全国でも珍しい「神様終焉の地」、愛媛・大洲の少彦名神社に国産麻のしめ縄奉納へ

愛媛県大洲市の梁瀬山(やなせやま)に鎮座にする少彦名神社は、日本神話に登場する少彦名命(すくなひこなのみこと)の終焉とされる地を崇敬されるために建立された神社です。

このたび、この少彦名神社に国産精麻のしめ縄奉納へ向け、基金の募集がはじまりました。

しめ縄の素材は、ワラや麻、マコモ、い草など地域によってさまざまですが、なかでも最も神聖であり清浄な結界縄が、麻製のしめ縄とされます。

呼びかけているのは、一般社団法人縄文庄(愛媛県大洲市、以下、縄文庄)で、基金いただいた方は縄文庄一般会員として登録、しめ縄奉納の際には名前を納めさせていただくそうです。

基金のお申し込みは、一口5000円~。090-9678-8880(担当:福泉)へSMS(ショートメッセージ)にてご連絡ください。

「少彦名命」は「おすくな様」ともよばれ、『出雲国風土記』によると、「大国主命(おおくにぬしのみこと)」と一緒に日本の国造をした格式高い神である。国土建設、病気平癒、産業振興をつかさどったとされ、土木建設業、医薬業、醸造業をはじめ、農業、漁業や商業全般の紙として全国に祀られている。道後温泉を発見した後、肱川に沿って南下する渡河中に亡くなり常世の国に旅立ったとされる。その亡骸を埋葬したのが現在の梁瀬山と言われており、この少彦名神社は全国でも珍しい「神様終焉の地」として建立された。(少彦名神社とおすくな社中ホームページより)

縄文庄としては、少彦名神社の元、この少彦名命の御陵とされる場所に祀られている祠にしめ縄を奉納する考え。

なお、少彦名神社の参籠殿(さんろうでん)は、京都・清水寺や奈良・長谷寺にみられる日本独特の建築様式「懸け造り」の建物で、1934(昭和9)年に建立されましたが、老朽化が激しいため、有志グループ「おすくな社中」が修復を計画、アメリカのワールド・モニュメント財団(WMF)の2014「世界危機遺産リスト」認定を受け、2015(平成27)年に竣工しました。

三方懸けの他に類を見ないとても貴重な建物で、この修復活動は、ユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞の2016年最優秀賞を受賞しています。

 

 

縄文庄は今後、豊かな自然環境のなかで創造的なくらしをする拠点づくりとネットワーク、自然農法(自然栽培)や麻栽培農業を推進するとともに、国産精麻のしめ縄、鈴緒など各種神具を奉納していくとのこと。

なぜ、日本で米が不足しているのか?

農薬や化学肥料は身体に害があるのでは?

愛媛県八幡浜市で毎年8月14日夜におこなわれている四国唯一の火祭り、五反田柱祭り(県の無形民俗文化財指定)では松明(オガラ)がつかわれますが、2007年ごろまで大洲市で栽培、生産されたものがつかわれていました。

このような動きが全国に広まっていくと、世の中が変わっていくと思います。

ちなみに、大洲市は昔ながらの町並みなどの歴史的建造物を活用したまちづくりに力を入れており、持続可能な観光の国際認証団体である「グリーン・デスティネーションズ」(オランダ)が認証する「世界の持続可能な観光地アワード」(2024年)にて、香川県小豆島とならんで四国で初めてシルバーアワードを受賞しています。

「えひめ麻再興プロジェクト(Ehime Hemp Revival Project)」~自然農法と精麻づくり~

2020年より、四国の麻農家が1軒もなくなっている(徳島・木屋平の三木家をのぞく)ことから、四国の麻栽培を願うキャンペーンをつづけてまいりました。

そして昨年、麻栽培を目指すため、愛媛県の伊予市の後援で「自然マルシェ」、11月に「日本麻文化フォーラム」が開催されました。

その過程で、無肥料・無農薬、いわゆる自然栽培、自然農法で麻を栽培し、神事でつかう麻、いわゆる精麻をつくることができるかを考えておりました。

オガラ、種等も自然農法で可能性が広がります。

何度もお伝えしていますように、愛媛県八幡浜市にて毎年8月14日夜におこなわれている四国唯一の火祭り、「五反田柱祭り」(県指定の無形民俗文化財)でつかわれるオガラ用に、お隣の大洲市で2007年ごろまで麻が栽培されていました。

