そうだったのか。日本の伝統文化としての大麻(あさ)についておさらい

一番古い大麻の痕跡は、縄文草創期(約1万年前)の鳥浜貝塚(福井県)から麻縄が見つかっており、縄文前期(約5500年前)の地層からも麻縄、編み物、種子も発見されています。

大麻の名は明治時代以降、外来種と区別するためで、江戸時代以前はアサ、またはオ(ヲ)と呼ばれていました。

ここで、日本の伝統文化としての大麻(あさ)についてまとめます。

現在では、下記のようなものに使われています。

・神社のしめ縄鈴緒大幣(大麻)

神道では大麻は神様の印、神の依り代であり、ケガレを祓う神聖な植物とされています。しめ縄や鈴緒、お祓い時に使用する大幣などに利用されています。

国産大麻(精麻)の鈴緒
国産大麻(精麻)の鈴緒

・相撲で横綱が締める綱(横綱)

相撲の土俵入りの際に横綱がつける綱(横綱)は、麻で作られています。横綱はしめ縄の一種で、それを締めることを許された横綱は、肉体的に特別な力が宿るものと解釈されます。

横綱をそのまま小型化した「国産大麻(精麻)・ミニチュア横綱(雲竜型)」
横綱をそのまま小型化した「国産大麻(精麻)・ミニチュア横綱(雲竜型)」

・七味唐辛子

麻の実として中に入っており、「麻の実」「生唐辛子」「炒り唐辛子」「芥子の実」「粉山椒」「黒胡麻」「陳皮(みかんの皮)」を組み合わせるので「七味」と呼ばれています。

・松明(たいまつ)

火祭りの松明としてオガラ(皮をはいだ大麻の木質部)が利用されます。岐阜県の神戸山王まつりなどが有名です。

・お盆の送り火、迎え火

お盆の迎え火と送り火の松明としてオガラを用います。また、ナスやキュウリで作った精霊馬の足にオガラを使用します。

・カイロ用の灰

オガラを蒸し焼きにしたものがカイロ灰の原料となりました。使い捨てカイロの出現により現在ではその生産は皆無に等しいです。

・花火の助燃剤

着火が早い麻の炭を花火用の火薬に混ぜて使用することで爆発力が増し、大きな花火を作れます。

・蚊帳(かや)

繊維がもつ強さと、通気や吸湿性に優れているため、大麻が用いられます。

・畳の表地(畳表)の経糸

麻の畳糸を見る機会は少なくなりましたが、文化財級の建物の畳を復元する際に麻の糸が使われることがあります。(収穫した大麻を熱湯で煮てから皮を剥いで乾燥させた皮麻が畳の経糸の原料となります)

・漁網や釣り糸

今日では麻から漁網や釣り糸を作ることはほとんどありませんが、江戸時代や明治時代には漁場で使用されました。

・下駄の鼻緒

下駄の鼻緒の芯縄は、ナイロンなど化学繊維で代用されていますが、高級下駄の芯縄には、現在も麻が使用されています。栃木県日光市でつくられている日光下駄は、竹皮で編んだ草履表は麻で台に縫いつけています。

・建材

茅葺きの屋根材としてオガラが用いられます。軽くて丈夫なことから重宝されました。

・織物

滋賀県の愛知郡一帯は近江上布の生産地として知られています。精麻から麻糸を作る工程はオウミ(麻績み)と呼ばれ、主に女性の手で行われます。糸は糸車で撚りをかけ、整経した後、機織り機で布に織られます。奈良県で生産されている奈良晒の一部にも麻が使用されています。(福井県、石川県、富山県など北陸各県で作られていた麻織物の一部に麻が使用されました)

伝統や格式を重んじる世界では大麻が用いられることが多く、天皇の践祚大嘗祭の麁服(あらたえ)や神御衣(かんみそ)の荒妙などは大麻で作られています。

手績みされた大麻糸
手績みされた大麻糸

・麻の葉模様

伝統的な和柄として人気のある「麻の葉模様」。赤ちゃんの産着から歌舞伎の衣裳、建具の組子細工や東京スカイツリーの天井まで、日本列島に住む私たちが日々の暮らしに取り入れてきた大麻由来のデザインです。

