麻を説かずに麻を説く

さぬきいんべとして麻(ヘンプ)に関わりはじめたちょうど10年前の2009年。

その頃はまだ社会的な機運はなかったと思います。一部の人、限られた人が意識を向けていた状況。

そんな時、こう思いました。直感的に。

「麻を説かずに麻を説く」

これができれば社会に浸透していくだろう。

麻(ヘンプ)ばかりとらわれていると宗教みたいでしょう?当時取り組んでいる人たちをみてそう感じることが多かった。。

三ツ木八幡神社神麻しめ縄奉納(2019年3月31日)オフショット
三ツ木八幡神社神麻しめ縄奉納(2019年3月31日)オフショット

 

10年経ってみてその状況もしだいに、ホントしだいにですけど変わってきたように思います。

まず第一に社会的な流れ、より本質的なもの、ことに人の意識が移っていっているのもあるし、また人から何か言われようと伝えることをコツコツ取り組んできた人たちがいるのもあるでしょうし、海外の動きもある。

販売したり、イベントや講演会に参加したり、関心のある方と話をしたり等、いろいろ取り組んできて、いま思う「麻を説かずに麻を説く」とは、生活に麻(ヘンプ)を何か取り入れること、自然体でそれが自然にある状況を作ることだと思います。

そういう意味で、創業当時にキャッチコピーとしていた「おお麻(ヘンプ)を暮らしの中へ」(この「さぬきいんべ通信」のキャッチコピーにもさせていただいております)は意図とピッタリ合っていたと思います。

例えば母などはどちらかというと興味はない方ですが、テレビで徳島の藍染めのことやってたとか、三木家の麁服(あらたえ)用の麻の種まき式(2019年4月)のことやってたとか教えてもらえました(知らず知らず浸透しているでしょう?)。(^^)

 

「麻を説かずに麻を説く」

これは麻のことに限らずですが、より平和的に進めたい方、あくせくせずに周囲に浸透させたい方にこれをおすすめします。

純国産の大麻と絹の織物が教えてくれたもの

杼と織り途中の布

2012年の夏から2013年の末まで大麻と絹の織物を販売させていただいていました。

糸づくりもその方ご自身がされ、経糸の絹は愛媛県産の晩秋繭「あけぼの」を手びき。

緯糸の大麻は栃木県産の大麻(野州麻)を手績み。

丹念に心を込めて織り上げられていて、清らかで繊細なハリとツヤのある布だったことを思い出します。

高野さんによる手績み大麻糸
手績み大麻糸(緯糸)

この方は多摩美術大学芸術学科映像学部卒業後、23歳のとき、写真を撮るために移住した沖縄県与那国島で機織りの仕事に出会いました。

そこで、島の伝統工芸品に指定されている「与那国花織り」の技法を学び、織り子(※)になったそうです。

その後、愛媛県西予市野村町で国産繭(まゆ)からの「座繰り糸ひき」の技術を習得。

さらに、大麻の歴史に興味をもち、大麻の布を自らの手にとって感じてみたくなり、麻績みの技術を習得されました。

(※)織り子=機織りをする人。沖縄県与那国島の織物の歴史は古く、おおよそ500年。与那国町伝統工芸館では、織り子の養成により与那国織の伝統を継承するための養成活動が行われている。

 

さらにお聞きすると、麻績みは与那国島のお婆さんから習ったそう。

そして、今の「よりひめ(R)」(麻糸産み後継者養成講座)の活動が始まる前に大麻博物館(栃木県)の高安淳一さんからも麻績みを教わったそうですが、それは与那国島で教わったのとは少し違うとのこと。

大麻と絹の織物
大麻と絹の織物(左側は緯糸に藍染め大麻糸がランダムに入ったもの)

日本各地には地域によって育まれた方法、昔から代々受け継がれてきたものがあるのだと思います。

それを後世に受け継げるようにしたいですね!(間に合ううちに)

手間をかけた時間と、作り手の想いが感じられる命のかたまりのような上品で美しい布でした。

産業用大麻の記事(北海道新聞&あさひかわ新聞から)

