2月に書いた記事。ここから一歩踏み出し、「草木染め標準化プロジェクト」を開始いたしました。
世の中のさまざまなサステナブル(持続可能)な社会へ向けた取り組みのように、神様仏様へお捧げするものを自然の循環型へ、化学染料から草木染めに。
私は京都の麻縄職人、山川さんから最初、国産精麻を化学染料で染色するとお聞きし違和感を持っておりました。(貴重な自然素材を循環型でない染料で染める、、早く安くということでこれは長いこと神社仏閣用の慣習になっていたようです。神社仏閣用がそうであるならと正直、それにならっているところがございました)
たとえば神社の拝殿に吊されている鈴緒とか、お寺の場合は鰐口(わにぐち)という鐘のようなものをカンカンと鳴らす鰐口紐といいますが色のつけられたものがございます。
神様(仏様)に捧げるものですので自然素材で循環型のものが本来ではと思います。
2015年春に山川さんを訪問、京都・祇園祭における国産精麻の藍染めの話をうかがってから試し染めしはじめその後、神居 和かざりの藍染め版を製品化。
次に2017年初頭に四国霊場22番札所・平等寺の山門にしめ縄を設置、国産精麻を草木染めした五色の下垂れをつけた話をうかがいこのとき製品化の話はしたものの答えは「No」、しかし昨年8月に京都へおもむき山川さんと話をしたことで藍染めおよび草木染めの話が進んで、本年より国産精麻を草木染めで染色した製品が可能になりました。
待望の草木染め(五色)ができるようになった記念としての先般の神楽鈴(巫女鈴)・国産精麻五色緒付きの名前募集でした。(考案者の方への賞品の神楽鈴、その方が五色緒が草木染め版を選ばれましたのでこのほど草木染め版が誕生いたしました)
できることからはじめませんか?
天然染料を使うことで排水された染料は生分解されるので河川を汚染することはなく、石油系の染料や顔料の場合、身体によくないものがほとんどです。
《化学染料の特長》
安定している、安価である、長期保存できる、色が強い。
《天然染料の特長》
・安全性が高い、環境にやさしい、中間色や微妙なニュアンスの色の堅牢度が高い、薬効がある。
上記の特長はこちらの記事から抜粋しまとめたものですが、化学染料は人間目線なんですね。地球とともに生きていく、環境のことを考えると天然染料に軍配があがります。天然染料から得られるものは色だけでなく、薬効もございます。
業界の標準化は時間がかかると思いますが、少しずつ賛同する人が増え私たちの生活と地球環境が守られ後世に受け継がれますように。
きょう4月22日は地球環境について考える日、アースデイです。(香川県の標高422mの山、讃岐富士の日でもあります)
よろしくお願いいたします。
梅、桜、藤、桔梗、菊、紅葉。日本人は四季それぞれに移り変わる山野の植物の姿を鑑賞して楽しみ、詩や歌に詠んでその心を表わすとともに、自らの衣裳にもこうした美しい色彩を染めて楽しんできた。これが日本の伝統色である。花や樹の色を美しく染め上げるため、植物の花、葉、樹、根などのどこかに潜んでいる色素を採り出して染めてきたのである。
今からおよそ150年前、19世紀の中葉、ヨーロッパを中心に吹き荒れた産業革命の嵐は、それまでの職人衆が自らの肉体とわずかな道具を使って行なっていた仕事を、機械へと変えてしまった。染色では、それまでは植物から色を採っていたのに、石炭のコールタールから、化学的に合成する染料を発明したのである。
日本には明治時代の中頃、文明開化の名のもとにヨーロッパの産業革命の成果が怒濤のように押し寄せてきた。京の堀川の近くに軒を連ねていた染屋も同じで、またたくまに、スプーン一杯の粉で便利に染まる化学染料に変わってしまった。
日本人が飛鳥・天平の昔から江戸時代の終わりまで育んできた、日本の伝統色は失われたのである。〔『自然の色を染める』吉岡幸雄・福田伝士監修(紫紅社)吉岡氏による“はじめに”冒頭より〕
※「草木染め標準化プロジェクト」のリンク先のうち、宮崎朝子氏(天の川工房)の製品は神社仏閣用ではなく、また国産の麻糸(手織りの場合)、生地を用いてはいませんが、自然順応の心で作っていると思われますので本プロジェクトに加えたことをお断りいたします。草木染めの標準化が衣料にも波及していきますように。