寸法の話、神具・祭具はなぜ尺貫法か

神具・祭具の寸法は昔から伝統的度量衡である尺貫法〔間(けん)、尺(しゃく)、寸(すん)、分(ぶ)〕で表されます。

私は以下の経緯があり、神具類の寸法が尺貫法なのはすぐ慣れました。(1尺≒30.3センチ、1寸≒3.03センチ、、)

中でも、麻(精麻)は6尺ものといわれております。

以前こんな資料をいただきましたのでご紹介させていただきます。

人間の使う道具も、体の寸法に合わせて作ってあるものは使いやすい。
むかしのお盆は日本人の腰の幅につくってあった。使いやすいのはいわゆる「尺二」(一尺二寸 一尺は約三〇センチ、一寸は約三センチ)もので、丸盆も径「尺二」。長手盆の長手で「尺二」、隅切のお膳も「尺二」の角が多かった。三六センチだ。「尺二」もののお盆やお膳を持った時の寸法は、手の寸法を加えて「尺五」、四五センチになる。
器の寸法を「尺二」に、持って運ぶときの寸法を「尺五」にしぼったのは、狭い台所や廊下で使いやすくするための工夫だろう。
京間の廊下だと通路幅は三尺ほどだから、「尺二」のお膳を持った二人が楽に行き交える勘定だ。ちなみに「尺五」は日本人の肩の幅でもある。〔「尺二の効用」(永六輔)より抜粋〕

もちろん今の人の体格(体の寸法)は昔の人とはちがうと思います。しかし神具類をはじめ装束(※)、和装(※)、建築、花火など一部でわが国から生まれた伝統的な尺貫法が今も残っています。※こちらは鯨尺(くじらじゃく)(1尺≒37.9センチ、1寸≒3.79センチ)が用いられます。

意味を伝えていく(守っていく)のも私たちの役割ではないでしょうか?

何度も書いていますように私の父は建具職人でした。父の時代は寸法を現在のようなメートル法(メートル、センチ、ミリ)ではなく、尺貫法で修行したと聞いています。

歴史をあらためて調べてみると、国際化に伴い、日本でもだんだんメートル法へ移行、1966(昭和41)年に完全実施されたようです。

父の持っていた指矩(さしがね)の目盛が尺貫法だけのもの、尺貫法とメートル法両方のもの、メートル法だけのもの3種類あったのを子供心に覚えています。

参考になりましたら幸いです。

 

 

・参考文献

「尺二の効用」永六輔

 

神社様へ国産精麻の五色緒(草木染め)と鉾先鈴を納品

この度、国産精麻の五色緒(草木染め)と鉾先鈴4組を埼玉県の神社様へ納品させていただきました。

こちらの神楽鈴のページを見られ、麻で浦安の舞を舞いたいと思われた由。巫女舞メンバーが4人いるそうです。

国産精麻の五色緒付きの神楽鈴を取り扱わせていただくにあたり、これで巫女舞を舞っていただけたらと思っておりました。一般に、五色緒はご存じの通り絹です(場合によっては合成繊維)。

これまで多くは鈴祓えにご利用いただいているようで、巫女舞を習い始めたという方はいらっしゃいました。

しかもご依頼いただいた五色緒は草木染めで、うれしい限りです。(年頭に今年は国産精麻の草木染めの製品をと思い、草木染めの五色緒の付いた神楽鈴が5月に完成)

ありがとうございます。ついに思いが実現しそうです。

※納品した神社の宮司さん(女性)から、「皆、本当に喜んでおります!!コロナでなかなか奉納ができないのですが、この鉾先鈴に恥じないようにと、 いつでも奉納できるように、練習に励み、精進しております!!」と鉾先鈴に国産精麻の五色緒(草木染め)を付け練習している写真付きでメールをいただいております。(2021年3月18日追記)

※さらに、以下のコメントをいただきましたのでご紹介させていただきます。(2021年3月19日追記)

「浦安舞が作られたときは鉾先鈴だった、正式には鉾先鈴」というお話をお聞きし、「鉾先鈴で、五色緒が麻だったらいいなぁ」と思い、さぬきいんべ様へのご縁をいただきました。

化学染料と草木染の五色の麻を拝見させていただきましたが、草木染が良いですね!!
一目見て、そこに、「悠久の時」と「先人達の自然を大切にする心と感謝、神聖な何かを大切に敬う真澄の心」を感じました。絶対にこれで奉奏したい!!と思い、悩むことなく決めました。

さぬきいんべ様には大変親切に、ご丁寧にご対応いただきました。また、職人様とさぬきいんべ様の熱い想いや、一つ一つをしっかりと丁寧に、というお気持ちと姿勢が、そのクオリティから感じられます。