2014年度から一時、産業用大麻の試験栽培をしていた北海道の状況は今どうなっているかと思い、探っていましたら以下の連載記事を見つけました。2018年7月~8月の記事です。(一部、会員登録すれば無料で読めます。記事の掲載期間は原則1年間、リンクのあるものはまだ読むことができます)

<北見 それでも産業用大麻に懸ける>上 法律の壁 事業化進まず

<北見 それでも産業用大麻に懸ける>中 消えゆく文化に危機感

<北見 それでも産業用大麻に懸ける>下 地域の基幹作物目指す

 

それから、2019年1月と6月のこちらの記事が、あさひかわ新聞にも記事があります。

産業用大麻理解深めて 旭川の有志が協会設立へ

・産業用大麻 産業化の可能性探る 20人が連絡会議

旭川ヘンプ協会 設立総会と記念講演会(あさひかわ新聞)

食品・建材など多用途の原料 産業用大麻・ヘンプの普及目指して 「旭川ヘンプ協会」設立(あさひかわ新聞)

 

また、北海道旭川市で「日本のヘンプ開国」を目指す国際ビジネス会議が開催されました。ヘンプ産業で活躍する海外10カ国以上の講演者から最新情報に触れることができるとのことでした。

日 程:2019年10月11日(金)、12日(土)、13日(日)
場 所:旭川市大雪クリスタルホール・国際会議場
参加費:11日は無料、12~13日は2日間で7万円
主 催:一般社団法人北海道ヘンプ協会(HIHA)
問い合わせ先:https://asa-con.jp

手仕事、職人文化が栄えていくように

父は建具職人でした。

小学校の高学年くらいだったと思います。あるとき母が「建具は細かい割りに儲からないから跡は継ぐな」というようなことをぼそっと言いました。

跡を継ぎたいという強い思いがなかったのと、父は仕事に関しては何も言いませんでしたので、ときどき忙しい時に手伝ったりするくらいで、結局私はサラリーマンになりました。

晩年父は、生活様式の変化などで仕事が少なくなって、企業に就職したのは正解だったかもしれません。

しかしこちらの経緯で、おお麻(ヘンプ)に出会い、さぬきいんべを創業し、無私の心で「手仕事革命」へで書いているように、おお麻を追っているうちにだんだん手仕事、職人に縁があることがわかってきました。最初は「おお麻文化」を後世にだけしかホント考えていませんでした。

会社勤めしている時は上の人に「細かいことにこだわるな」と注意されたことがあります(笑)。

そしていろいろな作り手にお会いして話をしたり、2017年度から愛媛民芸館の評議員に就任してやっていったりする中で、特に手仕事、職人文化が栄えていくようにしていきたいと思うようになりました。

担い手の高齢化、減少が言われているように思います。伝統工芸では若い人たちもがんばっています。おお麻の農家、職人、神社を守ろうとして取り組んでいる人もいます。

残りの命をそれに傾けたいです。

 

四国唯一の民藝館、愛媛民芸館(愛媛県西条市)において下記のイベントをおこないます。

「民藝館1day meets!」

七Coffee Roaster×にじとまめ×jam room store 3店舗による1日限りのポップアップストア

開催日時:2019年6月23日(日)10~16時

場所:愛媛民芸館内1F

・七Coffee Roaster・・・テイクアウトカップにてドリップコーヒー販売

・にじとまめ・・・地域の食材を使用した天然酵母パン販売

・jam room store・・・久留米絣を使用したMONPEなど展示販売

当日は砥部焼、ひろき窯(多川ひろきさん、平成28年度および30年度日本民藝館展入選)の作品の展示即売会期間中であるのと、周桑手すき和紙の杉野陽子さんによる和紙教室も予定しています。

愛媛民芸館 1day meets!イベント(2019.6.23)フライヤー

精麻を身近に、京都・山川による国産精麻小物

2015年初頭より販売させていただいている京都・山川のミニ鈴緒、叶結びアクセサリーといった国産精麻で作られた小物。

小さいからといって手抜きなどしていない、どれも職人技が駆使された逸品です。

さらに同年、ブレスレットとネックレスをラインナップとして加えました。

 

