京都・山川製。国産大麻(精麻)より紐、より縄に藍染め、草木染めも追加

この度、極上国産精麻のより紐、より縄(大麻紐、大麻縄)の取扱いを開始いたしました。

職人の手仕事による国産精麻のより紐(縄)。
職人の手仕事による極上国産精麻のより紐。写真は太さ5ミリ。

しめ縄や鈴緒など神社仏閣用麻製品を調製する京都・山川の職人の手仕事による麻ヒモ、麻縄を「リーズナブルにできる限り早く」が狙いです。

神事、祭礼用はもちろん、結界、手芸・アクセサリー作りにお役立てくださればと思います。

太さは2ミリから可能で現在、2ミリ、3ミリ、5ミリ、6ミリ、8ミリ、10ミリ、15ミリのご注文をお請けしておりますが、ミリ単位で製作でき、その他の太さも製作可能です(お問合せいただければお見積させていただきます)。ほつれ止めのための端部の処理もやっこ結び、木工用ボンド止めなどお選びいただけます。

きなり太さ2ミリ(上)と3ミリ。端部の処理はやっこ結び。
きなり太さ2ミリ(上)と3ミリ。端部の処理はやっこ結び。

ちなみに、令和の大嘗祭にむけて麻の織物、麁服を織るための麻糸を紡いだ徳島県の三ツ木八幡神社の拝殿の中には紙垂のついた精麻のしめ縄が四方に張られていました。紡女(巫女)が麻糸を紡ぐ「初紡式(はつつむぎしき)」の様子を新聞記事、ニュースなどでご覧になったかもしれません。こちらのしめ縄は6ミリ径です。

麻縄のしめ縄
(用途例)しめ縄。写真は20ミリ径。(麻の垂れ、紙垂もお付けできます)

藍染めもできます。茜染めなど草木染めのより紐、より縄も承ります。現在、可能な染めは紺色(藍染め)、赤色(茜染め)、緑色(藍+ざくろ染め)、黄色(ざくろ染め)、紫色(藍+茜染め)の五色で、すべて先染めの精麻で製作しております。

藍染めのより紐。太さ5ミリ径。
こちらは藍染めのより紐。太さ5ミリ。

麻ヒモ、麻縄の用途例:紙垂をつけてしめ縄。拍子木同士を結ぶ縄、各種祭礼用、添棒縄、結界、手綱や命綱、凧糸に。ペンダント(ネックレス)のヒモ、バッグの取っ手ヒモ、手芸用、オリジナルアクセサリーの製作に。

草木染め二色の麻ヒモも可能に。(写真は藍・ざくろ染め)4ミリ径以下。
草木染め二色のより紐も可能に。(写真は藍・ざくろ染め太さ2ミリ)4ミリ径以下。

 

草木染め三色と五色のより紐も。(5ミリ径以上から)
草木染め三色と五色のより紐も。(5ミリ径以上から)

しめ縄(紙垂をお付けすることも可能)はもちろん、ネックレス、ブレスレット用、オリジナル作品づくり、ジュエリーなどとしてご活用いただいております。

むすぶ・たばねる・つるす・まく・かける・つなぐ・しばる・いろどる、麻縄職人による極上国産精麻を用いた一級の手仕事のより紐、より縄をさまざまな用途にご活用いただければ幸いです。

※伊勢宮忠も同じ職人、極上国産精麻によるより紐を取り扱っています。

精麻についておさらい

精麻とは、アサの茎から表皮をはぎ、そこから表皮など余分なカスを取り除いたものをいいます。

黄金色でツヤがあり、新聞の文字が見えるぐらいに薄くひかれたものが上質とされます。(「色・ツヤ・薄さ」と私は覚えています)

なお、ちょっと古いですが福山雅治主演のNHK大河ドラマ「龍馬伝」で岩崎弥太郎宅の納屋に干している黄金色のは精麻と思われます(同ドラマでは栃木県鹿沼市の麻農家、大森由久さんが麻縄づくりを指導)。

今日では、神仏具や縁起物としての利用が多いです。

神道では麻は「神様のしるし」あるいは「神様の宿る神聖な繊維」とされ、神官がつける狩衣なども麻で作られています。また、お祓いの時に使用する幣や鈴緒などにも麻は欠かせません。