この鉾先鈴へ出会えたことへの感謝と、この鈴が私共の手元に届くまでの全ての方々の思いを大切にし感謝をもって、神明奉仕に勤しみます。そのような気持ちが、自然と自分の内側から湧き水のように溢れてくる、そのような鈴でございます。

さぬきいんべ様、職人様、ありがとうございました。
心より感謝申し上げます。

10周年記念!年末感謝祭2020

2017年から毎年開催させていただいております年末感謝祭。

本年は10周年を記念して、開催させていただきます。(2020年12月31日まで。2021年1月4日に11周年を迎えます)

四国の麻栽培を願うキャンペーンのプレゼント、京都・山川のオリジナル国産精麻アクセサリー「あわむすび」は通常、お1人様お1つ限りとさせていただいておりますが、CLUBさぬきいんべ会員様には特に感謝をこめまして、お買い上げ毎にお2つプレゼントさせていただきます。(追加で作っていただいております。なくなり次第終了) 12月2日変更

国産精麻アクセサリー「あわむすび」(数量限定)
国産精麻アクセサリー「あわむすび」(数量限定)非売品

 

ひとくちに10年と言いましても、いろいろございました。これまでの歩みをザッと書いてみます。

2010年1月に、香川県高松市にて創業。(公益財団法人かがわ産業支援財団発行の「創業事例集」に掲載)同年8月に活動を中止し、実家のある愛媛県西条市にUターン。翌年6月より再始動。

2015年1月より、京都・山川のミニ鈴緒を取扱い開始。同年3月、日本初となる国産精麻の輪飾りを販売開始(のちにお客様より「神居 和かざり」と命名)。同年5月、徳島県木屋平にある三木家住宅(国指定重要文化財)を京都・山川5代目、山川正彦さんらと3人で訪問、ご当主・三木信夫さんと面談。

2016年9月、徳島県吉野川市主催の麻シンポジウムに参加。

2017年2月、徳島県の大麻比古神社に正式参拝。同年秋、同神社の神麻しめ縄奉納に参加。同年6月、公益財団法人愛媛民芸館の評議員に就任。同年夏、国産精麻五色緒付きの神楽鈴を取扱い開始。

2018年夏、国産精麻の祓串の取扱い開始。同年秋、剣山本宮宝蔵石神社の神麻しめ縄奉納に参加。

2019年3月、徳島県の三ツ木八幡神社神麻しめ縄奉納に参加。

そして本年は神様を大切にする人が増えたらいいなというのと、国産精麻の草木染めの製品をと年頭に思い取り組み、5月に国産精麻五色緒付き(草木染め)の神楽鈴、8月に真榊が完成、さらに埼玉県の神社様より注文いただいた鉾先鈴(国産精麻草木染めの五色緒付き)を11月に納品させていただきました。

創業の動機となった今治市の工房織座製の素敵なヘンプ衣料は2014年9月に販売中止になった後、京都・山川の製品を中心に取り扱わせていただき現在に至っております。

10周年記念!年末感謝祭2020

今後の飛躍と、日本の文化の継承、発展を祈念し、皆様と縁結び(=「あわむすび」)できれば幸いでございます。

※webページからだけでなく、お電話、FAX、メールでのご注文も承っております。

国産精麻の五色緒サンプルができました(貸し出しできます)

このほどお客様のご依頼により、極上国産精麻の五色緒のサンプルができました。

1つは草木染め、もう1つは化学染料によるもの。五色緒に近い形でできております。長さは5尺(約150センチ)です。

国産精麻五色緒の感触、草木染めと化学染料の染色のちがいなどを確認したいということで、上記のサンプルを作らせていただきました。

何度もお伝えしていますように神社仏閣用の麻製品の染色は、現在99%以上が化学染料によります。化学染料の染色と草木染めの染色の比較にもお役に立つと思います。

実物を目で見て確かめたい、触れてみたいという方は仰ってくだされば貸し出しいたします。(ただし、貸し出し中の場合はお待ちいただく場合があります)

お問合せ先メールアドレス:info☆sanuki-imbe.com(☆を@に変えてください)

タイトルを「五色緒サンプル」でお願いいたします。

よろしくお願い申し上げます。

藍染めの精麻ブレスレット、叶結びアクセサリーが誕生

このたび、お客様のご要望により国産大麻(精麻)・ブレスレット【麻の輪】と、叶結びアクセサリーの藍染め版が誕生いたしました。

国産大麻(精麻)・ブレスレット【麻の輪】の藍染め版
国産大麻(精麻)・ブレスレット【麻の輪】の藍染め版
同・叶結びアクセサリーの藍染め版。
同・叶結びアクセサリーの藍染め版。

