京都・山川による麻の神具(仏具)、麻製品、最近の仕事をご紹介

1886(明治19)年創業、120年以上にわたり神社仏閣用の麻製品を手がけていらっしゃる京都・山川の最近の仕事をご紹介させていただきます。(5月からInstagramで投稿がはじまっています)

 

 
 
 
 
 
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精麻のしめ縄(1、2枚目)と鈴緒(3、4枚目)です。

どこかで見た感じがし手元の写真を確認しましたら、徳島県木屋平・三木家の氏神様、三ツ木八幡神社のもののようです。令和の践祚大嘗祭に向けた麁服調進に先立ち、2019(平成31)年3月にNPO法人神麻注連縄奉納有志の会(安間信裕代表理事)が麻のしめ縄、鈴緒を奉納した際、山川さんともご一緒し奉仕させていただきました。〔この神社が麁服麻績殿となり令和元年8月7日に御殿人(みあらかんど)三木信夫さんと5人の紡女により初紡式が執り行われました〕

 

 
 
 
 
 
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相撲で横綱が土俵入りの際に締める綱を小型化した「ミニチュア横綱」。

土俵入りの型に合わせて雲竜型と不知火型の2種類、本物と同じように白い木綿布の内に精麻と銅線芯が入った本格派です。従来はサイズが大・中・小3種類ありましたが、本年サイズを一番人気があるものに一本化、さらに飾り方などを見直し一新しました。(山川さんから命を受け当店が本年6月に販売開始)

 

 
 
 
 
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五色の鰐口紐。

こちらも精麻でできています。下から見ると鰐が口を開けたように見える「鰐口」は金属製の円盤状の音具で、綱を振って打ち鳴らし神仏に来意を伝えます。こちらのお地蔵さんはあそこにお祀りされているものですね。(京都で近くへご一緒に行った際はご案内させていただきます)

ビフォーアフターの写真もご覧ください。

 

 
 
 
 
 
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獅子の麻毛の復元新調。秋祭り用でしょうか。

将来こんな注文を受けたいです。

貴重な国産精麻を用いた東京・根津神社の授与品、「精麻房守り」

インターネット検索していて、思わず神社の授与品で精麻を用いたものに出会うことがあります。出会うことありませんか?

このほど東京・根津神社の「精麻房守り」をいただきました。

貴重な国産の精麻を使用し1つひとつ手作りで作られた厄除けのお守りです。(写真のものと紐が白色の2種類あり、2021年1月16日から頒布されている由)

神紋の万字巴紋の入った木製ビーズの下に精麻の房がついています。紐と同色のまとめ結びがアクセント、シンプルです。

東京・根津神社の授与品、「精麻房守り」(初穂料1,000円)
東京・根津神社の授与品、「精麻房守り」(初穂料1,000円)

ちなみに根津神社は10年あまり前、お参りしたことがあります。(その頃は東京へ行くと神社をめぐっていました。たとえば、日枝神社、東京大神宮、明治神宮、大國魂神社、鷲神社など)

境内につつじ苑の案内があり、つつじが咲くと見ごたえあるだろうなと思いました。

 

祈り 特集!!(祈りには力がある)、おお麻(ヘンプ)とともに

4月に村上和雄氏(筑波大学名誉教授)が亡くなられ、村上先生が出演されている白鳥哲監督の映画「祈り~サムシンググレートとの対話~」が追悼公開ということで一時無料配信されていました。

2013年、四国初上映という機会に観たこの映画。たまたま読んだブログで追悼の無料配信を知り、もう一度観させていただきました。(4年前に村上先生の講演を拝聴するチャンスがありましたが先生の体調の関係で中止になりました)

はじめて観たときも思ったことですが、私は祈りには力があると思っていますので、それ以外、「祈り」と「願い」のちがいが柳瀬宏秀さん(環境意識コミュニケーション研究所代表)によって述べられていることがこの映画の一番の押しだと思いました。(「祈り」と「願い」のちがいについて以前こちらに書いております)