ミニ鈴緒ミニ鈴緒《朱》

ミニ鈴緒
神社の鈴緒をミニチュア化した「ミニ鈴緒」

山川さんを紹介いただいたときに既に完成していた、神社の鈴緒をミニチュア化した「ミニ鈴緒」。これが皮切りになりました。

付いている鈴は本坪鈴といい、巫女が舞うときに使う神楽鈴と同様の本金メッキ仕上げでこちらも本格派、京都の職人によるものです。(メッキ無しと比べキレイで長持ち、また清々しい音色です)

後に、しめ縄《朱》【神居 和かざり】と同じように巫女の緋袴にヒントを得て朱色版を加えました。

 

叶結びアクセサリー

「叶結びアクセサリー」
装飾結びの1つ、叶結びが施された「叶結びアクセサリー」

「叶結び」とは、装飾結びの1つで、表は四つ目で「口」の字に見え、裏は「十」の字に見えることからそう呼ばれます。

山川さんいわくこの形は「いろいろやっている内にできた」とのことで、まさに湧き出るように生まれてきたと思われます。

アクセサリー感覚でカバンなどに付けられる方が多いかと思っていましたが意外に神棚にという方が多く感じています。

 

ブレスレット【麻の輪】ブレスレット《朱》【麻の輪】

「ブレスレット」
精麻だけでできた「ブレスレット」

提案(イメージを伝える)させていただいたらこの形ができあがってきました。

感心したのは精麻だけでできていること。留め具とかはなく、精麻だけで留める構造です。シンプルかつ美しい、太さをだんだん細くするなど技が施されています。

こちらも後に、朱色版を加えました。

【麻の輪】の名前はお客様から公募させていただきました。“麻(ヘンプ)でつながる輪、みんなの和”を意味しています。

 

ネックレス【麻統~あさすまる~】

「ネックレス」
精麻だけでできた「ネックレス」

こちらネックレスも、提案(イメージを伝える)させていただきました。ブレスレットと同じで精麻だけでできています。

使う人の立場に立って、首元に直接触れることを想定し、肌にやさしくなるように三本撚りして配慮、さらに特殊加工をしています。(敏感な方は服の上から着けられるなど工夫することをオススメいたします)

シンプルな構造で長さ調節ができ、チョーカー、アンクレットにもなります(そういう使い方されるお客様あり)。

【麻統(あさすまる)】の名前は、これもお客様から公募させていただきました。その方いわく、古語で首飾りを表す言葉を調べると「御統(みすまる)」という言葉に当たったそう。集まって1つとなる意の「すまる」と麻を合わせた造語が「麻統」です。

 

三本撚り叶結びアクセサリー【神結 和むすび】

「叶結びアクセサリー」
三本撚りの「叶結びアクセサリー」

上の赤色の叶結びアクセサリーは二本撚り、こちらは三本撚りです。だいぶん印象が違うでしょう?大きさも5割ほど大きいです。

こちらは生成りのみです。

【神結 和むすび】の名前もお客様から公募したものを採用、「かみゅう わむすび」と読み、“神様といつも繋がっています”という意味が込められています。

 

しめ縄【神居 和かざり】

しめ縄【神居 和かざり】
国産精麻の輪飾りの先駆者

上記の叶結びアクセサリーの販売開始後、山川さんと話しているうちに誕生した輪飾り(誕生ストーリーはこちら)。

お客様から公募させていただいた【神居 和かざり】の名前は、「かむい わかざり」 と読み、“神さまのやどる輪飾り”という想いが込められています。奇しくも後に新元号は令和となり、令和の和かざりと呼んでいただきたいです!