縁起物としては、結納で取り交わす友白髪があります。そして、魔をはらうなど呪術力があると考えられていて、ほかにもヘソの緒を縛る糸や死に装束、地域の祭礼など人生の節目や季節の節目に使用されてきました。

 

日本最大の生産地である栃木県で生産されたアサは、生産農家によって精麻、皮麻、苧幹などに加工され、野州麻の名称で全国に流通しています。

かつて、同県では生産地によって引田麻、把麻、岡地束、引束、板束、長束、岡束、永野束などの銘柄があり、結束の方法が異なっていましたが、栃木県では1933(昭和8)年に「麻検査規則」(昭和8年7月11日栃木縣令第46号)を定め、その統一を図りました。

同時に品質の統一を図るため、同年10月より等級検査が実施され、規格の統一が図られました。その結果、精麻は極上、特等、1等、2等、3等、4等、5等、等外の8つに区分されました。

検査は肉眼で行い、品質、長短、強力、色沢、乾燥、調製、結束の各観点より等級を定めました。例えば精麻の極上は「最も光沢に富み、清澄なる黄色か黄金色。手さわり、調製、乾燥すべてに最もすぐれ、繊維が強力なもの」、特等は「光沢に富み、清澄なる黄色か黄金色ないし銀白色。手さわり、調製、乾燥に最もすぐれるもの」などとし、それぞれの基準が設けられました。

野州麻(精麻)の利用 大正時代と現在
大正時代 現在
主な用途 出荷地 主な用途 出荷地
下駄の鼻緒の芯縄 栃木・東京・大阪など 神事・祭礼・縁起物用 全国各地
軍需用(綱・縄) 東京・神奈川など すさ(寸莎、建築用、壁のつなぎ材) 全国各地
綱の原料 東京・神奈川・愛知など 下駄の鼻緒の芯縄 東京・栃木など
魚網 茨城・千葉・神奈川など 綱(凧糸・山車綱等) 静岡・新潟など
衣類・蚊帳地 滋賀・奈良・福井など 衣類 滋賀・奈良など

(主な用途および出荷地の配列は出荷量の多さとは対応していない)

なお、栃木県でニハギ(煮剥)、精麻と呼ばれるものが、麻生産の歴史が古い広島県近辺ではそれぞれ、アラソ(荒苧・粗苧)、コギソと呼ばれます。

麻の茎の皮を剥いで精麻にするまでの工程は、地域によって多少のちがいがあります。

収穫後、麻の茎を折らずに蒸すところもあり、その場合は高さが2~3mにおよぶ桶が使用されました。こうした桶は、青森県立郷土館(青森市)、宮古市北上山地民俗資料館(岩手県宮古市)、朽木郷土資料館(滋賀県高島市)、石川県立白山ろく民俗資料館(石川県白山市)、広島市郷土資料館(広島市)、四国村(高松市)、宮崎県総合博物館(宮崎市)など全国各地の博物館施設で見ることができます。(その多くは麻だけではなく、楮や三椏などを蒸す時にも使用されたそうです)

 

 

参考文献

・「地域資源を活かす 生活工芸双書 大麻あさ」倉井耕一・赤星栄志・篠﨑茂雄・平野哲也・大森芳紀・橋本智著(農山漁村文化協会)

・「日本の建国と阿波忌部」林博章著

麻を説かずに麻を説く

さぬきいんべとして麻(ヘンプ)に関わりはじめたちょうど10年前の2009年。

その頃はまだ社会的な機運はなかったと思います。一部の人、限られた人が意識を向けていた状況。

そんな時、こう思いました。直感的に。

「麻を説かずに麻を説く」

これができれば社会に浸透していくだろう。

麻(ヘンプ)ばかりとらわれていると宗教みたいでしょう?当時取り組んでいる人たちをみてそう感じることが多かった。。

三ツ木八幡神社神麻しめ縄奉納(2019年3月31日)オフショット
三ツ木八幡神社神麻しめ縄奉納(2019年3月31日)オフショット

 

10年経ってみてその状況もしだいに、ホントしだいにですけど変わってきたように思います。

まず第一に社会的な流れ、より本質的なもの、ことに人の意識が移っていっているのもあるし、また人から何か言われようと伝えることをコツコツ取り組んできた人たちがいるのもあるでしょうし、海外の動きもある。

