国産精麻・神居(かむい)和かざり(TM)誕生ストーリー

どこにもない、オリジナルの製品が作りたい。

2014年の9月、ちょうどそうするしかないなと考えていた時、神社仏閣用の麻製品を調製する株式会社山川5代目、山川正彦さんを玉造りをしている青舟さんから紹介いただきました。

鳥取県で開催されていた麻関連のイベントで山川さんに出会った青舟さんが後日手紙を書いて私を紹介してくださったんです。山川さんから電話をいただきお話したのがご縁のはじまり。ここに至るまでに本当に苦難の連続でした。いつかお伝えできる時がくるかもしれません。

様々な話をする中で、同社が製作したミニ鈴緒を翌年はじめから販売させていただくお約束をしました。(後日試作品が送られてきました)

そして2015年。

さぬきいんべでは年頭からミニ鈴緒につづき、叶結びアクセサリーを相次いで販売し、好評を得ていました。

電話で山川さんと話をしている中で、しめ縄の話になり、「丸くしたらいいのではないか」とのご提案。その後、試作品が送られてきました。

国産大麻(精麻)・しめ縄【神居 和かざり】
国産大麻(精麻)・しめ縄「神居 和かざり」

それが神居(かむい)和かざり(TM)(写真は1号モデル)。麻(ヘンプ)を現代風に伝えたいと思っていましたので思いにピッタリでした。

あとで知ったのは、伝統的な大根型しめ縄をリース型にしたものとのこと。

山川さんから「名前をつけたらいいと思う」と言われ、それならとお客様から名前を公募、その中から選ばせていただいたのがお客様の1人が「神様が宿る輪飾り」という想いを込め名付けられた神居 和かざりです(2015年6月に命名)。

この名前を山川さんも気に入っていただけて「使っていいですか?」と問われ「どうぞ、いいですよ」とお答えしたため、その後納品書や請求書でも「和かざり」と書いてこられます。

 

一般に「輪飾り」は、飾る場所が限定されていなくてしめ縄、しめ飾りの中ではもっとも汎用性が高いといわれています。

水回り(台所、風呂、トイレなど)や勝手口、車、自転車、農機具、倉庫、窓、洗濯機、物干し竿、子どものおもちゃなど、輪飾りは日々の働きに感謝のしるしという役割がありそうです。

輪飾りを見つけたら、そこの住人がふだん何をよく使っているか、何を大切にしているのかがわかるのではないでしょうか。

 

神居 和かざりは国産精麻でできた日本ではじめての輪飾り製品です(さぬきいんべ調べ)。

その後、山川の工房を訪れ山川さん含む職人からご意見を聞きながら、神社でよく見かける色、巫女の緋袴にヒントを得た朱色版を加えました。その際にたまたま藍染めに関しての問い合わせを山川さんからいただきましたので後で日本の伝統色である藍染め版を加えて現在に至っています(朱色版と藍染め版は全体のバランスを見て“前垂れ”を無しに)。また、素材をバージョンアップし、後にさらに茜染め版とざくろ染め版を加えました。

私は生成り版をずっと仕事部屋の入口開き戸(外側)に飾らせていただいております。朱色版を玄関の開き戸に飾るお客様がいらっしゃり今風だなぁと思います。

さらに、神居和かざりに紙垂付きが登場しました。上から精麻で結びつけた「タイプA」と下部に挟み込んだ「タイプB」です。

これからも神居和かざりをよろしくお願い申し上げます。

※2015年末以降、他社から精麻の輪飾りが登場しています。最初の1つは神居 和かざりと酷似していたので山川さんにお尋ねすると「ぜんぜんちがう。途中で麻芯が無くなっています。ただ価格(仕切り)はそんなに変わらない。(他社向けは)細くなっている分使っている麻の量は変わらないので。」ということでした(麻芯は外からは見えません)。

私は麻に着目するばかりでなく、職人になりたい!という人が増えていく世の中を作りたい。生家が職人の家系、職人の息子だからでしょう。2015年春に亡くなった父の声が聞こえるようです。

 

 

参考文献:

「しめかざり」森須磨子著(工作舎)

国産大麻(精麻)しめ縄に牛蒡型が仲間入り!しめ縄はなぜ左綯いなのか

このたび、国産大麻(精麻)・しめ縄に牛蒡(ごぼう)型が仲間入りしました。

従来の取扱いは中央部が太くなった「大根型」、縄を丸めたわかざり(神居 和かざり)だけでした。牛蒡型は一方がだんだん細くなる形状です。

しめ縄の種類

しめ縄の種類
種類 形状・用途
大根型 中央部が太くなったしめ縄。両端が細くなっている。
牛蒡型 しめ縄の一方が細くなってだんだん太くなっている。
わかざり 綯った縄を丸めたもの。水回りや勝手口に飾ることが多いが、汎用性が高いため屋内外のさまざまな場所に用いる。

 

国産大麻(精麻)・しめ縄【大根型】
大根型

国産大麻(精麻)・しめ縄【牛蒡型】

牛蒡型

国産大麻(精麻)・しめ縄【神居 和かざり】
わかざり

どれも国産精麻を材料に、神社仏閣用の麻製品を調製する京都の職人が綯った美しいしめ縄。明治19年創業の老舗、株式会社山川の製品です。

しめ縄の起源

日本におけるしめ縄の古語は「尻久米縄(しりくめなわ)」で、天照大御神が岩屋から出てきたさいに、布刀玉命(ふとだまのみこと)が入口に尻久米縄を張って、天照大御神が再び岩屋に戻ることのないようにしたと『古事記』の神話にみられます。

しめ縄は精麻、稲わら、マコモなど天然素材から作られます。

しめ縄を七五三縄と表記するのは、七五三という言葉が昔から縁起のよい数字とされていたからです。また、しめ縄のことを、ほかに一五三、棒縄、〆縄、締縄、標縄などとも表記します。

しめ縄はなぜ左綯いか

縄を綯(な)う方法には「右綯い」と「左綯い」があります。※繊維をより合わせることを綯うといいます。

昔は一般に、普段の生活で使用する日用品の縄は右綯い、神事に用いるしめ縄は左綯いとされました。しめ縄は神聖なものであるため、日常に使う縄とは区別する意図があったようです。

もともと日本では「左=聖、右=俗」とする考え方があります。伯家神道では右手を神様の手(左手)でしっかり握りおさえて印を組むこと(唯一の印といいます)や、神道祭式において祭祀を行う祭場(斎場)の上位下位が神座を最上位に正中・左(神座から見て)・右の順となること、拍手の作法は両手を合わせた後、右手をやや左手より引いて手を拍つことなど。

国産大麻(精麻)・しめ縄【牛蒡型】紙垂付き
牛蒡型(紙垂付き)
国産大麻(精麻)・しめ縄【鼓胴型】紙垂付き
鼓胴型(紙垂付き)

わがくには神のすゑなり神まつる昔のてぶりわするなよゆめ(明治天皇御製)

また精霊を迎える盆踊りが左回りであること、死者の着物を左前にすることはご存じと思います。能楽にも「左右」という型があり、まず左を祓って、次に右を祓うようです。

飾り方について

一般的に牛蒡型や大根型を飾るときは神棚に向かって右側にモト(太い方)がくるように取り付けます。

それは神様から見たときに向かって左にモトがくるようにするためです。

 

 

参考文献:

「神道祭式の基礎作法」沼部春友著(みそぎ文化会)
「決定版 知れば知るほど面白い!神道の本」三橋健著(西東社)
「しめ飾り」森須磨子著(工作舎)