・麻紙

麻引きの際にできる繊維のカスが麻垢(おあか)で繊維分が多く含まれることから紙の原料となります。大麻繊維の紙づくりは、繊維が硬いため、漉く前にていねいにたたいてやわらかくする叩解という工程が大事だそうです。

・弓弦

麻の中でも強靱力に優れ、最も高い品質のものが用いられます。

・手綱や命綱

馬の手綱に使われる他、命綱の強い繊維を必要とする部分に麻が用いられています。マニラ麻などの硬質繊維に比べ、手ざわりがよく、しなやかです。

綱やロープ

神社の鈴緒、お寺の鰐口紐、太鼓や鼓をしばる紐(調べ緒)、能や神楽面の紐、山車用の引き綱などを職人が製作しています。伝統的な音や形状、感触、精神性を求める上で麻は欠かせません。

・凧糸

浜松市や新潟市、相模原市、春日部市などで行われている大凧上げ用に使用されています。麻の繊維の強さと、硬すぎず柔らかすぎずの感触がほかの繊維で表現できないからと思われます。

・結納の友白髪

結納品の1つ「友白髪」に大麻の繊維が使われています。新郎新婦が白い大麻の繊維のように、共に白髪になるまで仲良くするという込め、新郎側から新婦側へ送られます。

・麻種

麻の種子は油に加工されます。また鳥のエサや食用(郷土料理を含む)として利用されます。

 

 

・参考文献

「地域資源を活かす 生活工芸双書 大麻あさ」倉井耕一・赤星栄志・篠﨑茂雄・平野哲也・大森芳紀・橋本智著(農山漁村文化協会)

「大麻という農作物」大麻博物館著(大麻博物館)

大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案の概要(厚生労働省)

 

 

 

国産大麻(精麻)のしめ縄で清々しい2023年を!超早期ご予約のご案内

本年も、2023年用しめ縄の超早期ご予約の受付を開始いたしました。

※超早期ご予約の受付を終了いたしました。多数ご予約ありがとうございます。2022年11月22日追記

好評の美しいしめ縄(大根型、牛蒡型)、神居和かざり《きなり》のいずれも紙垂付き(紙垂をご自分でつけられる方は説明を作成しております。こちらを参考にしてください)は、しめ縄は1つひとつ縄目がちがいますが、職人がバランスをみて紙垂を取り付けさせていただきます。また、本年は世界の安寧を願って神居 和かざりのざくろ版が加わりました。(さらに神社の拝殿用の鈴緒寺社仏閣用の鰐口紐もできるようになっております。神社やお寺の用途はもちろん、ディスプレイ用等にいかがでしょうか?)

超早期ご予約の特典として、本体価格5%OFF、ならびに1886(明治19)年創業、神社仏閣用麻製品を調整しつづけている京都・山川製のオリジナル国産精麻アクセサリー《リボン風》藍染め、茜染め&ざくろ染め版のいずれかお1つをプレゼントさせていただきます。(精麻は極上国産、藍染め、草木染めは徳島でおこなっております)※染め(色)のご希望を承ります。ご予約注文時に「備考欄」へご記入する等お申し出ください。本特典は2023年年頭、立春までにお届け予定。(特典のプレゼントを何らかの理由で辞退される方も遠慮なくおっしゃってください)本特典は、2022年11月18日ご予約分まで。

京都・山川製オリジナル国産精麻アクセサリー《リボン風》
京都・山川製オリジナル国産精麻アクセサリー《リボン風》

 

お届けは2022年12月15日頃から順次発送予定です。日時指定も承ります。(自然のリズムを意識し冬至、旧暦の新年に合わせるのもおすすめです)

また、こんなしめ縄または鈴緒ができませんか?というご要望も歓迎です。

《現在のご予約状況》

しめ縄太さ6ミリ×長さ19センチ(紙垂付き)、太さ15ミリ×長さ145センチ(紙垂付き)、太さ5ミリ×長さ5メートル(紙垂付き)、大根型太さ1寸×2.5尺(紙垂付き)、同太さ8分×長さ2尺(紙垂付き)、同太さ6分×長さ1.5尺(紙垂付き)、牛蒡型8分×2尺(紙垂付き)、同太さ6分×1.5尺、神居 和かざり(紙垂付き)など。2022年10月19日現在。

