掃除と祓いの関係

2年前からトイレの掃除をしています(ほぼ毎日、ちなみに自宅のではありません)。

トイレ掃除の効能というか、良さはさまざまな方が言われていますね。

 

古神道では祓いが重要視されていて、「神道は祓い」といわれているのは前にもご紹介しました。

特に教わったわけではありませんが、掃除は簡単な祓いだと思います。

共通点は、するとすっきりする。気持ちがいい。

 

日本人のきれい好きというのは日本の文化とともに昔からずっと続いていることのように感じます。

これは日本人の価値観がきれい、きたないに基づいているのとも共通するからです。

ある文献によると、掃除の効能は、

周りがきれいになっていくと同時に、心の周りがきれいになっていくこと。(すなわち浄化される)

精麻のついた祓串。
精麻のついた祓串。お掃除といえばわかります?

 

「掃除を徹底すれば業績が上がる」というのもあるようですが、、

祓いは神に通じるものと思います。

掃除も神に通じるものと思います。

やってみてください。した人(続けた人)だけがわかります。(^^)

 

神様への日々のお供えについて

なぜ神棚をお祀りする?神棚の真の意味の記事に続いて、神様への日々毎朝のお供えについてです。

毎日のお供物(神饌)のことを「日供(にっく)」といいます。お日供とも。最初聞いたとき、「おにく」に聞こえた(お肉?)ので何のことかと思いました。(^^;)

米、塩、水が必要です。米と塩はお皿に盛り、水はその日の初水を水玉という器(水器)に入れお供えします(正式にはふたを取りお供えします)。

これらは、日々いのちを支える食生活のなかで、最も大切なものとして、天地(あめつち)のめぐみに感謝してお供えするものです。

供え方は白木の三方または白木のお膳にお供えします。※正式な三方はヒノキでつくられ、正方形で四方に縁を付けた角盆(折敷)を前と左右の三方をくり抜いた台に取り付けたもの。三方は穴をくり抜いていない面が神棚の方に向くように供えます。また上の折敷と下の台が離れるものは折敷のとじ目がある方が手前になります。

神饌は供えた後に神様のお下がりとしていただくことで神徳にあやかります。

 

毎朝お供えをしてご神前に向かい、感謝して1日をはじめませんか?

はじめはそんな時間ないと思っていましたが、しはじめると何となく心が豊かになった感じがし気持ちがいいのです。

日常生活の中で心を整える時間、、

それは人によって異なると思いますが、散歩だったり裁縫だったり掃除だったりするかもしれません。私にとってはお日供になっています。

 

 

参考文献:

・「みそぎ13号」(伯家神道)

京都の木工職人と麻縄職人による国産精麻がついた祓串(大麻)にて祓う術

神主が祓いに用いる道具は「大麻(おおぬさ)」と呼ばれ、神事には必ず用いられます。

「大麻」は「祓(はらえ)の幣(ぬさ)」であり、今日一般的には榊の枝に麻苧(麻の茎の繊維を平らに熨したもの)と紙垂を添えて取り付け(麻苧のみの場合もある)、祭事の際は修祓行事に使用し、あるいは檜の角棒(幣串・幣棒などと称する角棒)や丸棒を串として、これに麻苧と紙垂を添えて取り付けて(麻苧のみの場合もある)筒の中に納め置いて、日常の神拝などの際に、筒から取り出して修祓に使用するものである。『家庭の祭祀事典』西牟田崇生著(国書刊行会)P108より

大麻(たいま)は神道では罪や穢れを祓う神聖な植物とされてきました。

なぜ縄文~弥生期に使用されたか

「ものを縛る」「束ねる」「吊す」「土器に縄文をつける」「釣り糸にする」「弓の弦にする」「袋の口をしめるヒモにする」「鏡や首飾り、腰飾りなどの孔に通すヒモにする」「縄帯」「衣服の腰ヒモ」「縫い糸」「編み物の材料」「舟のもやい綱」「海人の命綱」「はえ縄」「墨縄」「結縄」など、大麻は縄文~弥生期に頻繁に使用されました。なぜか?

1.繊維が強靱であること。

2.種蒔きから約90日の短期間で人間の背以上に高くまっすぐ育ち、栽培しやすいこと。

3.大麻には神々と交信し、自然のメッセージを受けるシャーマンに必要な一定の覚醒作用があると思われていること、など。大麻そのものがもつ縄文時代以来の日本人の体験による不可思議な神聖さとその呪術性ゆえです。

私たちが知るところでは、しめ縄、御札、御幣、鈴緒、狩衣、祭りの山車の引き綱、上棟式などで使用されてきた大麻。現在、神社で大麻が最重要視されているのは「神が宿る神聖な繊維」とみなされているからです。

国産大麻(精麻)の祓串

大麻(おおぬさ)は、白木の棒で作ったものは祓串(はらえぐし)とも言います。

この祓串は、紙垂と精麻がついたもの、紙垂だけのもの、精麻だけのものがありますが、さぬきいんべでは国産極上精麻だけがついた祓串をご用意。

白木の棒と置き台に木曽桧(樹齢150年以上)の柾目材を用いた京都の木工職人と麻縄職人からなる伝統工芸の粋を集めた神具です。※高さ約30センチと約75センチのものがございます。