自然農法を長年実施されている方や麻農家とも話し、道筋が見えましたので、「えひめ麻再興プロジェクト(Ehime Hemp Revival Project)」~自然農法と精麻づくり~ということでチャレンジして参りたいと思います。

なお、愛媛県の県名、「えひめ」は、古事記に登場する神様、愛比売命(えひめのみこと)に由来します。

古事記に登場する女神・愛比売命の名を継ぐ、神聖なる麻=「えひめ麻」です。

現在、国内の精麻の最大の産地は、栃木県です。そして、三重県産の精麻が一部の神社や個人向けにつかわれている状況です(「伊勢麻」という名前から誤解されやすいですが、こちらに書いているように伊勢神宮では使われていません)。連作は3年が限度といわれていますが、本当でしょうか?

私たちの想いは、日本の精麻文化を未来へつなぐことです。その灯が消えてしまった麻の文化を再びこの地によみがえらせて、再興の風を四国から日本全国に吹かせたいと願っております。

自然農法で精麻をつくる意義

・土を汚さずに、持続可能。(土本来の力を活かす)
・自然の循環のなかで育つ。無農薬・無肥料で繊維がとても清浄。
・祈りの農。古来の神聖な使い方にふさわしい「氣」のこもった素材。

そして、自然農法でつくるから、機械でひく精麻ではなく、手びきの精麻にこだわります。

キーワードは、自然栽培、自然農法、清浄な土壌、在来種(自家採種)、連作、種の保存(シードバンク)、四国ブランドの麻製品、それから麻農家、職人が増えていくことです。

まず、大洲市で2007年ごろまで麻の栽培がされていた上記の場所が昨年ようやくわかり、特定されました。

本年3月、自然農法のイベントが西条市で開催され、愛媛県内はじめ、香川、徳島、高知から330名ほど来場、盛況でした。

4月より、数少ない麻縄職人に待望の新人が加わり、日々まじめにがんばっています。

5月、一般社団法人縄文庄により麻のイベントが大洲市の少彦名神社にて開催され、地元の愛媛はじめ、香川、高知、岡山、愛知、東京から集まりました。大洲市は古い町並みや歴史的建造物を活用したまちづくりに取り組んでおり、「持続可能な観光地・世界一(2023年/オランダの国際認証団体より)」に選ばれています。

進捗をここに書いてまいります。

 

肥毒もて 穢れに穢れし日の本の 国土浄むる業(わざ)ぞ尊き

 

自然農法の根本は、土そのものを生かす事である。土を生かすという事は、土壌に人為肥料の如き不純物を用いずどこ迄も清浄を保つのである。そうすれば土壌は邪魔物がないから、本来の性能を充分発揮できる。(栄光 第七十九号 昭和二五年十一月二十二日発行)

 

『何故連作がよいかというと、土壌は作物の種類によって、その作物に適応すべき性能が自然に出来る。これも人間に譬(たと)えればよく分る。労働すれば筋肉が発達し、常に頭脳を使う作家の如きは頭脳が発達する。又人間が年中職業を変えたり居所を転々すると成功しないのと同様の理で、今日迄如何に間違っていたかが分るであろう。』(栄光 第七十九号 昭和二五年十一月二十二日発行)

プロジェクトに協賛し、合計1万円以上お求めの方に神社仏閣用の麻製品を調製する創業120年以上、京都・山川製の下記のオリジナル国産精麻アクセサリーをプレゼント中です。(期間延長し、2025年7月15日まで)

国産大麻(精麻)アクセサリー(京都・山川製)非売品
国産大麻(精麻)アクセサリー(京都・山川製)非売品

ある神道関連物の製作の余材がたまたまでき、それを生かすべく1つひとつ手仕事により生まれました。きなりと濃紺のツートンが特徴です。

身につけたりバッグにつけたり、神具として使用したりいただければと存じます。

 

