京都・山川のミニ鈴緒をお祝いの品に

このたび、京都・山川による国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒をお祝いの品にとご注文をいただきました。ミニ鈴緒は2015年はじめから販売させていただいている一般の方に縁遠い精麻を身近にというコンセプトでつくられた製品です。

国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒(京の伝統工芸品)
国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒(京の伝統工芸品)

山川さんにお話したところお祝い用の包装ということで、箱と精麻をご提供いただくことに。箱は画用紙に和紙を貼ったり京都らしい手仕事の品。精麻はもちろん国産です。

水引の起源は麻であり、今回は神事のお祝いであることから、精麻で結ぶことをご提案させていただきました(神式の場合、玉串料等は白の奉書紙に包み水引ではなく神事でもちいる精麻で結びますが、この場合は慶弔どちらにでも用いることができます)。

以前、製品の箱詰めを山川さんにお願いしたこともありますが、この度は心をこめる意味でお客様がご自身で箱詰めされ、予定されていた方々に先日お渡しされたとのご報告をいただきました。

箱詰めされた写真を見て驚き、こんな風にできあがるとは思っておりませんでした。古いもの(伝統)と現代の組合せ、和紙は土佐和紙とのこと、紅白でおめでたさ、また巫女をも表しているのではないでしょうか?

なお、上の神棚奉斎(ほうさい)式というのは、東京の翡翠の巫女様(代表:松井久子神職)が主催する、家庭の祭祀者として家庭や家系にまつわる心と環境のお清めを行うことができる方を養成、敬神崇祖(けいしんすうそ、神をうやまい先祖をあがめる)の心を育む「お清め士講座」の修了時におこなわれるものだそうです。

さぬきいんべでは、モノを買うだけでなく、作る方々を増やしたい。そう思います。自ら作り手になることが大切だと。それが今まで育まれた伝統を後世に伝えることにつながればこの上ない喜びです。

満足感というものはあなたの手を使って、何かを作ることによって得られる。(サティシュ・クマール)モノを作ることによって、愛が生まれる。機械が作ったものを消費するただの消費者ではなく、作り手(maker)にならなければならない。

 

 

・参考文献

「神道いろは」神社本庁教学研究所監修(神社新報社)

四国の麻栽培を願うキャンペーン開始☆

2020年8月19日(旧暦7月1日、新月)より四国の麻栽培を願うキャンペーンを開始いたしました。

※本キャンペーンは四国の麻栽培再生を願うキャンペーンpart2に引き継がれました。2022年10月28日追記

合計5000円以上~15000円未満お求めの方に、京都・山川による下記のオリジナル国産精麻アクセサリーをお1つプレゼントさせていただきます。2021年11月18日ご注文分よりプレゼント対象の金額を再度変更させていただきます。

国産精麻アクセサリー「あわむすび」(京都・山川製)
国産精麻小物「あわむすび」(京都・山川製)非売品

神社仏閣用の麻縄を調製する創業120年以上である山川さんがこの企画のためにオリジナル精麻小物をつくってくださいました。人と人とを良好な関係で結ぶこと、ひいては縁結びにつながる「あわむすび」(※1)を施しております。身につけたりバッグにつけたり、神具として使用したりいただければと存じます。

さらに第2弾としまして、合計15000円以上~30000円未満お求めの方に、下記のオリジナル国産精麻アクセサリーをプレゼントさせていただきます。もう1つ山川さんがつくってくださいました。どこにもないものです。2021年11月18日ご注文分よりプレゼント対象の金額を再度変更させていただきます。

国産精麻小物(京都・山川製)非売品
国産精麻小物(京都・山川製)非売品

さらにさらに第3弾として、合計30000円以上お求めの方に、下記のオリジナル国産精麻アクセサリー(藍染め、茜染め、ざくろ染め)のいずれかをプレゼントさせていただきます。きなりと、藍染め、茜染めまたはざくろ染めの精麻を用い、装飾結びの1つである叶結びを施しリボン風に仕上げております。世界の安寧を祈って、ざくろ染め版(黄色)を加えました。