いまは、祈りが大切なときだと思います。

古事記をひもとくと、感染症(疫病)にかかる物語が記されています。

崇神天皇(すじんてんのう)の御世には疫病が多く起こり、人民(おおみたから)は死んで尽きそうになりました。この時、天皇(すめらのみこと)はお悲しみになり、嘆いて神牀(かむとこ)という、夢に神意を得るために特別に清めた寝床で夜お眠りになっていらっしゃると、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)が夢に現れ、次のように仰せになりました。

「これは我が御心である。意富多多泥古(おおたたねこ)に我が御魂を祭らせなさい。そうすれば神の祟りも起こらず、国は安らかに治まるだろう」〔『現代語古事記』竹田恒泰著(学研)P169より〕

天皇は早速、意富多多泥古という人を探させ、この人を祭主として夢の通りに拝み祭りました。その結果、疫病はやんだそうです。祈りの力と思います。しかるべき人がしかるべきことをする、そして祈りの力、、

日本民族は遠く古く縄文の森の暮らしの時代から、常の生活体験を通してそのことを会得し、大切なこと、大切なものを失うことなく大切に生きる人間としての生き方を文化として確立しました。私達が今暮らしている日本の大地、天地自然、太古の時からその大地に暮らして今日に至る日本民族が創造し確立したその文化こそが「神道(かむながらのみち)」です。家に神棚をまつり、村町郷都市そして国の中心に神社を設けて「祈り」の場とし、その祈りを生活の柱として人間としての生き方-文化を培い伝えて来た民族が私達日本民族であります。〔『みそぎ第16号』(伯家神道)P5より〕

私は仕事で17年、香川県に住んでいました。その最後の年に、さぬきいんべ創業に至り、2010年に故郷、西条市に帰ってまいりました。神社の祭礼として江戸時代から300年つづく“西条まつり”は宝だと思っていましたが、県外に出て帰ってきてさらにその思いが強くなりました。(香川県は西部を除いて西条まつりのような祭りに対する熱意はほとんど感じず、また島しょ部では過疎により、祭りができなくなっている話も聞きました)

神を祀り、祈りつづけてきた結果が、今日まで続いているのです。(例えば、西条市内の伊曽乃神社は西暦137年創祀で1800年以上続いています)そして、祈りとともにそこには、何があったでしょうか。

祈り特集、お役に立てば幸いです。

6月30日は夏越の大祓。水無月の夏越しの祓ひする人は 千歳のいのち延ぶといふなり(神社等によって日は異なります)

大祓を済ませて、元気に過ごしましょう!

Clubhouseでお話から伊勢麻、さらに「忌部五雲」で次々つながる

翡翠の巫女、松井久子先生(神職)からお声がけをいただいて3月4日、Clubhouse(音声SNS)で「教えて!麻のこと」日本人なら知っておきたい『麻』の歴史と暮らしの中での活用方法を「さぬきいんべ」代表の加藤氏に聞くと題してお話させていただきました。

はじめてのことでちゃんとお話できるかわかりませんでしたが、松井先生はじめ翡翠の巫女様の門下生(お清め士)のご協力もあり、日本人にとって麻とは、その歴史、神道と麻の関わり、日本の地名や人名にみられる麻、伝統的な活用法、現代の活用法の流れで質疑応答を含む1時間30分の枠で大麻糸績み職人としてご活躍中の棚橋祐美さん(福島県昭和村からむし織体験生第21期修了)も加わってお話をしていきました。

途中、伊勢麻(振興協会)関係の方が中に入ってこられ、(その方によると同協会の代表理事も中盤ぐらいまでを聴かれていたそう)、また伊勢麻を支援、伊勢麻を用いた授与品(結い姫 曳き撫で飾り)を奉製する活動をしている三重県内の神職も加わり、ふだんお話できないような方々の熱いお話が聞けたように思います。さらには有松絞りに携わっている方もご発言いただきました。(聴いていただいた皆さまありがとうございます)