 

しめ縄《朱》【神居 和かざり】

しめ縄《朱》【神居 和かざり】
巫女の緋袴をイメージした朱色版

生成りの【神居 和かざり】に色を入れてみたらということで、工房を訪れ職人の意見を参考にしつつ何色にするか検討し、朱色をチョイス。また、色とのバランスを考え、前垂れはなしにしました。さらに現代風のしめ縄に。

 

しめ縄《藍》【神居 和かざり】

しめ縄《藍》【神居 和かざり】
2020東京オリンピックのエンブレムの色を意識した藍色版

山川さんと初対面した際、精麻の藍染めについて問われそれについて研究、試し染めなどする中、藍染めの製品をと思っていて【神居 和かざり】誕生より1年以上経って作っていただきました。ジャパンブルーで落ち着いた雰囲気に。この藍色版で、2020東京オリンピックの公式エンブレムのコンセプトと同様、「多様性と調和」、「つながる世界」をイメージしていただけたら幸いです。

 

ミドル鈴緒

ミドル鈴緒(朱)と(生成り)
小さなお社、祠用に、ミドル鈴緒(朱)と(生成り)

神社の鈴緒と上のミニ鈴緒との中間で「ミドル鈴緒」と命名、ご家庭や会社の神殿(神棚)、小さなお社用の鈴緒です。振るとミニ鈴緒よりも大きな本坪鈴からより深みのある涼やかな音が。日々の祈り、手を合わせる際にご活用いただきたい神具です。

 

京都府指定「京の伝統工芸品」
京都府指定「京の伝統工芸品」

 

以上の製品は、いずれも京都府指定「京の伝統工芸品」です。

※製作にあたって、職人にイメージを伝えるのみにしています(作る人の個性、良さがあるのでできるだけそれを生かすために)。

一般の人がほとんど馴染みのない精麻を身近に感じていただきたいという心、職人の思いで、神社仏閣用の麻製品調製、作業の合間で作ってくださってます。

古神道(伯家神道)の作法により潔斎してお送りさせていただきます。

あらたえ考~大嘗祭を前に(徳島新聞より)

2019年4月5日付の徳島新聞紙面からはじまった「あらたえ考」の連載。(私はなぜ知っているかというと、3月に行われた三ツ木八幡神社神麻しめ縄奉納でご一緒した須恵泰正さんのSNS投稿でこのことを知りました)

紙面をお読みいただけない方、お読みになってない方に向けリンクをはっておきます。

あらたえ考~大嘗祭を前に(1)大麻栽培の古里 徳島と皇室結ぶ糸

あらたえ考~大嘗祭を前に(2)調進の歴史 延喜式や文書で裏付け

あらたえ考~大嘗祭を前に(3)調進の中断 戦乱など政情不安影響

あらたえ考~大嘗祭を前に(4)調進復活への運動 光明天皇以来577年ぶり

あらたえ考~大嘗祭を前に(5)川島高校の校旗 調進された布と「兄弟」

あらたえ考~大嘗祭を前に(6)平成の調進 思い込め機音響かせる

あらたえ考~大嘗祭を前に(7)継承への課題 政教分離と後継者育成

 

7月15日、麁服(あらたえ)の材料となる大麻を収穫する「抜麻式」が執り行われました。

・大嘗祭に向け大麻収穫、徳島

8月7日、麁服の材料となる麻糸を紡ぐ「初紡式」が執り行われました。

麁服の麻 心込め 木屋平で初紡式

9月2日、麻糸を紡ぐ作業が終わり、織物へ仕上げる工程を担当する山崎忌部神社(吉野川市山川町)に引き渡しされました。

麁服の麻糸引き渡し 吉野川市

9月10日、山崎忌部神社にて「織り初め式」が行われました。

吉野川市で麁服の織り初め式

麁服が完成し10月27日、徳島県内の2ヵ所(木屋平総合支所と山崎忌部神社)で宮内庁へ持参する住民らが出発式を行いました。10月中に宮内庁へ届けられ、愛知県豊田市で作られた絹織物「繪服(にぎたえ)」とともに供納されました。

麁服(あらたえ)完成、大嘗祭へ 徳島県内2ヵ所で出発式

伝統担う誇り胸に「悔いない最高の仕上がり」

三ツ木八幡神社神麻しめ縄奉納レポート

天皇即位にともない2019年11月14~15日に予定されている践祚大嘗祭では、新穀とともに阿波の麻織物・麁服(あらたえ)と三河の絹織物・繪服(にぎたえ)が神座にまつられ、五穀豊穣を祈ります。