国産精麻小物(京都・山川製)《リボン風》
国産精麻小物(京都・山川製)《リボン風》

2016年に徳島県吉野川市(旧麻植郡)にて吉野川市主催で「麻シンポジウム」が開催されたり(私も参加)、同市の広報よしのがわでは麻栽培に向けて機運を盛り上げようと毎月麻に関する記事が掲載されたりしておりました。

旧麻植郡は、その名の通り、践祚大嘗祭(せんそだいじょうさい※2)に麁服(あらたえ)を代々調進する木屋平の三木家をはじめ、麻塚神社、御所神社の祭神「大麻綜杵命(おおへつきのみこと)」、岩戸神社の麻筍岩(おごけ)、山崎忌部神社(麻植神を祀る天日鷲社)、麻平など30件を超える特に多くの麻に由来する地名や史跡が残され、日本の麻文化の発祥地、また中心地といえます。

また、四国に大麻山が3つも存在し、各地に麻にまつわる地名、史跡があります。(香川:大麻神社、愛媛:松山市朝(麻)生田町、高知:四万十市麻生など)

四国各県の旧国名(阿波・讃岐・伊予・土佐)の頭文字を順に並べると、あ・さ・い・と=麻糸となるのは偶然でしょうか?

毎年8月14日夜におこなわれる八幡浜市の五反田柱まつり(県指定無形民俗文化財)は、たいまつに麻幹(おがら)が使われます。そのために2007年頃まで隣の大洲市で麻が栽培されていました。これが徳島・三木家をのぞく四国最後の麻栽培だった、、このことを2009年に知ったのが、さぬきいんべ創業の発端で、なんとかしようと思い動きはじめて今年で10年余りになります。

北海道では元横綱・稀勢の里出演の「横綱の綱は麻でできている」「麻は日本の心」と言っているテレビCMが放映中だそうです。(KBS京都でもしていると聞きました)

もう一度、仕切り直し、皆さまのご協力を得ましてまず声を挙げること、、、これを機に四国の麻栽培を再生させ、後世に受け継いでいくきっかけにしたいと存じます。

よろしくお願い申し上げます。

(※1)阿波忌部族は、栃木県小山市粟宮に式内社「安房(粟)神社」(下野国寒川郡条「安房神社」)を創建した。その例祭には、氏子が[粟の穂]を献上するとの日本唯一粟を主体とする「粟柄祭り」が行なわれ、神輿の上に「粟柄」が乗せられる。神輿の四方に取り付けられるのが「粟むすび」と呼ぶ水引で、それは人と人とを良好な関係で結ぶこと、ひいては縁結びにつながるとして信仰されている。(『オオゲツヒメと倭国創生』林博章著P58より)

粟柄神輿につけられる粟むすび
粟柄神輿につけられる粟むすび

(※2)践祚大嘗祭=天皇即位に際し、天皇がはじめて新穀を食(め)され、皇祖および天神地祇に供し奉る即位後1回限りの儀式。

 

 

・参考文献

「日本の建国と阿波忌部」林博章著

「オオゲツヒメと倭国創生」林博章著(多田印刷)

「美馬文化 いななき第14号」(美馬市文化協会会報)

勅封(ちょくふう)について

2020年8月10日まで、西国三十三所第13番札所・石山寺(滋賀県)の秘仏御本尊 如意輪観世音菩薩様がご開帳されていた由、存じ上げておりませんでした。

この観音様は天皇陛下の命により封じられている日本唯一の勅封観音とのこと。

勅封、、どこかで聞いたと思っていましたら

正倉院の勅封(麻縄)
正倉院の勅封(麻縄)出典:日本美術全集5 天平の美術(学研)

