田舎のお祭りはどこも、五穀豊穣を山の神さまに感謝したり大地に感謝したりするところから始まっているのがほとんどです。そうした意味をもう一度考えてみることは意義深いかもしれません。そういうことをきっかけに、サンマリノのように住民の1人1人が地域の自治を支えるという意識を持てたら理想的ですね。地方の誇りはもしかすると、そうした自然の恵みへの感謝というところから回復できるのかもしれない。』(『地方再生のレシピ』奥田政行著(共同通信社)P.160~161より抜粋、一部編集)

 

カデロ大使は、今後の日本についてもっと国際的になるべきと提言されています。これは外国のまねをするという意味でなく、日本のものを(ラベルに英語も表記など)外国人にわかるようにするという意味だそうです。

そうすれば売上げも上がるし、日本の文化をより広めることにもつながると。

もっと国際的にとは、つまり「世界人」になるということなのではないかと思います。

鼓調べ緒紐の復元(第10回 日本麻フェスティバルin吉野川)にならって

10月28~29日に開催された第10回 日本麻フェスティバルin吉野川~麻植と麁服~にて、能楽師・大倉正之助さん(囃子方大倉流大鼓、重要無形文化財総合指定保持者、いわゆる人間国宝)により鼓調べ緒(しらべお※)紐の復元の展示がありました。

※調べ緒=能楽や歌舞伎はじめ、全国各地の祭礼には、小鼓、大鼓、締め太鼓が欠かせませんが、その表革と裏革を締め合わせる麻紐が「調べ緒」です。その締め具合によって音程を変える調律の役割も担います。

ご覧になった方、いらっしゃいますか?

わかりやすく、無染色、現代化学染色、茜染色の調べ緒が並べられ、茜染めの調べ緒の大鼓も展示。

説明には麻は大森由久(栃木県)、調べ緒は宮本則之(滋賀県)、茜染色は杉本一郎(大阪府)と書かれていました。

日本麻フェスティバルin吉野川初日、主催者・大森由久さん、吉野川市長・原井敬さんのあいさつに次いで、大倉正之助さんがこの大鼓の演奏をされました。演奏に先立ち、「現在では(調べ緒)はナイロン製に変わりつつあり、私たちのような伝統従事者、重要無形文化財の人間ですらナイロン製を使っているという現状」とお言葉がありました。

 

しめ縄などと同じことが起こっているのですね。

そんな中、国産麻、茜染めの調べ緒を復元、演奏されたのはたいへん有意義なことと思います。

私事、2015年だったと思いますが、神社仏閣用の麻製品の染色は99%が化学染料と聞き、えっ?と思ったことは忘れません。

なんとか神様にお捧げするものは自然由来の藍染め、草木染めのものをと思いました。京都・祇園祭の山鉾に藍染めの精麻がつかわれていることを知り、2016年に藍染め版のしめ縄【神居 和かざり】、2020年に陰陽五行の五色がようやく草木染めでできるようになりました。

五色といえばすでに製品化されていた神楽鈴・国産精麻五色緒ということで、草木染め版が誕生したわけです。

そして、その翌年に前天冠の五色房も、草木染めの国産精麻五色房でできました。

日本の麻の伝統技術を守ると同時に、引きつづき神社仏閣用の麻の神仏具は、できるだけ藍染め、草木染めになるように尽力したいと思っています。

祝・13周年 さぬきいんべ年末感謝祭(本年も誠にありがとうございました)

2017年から毎年開催させていただいております年末感謝祭。

今回は13周年を祝い、14周年を予祝して、開催させていただきます。(2023年12月31日まで。2024年1月4日に、さぬきいんべは14周年を迎えます)