三たび、三人寄れば文殊の知恵。愛媛・八幡浜で「五反田柱祭り」

8月14日、愛媛・八幡浜の王子の森公園で五反田柱祭り(愛媛県指定無形民俗文化財)がおこなわれました。1月から麻栽培について話をしている3人で行ってまいりました。

19時半から神事。

厳かな神事の様子
厳かな神事の様子

その後、市長はじめ来賓の方のごあいさつ、選手約30人の入場があり、20時ごろより祭りがはじまりました。

約1メートルの縄を結びつけたたいまつのオガラ(大麻の表面の皮を剥いた茎部分)を選手が高さ約20メートルの柱の頂上のカゴめがけて放り投げていきます。

たき火でたいまつ(オガラ)に点火
たき火で縄を結んだたいまつ(オガラ)に点火

囃子の太鼓が鳴り響くなか何度も何度も投げますが、20メートルの高さまで届くものは数えるぐらいでなかなか入りません。ときどき「おしい!」とアナウンス、観客の歓声、子どもたちの「がんばれ、がんばれ」という声援がつづきます。

5分間の休憩を2回挟んだのち、開始から約1時間後に地元高校のレスリング部顧問の先生が見事、投げ入れに成功。頂上のカゴが燃えはじめ、花火が上がりました。

カゴに火がつき、祭りが終了
カゴに火がつき、祭りが終了

今から約400年前、戦国時代に八幡浜市内の元城主(現・五反田)と萩森城主(現・大平)の合戦が起こりました。
その際、元城主の客分で修験者の金剛院円海は、たいまつを持って元城に助けに入ろうとしましたが、味方に敵と間違えられ射られてしまったそうです。
 その後、五反田地域に疫病がまん延した際に、「これは悲惨な最期を迎えた円海の祟りである」とされ、金剛院の鎮魂供養のためはじめられたとされるのが柱祭りです。(※由来などは諸説あり)(広報やわたはま2022年9月号より)

 

2007年ごろまで隣の大洲市でこの祭り(オガラ)のために大麻が栽培されていたと聞き、保存会の会長を仲間とともにたずねたのが15年前。

当時の光景が脳裏に浮かびました。

この祭りがおこなわれている八幡浜(やわたはま)は、愛媛県史によると、『愛媛面影』には「八はた浜なる小高き岡上に立せり、此神社あるによりて浜の名におほせたるなるべし」とあり、717(養老元)年の鎮座と伝えられる八幡宮が地名の起源です。八幡大神(応神天皇、誉田別尊)のお働きでしょうか?

こうした火祭りは、岐阜県安八郡神戸町(ごうどちょう)の「神戸の火祭り」(岐阜県指定重要無形民俗文化財)、長野県野沢温泉村の「野沢温泉の道祖神祭り」(国指定無形民俗文化財)、奈良県生駒市の「往馬坐伊古麻都比古神社(いこまにいますいこまつひこじんじゃ)の火祭り」(奈良県指定無形民俗文化財)などがよく知られています。

 

お盆の心地よい夜風のなか、地元の方を主とする観客、参加者、支援者、いい祭りだなと思いながら、帰路につきました。

引きつづき、四国の麻栽培再生を願うキャンペーンpart3(再)を継続中です。

また、11月17日、日本「麻」文化フォーラムが開催予定、出店者も募集中です。

8月14日は四国唯一の火祭り、愛媛・八幡浜の五反田柱祭りに注目

お盆といえば、迎え火・送り火等でつかわれるオガラ(麻幹)。

オガラといえば、愛媛県八幡浜市の五反田柱祭り(愛媛県指定無形民俗文化財)。

この祭りは、毎年8月14日、同市五反田地区で無病息災や五穀豊穣を願うお盆の伝統行事として開催されている四国唯一の火祭りです。

約400年前、戦国時代に敵と間違えて矢を射られた修験者の霊を供養するためにはじまったとされます。

長さ20メートルの柱の先端にカゴが取り付けられ、このカゴをめがけてオガラ製の松明(たいまつ)を投げ込み点火します。

柱祭りのルールは、「松明を投げ、柱の頂上のカゴに火をつける」というもの。

ただし、柱の高さが20メートル(ビル7階の高さ)でその高さまで松明を投げるのは簡単ではなく、なかなか火がつきません。(見事、頂上のカゴに火をつけた選手がその年の優勝者です)

 

五反田柱祭り保存会の会長によると、神事が19時半から、祭りが20時からはじまります。祭りへの飛び入り参加も可能だそうです。

ちなみに、2007年頃までこの祭りのために隣の大洲市で大麻が栽培されていたと聞きます。

この伝統行事への関わり方は人それぞれ。

参加者として、支援者として、観客として、、1人ひとりの思いが伝統を未来へつないでいきます。

引きつづいて、四国の麻栽培再生を願うキャンペーンpart3(再)を継続中です。

 

 

・参考文献

「広報やわたはま」2022年9月号