3月31日、徳島県木屋平の三ツ木八幡神社にてNPO法人神麻注連縄奉納有志の会(安間信裕代表)による神麻しめ縄奉納が行われました。

阿波忌部氏の直系、御殿人(みあらかんど)である三木家において麁服の調進準備があるのでこの日が選ばれた由。

安間さんによると、平成の大嘗祭に際し抜麻を安置して糸績みの初紡ぎ式までをこちらの神社で行ったそう。

今回奉納したのは神麻しめ縄4本と鈴緒1本。しめ縄は本殿1本、拝殿に3本です。

地元徳島県はじめ全国各地から集まった約15名で、忌部神社宮司や三木家当主、三木信夫さん、また氏子の皆さんのご協力を得て奉納させていただきました。

紙垂を取り付け中
奉納前にしめ縄に紙垂を取り付け中

私自身は安間さんの主催する神麻しめ縄奉納神事に参加するのは今回で3回目。(NPO法人になってから剣山本宮宝蔵石神社、忌部神社、富岡八幡宮につづきこれで4回目の奉納)

私の知る限りこれまでの奉納の時とくらべずいぶん人数が少なく、最初1人当たりのすることが多いと聞いていましたがそんなことはまったく感じず、分担して各自手際よく作業奉仕できたと思います。

奉納報告祭後、三木家住宅へ移動し直会。食事を皆でいっしょにいただきました。私的にはお座敷に上がらせていただくのはこの時以来2回目で前きたときはとても緊張していましたが今回はリラックスしてのぞめました。

三木家住宅で直会
築400年の三木家住宅で直会

三木家住宅、神社西側の貢公園のしだれ桜も見頃。例年、桜の時期に三木家住宅前で催事をしているのは知っていて、ちょっと早いかと思っていましたが、到着するなり“桜の歓迎”を受け心もさらに軽やかになりました。うれしい誤算!でした。

ちなみに前回一緒に来た方は毎年三木家の桜を見に来ています。見ないと春を過ごした気がしないと聞いていましたが、その気持ちがわかった気がします。この地は「空地(そらち)」と呼ばれ聖地ですから。

三木家住宅前の斎畑。
三木家住宅前の斎畑。

 

三ツ木八幡神社のしだれ桜
三ツ木小学校・中学校跡を整備した貢公園のしだれ桜。後方に三ツ木八幡神社

直会の際、代表の安間さんが「大嘗祭が無事執り行われますよう、また麁服が無事調進されますように」とあいさつされていました。

これが今回関わられた人たちの共通の願いと思いますので、そのことをお祈りします。

 

もっと詳しい報告を「精麻の注連縄を探して」のコーナーにてさせていただいてます。

なぜ神棚をお祀りする?神棚の真の意味

神棚と精麻のしめ縄

伯家神道・十種神宝御法の修行座を何回か受け、数年経って、あるとき神職の方が私に言いました。「神棚を祀った方がいいよ」

神社へ行くと「お伊勢さまと氏神さま・鎮守さまのお神札をおまつりしましょう」(神宮司庁、神社本庁・全国神社総代会編)というお神礼のお祀りのしかたを書いた紙を見たことがあって、その知識を元に、真ん中に天照大御神(お神礼)、右に氏神神社、、ですよね?と聞くと、「そうそう」と。

日本の祭典は在来、神の古来、神の形式を取っていたのはご存じですか?後に仏教が入ってきましたが、その前までは神の形式でした。

家に神棚はありますか?なぜお祀りするんでしょうか?