販売したり、イベントや講演会に参加したり、関心のある方と話をしたり等、いろいろ取り組んできて、いま思う「麻を説かずに麻を説く」とは、生活に麻(ヘンプ)を何か取り入れること、自然体でそれが自然にある状況を作ることだと思います。

そういう意味で、創業当時にキャッチコピーとしていた「おお麻(ヘンプ)を暮らしの中へ」(この「さぬきいんべ通信」のキャッチコピーにもさせていただいております)は意図とピッタリ合っていたと思います。

例えば母などはどちらかというと興味はない方ですが、テレビで徳島の藍染めのことやってたとか、三木家の麁服(あらたえ)用の麻の種まき式(2019年4月)のことやってたとか教えてもらえました(知らず知らず浸透しているでしょう?)。(^^)

 

「麻を説かずに麻を説く」

これは麻のことに限らずですが、より平和的に進めたい方、あくせくせずに周囲に浸透させたい方にこれをおすすめします。

純国産の大麻と絹の織物が教えてくれたもの

杼と織り途中の布

2012年の夏から2013年の末まで大麻と絹の織物を販売させていただいていました。

糸づくりもその方ご自身がされ、経糸の絹は愛媛県産の晩秋繭「あけぼの」を手びき。

緯糸の大麻は栃木県産の大麻(野州麻)を手績み。

丹念に心を込めて織り上げられていて、清らかで繊細なハリとツヤのある布だったことを思い出します。

高野さんによる手績み大麻糸
手績み大麻糸(緯糸)

この方は多摩美術大学芸術学科映像学部卒業後、23歳のとき、写真を撮るために移住した沖縄県与那国島で機織りの仕事に出会いました。

そこで、島の伝統工芸品に指定されている「与那国花織り」の技法を学び、織り子(※)になったそうです。

その後、愛媛県西予市野村町で国産繭(まゆ)からの「座繰り糸ひき」の技術を習得。

さらに、大麻の歴史に興味をもち、大麻の布を自らの手にとって感じてみたくなり、麻績みの技術を習得されました。

(※)織り子=機織りをする人。沖縄県与那国島の織物の歴史は古く、おおよそ500年。与那国町伝統工芸館では、織り子の養成により与那国織の伝統を継承するための養成活動が行われている。

 

さらにお聞きすると、麻績みは与那国島のお婆さんから習ったそう。

そして、今の「よりひめ(R)」(麻糸産み後継者養成講座)の活動が始まる前に大麻博物館(栃木県)の高安淳一さんからも麻績みを教わったそうですが、それは与那国島で教わったのとは少し違うとのこと。

大麻と絹の織物
大麻と絹の織物(左側は緯糸に藍染め大麻糸がランダムに入ったもの)

日本各地には地域によって育まれた方法、昔から代々受け継がれてきたものがあるのだと思います。

それを後世に受け継げるようにしたいですね!(間に合ううちに)

手間をかけた時間と、作り手の想いが感じられる命のかたまりのような上品で美しい布でした。

産業用大麻の記事(北海道新聞&あさひかわ新聞から)

2014年度から一時、産業用大麻の試験栽培をしていた北海道の状況は今どうなっているかと思い、探っていましたら以下の連載記事を見つけました。2018年7月~8月の記事です。(一部、会員登録すれば無料で読めます。記事の掲載期間は原則1年間、リンクのあるものはまだ読むことができます)

<北見 それでも産業用大麻に懸ける>上 法律の壁 事業化進まず

<北見 それでも産業用大麻に懸ける>中 消えゆく文化に危機感

<北見 それでも産業用大麻に懸ける>下 地域の基幹作物目指す

 

それから、2019年1月と6月のこちらの記事が、あさひかわ新聞にも記事があります。

産業用大麻理解深めて 旭川の有志が協会設立へ

・産業用大麻 産業化の可能性探る 20人が連絡会議

旭川ヘンプ協会 設立総会と記念講演会(あさひかわ新聞)

食品・建材など多用途の原料 産業用大麻・ヘンプの普及目指して 「旭川ヘンプ協会」設立(あさひかわ新聞)

 

また、北海道旭川市で「日本のヘンプ開国」を目指す国際ビジネス会議が開催されました。ヘンプ産業で活躍する海外10カ国以上の講演者から最新情報に触れることができるとのことでした。