当日ルーム(部分)のスクリーンショットより
当日ルーム(部分)のスクリーンショットより

このようなご感想をいただき恐縮です。こちらこそありがとうございます。

それから、聴いていたという方からその後Instagramを通じてメッセージが届きました。母が徳島県吉野川市(旧麻植郡)の早雲家の分家出身というのを、さぬきいんべで思い出したそうです。早雲家はいわゆる「忌部五雲」(=早雲・村雲・岩雲・花雲・飛雲)の1つで、忌部神社の神官家ですね?
それを伝えると、徳島へ行きたいと思っていたのがコロナ禍で行けず、今年はぜひ行きたいとのことでした。

思わぬ出会いがあると聞いていましたが、Clubhouseはジャズに例えられるそうで、ルームでのお話含めてそれがなんとなくわかる一連の体験でした。

ご要望(機会)があればまたお話させていただきます。

PS:後日、松井先生から、大変好評で「貴重なお話しをありがとうございました。またぜひやっていただきたい」とのお声を頂戴しておるとのこと、また、水引きの先生からもそのようなご感想をいただいたそうです。そういうことで次回を計画、4月3日(土)20時~の予定です。

※翡翠の巫女様とのご縁は、昨年企画しました神楽鈴・国産大麻(精麻)五色緒付きの名前募集の際、ご応募いただき採用となった方がその関係者で、賞品の神楽鈴(五色緒草木染め版)【玉翠】が翡翠の巫女様にご奉納されたことから生まれております。詳細は翡翠の巫女様ブログを。

年の初めに思うこと、大いなる希望を抱きコツコツと

新年おめでとうございます。1月4日で、さぬきいんべは12年目を迎えました。

ありがとうございます。

伊豫豆比古命神社(椿神社)へ初詣
伊豫豆比古命神社(椿神社)へ初詣

昨年は10周年という節目。さまざまな方々(女性宮司、神職、職人、お客様を含む)との交流、邂逅を通じ今まで光が当たっていなかったことにしだいに当たって行っているのを感じ、また新しい時代に向け徐々に移行していることを感じる1年でした。

神様を大切にする人が増えるようにと願いつつ、引きつづき麻の文化の継承、発展に努めてまいりたいと思います。

本年もよろしくお願いいたします。

さぬきいんべwebページのお知らせに記載しておりますが、「四国の麻栽培を願うキャンペーン」を継続してまいります。品切れ中のプレゼントの「あわむすび」は準備でき次第お届けしていきます。(すでにお買い上げの方には後送させていただきます)

神社、神職から年賀状
神社、神職から年賀状

いただいた年賀状の手書きメッセージより。

「天下泰平を祈り、今年も日々精進!」

「激動の一年でしたが、さらに良い変化にしたいと思います。」

「又、お会いしたいです!素晴らしい年になりますように・・・。」

「麻に囲まれた神棚で良き新年を迎えることができました。」

「本年のご多幸をお祈り致します。」

【10周年記念!質問コーナー】なぜ伊予なのに「さぬきいんべ」か?

10周年記念ということで、今までいただいたご質問、お問合せの中から、これは知っておいていただきたいものをご紹介させていただきます。

さて、なぜ伊予なのに「さぬきいんべ」ですか?というご質問、5年くらい前に香川の方からいただきました。

さぬきいんべは、2010年1月に香川県高松市にて創業いたしました。当時、同市に住んでおり(香川には丸亀5年、高松12年の計17年)、その後、実家のある現在地へUターン。1年あまりの休止期間を経て再始動、現在に至っております。

さぬきいんべとは、すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、かつて讃岐平野を阿波忌部とともに麻を植えて開拓していった讃岐忌部にちなんでおります。

香川には現在も大麻山、高瀬町麻、大麻神社、麻部神社などそれにまつわる地名、神社等が残っており、それらの意味、事蹟を再興すること、それと神道において、大幣(おおぬさ)、しめ縄および鈴緒にも使われ最重要視されている大麻(おおあさ)に光を当て、その文化を後世に受け継いでいきたいと考えたのが創業のきっかけです。〔当初これをしなさいというようなご縁がありまして、今治市の工房織座製のヘンプ生地を用いた製品(衣料)を皮切りにスタートいたしました〕

