家庭や会社での神棚へのお供え物

神棚がお祀りできて神鏡やサカキ立てなど祭器具がととのえられると、次には神前へのお供え物(神饌)をすることになります。

以前に神様への日々のお供えについてご紹介しましたが、「日供(にっく)」とは、神々への日々のお供え物です。(日供祭=“お祭り”といっても季節のお祭りではないです)

毎朝、神棚に米(洗米)・塩・水の三品を日供として奉ることを通例とします。

ご飯とお茶をお供えしたり、それらを簡略化してこの中の一品だけをお供えしたりする場合もあります。

全国各地の神社では、日供の御饌を朝に夕に仕え奉ることは普遍的におこなわれており、神棚の祭祀(まつり)においても同様におこなわれるのが理想です。

しかし、一般の家庭や会社などにあっては、丁寧に「日供祭」をおこなうことは容易ではないと思います。

丁寧におこなうことは非常に大切ですが、それが長続きしないのであれば意味がないです。

形は簡素であっても年中継続して実行できるように、上記のように簡略化するなど工夫したらいいと思います。

必ずしもこうでなければならない~というものではありませんので、それぞれの家庭や会社において昔からの慣習があったならそれを改める必要もないです。

私たちは誰もが毎日食事をするのですから、神棚にお供えすることを是非実行していただきたいです。

 

下記に神饌の基本を示しておきます。

・神前にお供え物をする台(用具)として、三方・折敷など相応の祭具を使用する。

・神饌の主体は、米・酒・塩・水であり、この四品は古来もっとも大切なもの。

・神饌は、新鮮なもの、姿形の麗しいもの、色の鮮やかなものなどの点を考慮する。

・撤下品(おさがり)は、家庭や社内で、皆でいただくようにするといい。

 

人の眼に 善しとし映ることとても 神の御旨に適はぬことあり

 

 

・参考文献

「家庭の祭祀事典」西牟田崇生著(国書刊行会)

「神道いろは」神社本庁教学研究所監修(神社新報社)

 

第12回日本麻フェスティバルin鹿沼市

イベントのご案内です。

「第12回 日本麻フェスティバルin鹿沼市」〔主催:(社)日本麻振興会(大森由久 代表理事)〕が10月31日(土)、11月1日(日)、栃木県鹿沼市にて開催されます。

第12回 日本麻フェスティバルin鹿沼市(チラシ表)

大森さんが当初、日本麻振興会を立ち上げた目的は、日本各地に伝わる麻に関する伝統文化・生活の中で伝えられてきた技術を後世に伝え、また、麻に関わる産業の振興(つまり、盛んにする)に寄与することでした。

2012年6月に同市で開催された第1回は、麻産業関係者や麻農家さんなど約300名が参加し、その後、四国・徳島でも2回(第2回と第10回)開催され、今回は原点に帰る感じでしょうか。

今回も多数の来場者があると思います。

興味があるのは、麻に関する手仕事の実演と販売です。それから、講演を聞きたいです。四国からは、(社)阿波忌部麁服保存会により令和の大嘗祭服供納の展示、あわたま(奥野令さん)による販売もあります。

※詳しくは、見開き4ページのチラシがございます。さぬきいんべでご注文いただいた方に同封、または差し上げています。

麻炭花火の打ち上げ(31日17~18時)が予定されています。

家庭や会社での祭祀の重要性について

家庭や会社で祭祀(神棚の祭祀-まつり-)をおこなうと、下記のような日常生活や仕事面で多くの効果が期待されると思います。

1.家庭や会社内でよい雰囲気が醸成される

毎日清々しく手を合わせることを繰り返すことによって、家庭や会社内に生活や仕事面の秩序ができあがります。また、子どもたち、社員も自然に礼儀作法を習得することができます。

2.家庭内、社内が平和になり、お互いの信頼関係が高まっていく

それぞれの家の祖先や他の偉大な神々を真剣に拝することで、私たちはささやかな存在であって、お互いの主張も自ずから無意味なものであると思えるようになってきます。家庭や社内において、神棚の前で皆が心を合わせるならば、その家庭や社内は円満、平和になります。