奈良・平安時代の重要物品を納める東大寺の正倉院でした。

勅封とは、蔵などを勅命によって封印すること(扉に錠をかけて麻縄でしばり、結び目を天皇自署の紙で封じる。開閉には勅使が参向する)と辞書(大辞林)にはあります。

写真のように、麻縄でしばられているのです。この資料は以前見せていただき、メモ代わりに写真を撮っていたもの。

これを思い出させていただいたのが、翡翠の巫女の松井久子先生でした。ブログ→「紫式部ゆかりの寺、大津 石山寺の勅封(ちょくふう)観音

こちらの観音様は33年に一度、または御代替わりの年にしかご開帳されないのですね。次回は2047年だそうです。

松井先生がその体験をご紹介させていただいたブログにつづっておられますが、観音様がお働きになっていたのです。私は観音様に20年以上前からご縁といいますかお話に聞いてきましたが(その話はまた機会あったときに)、今回それを思いあたらせていただきました。そこにありましたのが麻縄で、なんとも不思議なめぐり合わせと思いました。

 

 

・参考文献

「日本美術全集5 天平の美術」(学研)

日本の麻の産地をよみがえらせる

2017年に刊行された「大麻という農作物」(大麻博物館著)の巻末に1939(昭和14)年と1955(昭和30)年の『全国の大麻栽培面積(ヘクタール)』のデータが収められています。

全国の大麻栽培面積(ヘクタール)
全国の大麻栽培面積データ(1939年、1955年)単位:ヘクタール

産地と思われる千葉、静岡といった県などデータがないところもありますが、これによりますと、70ヘクタール以上栽培されていたところは、北海道、青森、岩手、福島、栃木、群馬、新潟、石川、福井、長野、岐阜、島根、広島、熊本、宮崎がそうです。

ちなみに2018年4月より農業法人が県の許可を得てはじまった大麻を加工して作る「精麻」の生産をおこなっている三重県は0.1ヘクタールで、かつての大規模産地ではなかったことがわかります。

いい麻が取れるのは寒暖の差があるところ、お茶が栽培されているような場所(標高)がいいと聞いたことがあります。2019(令和元)年に新天皇の践祚大嘗祭へ麻織物、麁服(あらたえ)を貢納された徳島県の阿波忌部直系・三木家も標高550メートルのところにあり、ご当主・三木信夫さんもいい麻が取れる場所のお話をされておりました(直接うががいました)。

先人の知恵というのでしょうか。いま(この10年くらいの間)、これまで培われてきた昔の人の営みから得られた知恵が急速に失われているのと、また見直そうとする動きの両方があるように思います。日本の伝統文化の分野が特にそうではないかと思います。

かつての産地には地名として残ったりしなんらかの名残があるのではないでしょうか。また栽培時に使われた古い道具類もある(残っているのでは?)と思いますし、うまくいけば昔栽培に携わった古老のお話をギリギリ聞くことができることがあるかもしれません。

そういう思いをもってこの記事を皆さまへお送りします。

 

 

・参考文献

「大麻という農作物」大麻博物館著

こんな時こそ、祈ること

祈ること。皆さまはされていますか?

神棚や仏壇がある方は祈ることを日々されていらっしゃるのではないでしょうか。

辞書をみると、祈り=「神仏に加護・救済などを請い願うこと。祈願。祈祷。祈念。」とあります。(大辞林第三版より)

では、祈るってどうすればいいの?と問われて説明できるでしょうか?

私は小さいときから家に神棚、仏壇がありましたし神道系の信仰のおかげで誰に教えられるまでもなく気がついたら祈っておりましたので、そう問われると「え?」となります。

目をつむって、あるいは頭を垂れて祈る、、??

私事ですが2013年に、白鳥哲監督の映画「祈り~サムシンググレートとの対話」をみました。これは人間の生命のあるべき姿に迫る内容、四国における初上映会でした。そのときに柳瀬宏秀さんが祈りの定義を以下のように表しているのを知り、よく言葉にしたなと思ったのを覚えております。

「祈り」とは(意+乗り)

自分のためだけの願いを、多くの人が賛成できる(乗れる)願い、思いに。神様も(乗れる)願いに。つまり、それが「祈り」であると。

私も祈るときは自然に自分のことではなく他人のことを祈っておりましたので、この説明は合点がいきます。(例:○○さんが幸せになりますように)

