注目される「瀬戸内の島々」と、讃岐忌部

讃岐粟島からの眺望
2019年の正月、讃岐忌部について電話である人と話しました。
 
お相手は忌部氏に興味を持ち調べている香川県在住の方です。
 
この方と話したのは30分あまり。讃岐忌部について調べたことは、Wikipediaに投稿していますが、まだまだ知らないことがあると思いました。
 
さて、米紙NYタイムズが2019年1月9日の電子版に掲載した「2019年に行くべき52ヶ所」に「Setouchi Islands(瀬戸内の島々)」が日本で唯一選出されたニュースを聞き、私は讃岐忌部を思いました。
 
古語拾遺によると、讃岐忌部の祖神は手置帆負命(たおきほおひのみこと)です。古語拾遺(解説含む)では「手置」は「手を置いて物を計量する」、「帆負」の解は甚だ困難とそこまで言及されてませんが、ご神名とその事蹟から類推すれば船大工、少なくとも船(帆船)に関係する神様と思っています。
 
讃岐粟島からの眺望
早朝、粟島・城ノ山より見た讃岐富士(中央)方面
 
古墳時代には讃岐国でつくった石棺(くり抜き式)が、旧石器~縄文時代には讃岐の国分台や金山産のサヌカイトが瀬戸内海を渡り各地に移動しています。船による各地との交易の跡と思われます。
 
2010年に、さぬきいんべを創業してから必然か、職人、手仕事などが周りに集まってきたと同時に、それを境に瀬戸内海に引っ張り出される機会が増えたのも、讃岐忌部のご縁の気がします。
 
創業後に訪れた瀬戸内の島々

粟島(11)、豊島(1)、犬島(1)、直島(1)、男木島(1)、女木島(1)、小蔦島(1)、櫃石島(1)、大三島(5)、小豆島(1)、伊吹島(1)、瀬居島(2)、志々島(1)、黄島(1) ※( )内は回数

これらの島の多くに祭祀遺跡と思われる巨石があるのは偶然でしょうか。つまり歴史が古いということです。(直近では愛媛県大島に住んでいる方とご縁ができました)

 

2019年は4月より瀬戸内国際芸術祭が開催されています。世界から注目されるこのイベントが香川県から発信されていることもおもしろいです。
 
以下の展示も開催中です。
・「いざ船旅へ-大阪商船からのごあんない-」(高松市歴史資料館 学習室)2019年3月24日(日)まで。
・テーマ展「瀬戸内の海人たち」(愛媛県歴史文化博物館)2019年9月1日(日)まで(※会期延長)。
・瀬戸内ヒストリア-芸予と備讃を中心に-(愛媛県歴史文化博物館)2019年9月21日(土)~11月24日(日)

櫃石島より岡山・鷲羽山方面
島にある「櫃岩」が島名の由来、櫃石島の海岸より岡山・鷲羽山方面を望む
 
伝統工芸、職人や手仕事に光が当たっているのとともに、昔からさまざまな物資や文化を運んできた瀬戸内海に光が再び当たっているのも感じます。
 
人類最古の乗り物は船。昔の人たちは海から陸を見ていた、言い換えれば海を大切にしていたと思います。海からの視点、大事だと思うのです。
 
 
参考文献:
「古語拾遺」斎部広成撰、西宮一民校注(岩波書店)
「県史37 香川県の歴史」(山川出版社)