なかなかこの理念は簡単ではなく、一度は挫折、その他にも言い尽くせないことが多々ありましたが、不思議なご縁、めぐりあわせで再始動した後は続けることができ、コツコツ取り組んで、本年1月、10周年を迎えることができました。

細かいことは書くときりがないので、これくらいにさせていただきます。また機会ございましたら細部についてご紹介させていただくことがあるかもしれません。

ありがとうございます。

 

さぬきいんべ 現代の装束店への道のり

京都の装束店のことを聞いたのは2014年の9月。

京丹後で玉造りをしている青舟(せいしゅう)さんから神社仏閣用の麻製品を調製する京都・山川の山川正彦さん(5代目)をご紹介いただき、山川さんから以下のことをうかがってからです。

神社仏閣用の麻製品は京都に20軒くらいある装束店が窓口になっていると。

要は、神社仏閣から装束店へ注文がいき、装束店が神社仏閣とやり取りしたり取り付けをしたりするとのことでした。

そして、山川さんから4年前くらいより(さぬきいんべは)装束店と時々言われるように。最初はエ?という感じでしたが、一般のお客様に加え神職様や神社様から注文をいただくようになりだんだん自覚するようになってまいりました。

昨年8月には京都御苑の堺町御門前にある黒田装束店を青舟さんの付き添いでたずねました。この装束店が扱う巾着袋や名刺入れなど有職小物(平七)を求めたいとの理由でした。(あとで知ったのですが、このとき応対していただいたのが女将、黒田知子さん)

黒田装束店(京都市)にて
黒田装束店の玄関。しめ縄とともに。

あと、勉強のため京都の神具店を見学したいと山川さんに言うと、伏見稲荷大社の下参道沿いの神具店をご紹介くださいました。こちらはまだ行けていませんが、一度行ってみたいと思っています。

希望としては、さぬきいんべは伝統的な神具類は京都の装束店へお任せし、麻文化の再興といいますか新しさを感じさせるものを取扱いしてまいりたいと考えております。

まだ四国の麻栽培復活と同じように道半ばですが、一歩一歩こちらも前進してまいりたいと思います。

どうかよろしくお願い申し上げます。

神社・お寺へ物品を奉納するには

神社、お寺に奉納したいけど、どうしたらいいのかわからない方へ、一般的な方法を下記にまとめます。

1.まず社務所(寺務所)へ行く

社務所とは神社の事務を取り扱う場所です(お寺の場合は寺務所でお寺の事務をおこなっている場所)。境内にあり、神社の場合は巫女さん等、お寺の場合はお寺の関係者が待機しています。

2.奉納したい旨を伝える

そこで「○○を奉納したいのですが」と伝えると、上の方が出てこられると思います。打合せ、その方の指示にしたがいましょう。

3.奉納するもの(何を奉納するか?)

お金

しめ縄、鈴緒、鰐口紐、鐘つき紐、精麻などの神具・仏具。

お酒など

ただし奉納を断られる場合もあります。(たとえば、鈴緒を奉納したい場合に前に奉納された鈴緒がまだ新しい場合など)

4.奉納

神社の場合は御初穂料をお供えし、昇段参拝させていただくのも神様へのご報告となりいいと思います。

 

神具・仏具は高価なものになりますので、思いますのは麻(精麻)そのものを奉納してはいかがでしょうか(1キロと言わず数百グラムでも)。またはできる範囲のお金の寄付など、要は奉納とは「その方の気持ち」だと思います。

鈴緒、鰐口紐(鐘緒)の取扱いも開始いたしました。こちらもご検討ください。2022.2.9追記

個人で、ご夫婦で、またご家族、グループ、団体などでいいご奉納となり、見守ってくださっている神様・仏様にお喜びいただけますように。(願わくば、個人もよし、麻農家もよし、職人もよしというような「三方よし」のご奉納になれば幸いです)

