月次祭にて国産大麻(精麻)草木染め紐付きの檜扇で浦安の舞奉奏・埼玉県の飯能平松天神社

飯能平松天神社(埼玉県)にて9月2日に月次祭があり、白衣白袴の大谷由紀宮司により浦安の舞が奉奏されました。

浦安の舞は前半の「扇の舞」と、後半の「鈴の舞」からなりますが、手にした檜扇には草木染めの国産大麻(精麻)紐がついていました。

この檜扇の草木染め麻紐はこちらにご紹介しておりますように昨年5月に完成しました。(下記の投稿で五色紐とありますが、実際は六色紐です)

 

この浦安の舞は、8月26~30日に明治神宮において同宮司が受講した(一社)神社音楽協会主催の「浦安の舞講習会」の修了報告として奉奏された由。

後半の鈴の舞は、同宮司は神楽鈴、または鉾先鈴に取り付けできる草木染めの国産大麻(精麻)五色緒もお持ちですが、この日は正絹の五色布で奉奏されました。

 

檜扇の紐について、「有職装束大全」八條忠基著(平凡社)P150によれば下記のようにあります。

有職の世界では、陰陽五行説からきた「五色」(青・赤・黄・白・黒)がさまざまな形で用いられるが、檜扇の紐だけは一色加えた六色である。その理由には諸説あるが、檜扇に巻きつけた際、隣り合う紐と撚りの方向が互い違いになる「左右縒(そうより)」にするため偶数にしたと考えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国産大麻(精麻)草木染めの紐付き檜扇、五色緒付き神楽鈴で「浦安の舞」を奉納

一昨年8月に国産大麻(精麻)草木染め五色緒付きの鉾先鈴での浦安の舞奉奏が実現したことをご紹介させていただきました。

その後、鉾先鈴あるいは神楽鈴が東京・戸越八幡神社様の月次祭等にて精麻の草木染め五色緒付きで奉奏されております。

なお、浦安の舞は前半が祝いの象徴である檜扇を持って舞う「扇の舞」。後半が鈴を手に舞う「鈴の舞」です。

事後報告になりますが、檜扇の紐も国産精麻の草木染めでとご提案したところ、2022年5月に完成しました。そして、同年7月同神社の月次祭にて国産精麻草木染めの紐付き檜扇、五色緒付き神楽鈴で浦安の舞が奉納されました。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

戸越八幡神社(@togoshihachiman)がシェアした投稿

国産精麻草木染めの紐付き檜扇、五色緒付き神楽鈴(上の投稿写真)で舞われているのは大谷由紀様で、同神社の巫女舞のご指導もされている由。(本務は書かれているとおり埼玉県飯能市に鎮座する平松天神社様の宮司です)

大谷様は檜扇の紐(精麻の草木染め)について、次のようなご感想をお寄せくださいました。

予想とイメージを遥かに超える出来上がりで感動しました!!
なんだろう、コアとか魂の座からドキドキする高揚感のようなものと
崇高なものを目の前にしたときの有難さと感動、大事なものを大切にしたいという気持ちと、少しの畏怖をMIXしたような、今までに感じたことがない気持になりました。

なぜ、さぬきいんべで精麻の草木染めをと思ったのか、、もう8年前のことになりますが現在、神社仏閣用麻製品の染めは99%が化学染料と聞き、神様にお捧げするものは自然由来が一番と思ったからです。職人とたまたま話が進み最初は藍染めからはじまり、2020年に五行の五色(緑・黄・赤・きなり・紫)ができるようになりました。(いま、きなりを含め六色が可能です)

上の大谷様のご感想がその重要さを物語っているのではないかと思います。

巫女神楽は、シャーマニックな憑依降神のための祈念の舞と、神を喜ばせる祈願奉納の毎に大別できます。前者の憑依降神の舞は、神がかりを得るためにゆったりとした回転の舞からはじまり、回転によって巫女の心身を浄化した後、順回り、逆回りを繰り返し、神を降ろします。

その手に持つ採り物は鈴、扇、笹、竹、紙垂鉾、榊、幣など神の宿る依代です。この舞は託宣巫女の存在が男性支配者に疎まれ、古代神道が国家神道化するにつれて、廃れていきましたが、今でも巫女舞の中にその要素が残っています。

精麻草木染めの紐付き檜扇、五色緒付き神楽鈴を手にした浦安の舞はこの憑依降神のための祈念の舞をどこか彷彿とさせます。

 

 

・参考文献

「図解巫女」朱鷺田祐介著(新紀元社)