販売開始から5年。どちらも形が秀逸ですので藍染め、草木染めを採用してもいい感じではないでしょうか。(ブレスレットは過去、全部藍染めは実績がございます)

今回、藍染めは当初はブレスレット【麻の輪】だけでしたが、叶結びアクセサリーもということになりました。

ブレスレット【麻の輪】はつくる工程で「精麻を削る作業が○○」、叶結びアクセサリーは山川さんが「(精麻を)触っているうちにできた」という無意識の賜物です。

お客様より「これから大切に使わせていただきたいと思います。」とご連絡いただきました。

ありがとうございます。(新しいものができるのは楽しいです)

国産精麻五色垂れの付いた真榊が完成

このたび、国産精麻五色垂れの付いた真榊(まさかき)が完成いたしました。

真榊とは、ご神前や神棚にお祀りされる一般には青(緑)・黄・赤・白・黒(紫)の五色絹布のついた幟(のぼり)の先端に榊を立て、それに三種の神器を掛けた一対の神具です。

平安時代に編纂された古語拾遺に「天香山(あめのかぐやま)の五百箇(いおつ)の真賢木(まさかき)」の記述があり、淵源とされます。(日本書紀にも記述があります)

5月に国産精麻の草木染め五色緒がついた神楽鈴が完成したことで、それを見られたお客様が草木染め精麻の真榊ができたらとご注文いただきました。

今回は既製の真榊(木曽ヒノキ製の台と幟)の五色絹布を五色の草木染め精麻に付け替えさせていただくことに。

精麻の垂れは、職人が技でうまく調整し自然な形にできあがったと思います。なお、真榊の高さは8寸(約24センチ)でご自宅の神棚用です。

真榊(国産精麻草木染めの五色垂れ付き)
国産精麻五色垂れ(草木染め)の付いた真榊

お客様は以前、神道学部のある大学にて1日単発の講座を受講されたことがあり、そこでじっくり祭壇や真榊、四神旗、神具などを見ることができた由。そのとき真榊の五色の美しさに感動したとのことで、それが真榊との“出会い”だったそうです。

完成した真榊を見られたお客様いわく、「もう、もうこれは感謝としか言いようがございません。(1日に神棚にお祀りし)絹の五色布も華やかでそれはそれで良いと思いますが、自然な色合いに私はホッとしています。」

あとで真榊が飾られた神棚の写真を送ってくださいました。神棚とバランスよく彩りも加わりより神聖な感じになっていると思いました(写真は公開NGとのこと)。

私は今回この真榊(神具)をつくるにあたりましてさまざまな神様がご活躍されていることにあらためて思いを向けることになりました。〔たとえば、石凝姥神(いしこりどめのかみ)は鏡を、長白羽神(ながしらはのかみ)は麻から青和幣を。※和幣(にぎて、神の心をなごませる材料)〕

 

 

・参考文献

「古語拾遺」斎部広成撰、西宮一民校注(岩波書店)

「神道いろは」神社本庁教学研究所監修(神社新報社)

京都・山川のミニ鈴緒をお祝いの品に

このたび、京都・山川による国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒をお祝いの品にとご注文をいただきました。ミニ鈴緒は2015年はじめから販売させていただいている一般の方に縁遠い精麻を身近にというコンセプトでつくられた製品です。

国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒(京の伝統工芸品)
国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒(京の伝統工芸品)

山川さんにお話したところお祝い用の包装ということで、箱と精麻をご提供いただくことに。箱は画用紙に和紙を貼ったり京都らしい手仕事の品。精麻はもちろん国産です。

水引の起源は麻であり、今回は神事のお祝いであることから、精麻で結ぶことをご提案させていただきました(神式の場合、玉串料等は白の奉書紙に包み水引ではなく神事でもちいる精麻で結びますが、この場合は慶弔どちらにでも用いることができます)。

以前、製品の箱詰めを山川さんにお願いしたこともありますが、この度は心をこめる意味でお客様がご自身で箱詰めされ、予定されていた方々に先日お渡しされたとのご報告をいただきました。

箱詰めされた写真を見て驚き、こんな風にできあがるとは思っておりませんでした。古いもの(伝統)と現代の組合せ、和紙は土佐和紙とのこと、紅白でおめでたさ、また巫女をも表しているのではないでしょうか?