ご予約誠にありがとうございます。

しめ縄の超早期ご予約専用ページ

神社の拝殿用の鈴緒ご注文ページ

寺社仏閣用の鰐口紐(鐘緒)ご注文ページ

※お電話、FAX、メールでのご注文も承っております。これだけのしめ縄、鈴緒(数量)をこのくらいの時期にという「仮予約」も受付させていただいております。

日本の文化として昔から大切につかわれてきた麻。国産大麻(精麻)のしめ縄、鈴緒で清々しい新年を迎えませんか。

神社やお寺で麻は「神聖なもの」、「穢れを祓う」、「神の依り代となる」などとされています。例えば、お供物を麻で結んだり、神職の方々の冠に麻を巻いたり、お祓いの際の道具(祓串)に麻が使われていたりと、現在でも様々なところで大変重用されています。

そういった理由から神社仏閣の鈴緒・鰐口紐や注連縄には麻が使われており、別の素材ではその意義や効果が失われてしまうのです。(明治19年創業 神社仏閣用麻製品調整 株式会社山川パンフレットより)

 

さぬきいんべでは、すべて切り火をしてお送りさせていただきます。

「火は日であり、さらに霊(ひ)であって誠に尊い霊妙(人間では計りしれませぬ不思議なこと)なものでございますと教わりました。」(元内掌典・髙谷朝子)

精麻飾り(しめ縄リース)ワークショップが今治ホホホ座で開催されました

2021年7月からはじまりましたはぐくみの木IKUKO先生主催の精麻飾りワークショップ。

12月は西條神社(西条市)、今治ホホホ座(今治市)、もにこど2(伊予市)の3ヶ所開催、そのうちの今治ホホホ座会場へお手伝いに行ってまいりました。

今回はお正月用のしめ縄リースをつくります。

しめ縄の見本と素材用の貴重な稲穂
しめ縄の見本と素材用の無肥料無農薬栽培の貴重な稲穂

今回は、西条市の山間部、棚田のほとんどが耕作放棄地となった千町(せんじょう)地区「再生プロジェクト」の棚田にて無肥料無農薬栽培された稲穂と稲わらを特別に分けていただき、稲穂をつけたものや稲わらで撚ったしめ縄も可能に。

まず目を閉じて先生の誘導に合わせ呼吸を整えます。

次に見本をみて、皆さんどんなものをつくるかイメージ。

お好みで、ある人は稲わら2本と精麻1本の3本撚り、ある人は精麻の3本撚りをつくっていきます。この稲穂は美しいからと思いますが、参加者全員が稲穂をつけていました。

稲わらと精麻の3本撚りリースに稲穂をつけて
稲わらと精麻の3本撚りリースに稲穂をつけて
精麻の3本撚りリースに稲穂
精麻の3本撚りリースに稲穂

さらに水引をつけ、お正月らしさを出す方もいらっしゃいました。(水引は簡単に取り外せ、しめ縄はその後も使用することができる仕様)

できあがったしめ縄に水引をつけて
できあがったしめ縄(稲わらと精麻)に水引をつけて

会場はライブハウスのように使用することもある場所で、この2日前にはダンスの講師と精麻飾りの講師によるコラボワークショップが実現、参加者は精麻を持って踊ったそうです。参加者の1人いわく「五感すべてを使って精麻を体験できた気がしました」と。(ワークショップの写真を見せていただいたところかなり楽しそう)このような感想が2022年以降どんな風に発展していくのか楽しみです。

 

本年は以前から思っていた買う人ばかり増やすのではなく手仕事そのものを活性化させようと2月に麻縄活用コンテスト開催を打ち出し、その流れで、はぐくみの木IKUKO先生から精麻飾りワークショップを開催するため麻のお話をしてほしいとお声がけをいただきトントンと話が進んで7月に初開催となりました。

たまたま3月と4月にClubhouseで麻についてのお話をしていたことも後で考えるとそのための準備だったのかと思います。

2015年からお世話になっています神社仏閣用の麻製品を調製する京都・山川は現在5代目ですが、6代目(候補も)は今いらっしゃいません。そのことを最初のころ、また最近も5代目より直接お聞きしていましたので、職人の家系に生まれていることを私は活かそうと上記のチャレンジに結果として至ったしだいです。

微力ですが、なにか変わっていくきっかけになれば幸いに思います。

なぜ、日本の麻文化を守る、次世代へつなぎたいと思うか?

