すべてが祓い清められる日本古来の儀礼、宮中の6月30日大祓のお祓い式

6月30日、宮中の大祓(おおはらい)のお祓い式がおこなわれます。

御所でおこなわれる「節折(よおり、竹枝でおこなわれるお祓いの行事)」、また、神嘉殿(しんかでん)前庭で執り行われる「大祓(皇族はじめ、国民のためにおこなわれるお祓いの行事)」の御儀は、掌典長はじめ掌典職のお方がご奉仕にておこなわれ、これは昔ながらの尊いお祓いの御儀だそうです。

午後3時から神嘉殿前庭でおこなわれる大祓の儀式の中で、行事が進み、掌典がひたすらに大祓の大祓詞を奏上される様子を、元内掌典・髙谷朝子さんは「(内掌典はこの大祓には関係ございませんが)朗々とされましたお声が御拝廊下まで聞こえうかがいます時、自ずから身の清められます思いがいっぱいになりますほどに心の底に響き渡りましてございます。」と語っておられます。

そして、参列のお方のお祓いを終えて後、神嘉殿の広い前庭の静寂の中で掌典補がそれぞれにお祓いの御物を捧持して、一列に同じ間隔を置いて進み、神嘉門に向けて退出されます。

 

なお、氏神神社の夏越祓(なごせ)は、毎年旧暦6月16日におこなわれ、今年は7月10日です。人形(形代)でもって身体をぬぐい息を三度吹きかけ、茅の輪をくぐって、ご神前の祓箱に納めます。(ご神前では罪けがれを祓う神事をおこない、人形は祓物とともに大祓詞にある川より海へ流しやる習わしです)

※夏越の祓いは、神社によって日時が異なります。

水無月の 夏越しの祓ひ する人は 千歳のいのち 延ぶといふなり

 

・参考文献

「皇室の祭祀と生きて」髙谷朝子著(河出書房新社)

新型コロナ退散 特集!日本の文化が一段とクローズアップ

京都の祇園祭にならい、疫病(感染症)退散特集を組みました。

こちらに書いた通り、祇園祭で運行される山鉾の「鉾」と「山」の一部に藍染めされた精麻が使われています。麻と藍染めによる相乗効果、祓い清め、、いわゆる先人の知恵と思われます。

また、祇園祭を斎行する八坂神社(京都市東山区)では、毎年6月下旬と、祇園祭の最後に夏越祓があり疫病退散や息災を祈る「茅の輪」が設置されますが、新型コロナの退散を願って茅の輪がいま設置されています。

・新型コロナも退散して!「茅の輪」くぐり息災祈る 京都・八坂神社(京都新聞)

思わぬ形で昔の人が大切にしてきた知恵がクローズアップされる事態に神様の意図を感じませんか?

さらに、各地の神社で感染症の終息を祈願する神事もおこなわれています。

疫病の早期終息祈願 徳島の大麻比古神社で宮司ら(徳島新聞)

・<新型コロナ>「湯立神事」で終息祈願 江戸期疫病収めた伝承 八王子の2神社(東京新聞)

・非公開の長刀「三条長吉」でおはらい 疫病退散の祈り、祇園祭の起源 新型コロナ(京都新聞)

しぶき浴び息災祈る 徳島・大麻比古神社で「湯立神楽」(徳島新聞)

・148年ぶり「疫神斎」 美里の伊佐須美神社(福島民報)

上記で共通するのは、はらい清めること、祈ること。→麻ではらい清め。茅の輪ではらい清め。神事。そして、食事はみそ汁や納豆など発酵食品で腸内環境を整えたり、、まさに日本の文化です。昨今の情勢は昔からある日本の良い習慣を取り戻せという形を変えたメッセージではないかと思います。

1日も早い終息を祈ります。