9月9日、海の神々に豊作を祈願する奄美大島の伝統行事「平瀬マンカイ」がおこなわれた由。
先日の塚原卜伝のドラマのときと同様、テレビをつけニュースを見ていると、ノロ(祝女)という巫女が登場したため、つい見入ってしまいました。ちなみに、ふだんテレビはほとんど見ないです。
「平瀬マンカイ」は、同島・龍郷町(たつごうちょう)の秋名地区に450年以上前から伝わる伝統行事(国の重要無形民俗文化財)だそうです。
ノロとは、沖縄や奄美にいる公的な女性祭祀者で、神々の依り代となる憑依巫女です。※ユタとのちがいは、ユタは一般の人に助言する在野のシャーマン、ノロは公的な神事や祭事を司ります。
夕方の満潮に合わせてはじまり、まず、白装束を着たノロ5人とその補佐をする男女7人がそれぞれ海岸の岩の上に立ち、「マンカイ」と呼ばれる動き(両手を水平に広げて手のひらを返す)をしながら唄をかけ合い、海の神々を呼び寄せ、そして太鼓の音と唄のテンポが速くなるとノロは岩の上で海に向かって正座し、手を合わせて豊作と地域の繁栄を祈願。
最後は、浜で住民たちが輪になって「八月踊り」を踊ったということです。
地元、秋名アラセツ行事保存会の窪田圭喜会長いわく、「20代の人たちがけっこう入ってきて、われわれがいつ引退しても引き継いでいけることに安心しております」と語っていました。
高齢化、担い手不足ということはどこにでもある課題だと思いますが、若い方の注目が集まっているのは明るいことだと思います。〔来年2025年は9月24日(水)がアラセツ祭日。アラセツ(新節)は火の神を祀り、火事がないように祈願するそう〕
なお、見たところ、平瀬マンカイでは精麻は活用されていないようです。
・参考文献
「図解巫女」朱鷺田祐介著(新紀元社)