タイトルの答え、結論からいいますと、「日本の麻文化がなくなると、日本が日本でなくなってしまうから」と思うからです。

神道では、おお麻が使われています。何のために使われるか、清浄にするため、清浄を保つために、祓串で祓ったり、麻ヒモを結んだり、麻のしめ縄を掛けたりします。

この清浄にする、きれいにする、きれいになるというのが神道の根本にあり、これが日本人の価値観で、それに使われるのが、おお麻であると。

地域の祭りも神社、氏子があってこそです。

それから、日本人の名前として、麻里、麻央、麻理恵など、麻は成長が早くスクスク育つことからそれにあやかってつけられていると思いますし、名字に大麻(おおあさ)さんとか、麻植(おえ)さんがいらっしゃるのも麻にまつわるものと思います。

地名に、麻生、朝(麻)生田町、大麻町、麻、麻植などあるのもその地域が昔、麻に関わった痕跡と思われます。その歴史は古く、1万2千年前に麻の繊維が見つかっているところがあります。歴史がとにかく古いです。これらがそのままなくなってしまうとそれは日本ではなくなってしまうと私は思います。

2万軒以上あった麻農家が戦後、大麻取締法制定されてからしだいに減って、現在30軒あまりになり、栽培面積は10ヘクタール以下になっているのはそのまま日本の文化が縮小していっていることだと思います。

近年、伝統工芸、民藝、手仕事などが再評価されるなか、日本の麻文化、おお麻文化も需要がさらに高まっています。日本の麻文化を取り戻し、発展させ、後世に受け継ぐそれができればと思います。(特に、私は四国に生まれ麻に縁の深い四国にお世話になりましたので、四国の麻栽培を再生させることに注力したいです)

国産大麻(精麻)しめ縄&ミドル鈴緒で清々しい新年を!早期ご予約案内

本年もあと3ヶ月になりました。しめ縄&ミドル鈴緒の早期ご予約の受付を開始いたしました。

今年はしめ縄(大根型、牛蒡型)、神居和かざり《きなり》に紙垂付きが加わりました。(紙垂をご自分でつけられる方は説明を作成しております。こちらを参考にしてください)

特典として、極上国産精麻1本、とあわせまして四国の麻栽培復活を願うキャンペーンの「あわむすび」(なくなり次第終了)をプレゼントさせていただきます。※先にご予約いただいている方もプレゼント対象になります。

お届けは2020年12月20日頃から順次発送予定です。日時指定も承ります。

また、こんなのしめ縄または鈴緒ができないかというご要望も歓迎です。※現在のところ、webページでご紹介しているものでは紙垂付きが人気、それ以外では神居和かざり《きなり》の前垂れ無し、大根型しめ縄の長さ3尺等のご予約をいただいております。他にも鼓胴型しめ縄、井戸用のしめ縄のご注文をいただきました。ありがとうございます! (こちらの麻縄に紙垂をつけるのもおすすめです)11月20日追記

しめ縄&ミドル鈴緒の早期ご予約専用ページ 早期ご予約受付を終了いたしました。多数のご予約ありがとうございました!

※お電話、FAX、メールでのご注文も承っております。

日本の文化、はるか縄文の昔から大切に、また地名や人名にも使用されてきた麻。国産大麻(精麻)のしめ縄、ミドル鈴緒で清々しい新年を迎えましょう。

さぬきいんべでは、すべて切り火をしてお送りさせていただきます。

「火は日であり、さらに霊(ひ)であって誠に尊い霊妙(人間では計りしれませぬ不思議なこと)なものでございますと教わりました。」(元内掌典・髙谷朝子)

【復習】神棚のまつり方

愛媛民芸館で開催中の「子の干支展と正月飾り展」を見てきました。2020年の干支、ねずみの郷土玩具のほか、しめ飾り、紙垂、お神楽に使われる切り絵、ミキノクチ(神酒口)など新年らしい神様を感じる展示でした(この展示は2020年1月31日まで)。