本年は趣向を変え、しめ縄や鈴緒など、神社仏閣用の麻製品を調製している京都・山川製のオリジナル国産精麻アクセサリー《2トーン》を計10000円以上お求めの方にお1つプレゼントさせていただきます。これは、神道関連物の製作の余材が偶然できたそうで、それを生かすべく手仕事によって1つひとつ生まれました。他にありません。シンプルなつくり。そして職人の遊び心がちょびっと感じられませんか?(年末のしめ縄ご予約の方は別の特別特典をお付けいたします。こちらは11月15日ご予約注文分まで)

京都・山川製の国産精麻アクセサリー《2トーン》(非売品)
京都・山川製の国産精麻アクセサリー《2トーン》(非売品)

本年2023年の秋の臨時国会、11月14日の衆院本会議で大麻取締法の改正案が与党などの賛成多数により可決され、衆院を通過しました。

一般の方や神社仏閣向けに国産の麻製品(藍染め、草木染め含む)がさらに普及、後世にすばらしい麻文化が継承されますように祈念いたします。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

webページからだけでなく、お電話、FAX、メールでのご注文も承っております。

日本の麻文化発祥の地、「麻植」で開催された第10回 日本麻フェスティバルin吉野川

10月29日、徳島県吉野川市(旧麻植郡)で開催された第10回 日本麻フェスティバルin吉野川~麻植と麁服~へ行ってまいりました。

会場の吉野川市アメニティセンター入り口
会場の吉野川市アメニティセンター入り口

同フェスティバルは、2012年から日本麻振興会(当時は会長、大森由久氏、現在、代表理事)の主催で麻産業関係者や栽培者らが約300名集まってはじまり、今回10回目は、(一社)同振興会と(一社)阿波忌部麁服(あらたえ)保存会(代表理事 木村雅彦氏)との共催。

大森さんは言わずと知れた江戸時代からつづく栃木県の麻農家7代目です。

会場となった吉野川市アメニティセンターを私が訪れるのは、同市が麻栽培復活に向けて動いていた2016年、9月にあった麻シンポジウム以来。

会場に入るなり、来場者や出店者たちの熱気を感じ、知っている人はいるかなと探しながら10時からはじまる「伝統芸能の祭典」がある大ホールへ足を運びました。

フェスティバルのパンフレット
フェスティバルのパンフレット

初日の大森さんと木村さんの講演は拝聴できず、残念でしたが、その動画(2時間弱)をYouTubeにをアップいただきありがとうございます。貴重な講演です。(能楽師・大倉正之助さんによる茜染め調べ緒の大鼓の実演や、木村さんが今後の同保存会の事業として1.織殿の再興、2.新しい時代のコミュニティー、たまり場づくり、3.麻植と麻文化の復興について話され、最後に興味深い質疑応答もあります)ぜひご覧ください。

 

「伝統芸能の祭典」の後、初日の講演後にも発表があったようですがサプライズで来年の開催地の発表が大森さんよりありました。第10回の漢字の「十」の字は縦と横の棒の結んだ形で(いままでいろいろ取り組まれてきた)完成を意味するのではと思っていましたが、2024年の開催は今まで開催されていなかったところになります(ここでは書きませんがそのうちわかると思います)。「十一」は文字どおり、結んではじまる。新しい一歩になりそうです。

また、大ホールで会った知り合いがホールを出たところにいらっしゃった阿波忌部麁服保存会の代表理事、木村さんを見つけ「昨日はありがとうございました」とあいさつされ、木村さんは「(保存会ができて)最初のところなのでよろしくお願いします」とおっしゃっていました。

今度は昼食のためアメニティセンター西側の数あるキッチンカーの列に並んでいた藍染めの永原レキさんと再会。(前回お会いしたのは2019年3月、阿波忌部直系・三木家の氏神様、三ツ木八幡神社のしめ縄奉納のときでした)

その後、お客様とその友達に出会い、香川・琴平の麻心さんの薬膳カレーをいっしょにいただくことに。

麁服の展示、全国から集まった麻製品の展示、販売。(特に印象に残ったのは、さぬきいんべが取り組んでいることと共通した横綱、鈴緒など「麻に関する伝統文化と生活文化の展示」の部屋でした)