先日神道のある方は、祈りとは「神様と強い思いでずっとお話すること」とおっしゃっていました。これはクリスチャンの友人から教わったそうです。

これなら神社やお寺、神棚または仏壇の前でなくても祈ることができそうですね。(ご自分でやりやすい方法でお祈りくださいませ)

映画「祈り」で紹介されていますように祈りの研究が進んでおり検証されているようですが、結論から言いますと、

「正しい祈りは叶う」ようです。

また、質問と答えが1つであるのと同じように「祈りと答えは1つ」であるのも言えると思います。

自身でも引きつづいて検証中でございます。また、神主が祓いに用いる道具、大麻(おおぬさ)、しめ縄、御札、御幣、鈴緒、狩衣、祭りの山車の引き綱、上棟式など、昔から大麻(ヘンプ)と祈りは密接に結びついていることを思うのです。

こんな時こそ、祈る。祈りませんか?あらたに気づいたことがありましらご報告させていただきます。

日本の文化、大切に!

夏越の祓 特集!7月21~8月18日までのひと月間(旧暦の6月=水無月)

水無月の夏越しの祓ひする人は 千歳のいのち延ぶといふなり

 

 

・参考文献

「願いを、祈りに」パンフレット(環境意識コミュニケーション研究所)

「日本の建国と阿波忌部」林博章著

神社・お寺へ物品を奉納するには

神社、お寺に奉納したいけど、どうしたらいいのかわからない方へ、一般的な方法を下記にまとめます。

1.まず社務所(寺務所)へ行く

社務所とは神社の事務を取り扱う場所です(お寺の場合は寺務所でお寺の事務をおこなっている場所)。境内にあり、神社の場合は巫女さん等、お寺の場合はお寺の関係者が待機しています。

2.奉納したい旨を伝える

そこで「○○を奉納したいのですが」と伝えると、上の方が出てこられると思います。打合せ、その方の指示にしたがいましょう。

3.奉納するもの(何を奉納するか?)

お金

しめ縄、鈴緒、鰐口紐、鐘つき紐、精麻などの神具・仏具。

お酒など

ただし奉納を断られる場合もあります。(たとえば、鈴緒を奉納したい場合に前に奉納された鈴緒がまだ新しい場合など)

4.奉納

神社の場合は御初穂料をお供えし、昇段参拝させていただくのも神様へのご報告となりいいと思います。

 

神具・仏具は高価なものになりますので、思いますのは麻(精麻)そのものを奉納してはいかがでしょうか(1キロと言わず数百グラムでも)。またはできる範囲のお金の寄付など、要は奉納とは「その方の気持ち」だと思います。

鈴緒、鰐口紐(鐘緒)の取扱いも開始いたしました。こちらもご検討ください。2022.2.9追記

個人で、ご夫婦で、またご家族、グループ、団体などでいいご奉納となり、見守ってくださっている神様・仏様にお喜びいただけますように。(願わくば、個人もよし、麻農家もよし、職人もよしというような「三方よし」のご奉納になれば幸いです)

なぜ日本人はよく働くか?日本と西洋のちがい

日本には仕事の神様がいらっしゃいます。

たとえば、手置帆負命(たおきほおいのみこと)と彦狭知命(ひこさしりのみこと)、この2神は建物の上棟祭で祭神となる建設の祖神、建設の神様です。また、大物主神(おおものぬしのかみ)は海の守護神と信仰される漁業の神様、大山咋神(おおやまくいのかみ)は秦氏が信仰した酒造の神様です。

日本の神々は世界の多くの宗教のように唯一絶対的な存在ではありません。八百万(やおよろず)と形容され、これは「数が非常に多い」ことを表し、それぞれ個性があり得意分野があるのです。(職業ごとに神様がいらっしゃる感じ)