3.子どもや社員の信仰心を養い、育てることができる

一家の長、または会社の代表を中心に、家庭や社内で厳然とした神棚の信仰を持っているならば、子どもたちや社員はそれを目の当たりにし、必ずや自覚するものがあるはずです。

 

信仰は理屈で教えるよりも、実践の中から生まれてきます。

信仰から得られる信念は、他人から強制されるべきものではなく、親や会社の代表が自らの信念で信仰的実践生活をしていれば、その姿をうしろから見ている子どもたち、社員たちにも、自然に不動の信念(信仰・精神)が確立されていくと思います。

時代の転換点を迎え、経営者だけではなく個人でも、簡単ではない判断が求められる昨今。

神道信仰(神社信仰)、神棚の祭祀によって、家庭や会社内の絆がより太いものになりましたら幸いです。

 

毎年、国産大麻(精麻)のしめ縄をお求めいただく会社の代表者様から以下のような言葉をいただいております。

いつも丁寧な仕事をされており気持ち良く毎日清々しく手を合わせております。
また毎回しっかりと梱包されており安心しております。

 

神棚の祭祀の例(しめ縄は、牛蒡型1寸×2.5尺(紙垂付き))
神棚の祭祀の例(しめ縄は、牛蒡型1寸×2.5尺(紙垂付き))

 

 

 

・参考文献

「家庭の祭祀事典」西牟田崇生著(国書刊行会)

特集 祈りの経営 なぜ経営者は信仰心が強いのか(日経ビジネス電子版)

秋の感謝祭2026(11月15日まで)

現在、下記のプロジェクト等が進行中です。

・えひめ麻再興プロジェクトpart2

愛媛県内で自然栽培、自然農法で麻栽培、精麻加工をし神事用に普及させるプロジェクトです。いま、愛媛県庁への許可申請に先立ち、事業計画書を作成中です。

・日本の精麻応援プロジェクト

日本の精麻生産者数の減少を受け、日本の精麻を応援中です。2023年の大麻取締法の改正後、各地で第一種大麻草採取栽培者の取得がつづいています。今後、精麻の生産者が増え、活性化しますように。
※大麻(アサ)専門神具店さぬきいんべでは、国産精麻の製品を取りそろえるとともに、「えひめ麻再興プロジェクトpart2」のサポートをしております。

・第5回麻縄活用コンテスト(10月31日ご応募締め切り)

2021年よりはじまった麻縄(麻紐)の活用法を競う「麻縄活用コンテスト」の5回目を開催中です。審査基準は、「現代」「日常」「美」「社会性」「職人性」です。多数のご応募をお待ちしております。

 

秋の感謝祭ということで、合計1万円以上お求めの方に神社仏閣用の麻製品を調製する創業120年以上、京都・山川製の下記のオリジナル国産精麻アクセサリーをお1つプレゼント中です。(2026年11月15日まで)

国産精麻アクセサリー(京都・山川製)非売品「あわじ結びのアレンジ」
国産精麻アクセサリー(京都・山川製)非売品「あわじ結びのアレンジ」

ある神道関連物の製作の余材がたまたまでき、それを生かすべく1つひとつ手仕事により生まれました。貴重な余材、極上の精麻を使用したもの、きなりと濃紺のツートンが特徴の「あわじ結びのアレンジ」をお分けさせていただきます。

身につけたりバッグにつけたり、神具として使用したりいただければと存じます。

阿波踊り用の締め太鼓に国産精麻の調べ緒で

先般、国産精麻の調べ緒のご依頼があり納品させていただきました。

調べ緒とは能楽や歌舞伎、祭礼などでつかわれる小鼓、大鼓、締め太鼓の表革と裏革を締め合わせる麻紐のことで、今回は阿波踊り用の締め太鼓のためのものです。

お客様は、輸入の精麻製のものをつかっていましたが、それ以前につかっていた国産精麻(本麻)でとのこと。

太さ11ミリ×長さ10メートルで仕上げたものに対し、下記のご感想をいただきました。

先程到着し、懐かしい手触りに感極まっております。
2年前にちぎれてしまってから輸入麻で運用しておりましたが、値上がってからでも本麻を選んで正解でした。
また、少し短めの10メートルでの製作や、シーズン後のお届けなど、細かい要望にお応えいただき感謝しております。