日 程:2019年10月11日(金)、12日(土)、13日(日)
場 所:旭川市大雪クリスタルホール・国際会議場
参加費:11日は無料、12~13日は2日間で7万円
主 催:一般社団法人北海道ヘンプ協会(HIHA)
問い合わせ先:https://asa-con.jp

手仕事、職人文化が栄えていくように

父は建具職人でした。

小学校の高学年くらいだったと思います。あるとき母が「建具は細かい割りに儲からないから跡は継ぐな」というようなことをぼそっと言いました。

跡を継ぎたいという強い思いがなかったのと、父は仕事に関しては何も言いませんでしたので、ときどき忙しい時に手伝ったりするくらいで、結局私はサラリーマンになりました。

晩年父は、生活様式の変化などで仕事が少なくなって、企業に就職したのは正解だったかもしれません。

しかしこちらの経緯で、おお麻(ヘンプ)に出会い、さぬきいんべを創業し、無私の心で「手仕事革命」へで書いているように、おお麻を追っているうちにだんだん手仕事、職人に縁があることがわかってきました。気がついたらそういうもの、人が目の前にいました。最初は「おお麻文化」を後世にだけしかホント考えていませんでした。

会社勤めしている時は上の人に「細かいことにこだわるな」と注意されたことがあります。(笑)

そしていろいろな作り手にお会いして話をしたり、2017年度から愛媛民芸館の評議員に就任してやっていったりする中で、特に手仕事、職人文化が栄えていくようにしていきたいと思うようになりました。

担い手の高齢化、減少が言われているように思います。伝統工芸では若い人たちもがんばっています。おお麻の農家、職人、神社を守ろうとして取り組んでいる人もいます。

残りの命をそれに傾けたいです。

 

四国唯一の民藝館、愛媛民芸館(愛媛県西条市)において下記のイベントをおこないます。

「民藝館1day meets!」

七Coffee Roaster×にじとまめ×jam room store 3店舗による1日限りのポップアップストア

開催日時:2019年6月23日(日)10~16時

場所:愛媛民芸館内1F

・七Coffee Roaster・・・テイクアウトカップにてドリップコーヒー販売

・にじとまめ・・・地域の食材を使用した天然酵母パン販売

・jam room store・・・久留米絣を使用したMONPEなど展示販売

当日は砥部焼、ひろき窯(多川ひろきさん、平成28年度および30年度日本民藝館展入選)の作品の展示即売会期間中であるのと、周桑手すき和紙の杉野陽子さんによる和紙教室も予定しています。

愛媛民芸館 1day meets!イベント(2019.6.23)フライヤー

精麻を身近に、京都・山川による国産精麻小物

2015年初頭より販売させていただいている京都・山川のミニ鈴緒、叶結びアクセサリーといった国産精麻で作られた小物。

小さいからといって手抜きなどしていない、どれも職人技が駆使された逸品です。

さらに同年、ブレスレットとネックレスをラインナップとして加えました。

 

ミニ鈴緒ミニ鈴緒《朱》

ミニ鈴緒
神社の鈴緒をミニチュア化した「ミニ鈴緒」

山川さんを紹介いただいたときに既に完成していた、神社の鈴緒をミニチュア化した「ミニ鈴緒」。これが皮切りになりました。

付いている鈴は本坪鈴といい、巫女が舞うときに使う神楽鈴と同様の本金メッキ仕上げでこちらも本格派、京都の職人によるものです。(メッキ無しと比べキレイで長持ち、また清々しい音色です)

後に、しめ縄《朱》【神居 和かざり】と同じように巫女の緋袴にヒントを得て朱色版を加えました。

 

叶結びアクセサリー

「叶結びアクセサリー」
装飾結びの1つ、叶結びが施された「叶結びアクセサリー」

「叶結び」とは、装飾結びの1つで、表は四つ目で「口」の字に見え、裏は「十」の字に見えることからそう呼ばれます。

山川さんいわくこの形は「いろいろやっている内にできた」とのことで、まさに湧き出るように生まれてきたと思われます。

アクセサリー感覚でカバンなどに付けられる方が多いかと思っていましたが意外に神棚にという方が多く感じています。

 

ブレスレット【麻の輪】ブレスレット《朱》【麻の輪】

「ブレスレット」
精麻だけでできた「ブレスレット」

提案(イメージを伝える)させていただいたらこの形ができあがってきました。

感心したのは精麻だけでできていること。留め具とかはなく、精麻だけで留める構造です。シンプルかつ美しい、太さをだんだん細くするなど技が施されています。

こちらも後に、朱色版を加えました。

【麻の輪】の名前はお客様から公募させていただきました。“麻(ヘンプ)でつながる輪、みんなの和”を意味しています。

 