春、農作業がはじまる前に豊作を祈る祭り、祈年祭(きねんさい、としごいのまつり)が神社でとりおこなわれますが、この祈年祭の祝詞のなかに「依(よ)さす」という言葉があります。依さすは、委任する、お任せするという意味で、本来働くというのは神様がおやりになることで、神様はとてもお忙しいので神様の代わりにあなたがた人間にお任せしますと書いてある、すなわち、人間は本来神様がする神聖な営みを神様に代わってできるというのです。たしかに日本神話で神様が休息しているというのは聞いたことがありません(あります?)。

西洋とまったくちがう考えです。西洋では労働はネガティブなイメージが一般的で、西洋人の考え方は、アダムとイブが禁断の実を食べてしまった為に労働を課せられたのです。つまり苦しみとして労働させられているのです。(旧約聖書では神自身も世界を6日間で創造すると7日目には休息したとあり、1週間に一度の安息日を設けることが定められています)

日本人はそうではなく、神様がおやりになることをできるのですから、それは喜びです。そう、働く喜びです。日本人はよく働く、そう言われてきました。外国人の多くは日本人に「真面目で勤勉」というイメージを持っているそうですが、そういうことだったんですね。

また、キリスト教会などでは、安息日である日曜日に教会を訪れ、オフィス(労働)と教会(祈り)が明確に分けられています。しかし、日本の会社に神棚があることは珍しくありません。(神棚にお祀りするお神札には神社の祭神の分霊が宿っています)

祈りの場所と仕事の場所が同じですから、日本では仕事は神に通じる行為であるのがわかる気がします。

先だって「仕事の神様大辞典」という本を手に取り、この記事を書いています。副題が「儲かっている社長はなぜ神社に行くのか?」とあります。

これは本を手に取ってもらうため目を引くようにしている工夫ではと思いますが、この本の中には“仕事の神様”の紹介のあとに『日本で一流と呼ばれる企業の多くは、その企業を守護するオリジナルの神社である「企業内神社」を持っている。』とあり、その「企業内神社」がいくつも紹介されていて、なぜ一流企業は神社を祀るかの理由(たとえば、企業内神社や神棚の前に立つことで自らの判断を振りかえり、心の安定を保つ等)も挙げられています。

なお、さぬきいんべ通信の記事のタイトルはなるべく地味にしています。同じように、日本の文化は一見地味に思えるものが多いように思います。しかし、そこには真に役立つ普遍の真理が内在しているのではないかと思うのです。

 

 

・参考文献

「アナウンサーが神職になって」宮田修(伊勢神宮崇敬会)2009年

「仕事の神様大辞典」瀧音能之著(宝島社)

紙垂の作り方と、しめ縄へのつけ方

お客様よりしめ縄の紙垂(しで)の作り方と、つけ方をわかるようにしてほしいとご要望をいただきました。

さまざまな形式、流派がありますが、一般的なものをご説明いたします。しめ縄には普通2枚重ね四垂の紙垂を4つ挟み垂らします。

1.紙垂の作り方(例)

(1)半紙(もしくは適宜の和紙)を半分に折ります。

※下記の牛蒡型太さ1寸(約3センチ)×長さ2.5尺(約75センチ)のしめ縄では、半分に折った状態で高さ12センチ、幅8.4センチ(大きさ参考)。

紙垂の作り方1

(2)下図のように四等分の位置に切り込みを3つ入れます。(切り込む長さは高さの3分の2)紙垂の作り方2

(3)左端の一辺を指で押さえて残りの三辺を順に手前に折り返して完成です。紙垂の作り方3

2.紙垂のしめ縄へのつけ方(例)

(1)紙垂を付けたい箇所のしめ縄の撚りを平たいヘラ状のものを用いて戻し(逆にねじるとすき間ができる)、そこに紙垂を差し込みます。

※撚りが固く紙垂が差し込みづらい場合は、紙垂の上辺にキリ状のもので小さい穴を開け、適量の精麻を用いて(短冊のように)しめ縄に結びつける方法もあります。

紙垂に穴をあけ、精麻を用いて取り付ける例
紙垂に穴をあけ、精麻を用いて取り付けた例(写真は神居 和かざり紙垂付きAタイプ)