さらにこんなご感想も。

この度は様々な要望にお答えいただき、ありがとうございました。
数年ぶりに本麻の調べ緒を手に取った瞬間、手触りや滑らかさといった質感が輸入麻とは全く異なるんだと再認識いたしました。
大変柔らかくしなやかで、しかし締めあげる度により固く、ガッチリとホールドしてくれます。「固くやわらかく綯う」製法だからこそ、輸入麻との大きな違いや、道具としての機能性を十二分に感じることができました。
実際の演奏を通して、この調べ緒の良さをさらに感じていけることを楽しみにしています。

締め太鼓の調べ緒(調べ紐)
締め太鼓の調べ緒(調べ紐)

これが、絹紐では締めがもどって、本当の音色が出ないです。

締め太鼓の調べ緒は非常に固く締め上げますが、来シーズンに向けて、じっくり締め上げていきたいそうです。

日本人の原点、祭りに込められた意味を知る

秋祭りの時期です。

小さいときから地元には西条まつり(愛媛県西条市内にある4つの神社、嘉母神社・石岡神社・伊曽乃神社・飯積神社の祭礼の総称)があり、身近に神様を感じてきました。西条まつりは、それぞれの神社が創祀してから祭祀はあったと思いますが、だんじり、みこし、太鼓台などが登場した江戸時代からつづく伝統的な祭りで、それらが町中を練り歩きます。

毎年、祭りの日は学校は休みとなり祭りへの参加が奨励されました(伊曽乃神社と飯積神社の祭礼がある校区でした)。それが社会人になり、県外に行くことで地元の祭りがいかに盛大かを知ることになりました。

いまは、地元に帰り、祭りに関しては子どものときとほぼ同じ気持ちで接していると思います。

祭祀というと、厳粛な宗教的な儀式を思い浮かべますが、お祭りというと、だんじりや太鼓台、太鼓や笛の音、勇ましい掛け声や人のにぎわいが頭に浮かびます。

ただ、子どものときは後者が「主」でしたが、古神道を学んだことで、いまは前者が「主」で後者が「従」、大事なものは見えざるものということがわかっています。そこが大きなちがいです。

 

日本の祭りは、農耕社会の共同体祭祀を基盤としています。

そのため毎年の収穫に感謝するために神様を迎え、供物を捧げ、祝詞をあげて謝意を表すとともに宴をひらいて歌舞などでもてなします。

一説に祭りの語源は「奉(たてまつ)る」とされていますが、そうだとすると、神様に供物を献上することが祭りであり、つまりは祭りは神様への感謝の行為そのものです。

神殿でおこなわれる厳粛な儀式も、たとえば山車や屋台の運行やその見物人、境内の露店でひしめく人たちも同じ祭りの構成要素で、聖俗ひっくるめて進行していくのが祭りだと思います。

西条まつりにおける神楽場での祭祀の様子(西条市の御殿前)
西条まつりにおける神楽場での祭祀の様子(西条市の御殿前)

 

日本の祭りには様々なものがありますが、神様に幸福を祈願する領域の大きさによって、下記の4つに分類できるのではないでしょうか。

・宮中祭祀・・・宮中でおこなわれる祭祀。天皇陛下が国家や国民の平安を祈る。即位にともなう大嘗祭のほか、神嘗祭や新嘗祭など。

・神宮祭祀・・・伊勢神宮でおこなわれる祭祀。皇室や国家の平安を祈る。平成25年には20年の一度の式年遷宮がおこなわれた。

・神社祭祀・・・全国の神社でおこなわれる祭祀。明治時代以降に大祭、中祭、小祭に区分され、年に一度の例大祭などがある。

・民間祭祀・・・各家庭や会社などで家内安全や繁栄を祈る祭祀。家庭内、社内の神棚や祖霊舎を中心におこなわれる。

一般に私たちが「お祭り」として慣れ親しんでいるのは、この中の神社祭祀でしょう。全国的に有名な京都の祇園祭や東京の神田祭、西条まつりのようなムラの鎮守様の秋祭りも神社祭祀に分類され、それらの祭りは地域の共同体(氏子)によって運営されます。