 

その島に天降りまして、天の御柱を見立て八尋殿を見立てたまひき。

古事記の国生みにおいて、伊邪那岐(いざなぎ)、伊邪那美(いざなみ)の二神は、おのころ島の真ん中にまず「天の御柱を見立て」ます。

この御柱が暮らしの始まりの場の中心になります。この場の一番象徴的なのは神社、つまり鎮守の森です。

そして、神社の建築様式が家の建て方の思想的な基本。神社ではまず柱を象徴的に奉ります。これが伊勢神宮のご本殿の床下中央にある心の御柱です。また、いにしえの出雲大社は9本の柱で大きな社が立っています。一回り太い木を3本合わせて真ん中に心の御柱を立てる。心の御柱が中心となり、学者の推測では48メートルの高さが可能になるように工夫しました。

 

家の大黒柱という思想もそこにあります。大黒柱とは日本建築の中央部にあって家を支えている柱のこと。最近の家では見なくなっていますが他の柱より太いです。

写真は我が家の大黒柱です。

古民家の大黒柱
古民家の大黒柱

そこには先祖の魂(みたま)が宿ります。春夏秋冬、時間軸が人間として家として文化がつながっていく。自分が死んでも子どもがそれを永遠に受け継いでいきます。その根源は魂(みたま)です。魂(みたま)が働いていく。

暮らしの中で目に見えないいのちの根源の力、これを日本人は魂(みたま)と呼びます。いのちを大切にするということ、まず魂(みたま)を大切にすること。これが形ある世界では柱として表現されているのです。

人間として自分にとって大切なものはやはり、いのちではないでしょうか?

 

このように、暮らしのはじまりに柱を立て、この柱の立つ場が神社の姿になったのが、家にある神棚です。

神棚の真の意味は、天の御柱から出発をした天地自然の中に、自分が人間として健全に生きていくんだ、この天地自然のいのちの御柱から離れて生きていけないんだという目印、目標なのです。

おお麻(ヘンプ)と神棚のある生活
会社の神棚と精麻のしめ縄

 

おお麻(ヘンプ)と神棚のある生活
家庭の神棚と精麻のついた幣

 

改装した古民家の神棚と精麻のしめ縄
改装した古民家の神棚と精麻のしめ縄

その場にあったやり方でお祀りしませんか?(現代の暮らしにフィットした神棚もあります)

 

身を修め家を斉(ととの)えんと思う者は、まず、天照太神の徳を尊び、朝夕拝し奉るべし。(中略)朝夕怠りなく修め勤むるときには、必ず家斉い、身修まるべし。(『神道唯一問答書』)

 

 

参考文献

「みそぎ第十四号」(伯家神道)

「日本人の忘れもの1」中西進著(ウェッジ文庫)

あのとき三木さんからうかがったこと

2019年11月14~15日に予定されている新天皇即位後の大嘗祭(だいじょうさい)に向けて麁服(あらたえ)を調進する阿波忌部直系、三木信夫さん。

私は神社仏閣用麻製品を調製する山川(京都)の山川正彦さん(5代目)らと2015年5月24日に徳島県木屋平の三木家住宅(国の重要文化財)を訪れました。(そのときのことはこちらに書いています)

三木家住宅
入口土間から見たお座敷

そのとき、三木さんからお座敷でうかがった貴重なお話(一部)をご紹介したいと思います。

・麁服の「あら」とは、向こうが透けて見えるという意味がある。

・今上(平成)天皇の大嘗祭に調進した麁服は、群馬県岩島産の種から栽培したもの。(栃木県産の品種、トチギシロも栽培したが繊維が硬かった)

・古語拾遺は、皇室のバイブルになっていると皇室の方が言っている。なぜなら、いろいろことが細かに書かれているから。

三木家住宅
座敷の壁にかかるお額

京都から?と三木さん最初驚かれていましたが、山川さんが麻のしめ縄、鈴緒をつくる職人とわかるといい麻をつくる麻農家さんを紹介くださったり、さらに連絡先を教えてくださったりしました。

三木家住宅前(徳島県木屋平)
東宮山~天行山方面。手前は斎麻畑の跡。

「2004年に4町村合併で『麻植郡』が消滅した。これを後悔する人たちも増えている。兵庫県の篠山市が丹波篠山市への変更を問う住民投票が賛成多数で成立した例もある。麻農業が誇れる文化だと地域住民に浸透していけば、自然と地名を変えようという動きにつながってくるのではないかと期待している」(日本経済新聞記事より、三木さん)