(2)位置が均等になるように紙垂をそれぞれ垂らします。(位置は寸法を測るより見た目であわせた方がいいです)

(3)完成

牛蒡型しめ縄(紙垂付き)

※写真は国産大麻(精麻)・牛蒡型太さ1寸×長さ2.5尺、つけやすくするため紙垂の上辺(長手方向)を半分に折っています。(上辺を適宜折って長さを調節)

参考になりましたら幸いです。(うまくできない場合は職人にお任せください。紙垂付きのしめ縄もご注文いただけるようになりました)

 

紙垂は、古事記の天岩屋戸の条で、「天香山の五百津真賢木(いおつまさかき)を根こじにこじて、上枝に八尺勾玉之五百津之御須麻流之玉(やさかのまがたまのいおつのみすまるのたま)を取り繋け、中枝に八咫鏡(やたのかがみ)を取り繋け、下枝に白丹寸手〔しらにぎて、木綿(ゆう)のこと〕、青丹寸手(あおにぎて、大麻布のこと)を取り垂でて、」(木綿と大麻はケガレを祓う用途は同じ)とある記述に由来します。

古くは木綿垂(ゆうしで)などといい、木綿〔穀(かぢ)または楮の皮をはいでその繊維を蒸し、水に浸して細かく裂いて糸としたもの〕が使用されました。

 

 

・参考文献

「家庭の祭祀(まつり)事典」西牟田崇生著(国書刊行会)

「日本の建国と阿波忌部」林博章著(林博章)

知らず知らず日本人の心に根付いてきたものを大切に

口々にいろいろな方が「日本における新型コロナウイルス起因の死亡者数は少ない」「世界中で日本だけ感染のグラフがおかしい」とか言われています。知人がそれについてブログで書いていて興味深かったため私も書いてみます。

なぜか?という真偽のほどはわかりませんが、何か理由があるのではと誰もが思っているのではないでしょうか。(たとえば、ノーベル賞受賞者の山中伸弥氏は、その理由を仮にファクターXと表しているようです)

理由の1つに、生活習慣によるものという指摘があります。

日本には世界に誇る発酵文化がありますね。

もったない精神が強いのも、ものを単にモノではなく、命と見ているからだと思います。
 
他にも日本人は、きれいきたないを大切にし、「きれい好き」「生活圏は土足厳禁」、「毎日お風呂に入って衛生的かつ免疫向上」といった特長があるように思います。
 
マスク着用にしても、世界保健機関(WHO)は予防効果を認めていないにも関わらず、日本では一定の効果はあるとし率先して行っていますし、宣言が解除されても着用している人は多いと思います。(※2020年6月に入りWHOは人との距離が取りにくい状況での着用を推奨するなど方針を変更)

また、「間」や「間合い」という概念が浸透しているからかボディタッチやスキンシップは最低限です(ハグや握手よりお辞儀、礼をしますね)。
 
母音言語を話すから飛沫も起きにくいのではないかと。それは言い過ぎでしょうか。

当然、医療関係・福祉関係の方々の力もあると思いますが、挙げればまだまだあると思います。灯台もと暗し、そこに世界が注目すべき宝が隠れているかもしれません。しだいにはっきりしてくるでしょう。

私は、日本の人たちのその根っこにあるのは古神道ではないかと思い、要は、知らず知らずに日本人の心に根付いてきているものがあると思うのです。(参考:前に書いた古神道的な視点からみた日本と西洋の文化のちがい

世界が激動の今こそ、日本の心、文化を受け継いでいきたい。そう思います。

サステナブルへ。草木染め標準化プロジェクト

2月に書いた記事。ここから一歩踏み出し、「草木染め標準化プロジェクト」を開始いたしました。

世の中のさまざまなサステナブル(持続可能)な社会へ向けた取り組みのように、神様仏様へお捧げするものを自然の循環型へ、化学染料から草木染めに。

私は京都の麻縄職人、山川さんから最初、国産精麻を化学染料で染色するとお聞きし違和感を持っておりました。(貴重な自然素材を循環型でない染料で染める、、早く安くということでこれは長いこと神社仏閣用の慣習になっていたようです。神社仏閣用がそうであるならと正直、それにならっているところがございました)