神社祭祀の区分

大祭

神社本庁によって定められた、もっとも重要な祭祀。
例祭、祈年祭、新嘗祭、式年祭、鎮座祭、遷座祭、合祀祭、分祀祭など
例祭・・・年に一度の代表的大祭。祭神や神社に由緒のある日におこなわれる
式年祭・・・神社で決められた数年に一度おこなわれる祭祀。例祭より大規模なものとなる

中祭 大祭に次ぐ規模をもつ祭祀。歳旦祭、元始祭、紀元祭、神嘗祭当日祭、明治祭、天長祭など
小祭 大祭・中祭以外の祭祀。神社の本殿のお扉の開閉をおこなわない
雑祭 神社祭祀以外の祭祀。人生儀礼にかかわる七五三や結婚式など

なお、祭祀に不可欠の麻は、この中の祭祀すべてで活用されています。それについてはここで述べませんが、祭りのもつ重要性が伝わりましたら幸いです。

 

 

・参考文献

「日本の神様と祭り」(洋泉社)

「神道いろは」神社本庁教学研究所監修(神社新報社)

国産精麻のしめ縄で清々しい2027年を!

本年も、来年用しめ縄のご注文を受付中です。

好評の美しいしめ縄(大根型、牛蒡型)、神居和かざり《きなり》のいずれも紙垂付き(紙垂をご自分でつけられる方は説明を作成しております。こちらを参考にしてください)は、しめ縄は1つひとつ縄目がちがいますが、職人がバランスをみて紙垂を取り付けさせていただきます。紙垂のないものもお選びいただけます。

ご要望により前垂れのない、紙垂付きのしめ縄も製作できます。

本年は、素材の精麻は野州麻(栃木県産)、もしくは伊勢麻(三重県産)を採用させていただきます。国内の麻農家さんの発展、国産の精麻のさらなる普及につながれば幸いです。これまでの長さに加え、長さ3.5尺(約105センチ)、4尺(約120センチ)、4.5尺(約135センチ)もご注文受付できます。

国産大麻(精麻)しめ縄【大根型】(紙垂付き)
国産大麻(精麻)しめ縄【大根型】(紙垂付き)
国産精麻・しめ縄【大根型】前垂れなし(紙垂付き)
国産精麻・しめ縄【大根型】前垂れなし(紙垂付き)
しめ縄の取り付け例(写真は、牛蒡型太さ6分×長さ1.5尺)
しめ縄の取り付け例(写真は、牛蒡型太さ6分×長さ1.5尺(紙垂付き))

その他、現代風のものをご希望の方には、神居和かざり、朱色版や藍染め、茜染め、ざくろ染め版もございます。

国産大麻(精麻)・しめ縄【神居 和かざり】(ざくろ染め版)
国産大麻(精麻)・しめ縄【神居 和かざり】(ざくろ染め版)

しめ縄【神居 和かざり】の取り付け例(写真は、きなり、紙垂付きAタイプ)
しめ縄【神居 和かざり】の取り付け例(写真は、きなり紙垂付きAタイプ)

ご注文の特典として、本体価格を「早割」、ならびに1886(明治19)年創業、神社仏閣用麻製品を調整しつづけている京都・山川製のオリジナル国産精麻叶結びアクセサリー《リボン風》藍染め、茜染め、ざくろ染め、藍+ざくろ染め&藍+茜染め版の5つの中からいずれかお1つをプレゼントさせていただきます。これまでの3色に加え、緑色(藍+ざくろ染め)、紫色(藍+茜染め)が加わっております。(精麻は極上国産、藍染め、草木染めは徳島でおこなっております)※染め(色)のご希望を承ります。ご注文時に「備考欄」へご記入する等お申し出ください。本特典は2027年年頭にお届け予定。(特典のプレゼントを何らかの理由で辞退される方も遠慮なくおっしゃってください)