なぜ日本人はよく働くか?日本と西洋のちがい

日本には仕事の神様がいらっしゃいます。

たとえば、手置帆負命(たおきほおいのみこと)と彦狭知命(ひこさしりのみこと)、この2神は建物の上棟祭で祭神となる建設の祖神、建設の神様です。また、大物主神(おおものぬしのかみ)は海の守護神と信仰される漁業の神様、大山咋神(おおやまくいのかみ)は秦氏が信仰した酒造の神様です。

日本の神々は世界の多くの宗教のように唯一絶対的な存在ではありません。八百万(やおよろず)と形容され、これは「数が非常に多い」ことを表し、それぞれ個性があり得意分野があるのです。(職業ごとに神様がいらっしゃる感じ)

春、農作業がはじまる前に豊作を祈る祭り、祈年祭(きねんさい、としごいのまつり)が神社でとりおこなわれますが、この祈年祭の祝詞のなかに「依(よ)さす」という言葉があります。依さすは、委任する、お任せするという意味で、本来働くというのは神様がおやりになることで、神様はとてもお忙しいので神様の代わりにあなたがた人間にお任せしますと書いてある、すなわち、人間は本来神様がする神聖な営みを神様に代わってできるというのです。たしかに日本神話で神様が休息しているというのは聞いたことがありません(あります?)。

西洋とまったくちがう考えです。西洋では労働はネガティブなイメージが一般的で、西洋人の考え方は、アダムとイブが禁断の実を食べてしまった為に労働を課せられたのです。つまり苦しみとして労働させられているのです。(旧約聖書では神自身も世界を6日間で創造すると7日目には休息したとあり、1週間に一度の安息日を設けることが定められています)

日本人はそうではなく、神様がおやりになることをできるのですから、それは喜びです。そう、働く喜びです。日本人はよく働く、そう言われてきました。外国人の多くは日本人に「真面目で勤勉」というイメージを持っているそうですが、そういうことだったんですね。

また、キリスト教会などでは、安息日である日曜日に教会を訪れ、オフィス(労働)と教会(祈り)が明確に分けられています。しかし、日本の会社に神棚があることは珍しくありません。(神棚にお祀りするお神札には神社の祭神の分霊が宿っています)

祈りの場所と仕事の場所が同じですから、日本では仕事は神に通じる行為であるのがわかる気がします。

先だって「仕事の神様大辞典」という本を手に取り、この記事を書いています。副題が「儲かっている社長はなぜ神社に行くのか?」とあります。

これは本を手に取ってもらうため目を引くようにしている工夫ではと思いますが、この本の中には“仕事の神様”の紹介のあとに『日本で一流と呼ばれる企業の多くは、その企業を守護するオリジナルの神社である「企業内神社」を持っている。』とあり、その「企業内神社」がいくつも紹介されていて、なぜ一流企業は神社を祀るかの理由(たとえば、企業内神社や神棚の前に立つことで自らの判断を振りかえり、心の安定を保つ等)も挙げられています。

なお、さぬきいんべ通信の記事のタイトルはなるべく地味にしています。同じように、日本の文化は一見地味に思えるものが多いように思います。しかし、そこには真に役立つ普遍の真理が内在しているのではないかと思うのです。

 

 

・参考文献

「アナウンサーが神職になって」宮田修(伊勢神宮崇敬会)2009年

「仕事の神様大辞典」瀧音能之著(宝島社)

神棚の起源の謎

以前、なぜ神棚をお祀りする?神棚の真の意味という記事を紹介させていただきました。ここでは神棚そのものの起源について紹介させていただきます。

その前に自身の体験話から。(^_-)

私の家には神棚も仏壇も物心ついた時にはありました。特に祖母が毎日夕飯前に仏壇の前で般若心経をあげていたのが記憶に残っています。祖母ができなくなるとその後、母がそれをするようになりました。(お彼岸、お盆などに御霊供膳をお供えなども)