阿波忌部の祖神、天日鷲命をお祀りする忌部神社(イベント2日間は開扉)
阿波忌部の祖神、天日鷲命をお祀りする忌部神社(イベント2日間は開扉)

最後に、忌部神社へ行き、四国の麻栽培再生をお祈り。しめ縄は令和の麁服調進前に奉納された麻製です。そして、そこにいらっしゃった地元の方々よりあたたかい甘酒のサービス、麻や藍についてお話をうかがい、帰路につきました。

日本の麻文化に心を寄せる人たちに大いに刺激を受けた日となりました。関係者の皆さま、ありがとうございました。

京都・出雲大神宮で「みろく涼香舞」を奉納(謡曲仕舞奉納家・一扇様)

10月21日、京都・出雲大神宮にて例大祭(社殿創建千三百十四年祭)がおこなわれました。

出雲大神宮は、京都府亀岡市にある神社で、旧称は「出雲神社」。別称として「元出雲」や「千年宮」とも呼ばれます。

元明天皇の和銅2年10月21日、ご神体山である御影山の麓に社殿が創建されました。それ以前は本殿背後にそびえる神奈備山、ご神体山である御影山が信仰の対象とされ、その起源は一万年以上、神代の鎮座と伝えられる、日本有数の古社です。(ご祭神・大国主命は国譲り、幽世をつかさどる神様)

 

祭典終了後、神賑奉納の1つとして、謡曲仕舞奉納家・一扇様が「みろく涼香舞」を奉納されました。

みろく涼香舞は令和の新しい「能」として昨年3月7日の命名披露会以降、京都の神社やお寺で奉納されていらっしゃいます。

この日は、みろく涼香舞『巻絹(クセ)』『西王母(キリ)』(※)を奉納。

※仕舞には大概、クセとキリがあり、クセは能の中で一番見せ所があるところで大体は弱い感じの舞 で、キリは能の最後の部分で強い感じの舞が多い。(南山大学観世会「能楽用語いろいろ」より)

「巻絹」は天上界の波動を感じ、謡いながら舞うとうれしく幸せな気持ちになるそうです。また、「西王母」は平和の世の実現を祝う天女です。頭飾りの前天冠には国産大麻(精麻)の五色房がついておりますし、一扇様の姿は西王母の天女そのものだったのではないでしょうか。

舞終わると、居合奉納の方々から「とても素晴らしい舞でした」とお声掛けいただいたそうです。

 

 

・参考文献

「謡曲仕舞奉納家・一扇」宮西ナオ子著(シンシキ出版)

謡曲仕舞奉納家・一扇様ブログ「和み文化の風の声

四国の麻栽培再生を願うキャンペーンpart3を開始いたしました

2023年10月23日(旧暦9月9日、重陽の節句)より四国の麻栽培再生を願うキャンペーンpart3を開始いたしました。(2020年8月24日からはじめた第1弾、2022年10月27日からの第2弾につづく第3弾です)

合計10000円以上お求めの方に、京都・山川による下記のオリジナル国産精麻アクセサリーをお1つプレゼントさせていただきます。

国産大麻(精麻)アクセサリー(京都・山川製)非売品
国産大麻(精麻)アクセサリー(京都・山川製)非売品

神社仏閣用の麻製品を調製する創業120年以上、京都・山川さんがまた新しいオリジナル精麻アクセサリーをつくってくださいました。ある神道関連物の製作の余材がたまたまできたそうで、それを生かすべく1つひとつ手仕事により生まれました。きなりと濃紺のツートンが特徴です。(山川さんいわく、神具で色分けするものはほとんどないとのこと)

身につけたりバッグにつけたり、神具として使用したりいただければと存じます。

 

