江戸時代における福島県の会津地方の麻(大麻)の生産の様子が、1684(貞享元)年に幕内村(現在の会津若松市)の庄屋(当時の世話役)、佐瀬与次右衛門によって「会津農書」に書かれています。
※「会津農書」は、国内最古の農書の1つで、会津地方の農業の様子や農具の発達過程などが記されています。
上巻・中巻・下巻の3巻からなり、このうちの中巻には藍・麻・小麦・たばこなど36種類の畑作物の栽培方法が紹介されています。
なかでも、麻は、藍、紅花とならんで「三草」の1つに位置づけられていたことから、詳細な記述が見られます。
以下、要点をまとめると、
・麻の栽培は里畑より山畑の方が適している。
・二毛作とする。
・収穫までの日数は播種後、90日前後である。
・野州麻の生産地(栃木県)と比較すると、播種の時期や収穫期は早生麻の場合でも1ヶ月程度遅い。(気温や積雪の影響を受けるからと思われる)
・「会津農書」の下巻には、麻に限らず種は梅の花のふくらみ具合を見てまくことをすすめている。(自然の移ろいをつぶさに観察し、農作業や生活に生かすことが重要)
・夜に気温が下がる山間部の方が麻の栽培に適している。
なお、奥会津地方のなかでも昭和村は江戸時代より苧麻(からむし)の生産地としても知られており、「会津農書」には苧麻に関する記述もあります。
機械引きの導入や毒性を取り除く品質改良によって麻(精麻)の質も、一昔前とは変わっている昨今。精麻の質が麻製品に反映されるのは自明の理です。
ご参考になれば幸いです。
・参考文献
地域資源を活かす 生活工芸双書「大麻(あさ)」(農山漁村文化協会)