なお、上の神棚奉斎(ほうさい)式というのは、東京の翡翠の巫女様(代表:松井久子神職)が主催する、家庭の祭祀者として家庭や家系にまつわる心と環境のお清めを行うことができる方を養成、敬神崇祖(けいしんすうそ、神をうやまい先祖をあがめる)の心を育む「お清め士講座」の修了時におこなわれるものだそうです。

さぬきいんべでは、モノを買うだけでなく、作る方々を増やしたい。そう思います。自ら作り手になることが大切だと。それが今まで育まれた伝統を後世に伝えることにつながればこの上ない喜びです。

満足感というものはあなたの手を使って、何かを作ることによって得られる。(サティシュ・クマール)モノを作ることによって、愛が生まれる。機械が作ったものを消費するただの消費者ではなく、作り手(maker)にならなければならない。

 

 

・参考文献

「神道いろは」神社本庁教学研究所監修(神社新報社)

四国の麻栽培を願うキャンペーン開始☆

2020年8月19日(旧暦7月1日、新月)より四国の麻栽培を願うキャンペーンを開始いたしました。

※本キャンペーンは四国の麻栽培再生を願うキャンペーンpart2に引き継がれました。2022年10月28日追記

合計5000円以上~15000円未満お求めの方に、京都・山川による下記のオリジナル国産精麻アクセサリーをお1つプレゼントさせていただきます。2021年11月18日ご注文分よりプレゼント対象の金額を再度変更させていただきます。

国産精麻アクセサリー「あわむすび」(京都・山川製)
国産精麻小物「あわむすび」(京都・山川製)非売品

神社仏閣用の麻縄を調製する創業120年以上である山川さんがこの企画のためにオリジナル精麻小物をつくってくださいました。人と人とを良好な関係で結ぶこと、ひいては縁結びにつながる「あわむすび」(※1)を施しております。身につけたりバッグにつけたり、神具として使用したりいただければと存じます。

さらに第2弾としまして、合計15000円以上~30000円未満お求めの方に、下記のオリジナル国産精麻アクセサリーをプレゼントさせていただきます。もう1つ山川さんがつくってくださいました。どこにもないものです。2021年11月18日ご注文分よりプレゼント対象の金額を再度変更させていただきます。

国産精麻小物(京都・山川製)非売品
国産精麻小物(京都・山川製)非売品

さらにさらに第3弾として、合計30000円以上お求めの方に、下記のオリジナル国産精麻アクセサリー(藍染め、茜染め、ざくろ染め)のいずれかをプレゼントさせていただきます。きなりと、藍染め、茜染めまたはざくろ染めの精麻を用い、装飾結びの1つである叶結びを施しリボン風に仕上げております。世界の安寧を祈って、ざくろ染め版(黄色)を加えました。

国産精麻小物(京都・山川製)《リボン風》
国産精麻小物(京都・山川製)《リボン風》

2016年に徳島県吉野川市(旧麻植郡)にて吉野川市主催で「麻シンポジウム」が開催されたり(私も参加)、同市の広報よしのがわでは麻栽培に向けて機運を盛り上げようと毎月麻に関する記事が掲載されたりしておりました。

旧麻植郡は、その名の通り、践祚大嘗祭(せんそだいじょうさい※2)に麁服(あらたえ)を代々調進する木屋平の三木家をはじめ、麻塚神社、御所神社の祭神「大麻綜杵命(おおへつきのみこと)」、岩戸神社の麻筍岩(おごけ)、山崎忌部神社(麻植神を祀る天日鷲社)、麻平など30件を超える特に多くの麻に由来する地名や史跡が残され、日本の麻文化の発祥地、また中心地といえます。

また、四国に大麻山が3つも存在し、各地に麻にまつわる地名、史跡があります。(香川:大麻神社、愛媛:松山市朝(麻)生田町、高知:四万十市麻生など)

四国各県の旧国名(阿波・讃岐・伊予・土佐)の頭文字を順に並べると、あ・さ・い・と=麻糸となるのは偶然でしょうか?

毎年8月14日夜におこなわれる八幡浜市の五反田柱まつり(県指定無形民俗文化財)は、たいまつに麻幹(おがら)が使われます。そのために2007年頃まで隣の大洲市で麻が栽培されていました。これが徳島・三木家をのぞく四国最後の麻栽培だった、、このことを2009年に知ったのが、さぬきいんべ創業の発端で、なんとかしようと思い動きはじめて今年で10年余りになります。

北海道では元横綱・稀勢の里出演の「横綱の綱は麻でできている」「麻は日本の心」と言っているテレビCMが放映中だそうです。(KBS京都でもしていると聞きました)