さて、新しい神棚で新しい年を迎える方もいらっしゃるのではないかと思います。暮れまでには新しいお神礼を受けて輝かしい新年を迎えましょう。

復習がてら下記に書きました。

○神棚の場所

南または東向きの明るい所で、目線より上の位置に取り付けます。(ただ、単に条件に合った場所に設置すればよいというわけでなく、一番大切なのは神様を大切に思う心、日々の暮らしに感謝する心ではないかと思います)

神棚は、社殿の造りをした伝統的な宮形の他、壁掛け式や洋室向けなど種類がありますので環境に合ったものをお選びください。

○お神札のまつり方

中央に神宮大麻、向かって右側に氏神様、左側に崇敬神社(地元の氏神様以外に信仰する神社)のお神札を、重ねておまつりする場合は、神宮大麻を一番手前に、そのうしろに氏神様、次に崇敬神社のお神札をおまつりします。

もし神棚がなければ、タンスや戸棚の上をきれいにしてまつってもいいです。

○お供えするもの

毎日お供えするものは米、塩、水が一般的です。氏神様のお祭りなどの時にはお酒や尾頭付きの魚、野菜、果物、また四季の初物やいただきものなどをお供えします。

ちなみに、神棚と外を隔てるためにしめ縄を一番手前の上方に設置するのがおすすめです。

○神拝のしかた

神社の参拝と同じように、二拝二拍手一拝(神前で二度拝礼して二度拍手を打ち、さらに一度拝礼)をおこないます。

 

絶対にこうでなければならないというものではありません。例えば、ある家ではお神札が氏神様だけとか、お供えは水だけの場合もあると思います。人によっては鈴緒を設置したり、祓串でお祓いする方もいらっしゃると思います。ただ、神棚は家の中でもっとも神聖な場所ですから、清潔にし心をこめておまつりします。

ご家庭によっては恵比須様、大黒様、荒神様、田の神様、歳徳神様などもおまつりする方もいらっしゃると思いますが上述に準じます。

自分んちの神棚が普通と思っているかもしれませんが、他の家の神棚を見るとこんなおまつりのしかた方が!という風になるかと思います(今までいろいろみてきた中での想像)。あるお客様にたずねてみると、小さな鳥居に国産精麻のしめ縄をつけて神棚風に祭壇をおまつりしているとのことです。奉斎の際に神社の神主さんをお呼びするからと、それに間に合うようにしめ縄をと注文いただいたこともあります。

出向いていろいろな神棚を見てみてみたいです。(^^)

 

 

・参考文献

「家庭の祭祀事典」西牟田崇生著(国書刊行会)

「氏神さまと神宮大麻」(神社本庁発行)

年末年始を迎えるにあたり心得ておきたいこと

ホームセンターで「新しい神棚で新年を」というポップとともに神棚関係の棚を見かけました。最近は今風の神棚(壁掛け式)があるんですね。

古い家だと伝統的な神棚が合うでしょうけど、洋間の多い現代の家なら今風に作られたものが合うと思います。

年末年始を迎えるにあたって、3つお伝えしておきます。

まず第一に、毎年しめ縄の注文をいただく方がいらっしゃいます。今年はご希望の方に年内にきちんと届くようにということで、国産大麻(精麻)しめ縄&鈴緒年内お届けご予約ページを開設しております。

例年ですと12月初旬までにご予約いただければ年内のお届けが可能です。(諸般の都合その他の事情によりご予約締め切りの時期が早まる場合があります。その際はご容赦ください)上記のご予約は終了しました。年内お届けできるのは在庫の数量だけです。ご了承ください。(12月11日追記)

2つ目。「しめ縄は毎年変えた方がいいですか?」とお問合せいただくこともあります。

答えは否。ご予算などに応じて新しくしたらと思います。スーパーで売られているような市販のしめ縄、しめ飾りなら躊躇ないとは思いますが、国産精麻、あるいは稲わら製の職人の手仕事でできたしめ縄は大切に使いたくなる人も多いのではないでしょうか。

氏子からしめ縄や鈴緒が奉納されている神社では毎年変えてないところも多いです〔それでもすす払い(家庭でいう大掃除)をし紙垂を新しくしたりして新年を迎えているところが多数〕。

