はるか1000年の昔、怨霊や物怪(もののけ)が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する京の都に、傑出者と称された稀代の陰陽師がいました。
式神(陰陽道などで使われる鬼神・使役神、目に見えない存在)をあやつり、瀕死の者を蘇生させ、貴人にかけられた呪いを祓ったのが陰陽師・安倍晴明(921~1005)です。
香川県高松市の南方、高松空港に近い香南町由佐地区に冠纓(かんえい)神社が鎮座します。(何度かお参りしたことがあります)
同社には安倍晴明が神主をしていたという伝承があり、境内には晴明を祀る安倍晴明神社があります。また、丸亀京極家編纂の「西讃府誌」によると、讃岐国香川郡由佐に晴明が生まれたとされています。
一方、京都市上京区晴明町に鎮座する晴明神社は寛弘4(1007)年、晴明の偉業をたたえた一条天皇の命により、その御霊を鎮めるため、晴明の屋敷跡に創建されました。応仁の乱で荒廃したことをきっかけに現在の場所(京都市上京区晴明町)にご遷座されました。
同神社の鈴緒は緑・黄・赤・白・黒と陰陽五行の五色の麻が撚られたもので、しかも撚り房です。(前の代の鈴緒のときにお参りしました)
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中国から移入された陰陽五行説を基礎とした占いによって吉凶を判断することを得意とした「陰陽師」、同社の鈴緒が五色であるのは必然のように思われます。
なお、紫式部を主人公にしたNHK大河ドラマ「光る君へ」では、安倍晴明をモデルにした人物が登場しています。
・参考文献
「呪術の世界」(平凡社)