毎年8月14日夜におこなわれる愛媛県八幡浜市の五反田柱まつり(県指定無形民俗文化財)は、たいまつに麻幹(おがら)が使われます。そのために2007年頃まで隣の大洲市で麻が栽培されていました。これが徳島・三木家をのぞく四国最後の麻栽培だった、、このことを2009年に知り、なんとかしようと思い動きはじめ10年以上になります。〔践祚大嘗祭(せんそだいじょうさい※1)に麁服(あらたえ)を代々調進する阿波忌部直系・三木家の麻栽培は2019年の令和の大嘗祭に向けて一時的なもので現在は栽培されておりません〕

神社のしめ縄や鈴緒など古くから神事に使われてきた繊維「精麻」ですが、その材料となる大麻草を育てる農家は激減し技術の継承が危ぶまれている中、9月には三重の麻農家がNHKの番組「サラメシ」で紹介されました。

徳島県の(一社)阿波忌部麁服保存会(代表理事 木村雅彦氏)は、織殿の再興や麻植と麻文化の復興を事業として盛り込んでいるそうです。現在、徳島県知事の後藤田正純氏は阿波忌部の末裔でもあります。

なお、2022年4月より厚生労働省は大麻取締法の改正に向けた具体的な議論を行っておりましたが、同法の改正案が2023年の秋の臨時国会で可決・成立、12月13日付の官報にて公布され、神事など伝統的な利用の他、大麻成分の医薬品への活用などを目指す方向で2025年に施行予定です。

そんな中、2024年1月にこちらの記事のごとく、四国の麻栽培再生に向けて3人で対談いたしました。その後、さらに情報が次々寄せられております。それぞれ必要なときに発表してまいります。

これを機に四国の麻栽培を再生させたいと存じます。

よろしくお願い申し上げます。

(※1)践祚大嘗祭=天皇即位に際し、天皇がはじめて新穀を食(め)され、皇祖および天神地祇に供し奉る即位後1回限りの儀式。

 

 

・参考文献

「日本の建国と阿波忌部」林博章著

「美馬文化 いななき第14号」(美馬市文化協会会報)

厚生労働省(大麻規制検討小委員会

農業経営者2024年1月号(農業技術通信社)、【時事解説】75年振りに改正案が可決!大麻取締法はどう変わった?(赤星栄志)

神棚がない時のお家での「お神札・お札」のまつり方はどうする?

最近では住宅様式やインテリアの西洋化にともなって、お神札立てなどシンプルな神棚がほしいという方が増えてきました。

賃貸住宅に住んでいる方は、神棚を新たにしつらえにくいということもあります。

お神札を祀るうえで大切なのは神様を思う真心です。スタイルは自由です。

はじめの一歩としてお神札だけを祀ってみませんか。

まずは家のなかでも明るく、清浄な場所を選びます。家の中心であり、家族全員が集まるリビングがおすすめです。

次に気にすべきは方角で、南向き、もしくは東向きにお神札をお祀りします。東は太陽が昇り、南は日光がもっとも当たるため、古くから神様をお祀りするうえで重要な方角とされてきました。

また、神様を見下ろすことのないよう、家族でもっとも背の高い方の目線よりも上にお祀りします。さらに襖やドアなど、人の出入りの多い場所の近くは避けた方がいいでしょう。

以上を考慮し場所を決めたら、新しい雑巾で拭き清めます。次に半紙や白い布を敷き、お神札をお祀りします。

壁にお祀りする場合は、ピンや画鋲などでお神札に穴を開けないように工夫してください。

お神札を並べる順序は宮形の神棚にならいます。(宮形は神社の社殿を模したお神札を納める入れ物で、扉が1つの一社造や、3つの三社造が主流。なかには檜材を用いた高価なものや、檜皮や茅で屋根を葺いた凝ったものもあります)

横並びにするならば、中央は神宮大麻、向かって右に氏神神社、向かって左が崇敬神社です。重ねるならば手前が神宮大麻、その後ろが氏神神社、さらにその後ろが崇敬神社となります。

その上で、国産大麻(精麻)のしめ縄、鈴緒などをご検討いただければ幸いです。

 

 