ちなみにしめ縄、鈴緒を民芸とみるなら、使っていく中での素材の変化にも目を向けて楽しんで、あるいは使用後はお焚き上げせずに大切にしまっておくのもありかもしれません。濱田庄司氏(1894~1978年)はよく「作ったところで半分だ。そこから先は使い手が作る。だから、使うことも創作だ。」と話しておられたようです。例えば新しい青い竹かごが使っているうちにアメ色になるとかありますが、そのへんの判断は各自にお任せいたします。

もし、迷うようなことがありましたら、心の声を聞いてみるといいと思います。心がイエスと言った方、心が明るくなった方、心が軽くなった方を選ぶのをおすすめします。

 

3つ目はその根本にある理由です。

日本の神道は黄泉(よみ)の国から帰った伊邪那岐命(いざなぎのみこと)の禊ぎにみられるように「きれいになる」、また「再生」を尊ぶという、言わば「新生」する精神があります。これに付随し、黄泉の国から帰ることを意味するよみがえり(黄泉がえり)という言葉もあります。

また常若(とこわか)といういつも若々しいさまをいう言葉もあります。前述のすす払いや大掃除、お神札、しめ縄などを1年毎に納めて新しくする背後にはこういう意味合いがあります。

なお、使い終わったものは、社寺の境内等で家庭の門松やしめ飾りなどを一緒にはやす(燃やす)正月の伝統行事、どんど焼き(左義長、とうどうさん、地域によって呼び名がちがう)へ。そこで1年の無病息災を祈りましょう!

そう、年越しの大祓も忘れずに。日々の生活の中で気づかないうちに生み出した目に見えない罪穢れをすべて祓い清めて新しい年を迎えます。

新年は1年で一番神様を感じる時ではないでしょうか。その新年を迎える前と、迎えた後。伝統行事は1年を健やかに過ごす先人の知恵です。いい年末年始を迎えるために気をつけたらと思うことを書いてみました。

三ツ木八幡神社神麻しめ縄奉納レポート

天皇即位にともない2019年11月14~15日に予定されている践祚大嘗祭では、新穀とともに阿波の麻織物・麁服(あらたえ)と三河の絹織物・繪服(にぎたえ)が神座にまつられ、五穀豊穣を祈ります。

3月31日、徳島県木屋平の三ツ木八幡神社にてNPO法人神麻注連縄奉納有志の会(安間信裕代表)による神麻しめ縄奉納が行われました。

阿波忌部氏の直系、御殿人(みあらかんど)である三木家において麁服の調進準備があるのでこの日が選ばれた由。

安間さんによると、平成の大嘗祭に際し抜麻を安置して糸績みの初紡ぎ式までをこちらの神社で行ったそう。

今回奉納したのは神麻しめ縄4本と鈴緒1本。しめ縄は本殿1本、拝殿に3本です。

地元徳島県はじめ全国各地から集まった約15名で、忌部神社宮司や三木家当主、三木信夫さん、また氏子の皆さんのご協力を得て奉納させていただきました。

紙垂を取り付け中
奉納前にしめ縄に紙垂を取り付け中

私自身は安間さんの主催する神麻しめ縄奉納神事に参加するのは今回で3回目。(NPO法人になってから剣山本宮宝蔵石神社、忌部神社、富岡八幡宮につづきこれで4回目の奉納)

私の知る限りこれまでの奉納の時とくらべずいぶん人数が少なく、最初1人当たりのすることが多いと聞いていましたがそんなことはまったく感じず、分担して各自手際よく作業奉仕できたと思います。

奉納報告祭後、三木家住宅へ移動し直会。食事を皆でいっしょにいただきました。私的にはお座敷に上がらせていただくのはこの時以来2回目で前きたときはとても緊張していましたが今回はリラックスしてのぞめました。

三木家住宅で直会
築400年の三木家住宅で直会

三木家住宅、神社西側の貢公園のしだれ桜も見頃。例年、桜の時期に三木家住宅前で催事をしているのは知っていて、ちょっと早いかと思っていましたが、到着するなり“桜の歓迎”を受け心もさらに軽やかになりました。うれしい誤算!でした。