また、家の敷地内に「おつかさん」というのがあり、現在もお祀りされています。住んでいるところ一帯には、このおつかさんが所々にあります。天正の陣(1955年)の際、行き倒れになった武将を祀るものという話を聞きますが定かではありません。後にこのおつかさんが辰巳大神という名があるのがわかりました。

祖父があるとき、おつかさんに無礼をしたことがあったそうです。そうしたら足にミミズ腫れができたと聞いています。それから2001年ごろのことですが、父が夜中トイレに行こうとしたら腰が立たなくなって、母がおつかさんに何かしたのでは?と問うと父は心の中でお詫びすると立てるようになった(父がおつかさんにその日何かした覚えがあった)そうです。

たまたまでしょ?という方がいると思いますが、私はこういうことは実際あるなと思います。以来、掃除などするときは私は必ず‘’お断り”してからしています。

そして古神道(伯家神道)で学び、そのおかげでこれらのことがとっても大切なものだと後でわかりました。神様ごとが四国のお遍路文化や地域の祭り、少なくとも300年続く西条まつりと密接に結びついてることも(それまでは一イベントくらいの認識)。

 

さて、神棚そのものの起源については、古事記に次のように記されているところがあります。

伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原において禊祓いをした時、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、月読命(つくよみのみこと)、建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)が生まれます。

この時、伊邪那岐命は大変お喜びになり「自分は子をたくさん生んできたが、その果てに三柱の貴い子(三貴子)を得た」と仰せになり、自らが付けていらっしゃった首飾りを天照大御神に賜い「高天原を知らせ(治めろ)」と命ぜられました。この首飾りは、ゆらゆらと揺らすと美しい音が鳴ります。またの名を御倉板挙之神(みくらたなのかみ)といいます。御倉の棚の上に安置する神という意味です。(以上、『現代語古事記』より)

証拠は文献のみでこれまで古い遺構などは見つかっていないようですが、倉の中に棚を設けてその上に安置したことは、神棚の起源が神代に求められるのではないでしょうか。

御倉とは住居とは別棟の清浄を重んじる建物、その内部に棚を設けて神聖な首飾りを安置したこと、その場所自体を神名としたことなどが神棚に通じるように思います。

 

日本の祭典は在来、神の古来、神の形式を取っていました。1300年前、仏教が入ってきましたが、その前までは神の形式であり、本来は祝詞です。

一般的には、祖先祭祀が仏教と僧侶の手に委ねられ仏壇が成立すると、祖先以外の諸神の祭祀が必要になってきて、そこではじめは仏壇の上に板棚を設け、そこに神々の表象として諸神の神札を祀ったのです。

その神棚もしだいに形をととのえ、白木の祠殿(しでん)を奉り、場所も仏壇と離れた場所、たとえば台所や常居などの囲炉裏端や家族が集まる部屋の家長の座の背後に棚を設けて祀られるようになります。

棚は人間の起居する俗なる空間と異なって、清浄な聖なる空間を構成する装置です。

なお、ところによっては出居・座敷に祭壇を設ける例もあります。

私のように家に物心ついたときには神棚と仏壇があった人って現在では少ないんでしょうか?

 

古民家を改修した際、神棚を整え国産精麻のしめ縄を設置したお客様の言葉を紹介します。

無事お祓いしました。宮司さんに来てもらい、立派な神棚で麻しめ縄で良いですねと言われ、紙垂(シデ)をしめ縄に付けるともっと良いですと、紙垂を頂きました。自分でも良く出来たと思い、家の雰囲気が更に引き締まりました。

この方は神棚を整えた際、神社の宮司さんにきていただいた後この感想を送ってくれました。

麻の祭祀特集はコチラ

現代の暮らしにフィットした神棚もありますので、ご検討ください。

 

 

・参考文献

「家庭の祭祀辞典」西牟田崇生編著(国書刊行会)

「現代語古事記」竹田恒泰著(学研)

「イラストでわかりやすい 昔の道具百科」イラスト・中林啓治、文・岩井宏實(河出書房新社)