神棚の設備ができて、各種の調度品が整えられると、次にはご神前へのお供え物(神饌)の献進となります。
神棚のお供え物は特別の品物が存在するわけではなく、神社のご神前に通常お供えしているような品々が目安になります。
神社の祭祀にあっては、「如在の礼」、「居ますがごとく仕える」といわれるように現実に目の前に神々が存在しておられることを前提として、その神にむかって誠心誠意奉仕することが肝要です。
神饌(しんせん)とは、神々に奉る飲食物の総称で、「御食(みけ)」・「御饌(みけ)」などともいい、俗に「お供え物」ともいわれます。
今日、神社において奉られる一般的な神饌は下記のとおりです。
和稲(にぎしね)・・・もみ殻を取り去り精米した米(玄米も含む)や洗米、飯、粥など。
荒稲(あらしね)・・・もみ殻を取り去らない稲実、もみ。(稲穂のまま献ずることもある)
酒・・・主として清酒。醴酒(れいしゅ)(あまざけ・ひとよざけ)などもある。
餅・・・鏡餅(お供え)や小判型の伸し餅、伸し餅を小切りにして数枚を重ねたものなど。
海魚・・・鯛・カツオ・スズキ・ブリなどや、エビやアワビなどの貝類。
川魚・・・コイ・アユなど。
野鳥・・・キジ・山鳥など。
水鳥・・・カモ・雁など。
海菜・・・昆布・荒布(あらめ)・ワカメ・海苔などで、多くは乾燥させたもの。
野菜・・・甘菜(ゴボウ・ニンジン・かぶら・白菜・きゅうり・ナス・かぼちゃ・芋類など)と辛菜(大根・ワサビ・ショウガなど)や百合根・キノコ類など。
果物・・・干果物(勝ち栗・干し柿など)や生果実(ナシ・ミカン・ビワ・リンゴ・ブドウ・ザクロ・ナツメ・各種木の実など)。
菓子・・・古来の唐菓子などをはじめ、落雁などの打ち菓子類など。
塩
水
神棚に奉斎された神々に対する神饌も、基本的にはこれらの神饌に準じ、神社のご神前ほど広くない神棚の場合、これらの品目のなかから適宜の品々を奉献すればよいと思います。
三方や高坏(たかつき)などに盛り付け(必要に応じて精麻でしばることがあります)、神社ではご神前に献ずる前に神饌にケガレのあることを恐れて必ず祓いを修していることから、神棚の神饌の取扱いもできる限り「清浄」を心がけたいものです。
・参考文献
「家庭の祭祀事典」西牟田崇生著(国書刊行会)