※上記の特典付きは、恐れいりますが紙垂付きは期間延長、紙垂無しは10月31日ご注文までとさせていただきます。

京都・山川製オリジナル国産精麻アクセサリー《リボン風》
京都・山川製オリジナル国産精麻叶結びアクセサリー《リボン風》


新色の緑(藍+ざくろ染め)と、紫(藍+茜染め)版
新色の緑(藍+ざくろ染め)と、紫(藍+茜染め)版


12月中に発送予定です。日時指定も承ります。(自然のリズムを意識し冬至、または旧暦の新年に合わせるのもおすすめです)

また、こんなしめ縄はできませんか?というご要望も歓迎です。

 

オフィスのしめ縄設置例(写真は牛蒡型太さ8分×長さ2尺(紙垂付き))
オフィスのしめ縄設置例(写真は牛蒡型太さ8分×長さ2尺(紙垂付き))

 

オフィスのしめ縄例(写真は大根型、太さ1寸5分×長さ4尺、紙垂はご自分で取り付け)
オフィスのしめ縄設置例(写真は大根型太さ1寸5分×長さ4尺、紙垂はご自分で取り付け)

2027年用しめ縄のご注文専用ページ

※お電話、FAX、メールでのご注文も承っております。しめ縄をこのくらいの時期にという「仮注文」も受付させていただいております。なお、手仕事ゆえ製作できる数に限りがあるため、予告なくご注文受付を終了する場合がございます。ご了承ください。

毎年替えられる方、何年かに一度の方、そのまま長くお使いになる方、さまざまな方がいらっしゃいます。

ご注文誠にありがとうございます。

 

日本の文化として昔から大切につかわれてきた麻。国産大麻(精麻)のしめ縄で清々しい新年を迎えませんか。

神社やお寺で麻は「神聖なもの」、「穢れを祓う」、「神の依り代となる」などとされています。例えば、お供物を麻で結んだり、神職の方々の冠に麻を巻いたり、お祓いの際の道具(祓串)に麻が使われていたりと、現在でも様々なところで大変重用されています。
そういった理由から神社仏閣の鈴緒・鰐口紐や注連縄には麻が使われており、別の素材ではその意義や効果が失われてしまうのです。(明治19年創業 神社仏閣用麻製品調整株式会社山川パンフレットより)

 

『豊年だとか凶作だとかになるのは、みんな人間がそうするんです。日本中の人間が立派な心を持ち、農作物に対して感謝の気持ちで有り難くちょうだいし、物を粗末にせず、ずるい心を起こさず正しい行いをすれば、とても豊作になって到底食べきれない位出来ますよ。ところが今の人間はそれとは丸っきり反対の間違った了簡を持っていますからね。ですから不作になるんです。今言った事は絶対で、これは真理ですよ。いかなる天災でも天候の不順でもみんな人間が造るんですよ。』(御光話録 第十七号 昭和二十五年二月二十八日発行)

 

さぬきいんべでは、すべて切り火をしてお送りさせていただきます。

「火は日であり、さらに霊(ひ)であって誠に尊い霊妙(人間では計りしれませぬ不思議なこと)なものでございますと教わりました。」(元内掌典・髙谷朝子)

祭祀をおこなう祭場における上位と下位

祭祀をおこなう祭場(斎場)の上位と下位についてです。

神事等の際、参列することがあるのではないでしょうか。以下は基本ですので、参考になれば幸いです。

 

神座(神社などで、神体を安置する所)を中心にして、つまり、神座から見てが基準となります。(人が神前に向かってではないことに注意)

まず、神座の中心から、まっすぐ前に延長したところを正中(せいちゅう)といいます。

正中の幅は、およそ1メートル(3尺)ほどとします。

上位と下位については、神座が最上位であることは言うまでもありません。

次に原則として、上位より正中・左・右の順とします。さらに、神座の近くを上位とし、遠くを下位とします。

また、着席する場合には、上位より、左側・右側~の順とします。

 

なお、一般には部屋の入り口に近いところを下座とし、入り口から離れているほど上座とします。

和室の場合は、床の間の前を上座にすることは誰もが知るところですので、床の間と入り口の関係をよく見て、常識的に判断すればいいと思います。

精麻にもアタマとシッポがあるのと同じように、上位と下位の「順序」があることがおわかりいただけたでしょうか。

わがくには 神のすゑなり神まつる 昔のてぶり わすれるなよゆめ(明治天皇御製)

 