ネックレス【麻統~あさすまる~】

「ネックレス」
精麻だけでできた「ネックレス」

こちらネックレスも、提案(イメージを伝える)させていただきました。ブレスレットと同じで精麻だけでできています。

使う人の立場に立って、首元に直接触れることを想定し、肌にやさしくなるように三本撚りして配慮、さらに特殊加工をしています。(敏感な方は服の上から着けられるなど工夫することをオススメいたします)

シンプルな構造で長さ調節ができ、チョーカー、アンクレットにもなります(そういう使い方されるお客様あり)。

【麻統(あさすまる)】の名前は、これもお客様から公募させていただきました。その方いわく、古語で首飾りを表す言葉を調べると「御統(みすまる)」という言葉に当たったそう。集まって1つとなる意の「すまる」と麻を合わせた造語が「麻統」です。

 

三本撚り叶結びアクセサリー【神結 和むすび】

「叶結びアクセサリー」
三本撚りの「叶結びアクセサリー」

上の赤色の叶結びアクセサリーは二本撚り、こちらは三本撚りです。だいぶん印象が違うでしょう?大きさも5割ほど大きいです。

こちらは生成りのみです。

【神結 和むすび】の名前もお客様から公募したものを採用、「かみゅう わむすび」と読み、“神様といつも繋がっています”という意味が込められています。

 

しめ縄【神居 和かざり】

しめ縄【神居 和かざり】
国産精麻の輪飾りの先駆者

上記の叶結びアクセサリーの販売開始後、山川さんと話しているうちに誕生した輪飾り(誕生ストーリーはこちら)。

お客様から公募させていただいた【神居 和かざり】の名前は、「かむい わかざり」 と読み、“神さまのやどる輪飾り”という想いが込められています。奇しくも後に新元号は令和となり、令和の和かざりと呼んでいただきたいです。

 

しめ縄《朱》【神居 和かざり】

しめ縄《朱》【神居 和かざり】
巫女の緋袴をイメージした朱色版

生成りの【神居 和かざり】に色を入れてみたらということで、工房を訪れ職人の意見を参考にしつつ何色にするか検討し、朱色をチョイス。また、色とのバランスを考え、前垂れはなしにしました。さらに現代風のしめ縄に。

 

しめ縄《藍》【神居 和かざり】

しめ縄《藍》【神居 和かざり】
2020東京オリンピックのエンブレムの色を意識した藍色版

山川さんと初対面した際、精麻の藍染めについて問われそれについて研究、試し染めなどする中、藍染めの製品をと思っていて【神居 和かざり】誕生より1年以上経って作っていただきました。ジャパンブルーで落ち着いた雰囲気に。この藍色版で、2020東京オリンピックの公式エンブレムのコンセプトと同様、「多様性と調和」、「つながる世界」をイメージしていただけたら幸いです。

 

ミドル鈴緒

ミドル鈴緒(朱)と(生成り)
小さなお社、祠用に、ミドル鈴緒(朱)と(生成り)

神社の鈴緒と上のミニ鈴緒との中間で「ミドル鈴緒」と職人が命名、そのままの名前を採用しております。ご家庭や会社の神殿(神棚)、小さなお社用の鈴緒です。付属の綿ロープ(白色)でくくりつけて使う仕様で、振るとミニ鈴緒よりも大きな本坪鈴からより深みのある涼やかな音が。日々の祈り、手を合わせる際にご活用いただきたい神具です。

 

京都府指定「京の伝統工芸品」
京都府指定「京の伝統工芸品」

 

以上の製品は、いずれも京都府指定「京の伝統工芸品」です。

※製作にあたって、職人にイメージを伝えるのみにしています(作る人の個性、良さがあるのでできるだけそれを生かすために)。

一般の人がほとんど馴染みのない精麻を身近に感じていただきたいという心、職人の思いで、神社仏閣用の麻製品調製、作業の合間で作ってくださってます。

古神道(伯家神道)の作法により潔斎してお送りさせていただきます。

あらたえ考~大嘗祭を前に(徳島新聞より)