写真は高さ約30センチのもの。

国産大麻(精麻)・祓串
国産大麻(精麻)・祓串【たまきよら】

 

こちらは紙垂付き。
こちらは紙垂付き。

随所に示された職人の心と技、国産精麻の黄金色、木曽桧の木目の細かさ、美しさ、香りなども併せてご観賞いただければ幸いです。罪穢れや病気、災厄などを祓い清める祓具として、朝夕の神拝など、自己祓いにお使いください。(2022年、東京・戸越八幡神社様より外祭用ということで高さ約60センチの祓串をご注文、納品させていただきました)

 

阿波国一宮・大麻比古神社の祓串

徳島県の阿波国一宮・大麻比古神社には上の祓串、高さ約75センチ(紙垂付き)が2017年に日本麻振興会により大麻比古神社に奉納されました。(奉納時にそこにおり、拝させていただきました)

なお、同神社では拝殿に向かって右側に自己祓い用の祓串があります。(神社によってあるところ、ないところあり)

大麻比古神社の祓串
大麻比古神社の紙垂と精麻からなる祓串

説明書きがあって、「自己祓いの作法」とあります。

1.両手で祓串を持ちます。

2.唱詞を奏上しながら自身の肩の辺りを左・右・左の順序で祓います。

3.祓串を戻し、お賽銭を納めます。

4.二礼二拍手一礼の作法で拝礼します。

唱詞「祓(はら)へ給(たま)へ 清(きよ)め給(たま)へ 守(まも)り給(たま)へ 幸(さきは)へ給(たま)へ」

文字通り、祓い清めてお参りするんですね。

 

 

参考文献:

「日本の建国と阿波忌部」林博章著

「大麻という農作物」大麻博物館著

「檜(ひのき)」有岡利幸著(法政大学出版局)

「家庭の祭祀事典」西牟田崇生著(国書刊行会)

国産大麻(精麻)しめ縄に牛蒡型が仲間入り!しめ縄はなぜ左綯いなのか

このたび、国産大麻(精麻)・しめ縄に牛蒡(ごぼう)型が仲間入りしました。

従来の取扱いは中央部が太くなった「大根型」、縄を丸めたわかざり(神居 和かざり)だけでした。牛蒡型は一方がだんだん細くなる形状です。

しめ縄の種類

しめ縄の種類
種類 形状・用途
大根型 中央部が太くなったしめ縄。両端が細くなっている。
牛蒡型 しめ縄の一方が細くなってだんだん太くなっている。
わかざり 綯った縄を丸めたもの。水回りや勝手口に飾ることが多いが、汎用性が高いため屋内外のさまざまな場所に用いる。

 

国産大麻(精麻)・しめ縄【大根型】
大根型

国産大麻(精麻)・しめ縄【牛蒡型】

牛蒡型

国産大麻(精麻)・しめ縄【神居 和かざり】
わかざり

どれも国産精麻を材料に、神社仏閣用の麻製品を調製する京都の職人が綯った美しいしめ縄。明治19年創業の老舗、株式会社山川の製品です。

しめ縄の起源

日本におけるしめ縄の古語は「尻久米縄(しりくめなわ)」で、天照大御神が岩屋から出てきたさいに、布刀玉命(ふとだまのみこと)が入口に尻久米縄を張って、天照大御神が再び岩屋に戻ることのないようにしたと『古事記』の神話にみられます。

しめ縄は精麻、稲わら、マコモなど天然素材から作られます。

しめ縄を七五三縄と表記するのは、七五三という言葉が昔から縁起のよい数字とされていたからです。また、しめ縄のことを、ほかに一五三、棒縄、〆縄、締縄、標縄などとも表記します。

しめ縄はなぜ左綯いか

縄を綯(な)う方法には「右綯い」と「左綯い」があります。※繊維をより合わせることを綯うといいます。

昔は一般に、普段の生活で使用する日用品の縄は右綯い、神事に用いるしめ縄は左綯いとされました。しめ縄は神聖なものであるため、日常に使う縄とは区別する意図があったようです。

もともと日本では「左=聖、右=俗」とする考え方があります。伯家神道では右手を神様の手(左手)でしっかり握りおさえて印を組むこと(唯一の印といいます)や、神道祭式において祭祀を行う祭場(斎場)の上位下位が神座を最上位に正中・左(神座から見て)・右の順となること、拍手の作法は両手を合わせた後、右手をやや左手より引いて手を拍つことなど。

国産大麻(精麻)・しめ縄【牛蒡型】紙垂付き
牛蒡型(紙垂付き)
国産大麻(精麻)・しめ縄【鼓胴型】紙垂付き
鼓胴型(紙垂付き)

わがくには神のすゑなり神まつる昔のてぶりわするなよゆめ(明治天皇御製)

また精霊を迎える盆踊りが左回りであること、死者の着物を左前にすることはご存じと思います。能楽にも「左右」という型があり、まず左を祓って、次に右を祓うようです。

飾り方について

一般的に牛蒡型や大根型を飾るときは神棚に向かって右側にモト(太い方)がくるように取り付けます。

それは神様から見たときに向かって左にモトがくるようにするためです。

 

 

参考文献:

「神道祭式の基礎作法」沼部春友著(みそぎ文化会)
「決定版 知れば知るほど面白い!神道の本」三橋健著(西東社)
「しめ飾り」森須磨子著(工作舎)