・参考文献

「神道祭式の基礎作法」沼部春友著(みそぎ文化会)

美をもたらす神様、宗像三女神

宗像大社(福岡県)の社伝によると、宗像三女神の三姉妹は田心姫神(たごりひめのかみ)、湍津姫神(たぎつひめのかみ)、市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)と表記されています。

田心姫神は玄界灘の孤島、沖ノ島・沖津宮(おきつみや)に、湍津姫神は大島・中津宮(なかつみや)に、市杵島姫神は宗像大社境内の辺津宮(へつみや)にそれぞれ祀られており、この三宮を総称して宗像大社と呼びます。

沖津宮が祀られている沖ノ島は、玄界灘のほぼ中央にある神の島です。古代から女性は島には渡れず、今もその風習を守り続けています。

「不言様(おいわずさま)」とも呼ばれ、島で見聞きしたことは一切口外してはいけないとされています。かつては、口に出すことさえもタブーとされていた時代もありました。草木、石、砂など島のものを島外に持ち出すことは厳禁とされています。

世界遺産にも登録され、「海の正倉院」とも称されるこの島からは、鏡、勾玉、金製の指輪など、たくさんの宝物が発見され、そのすべてが国宝に指定されています。

これらの宝物は、国の繁栄と海の交通を守るため、神様にお供えされたものです。

 

三姉妹の中でも、もっとも美人といわれた市杵島姫神は、神仏習合(日本古来の神と外国からきた仏を結びつけた信仰)によって、仏教の弁財天と同じ神様とされました。通称「弁天様」と呼ばれ、広く信仰されています。

これによって、美や健康、音楽、芸能の神様としても信仰されることになりました。

田心姫神は、のちに出雲神話の主神である大国主神(おおくにぬしのかみ)の妻になりました。

日本の八百万の神様の中でも、三姉妹はこの宗像三女神だけとされています。なお、上記の宗像大社や沖ノ島等は、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群として2017年に世界文化遺産として登録されています。

 

 

・参考文献

「日本神話 神さま列伝」平藤喜久子著(NHK出版)

「史料にみる宗像三女神と沖ノ島傳説」宗像善樹著(右文書院)

麻の成長に子どもの成長を願う神紋、麻の葉紋

神社には本殿や拝殿の建物、あるいは神前幕や賽銭箱などに家紋のような紋章が描かれているのを目にします。

これを神社における「神紋」といいます。(神紋を設定していない神社もあります)

神紋の起源は明らかになっていませんが、鎌倉時代の日本の歴史書である『吾妻鏡(あづまかがみ)』の治承4(1180)年9月10日条に、甲斐国(山梨県)の武士だった武田信義が、諏訪大社上社本宮のあたりに宿泊したところ、梶の葉の文様の直垂を着して、葦毛の馬に乗った勇士の夢を見たとの逸話が書かれています。

この記録によって、当時すでに諏訪大社では梶紋を神紋として用いていたことが想像できます。

 

麻の葉紋(麻紋)は、その名前から植物の麻に由来したものと思われるかもしれませんが、もとは正六角形の幾何学的な星形の文様です。

連続文様として描かれたものの一部分が抜き出されてこのような紋になったと考えられています。

その形が植物の麻の葉に似ていることから、麻の葉紋と名付けられました。

麻の葉紋(例)
麻の葉紋(例)

麻は、春に発芽してその年に枯れる1年草です。その成長が早いことから子どもの健やかな成長を願う象徴として好まれていました。

江戸時代には、人気歌舞伎役者だった5代目・岩井半四郎が、八百屋お七で有名な『其往昔恋江戸染(そのむかしこいのえどぞめ)』という演目で、浅葱色に染められた麻の葉鹿の子の振り袖衣裳を着てお七の役を演じました。その姿から女性たちの間で麻の葉の文様が流行しました。

麻の葉紋の神社には、大麻比古神社(徳島県)、山崎忌部神社(徳島県)、青麻神社(宮城県)などがあります。この神紋は神様を表す紋でもありますのでご祭神やその土地の歴史などと関連があります。

 

 

・参考文献

「神紋でたどる神様と神社のお詣り図鑑」高澤等監修(二見書房)