たとえば神社の拝殿に吊されている鈴緒とか、お寺の場合は鰐口(わにぐち)という鐘のようなものをカンカンと鳴らす鰐口紐といいますが色のつけられたものがございます。

神様(仏様)に捧げるものですので自然素材で循環型のものが本来ではと思います。

2015年春に山川さんを訪問、京都・祇園祭における国産精麻の藍染めの話をうかがってから試し染めしはじめその後、神居 和かざりの藍染め版を製品化。

次に2017年初頭に四国霊場22番札所・平等寺の山門にしめ縄を設置、国産精麻を草木染めした五色の下垂れをつけた話をうかがいこのとき製品化の話はしたものの答えは「No」、しかし昨年8月に京都へおもむき山川さんと話をしたことで藍染めおよび草木染めの話が進んで、本年より国産精麻を草木染めで染色した製品が可能になりました。

待望の草木染め(五色)ができるようになった記念としての先般の神楽鈴(巫女鈴)・国産精麻五色緒付きの名前募集でした。(考案者の方への賞品の神楽鈴、その方が五色緒が草木染め版を選ばれましたのでこのほど草木染め版が誕生いたしました)

できることからはじめませんか?

天然染料を使うことで排水された染料は生分解されるので河川を汚染することはなく、石油系の染料や顔料の場合、身体によくないものがほとんどです。

 

《化学染料の特長》

安定している、安価である、長期保存できる、色が強い。

《天然染料の特長》

・安全性が高い、環境にやさしい、中間色や微妙なニュアンスの色の堅牢度が高い、薬効がある。

上記の特長はこちらの記事から抜粋しまとめたものですが、化学染料は人間目線なんですね。地球とともに生きていく、環境のことを考えると天然染料に軍配があがります。天然染料から得られるものは色だけでなく、薬効もございます。

業界の標準化は時間がかかると思いますが、少しずつ賛同する人が増え私たちの生活と地球環境が守られ後世に受け継がれますように。

きょう4月22日は地球環境について考える日、アースデイです。(香川県の標高422mの山、讃岐富士の日でもあります)

よろしくお願いいたします。

梅、桜、藤、桔梗、菊、紅葉。日本人は四季それぞれに移り変わる山野の植物の姿を鑑賞して楽しみ、詩や歌に詠んでその心を表わすとともに、自らの衣裳にもこうした美しい色彩を染めて楽しんできた。これが日本の伝統色である。花や樹の色を美しく染め上げるため、植物の花、葉、樹、根などのどこかに潜んでいる色素を採り出して染めてきたのである。

今からおよそ150年前、19世紀の中葉、ヨーロッパを中心に吹き荒れた産業革命の嵐は、それまでの職人衆が自らの肉体とわずかな道具を使って行なっていた仕事を、機械へと変えてしまった。染色では、それまでは植物から色を採っていたのに、石炭のコールタールから、化学的に合成する染料を発明したのである。

日本には明治時代の中頃、文明開化の名のもとにヨーロッパの産業革命の成果が怒濤のように押し寄せてきた。京の堀川の近くに軒を連ねていた染屋も同じで、またたくまに、スプーン一杯の粉で便利に染まる化学染料に変わってしまった。

日本人が飛鳥・天平の昔から江戸時代の終わりまで育んできた、日本の伝統色は失われたのである。〔『自然の色を染める』吉岡幸雄・福田伝士監修(紫紅社)吉岡氏による“はじめに”冒頭より〕

 

※「草木染め標準化プロジェクト」のリンク先のうち、宮崎朝子氏(天の川工房)の製品は神社仏閣用ではなく、また国産の麻糸(手織りの場合)、生地を用いてはいませんが、自然順応の心で作っていると思われますので本プロジェクトに加えたことをお断りいたします。草木染めの標準化が衣料にも波及していきますように。