麻の文化や織物の技術を伝承し、再興することが地域活性化につながると思うのは三木さんだけでないと思います。

 

参考文献:

・「古語拾遺」斎部広成撰、西宮一民校注(岩波書店)

・「日本の建国と阿波忌部」林博章著

大嘗祭の麁服(あらたえ)調進準備 三木信夫さん(日本経済新聞)

大嘗祭の麁服調進 徳島・山川町の山崎忌部神社氏子ら、機運盛り上げへ協議会(徳島新聞)

・国指定重要文化財三木家住宅パンフレット(美馬市・美馬市教育委員会)

美術館のミュージアムショップでヘンプの本を見つけ

MIHO MUSEUM

2018年11月、滋賀県信楽にある美術館、MIHO MUSEUMを訪れていたときのこと。

同館レセプション棟のミュージアムショップに本が並んでいたので、どんな本があるのだろう?と見ていると、赤星栄志さんの「ヘンプ読本」が目に飛び込んできました。

食や環境をテーマに取りそろえているようで、他に民藝、手仕事関係や若杉ばあちゃんの本もありました。

考えてみれば、同館は宗教家、岡田茂吉氏(1882~1955)の理想とする悩み苦しみのない世界、「地上天国」実現のために建てられたシンボル。

とりわけ美、自然尊重を重視し、同館の設計は世界的な建築家、イオ・ミン・ペイ氏(1917~2019)で、レストランと喫茶は自然農法で作られた食材のものを提供しています。

MIHO MUSEUM
滋賀・信楽にあるMIHO MUSEUM(2018年11月撮影)

MIHO MUSEUMは有名ではないかもしれませんが、2018年10月にBS11「フランス人がときめいた日本の美術館」で取り上げられたので、ご覧になった方がいらっしゃるのではないでしょうか。

私が訪れたこの日も、放送で語られていた内容を話しながら観賞している人がいました。

その美術館の中にヘンプの本があるのは意外といえば意外、当然といえば当然。〔私は最初ヘンプ(大麻)のことを知ったとき、環境にいいもの、持続可能な社会のための救世主と思ったのですから、きっと思いは同じはず〕

ヘンプ読本
赤星栄志著ヘンプ読本

この本は、最初さぬきいんべのwebページを作成するとき、大いに参考にさせていただきました。(いまも何ヶ所か引用があるでしょ?^^)

10年前、著者の赤星さんが松山市に来られ、「おお麻で地域開発inアジア」という講演をしました。その後、懇親会、二次会。翌日赤星さんが九州へフェリーで渡るということで、主催者と私の3人で八幡浜港まで送ることになりました。

この間に私の運命はヘンプと紐付けられた感じがします。私はその頃、勤めていた会社を退職し進路を考え中でしたから、赤星さんに「ヘンプで何か仕事ないですか?」とたずねました。

そうすると即座に、「インターンシップ」との返答。

そして八幡浜港に向かう途中、愛媛・小田の道の駅で麻の実をつかった郷土料理「いずみや」が販売されているのを見つけたのもこの時ですし、八幡浜港からの帰りに、ここまで来たのだからと、オガラをつかう八幡浜の五反田柱まつり保存会会長に連絡を取って会い、地元の祭りなので地元でできたものを使ってというような話をしました。文字通り、麻ざんまいだったわけです。その後、私はその頃住んでいた高松市へ帰り、創業の準備にかかることに。

しごとプラザ高松に行って起業について相談すると、「創業塾」というのが近々あり、また相談した担当者がどこかで見たと思っていたら、なんとその数年前に起業セミナーで名刺交換したことがある方でした。シンクロニシティですね。

その流れに乗り創業塾、インターンシップを経て、2010年1月に創業。半年で一旦休業(1年ぐらい)、地元愛媛県へ移転して今に至っています。2019年で10年目です。

そんなことですので、MIHO MUSEUMで「ヘンプ読本」と出会ったのは何かお知らせと思うのです。(つぎ訪れたときはヘンプ読本が2冊になっていました!)