国産大麻(精麻)飾り紐付きの釵子。日本の未来を担う女子神職のために

釵子(さいし)は女子神職用の正装・礼装時の髪飾りですが、国産大麻(精麻)の飾り紐が誕生したのは2021年。

こちらにご紹介したとおりの展開で、前天冠の草木染め国産精麻の五色房ができた後、たまたま釵子の国産精麻の飾り紐もできたのです。

はじめて使われた方のご感想は、下記でした。

釵子へ取り付けてみましたが、 取付しやすく、
白い齋服と非常に調和が取れており、より、神聖さ清浄さを感じます。
個人的には、白い紐よりも麻の方が好きです。

私は、頭と髪に麻を巻きますので、バランスもいいと思っております。

夏越の大祓でまずつかわれた由。

麻縄職人が撚ったきなりの細い精麻の紐を組みひも職人が絹の日陰糸と同じようにあげまき結び、蜷(にな)結びで仕上げております。

国産大麻(精麻)飾り紐付きの釵子
国産大麻(精麻)飾り紐付きの釵子
釵子の国産精麻飾り紐の下部
釵子の国産精麻飾り紐の下部

帯締めや羽織紐、アクセサリーなどとして知られる京くみひもの歴史は平安遷都までさかのぼり、貴族文化のなかで衣冠束帯の付属品として発達。京くみひもはこの公家組みひもの流れを祖とします。

日本の未来を担う女子神職につかっていただければ幸いです。(すでに釵子をお持ちの方へ飾り紐のみのご依頼もお請けいたします。取付用の精麻を無償でお付けさせていただきます)

 

この釵子について考えていると、いただいた某ペットボトルのお茶に印刷されている俳句が目に飛び込んでまいりました。

巫女着替へ 我に戻りて 夏帽子

山口県下関市の大賀弘子さんの俳句だそうです。

 

国産精麻を用いた前天冠(花冠)と釵子は、京都の錺金具師の一言から

2月頃だったと思います。

「前天冠(花冠)の正絹の部分を麻(精麻)にしては?」と京都で神楽鈴などをつくる錺金具師(かざりかなぐし、錺師とも)から麻縄職人を通じて提案がありました。

前天冠とは巫女の頭飾りのこと。舞を舞う際などに着用するもので、西洋でいうティアラ状の天冠のことをいい、しばしば両耳の上には花飾りがつきます。

知り合いの女子神職(2名)に正絹の部分を精麻にする旨を伝えると、一人は「6月にはじめての大祭を予定しており花冠と、女子神職は正装となるため釵子(さいし)の使用を検討中」、もう一人のお方は「たいへんすばらしいと思います」「巫女さんが着装するなら草木染めがよいと思います」とのご意見。そうして試作を兼ね完成したのがこちらです。

前天冠(花冠)・国産大麻(精麻)五色房付き
前天冠(花冠)・国産大麻(精麻)五色房付き

すでに神楽鈴、鉾先鈴とも草木染め精麻の五色緒(緑・黄・赤・きなり・紫色)のものはできていますので、その五色緒と前天冠の五色房がリンクします。(さらに前天冠の朱色の正絹紐も草木染め精麻にすることもできます)

女子神職に完成写真を見ていただきました。「素晴らしいお品をご紹介ありがとうございます」

そして、この前天冠の話から、釵子の飾り紐を精麻(きなり)でということになり、こちらができていったのです。(すでに釵子をお持ちの場合、紐部分のみの製作もお請けさせていただきます)

釵子・国産大麻(精麻)紐付き
釵子・国産大麻(精麻)紐付き

 

 

・参考文献

「有職装束大全」八條忠基著(平凡社)

「図解巫女」朱鷺田祐介著(新紀元社)