2019年4月5日付の徳島新聞紙面からはじまった「あらたえ考」の連載。(私はなぜ知っているかというと、3月に行われた三ツ木八幡神社神麻しめ縄奉納でご一緒した須恵泰正さんのSNS投稿でこのことを知りました)

紙面をお読みいただけない方、お読みになってない方に向けリンクをはっておきます。

あらたえ考~大嘗祭を前に(1)大麻栽培の古里 徳島と皇室結ぶ糸

あらたえ考~大嘗祭を前に(2)調進の歴史 延喜式や文書で裏付け

あらたえ考~大嘗祭を前に(3)調進の中断 戦乱など政情不安影響

あらたえ考~大嘗祭を前に(4)調進復活への運動 光明天皇以来577年ぶり

あらたえ考~大嘗祭を前に(5)川島高校の校旗 調進された布と「兄弟」

あらたえ考~大嘗祭を前に(6)平成の調進 思い込め機音響かせる

あらたえ考~大嘗祭を前に(7)継承への課題 政教分離と後継者育成

 

7月15日、麁服(あらたえ)の材料となる大麻を収穫する「抜麻式」が執り行われました。

・大嘗祭に向け大麻収穫、徳島

8月7日、麁服の材料となる麻糸を紡ぐ「初紡式」が執り行われました。

麁服の麻 心込め 木屋平で初紡式

9月2日、麻糸を紡ぐ作業が終わり、織物へ仕上げる工程を担当する山崎忌部神社(吉野川市山川町)に引き渡しされました。

麁服の麻糸引き渡し 吉野川市

9月10日、山崎忌部神社にて「織り初め式」が行われました。

吉野川市で麁服の織り初め式

麁服が完成し10月27日、徳島県内の2ヵ所(木屋平総合支所と山崎忌部神社)で宮内庁へ持参する住民らが出発式を行いました。10月中に宮内庁へ届けられ、愛知県豊田市で作られた絹織物「繪服(にぎたえ)」とともに供納されました。

麁服(あらたえ)完成、大嘗祭へ 徳島県内2ヵ所で出発式

伝統担う誇り胸に「悔いない最高の仕上がり」

三ツ木八幡神社神麻しめ縄奉納レポート

天皇即位にともない2019年11月14~15日に予定されている践祚大嘗祭では、新穀とともに阿波の麻織物・麁服(あらたえ)と三河の絹織物・繪服(にぎたえ)が神座にまつられ、五穀豊穣を祈ります。

3月31日、徳島県木屋平の三ツ木八幡神社にてNPO法人神麻注連縄奉納有志の会(安間信裕代表)による神麻しめ縄奉納が行われました。

阿波忌部氏の直系、御殿人(みあらかんど)である三木家において麁服の調進準備があるのでこの日が選ばれた由。

安間さんによると、平成の大嘗祭に際し抜麻を安置して糸績みの初紡ぎ式までをこちらの神社で行ったそう。

今回奉納したのは神麻しめ縄4本と鈴緒1本。しめ縄は本殿1本、拝殿に3本です。

地元徳島県はじめ全国各地から集まった約15名で、忌部神社宮司や三木家当主、三木信夫さん、また氏子の皆さんのご協力を得て奉納させていただきました。

紙垂を取り付け中
奉納前にしめ縄に紙垂を取り付け中

私自身は安間さんの主催する神麻しめ縄奉納神事に参加するのは今回で3回目。(NPO法人になってから剣山本宮宝蔵石神社、忌部神社、富岡八幡宮につづきこれで4回目の奉納)

私の知る限りこれまでの奉納の時とくらべずいぶん人数が少なく、最初1人当たりのすることが多いと聞いていましたがそんなことはまったく感じず、分担して各自手際よく作業奉仕できたと思います。

奉納報告祭後、三木家住宅へ移動し直会。食事を皆でいっしょにいただきました。私的にはお座敷に上がらせていただくのはこの時以来2回目で前きたときはとても緊張していましたが今回はリラックスしてのぞめました。

三木家住宅で直会
築400年の三木家住宅で直会

三木家住宅、神社西側の貢公園のしだれ桜も見頃。例年、桜の時期に三木家住宅前で催事をしているのは知っていて、ちょっと早いかと思っていましたが、到着するなり“桜の歓迎”を受け心もさらに軽やかになりました。うれしい誤算!でした。