もう一度、仕切り直し、皆さまのご協力を得ましてまず声を挙げること、、、これを機に四国の麻栽培を再生させ、後世に受け継いでいくきっかけにしたいと存じます。

よろしくお願い申し上げます。

(※1)阿波忌部族は、栃木県小山市粟宮に式内社「安房(粟)神社」(下野国寒川郡条「安房神社」)を創建した。その例祭には、氏子が[粟の穂]を献上するとの日本唯一粟を主体とする「粟柄祭り」が行なわれ、神輿の上に「粟柄」が乗せられる。神輿の四方に取り付けられるのが「粟むすび」と呼ぶ水引で、それは人と人とを良好な関係で結ぶこと、ひいては縁結びにつながるとして信仰されている。(『オオゲツヒメと倭国創生』林博章著P58より)

粟柄神輿につけられる粟むすび
粟柄神輿につけられる粟むすび

(※2)践祚大嘗祭=天皇即位に際し、天皇がはじめて新穀を食(め)され、皇祖および天神地祇に供し奉る即位後1回限りの儀式。

 

 

・参考文献

「日本の建国と阿波忌部」林博章著

「オオゲツヒメと倭国創生」林博章著(多田印刷)

「美馬文化 いななき第14号」(美馬市文化協会会報)

勅封(ちょくふう)について

2020年8月10日まで、西国三十三所第13番札所・石山寺(滋賀県)の秘仏御本尊 如意輪観世音菩薩様がご開帳されていた由、存じ上げておりませんでした。

この観音様は天皇陛下の命により封じられている日本唯一の勅封観音とのこと。

勅封、、どこかで聞いたと思っていましたら

正倉院の勅封(麻縄)
正倉院の勅封(麻縄)出典:日本美術全集5 天平の美術(学研)

奈良・平安時代の重要物品を納める東大寺の正倉院でした。

勅封とは、蔵などを勅命によって封印すること(扉に錠をかけて麻縄でしばり、結び目を天皇自署の紙で封じる。開閉には勅使が参向する)と辞書(大辞林)にはあります。

写真のように、麻縄でしばられているのです。この資料は以前見せていただき、メモ代わりに写真を撮っていたもの。

これを思い出させていただいたのが、翡翠の巫女の松井久子先生でした。ブログ→「紫式部ゆかりの寺、大津 石山寺の勅封(ちょくふう)観音

こちらの観音様は33年に一度、または御代替わりの年にしかご開帳されないのですね。次回は2047年だそうです。

松井先生がその体験をご紹介させていただいたブログにつづっておられますが、観音様がお働きになっていたのです。私は観音様に20年以上前からご縁といいますかお話に聞いてきましたが(その話はまた機会あったときに)、今回それを思いあたらせていただきました。そこにありましたのが麻縄で、なんとも不思議なめぐり合わせと思いました。

 

 

・参考文献

「日本美術全集5 天平の美術」(学研)

日本の麻の産地をよみがえらせる

2017年に刊行された「大麻という農作物」(大麻博物館著)の巻末に1939(昭和14)年と1955(昭和30)年の『全国の大麻栽培面積(ヘクタール)』のデータが収められています。

全国の大麻栽培面積(ヘクタール)
全国の大麻栽培面積データ(1939年、1955年)単位:ヘクタール

産地と思われる千葉、静岡といった県などデータがないところもありますが、これによりますと、70ヘクタール以上栽培されていたところは、北海道、青森、岩手、福島、栃木、群馬、新潟、石川、福井、長野、岐阜、島根、広島、熊本、宮崎がそうです。

ちなみに2018年4月より農業法人が県の許可を得てはじまった大麻を加工して作る「精麻」の生産をおこなっている三重県は0.1ヘクタールで、かつての大規模産地ではなかったことがわかります。

いい麻が取れるのは寒暖の差があるところ、お茶が栽培されているような場所(標高)がいいと聞いたことがあります。2019(令和元)年に新天皇の践祚大嘗祭へ麻織物、麁服(あらたえ)を貢納された徳島県の阿波忌部直系・三木家も標高550メートルのところにあり、ご当主・三木信夫さんもいい麻が取れる場所のお話をされておりました(直接うががいました)。

先人の知恵というのでしょうか。いま(この10年くらいの間)、これまで培われてきた昔の人の営みから得られた知恵が急速に失われているのと、また見直そうとする動きの両方があるように思います。日本の伝統文化の分野が特にそうではないかと思います。

かつての産地には地名として残ったりしなんらかの名残があるのではないでしょうか。また栽培時に使われた古い道具類もある(残っているのでは?)と思いますし、うまくいけば昔栽培に携わった古老のお話をギリギリ聞くことができることがあるかもしれません。

そういう思いをもってこの記事を皆さまへお送りします。

 

 

・参考文献

「大麻という農作物」大麻博物館著