ちなみに前回一緒に来た方は毎年三木家の桜を見に来ています。見ないと春を過ごした気がしないと聞いていましたが、その気持ちがわかった気がします。この地は「空地(そらち)」と呼ばれ聖地ですから。

三木家住宅前の斎畑。
三木家住宅前の斎畑。

 

三ツ木八幡神社のしだれ桜
三ツ木小学校・中学校跡を整備した貢公園のしだれ桜。後方に三ツ木八幡神社

直会の際、代表の安間さんが「大嘗祭が無事執り行われますよう、また麁服が無事調進されますように」とあいさつされていました。

これが今回関わられた人たちの共通の願いと思いますので、そのことをお祈りします。

 

もっと詳しい報告を「精麻の注連縄を探して」のコーナーにてさせていただいてます。

国産精麻・神居(かむい)和かざり(TM)誕生ストーリー

どこにもない、オリジナルの製品が作りたい。

2014年の9月、ちょうどそうするしかないなと考えていた時、神社仏閣用の麻製品を調製する株式会社山川5代目、山川正彦さんを玉造りをしている青舟さんから紹介いただきました。

鳥取県で開催されていた麻関連のイベントで山川さんに出会った青舟さんが後日手紙を書いて私を紹介してくださったんです。山川さんから電話をいただきお話したのがご縁のはじまり。ここに至るまでに本当に苦難の連続でした。いつかお伝えできる時がくるかもしれません。

様々な話をする中で、同社が製作したミニ鈴緒を翌年はじめから販売させていただくお約束をしました。(後日試作品が送られてきました)

そして2015年。

さぬきいんべでは年頭からミニ鈴緒につづき、叶結びアクセサリーを相次いで販売し、好評を得ていました。

電話で山川さんと話をしている中で、しめ縄の話になり、「丸くしたらいいのではないか」とのご提案。その後、試作品が送られてきました。

国産大麻(精麻)・しめ縄【神居 和かざり】
国産大麻(精麻)・しめ縄「神居 和かざり」

それが神居(かむい)和かざり(TM)(写真は1号モデル)。麻(ヘンプ)を現代風に伝えたいと思っていましたので思いにピッタリでした。

あとで知ったのは、伝統的な大根型しめ縄をリース型にしたものとのこと。

山川さんから「名前をつけたらいいと思う」と言われ、それならとお客様から名前を公募、その中から選ばせていただいたのがお客様の1人が「神様が宿る輪飾り」という想いを込め名付けられた神居 和かざりです(2015年6月に命名)。

この名前を山川さんも気に入っていただけて「使っていいですか?」と問われ「どうぞ、いいですよ」とお答えしたため、その後納品書や請求書でも「和かざり」と書いてこられます。

 

一般に「輪飾り」は、飾る場所が限定されていなくてしめ縄、しめ飾りの中ではもっとも汎用性が高いといわれています。

水回り(台所、風呂、トイレなど)や勝手口、車、自転車、農機具、倉庫、窓、洗濯機、物干し竿、子どものおもちゃなど、輪飾りは日々の働きに感謝のしるしという役割がありそうです。

輪飾りを見つけたら、そこの住人がふだん何をよく使っているか、何を大切にしているのかがわかるのではないでしょうか。

 

神居 和かざりは国産精麻でできた日本ではじめての輪飾り製品です(さぬきいんべ調べ)。

その後、山川の工房を訪れ山川さん含む職人からご意見を聞きながら、神社でよく見かける色、巫女の緋袴にヒントを得た朱色版を加えました。その際にたまたま藍染めに関しての問い合わせを山川さんからいただきましたので後で日本の伝統色である藍染め版を加えて現在に至っています(朱色版と藍染め版は全体のバランスを見て“前垂れ”を無しに)。また、素材をバージョンアップし、後にさらに茜染め版とざくろ染め版を加えました。