・参考文献

「神様が宿る家の清め方」監修・神田明神(大和書房)

海外在住の方から国産大麻(精麻)製品のご注文、お問合せがつづく理由

2月に「日本の文化は世界に通じる、海外のお客様へ国産精麻の製品」という記事を書きました。

イギリス在住の方から国産精麻の製品のご注文をいただいて、国際郵便でお送りし、下記のご感想をいただいたからです。

この度、海外から購入させていただきましたが、連絡・手続きともにとても迅速、そして丁寧に対応していただきありがとうございました。現在、届いた撚りひもをどのようにつけようかいろいろ考えて楽しんでおります。ぜひまた機会がありましたら、よろしくお願いいたします。(お客様)

このお客様はいただいた文面などから日本出身であると思われます。

先日、日本へ帰国した際に購入したいと別の海外在住の方からお問合せがありました。このお客様も同じく日本出身と思われます。

なぜ、海外在住の方からもこのようなご注文やお問合せがあるのか?

 

最近、国内のお客様から『「日本の歴史」を本当の日本人たちが、取り戻していくことが世界のためにもなります。日本の手仕事は素晴らしいものです。ぜひ頑張ってください。応援しています。』とメッセージをいただきました。

この日本の手仕事の素晴らしさも理由の1つと思いますが、海外から見た日本の魅力が近年、増してきているのだと感じます。

世界の産業用大麻(ヘンプ)合法化の波。海外の方のおかげで、日本人が日本の文化、日本のよさ、大切なものに気づく、そういう流れでしょうか。

日本は灯台もと暗し。

そんな中、10月20日からの秋の臨時国会に、75年ぶり大幅改正となる大麻取締法の改正案が提出されようとしています。

 

 

 

現代の精麻活用の事例の1つ、木綿鬘(ゆうかずら)・木綿襷(ゆうだすき)

「木綿(ゆう)」とはコットンのことではなく、クワ科の楮や穀(かじ)の繊維のことです。

この木綿は古くより、大麻と同じく神聖な繊維とされ、その神性をもってケガレを祓うのに用いられました。

古事記の「天石屋戸」条には、「下枝に白和幣(しらにぎて)・青和幣(あおにぎて)を取り垂でて、この種々の物は、布刀玉命(ふとだまのみこと)・太御幣(ふとみてぐら)と取り持ちて~」とあり、この白和幣が「木綿」で、青和幣が大麻布のことです。

また、日本書記には「木綿手繦(ゆうだすき)」として登場します。(古くから神事で襷(たすき)を用いていたことは埴輪の巫女が襷を掛けていることでもわかります)

木綿は冠の鉢巻きにしたり、女性ならば頭に直接巻く「木綿鬘(ゆうかずら)」はさまざまな神事に用いられました。また、袍(ほう、束帯の上着)の上に斜めに襷掛けするのが「木綿襷(ゆうだすき)」です。

大嘗祭では役職により、木綿鬘だけであったり、木綿襷(ゆうだすき)と日陰鬘(ひかげのかずら)を組み合わせて使うなど、さまざまな形式があったようです。

その他、神社の本殿を改築するときなどに行われる「遷座祭」において、神職が衣冠の上に「明衣(みょうえ、神事の際に着る浄衣)」を重ね、冠には木綿鬘、明衣には木綿襷を掛けて神事を行います。

本来、「木綿」と「麻」は明確に区別されており、『延喜式』に「安芸木綿」とあり、木綿の主産地は安芸国(広島県)などであったと思われます。

しかしやがて本物の木綿の調達が難しくなり、江戸時代には麻の繊維や細布で代用していました。現代では「麻苧(精麻)」と呼ばれる大麻の繊維を利用することが多いです。

明衣(みょうえ)の上に木綿鬘と木綿襷をつけた姿
明衣の上に木綿鬘と木綿襷をつけた姿

 

 

・参考文献

「有職装束大全」八條忠基著(平凡社)

「日本の建国と阿波忌部」林博章著