ちなみに前回一緒に来た方は毎年三木家の桜を見に来ています。見ないと春を過ごした気がしないと聞いていましたが、その気持ちがわかった気がします。この地は「空地(そらち)」と呼ばれ聖地ですから。

三木家住宅前の斎畑。
三木家住宅前の斎畑。

 

三ツ木八幡神社のしだれ桜
三ツ木小学校・中学校跡を整備した貢公園のしだれ桜。後方に三ツ木八幡神社

直会の際、代表の安間さんが「大嘗祭が無事執り行われますよう、また麁服が無事調進されますように」とあいさつされていました。

これが今回関わられた人たちの共通の願いと思いますので、そのことをお祈りします。

 

もっと詳しい報告を「精麻の注連縄を探して」のコーナーにてさせていただいてます。

なぜ神棚をお祀りする?神棚の真の意味

神棚と精麻のしめ縄

伯家神道・十種神宝御法の修行座を何回か受け、数年経って、あるとき神職の方が私に言いました。「神棚を祀った方がいいよ」

神社へ行くと「お伊勢さまと氏神さま・鎮守さまのお神札をおまつりしましょう」(神宮司庁、神社本庁・全国神社総代会編)というお神礼のお祀りのしかたを書いた紙を見たことがあって、その知識を元に、真ん中に天照大御神(お神礼)、右に氏神神社、、ですよね?と聞くと、「そうそう」と。

日本の祭典は在来、神の古来、神の形式を取っていたのはご存じですか?後に仏教が入ってきましたが、その前までは神の形式でした。

家に神棚はありますか?なぜお祀りするんでしょうか?

 

その島に天降りまして、天の御柱を見立て八尋殿を見立てたまひき。

古事記の国生みにおいて、伊邪那岐(いざなぎ)、伊邪那美(いざなみ)の二神は、おのころ島の真ん中にまず「天の御柱を見立て」ます。

この御柱が暮らしの始まりの場の中心になります。この場の一番象徴的なのは神社、つまり鎮守の森です。

そして、神社の建築様式が家の建て方の思想的な基本。神社ではまず柱を象徴的に奉ります。これが伊勢神宮のご本殿の床下中央にある心の御柱です。また、いにしえの出雲大社は9本の柱で大きな社が立っています。一回り太い木を3本合わせて真ん中に心の御柱を立てる。心の御柱が中心となり、学者の推測では48メートルの高さが可能になるように工夫しました。

 

家の大黒柱という思想もそこにあります。大黒柱とは日本建築の中央部にあって家を支えている柱のこと。最近の家では見なくなっていますが他の柱より太いです。

写真は我が家の大黒柱です。

古民家の大黒柱
古民家の大黒柱

そこには先祖の魂(みたま)が宿ります。春夏秋冬、時間軸が人間として家として文化がつながっていく。自分が死んでも子どもがそれを永遠に受け継いでいきます。その根源は魂(みたま)です。魂(みたま)が働いていく。

暮らしの中で目に見えないいのちの根源の力、これを日本人は魂(みたま)と呼びます。いのちを大切にするということ、まず魂(みたま)を大切にすること。これが形ある世界では柱として表現されているのです。

人間として自分にとって大切なものはやはり、いのちではないでしょうか?

 

このように、暮らしのはじまりに柱を立て、この柱の立つ場が神社の姿になったのが、家にある神棚です。

神棚の真の意味は、天の御柱から出発をした天地自然の中に、自分が人間として健全に生きていくんだ、この天地自然のいのちの御柱から離れて生きていけないんだという目印、目標なのです。

おお麻(ヘンプ)と神棚のある生活
会社の神棚と精麻のしめ縄

 

おお麻(ヘンプ)と神棚のある生活
家庭の神棚と精麻のついた幣

 

改装した古民家の神棚と精麻のしめ縄
改装した古民家の神棚と精麻のしめ縄

その場にあったやり方でお祀りしませんか?(現代の暮らしにフィットした神棚もあります)

 

身を修め家を斉(ととの)えんと思う者は、まず、天照太神の徳を尊び、朝夕拝し奉るべし。(中略)朝夕怠りなく修め勤むるときには、必ず家斉い、身修まるべし。(『神道唯一問答書』)

 

 

参考文献

「みそぎ第十四号」(伯家神道)

「日本人の忘れもの1」中西進著(ウェッジ文庫)