私は生成り版をずっと仕事部屋の入口開き戸(外側)に飾らせていただいております。朱色版を玄関の開き戸に飾るお客様がいらっしゃり今風だなぁと思います。

さらに、神居和かざりに紙垂付きが登場しました。上から精麻で結びつけた「タイプA」と下部に挟み込んだ「タイプB」です。

これからも神居和かざりをよろしくお願い申し上げます。

※2015年末以降、他社から精麻の輪飾りが登場しています。最初の1つは神居 和かざりと酷似していたので山川さんにお尋ねすると「ぜんぜんちがう。途中で麻芯が無くなっています。ただ価格(仕切り)はそんなに変わらない。(他社向けは)細くなっている分使っている麻の量は変わらないので。」ということでした(麻芯は外からは見えません)。

私は麻に着目するばかりでなく、職人になりたい!という人が増えていく世の中を作りたい。生家が職人の家系、職人の息子だからでしょう。2015年春に亡くなった父の声が聞こえるようです。

 

 

参考文献:

「しめかざり」森須磨子著(工作舎)

国産大麻(精麻)しめ縄に牛蒡型が仲間入り!しめ縄はなぜ左綯いなのか

このたび、国産大麻(精麻)・しめ縄に牛蒡(ごぼう)型が仲間入りしました。

従来の取扱いは中央部が太くなった「大根型」、縄を丸めたわかざり(神居 和かざり)だけでした。牛蒡型は一方がだんだん細くなる形状です。

しめ縄の種類

しめ縄の種類
種類 形状・用途
大根型 中央部が太くなったしめ縄。両端が細くなっている。
牛蒡型 しめ縄の一方が細くなってだんだん太くなっている。
わかざり 綯った縄を丸めたもの。水回りや勝手口に飾ることが多いが、汎用性が高いため屋内外のさまざまな場所に用いる。

 

国産大麻(精麻)・しめ縄【大根型】
大根型

国産大麻(精麻)・しめ縄【牛蒡型】

牛蒡型

国産大麻(精麻)・しめ縄【神居 和かざり】
わかざり

どれも国産精麻を材料に、神社仏閣用の麻製品を調製する京都の職人が綯った美しいしめ縄。明治19年創業の老舗、株式会社山川の製品です。

しめ縄の起源

日本におけるしめ縄の古語は「尻久米縄(しりくめなわ)」で、天照大御神が岩屋から出てきたさいに、布刀玉命(ふとだまのみこと)が入口に尻久米縄を張って、天照大御神が再び岩屋に戻ることのないようにしたと『古事記』の神話にみられます。

しめ縄は精麻、稲わら、マコモなど天然素材から作られます。

しめ縄を七五三縄と表記するのは、七五三という言葉が昔から縁起のよい数字とされていたからです。また、しめ縄のことを、ほかに一五三、棒縄、〆縄、締縄、標縄などとも表記します。

しめ縄はなぜ左綯いか

縄を綯(な)う方法には「右綯い」と「左綯い」があります。※繊維をより合わせることを綯うといいます。

昔は一般に、普段の生活で使用する日用品の縄は右綯い、神事に用いるしめ縄は左綯いとされました。しめ縄は神聖なものであるため、日常に使う縄とは区別する意図があったようです。

もともと日本では「左=聖、右=俗」とする考え方があります。伯家神道では右手を神様の手(左手)でしっかり握りおさえて印を組むこと(唯一の印といいます)や、神道祭式において祭祀を行う祭場(斎場)の上位下位が神座を最上位に正中・左(神座から見て)・右の順となること、拍手の作法は両手を合わせた後、右手をやや左手より引いて手を拍つことなど。

国産大麻(精麻)・しめ縄【牛蒡型】紙垂付き
牛蒡型(紙垂付き)
国産大麻(精麻)・しめ縄【鼓胴型】紙垂付き
鼓胴型(紙垂付き)

わがくには神のすゑなり神まつる昔のてぶりわするなよゆめ(明治天皇御製)

また精霊を迎える盆踊りが左回りであること、死者の着物を左前にすることはご存じと思います。能楽にも「左右」という型があり、まず左を祓って、次に右を祓うようです。

飾り方について

一般的に牛蒡型や大根型を飾るときは神棚に向かって右側にモト(太い方)がくるように取り付けます。

それは神様から見たときに向かって左にモトがくるようにするためです。

 

 

参考文献:

「神道祭式の基礎作法」沼部春友著(みそぎ文化会)
「決定版 知れば知るほど面白い!神道の本」三橋健著(西東社)
「しめ飾り」森須磨子著(工作舎)