祝・14周年、さぬきいんべ年末感謝祭(本年も1年誠にありがとうございました)

毎年開催させていただいております年末感謝祭。

今年は14周年を祝い、15周年を予祝して、開催させていただきます。(2024年12月31日まで。2025年1月4日に、さぬきいんべは15周年を迎えます)

感謝をこめて、計1万円以上お求めの方に、しめ縄や鈴緒など、神社仏閣用の麻製品を調製している京都・山川製のオリジナル国産精麻アクセサリー《2トーン》をお1つプレゼントさせていただきます。これは、神道関連物の製作の余材が偶然できたそうで、それを生かすべく手仕事によって1つひとつ生まれた他にないものです。(年末のしめ縄ご予約の方には別の特別特典をお付けいたします)

京都・山川製の国産精麻アクセサリー《2トーン》(非売品)
京都・山川製の国産精麻アクセサリー《2トーン》(非売品)

1月に「麻農家になりたい」、四国の麻栽培を再生させたいと考えている方、3人で愛媛・伊予市で対談してから、話がすすみ、7月28日を皮切りに、そこでしか手に入らない自然栽培、自然農法の作物、そ
の加工品がならぶ「自然マルシェ」が同市の後援で毎月1回開催されるようになりました。

11月17日には同じく伊予市の後援で、日本「麻」文化フォーラムが開催されました。4人のゲストと、東京ほか四国4県の出店者が集まり、来場者も多数いらっしゃった由(結果として、残念ですが足を運べませんでした)。愛媛での麻栽培、四国の麻栽培再生へ歩みはじめたと思います。

今年も昨年につづき通常通り、地元「西条まつり」〔伊曽乃神社、嘉母神社、石岡神社、飯積神社の4つの神社の例祭(秋祭り)の総称〕がおこなわれました。

一般の方や神社仏閣向けに国産の麻製品(藍染め、草木染め含む)がさらに普及しますように、四国の麻栽培が次々再生、後世にすばらしい麻文化が継承されますように祈念いたします。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

webページからだけでなく、お電話、FAX、メールでのご注文も承っております。

四国・剣山の山の神々、忌部修験道と麻

6年前、徳島県の剣山(標高1955メートル)山頂直下に鎮座する剣山本宮宝蔵石神社(祭神:素戔嗚命、安徳天皇)の神麻しめ縄奉納神事に参加しました。(そのレポートはこちらをご覧ください)

剣山には修験道の行場があります。また神社の看板に「四国太郎山忌部修験 霊峰劔山頂上の宮」とあります。

かつて剣山は石立山(太郎笈・太郎山)と呼ばれ、もともとは吉野川水系の水源地をつかさどる山の神として宝蔵石を磐座に、古代より忌部氏が崇拝してきた神聖なる山でした。

しめ縄奉納神事の最後に、「御宝剣加持」があり、5~6人ずつ精麻の祓串、神楽鈴とでお祓い、御宝剣の加持を受けたのですが、この御宝剣は平安時代末期に、幼帝・安徳天皇が納めた剣で、これより以降剣山、剣山大権現と呼ぶようになったそうです。その剣に触れることで神霊と同体になり、神霊のもつ力をいただくことができるとされます。

宝蔵石神社での御宝剣加持の様子(奉納された麻のしめ縄、鈴緒)
宝蔵石神社での御宝剣加持の様子(奉納された麻のしめ縄、鈴緒)

徳島最古の忌部修験道は吉野川市山川町の高越山の高越寺で鎌倉時代に創始された由。

修験道は、霊山にこもり厳しい修行を行うことで、神秘的な力を得て、その力で自他の救済を目指そうとする日本古来の山岳信仰と密教とが集合した神仏習合の宗教です。

その実践者は修験者、山伏(やまぶし)と呼ばれ、開祖は奈良時代の大和葛城山(かつらぎやま)を行場とした役小角(役行者)とされます。

奈良県の吉野と和歌山県の熊野を結ぶ修行の道「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」はユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録遺産となって今年で20年です。(現在大峯に入り、駆け抜ける修行を「奥駈(おくがけ)」と呼びますが、平安時代頃は「奥通(おくどおり)」と呼ばれていたようです)

修験者が衣服の上に着る麻の法衣を鈴懸(すずかけ)といいます。心身の穢れを祓い清める修験道においても麻が用いられるのは当然のことと思われます。

 

 

・参考文献

「山の神々と修験道」鎌田東二監修(青春出版社)

劔山本宮劔神社例大祭と剣山忌部修験道の歴史パンフレット」(一般社団法人忌部文化研究所)

 

次はフランスへ、初の東型の神楽鈴・国産大麻(精麻)五色緒付き

2月にアメリカへ渡った神楽鈴・国産大麻(精麻)五色緒付き

6月にはイギリスではじめての神社、フォーダム松尾神社の奉鎮祭にて前天冠・国産精麻五色房付きをつけた謡曲仕舞奉納家・一扇様が「みろく涼香舞」を奉納されました。

そして、次はフランス在住の方から神楽鈴・国産精麻五色緒付きのご依頼をいただきました。

神楽鈴はこちらで書いたとおり2種類(東型と西型)あり、さぬきいんべでは一般によく出る西型を標準にしておりますが、今回は東型。

神楽鈴・国産精麻五色緒付き(草木染め版)、写真は西型
神楽鈴・国産精麻五色緒付き(草木染め版)、写真は西型

 

東型の神楽鈴の国産精麻五色緒付きははじめての製作になります。

今年はフランスの首都、パリでオリンピック、パラリンピックが開催され、日本選手のメダルラッシュがつづきました。

神楽鈴はフランスの地でどんな音がするでしょうか?

現地からのご報告が楽しみです。

11月17日開催、日本「麻」文化フォーラム展示用の国産大麻(精麻)製鈴緒が完成

取扱い製品を皆さまに見ていただく自宅の展示ギャラリー国産大麻(精麻)製の鈴緒(すずお)をと思っていました。

鈴緒とは神社の拝殿前に吊されている綱で、参拝者が振り動かして鈴を鳴らすための神具です。

このほど、11月17日開催の日本「麻」文化フォーラムでの展示用にその鈴緒を製作、完成しました。

太さは1寸(約3センチ)、長さは3尺(約90センチ)の貴重な国産精麻でできたもの。六角桐枠付きの本格派で、一般の神社向けなどとしてよく出るサイズでもあります。

当日はこの鈴緒を振って、本物の「鈴祓え」を体験していただきたいと思っております。

鈴はその音色で神霊をまねくとされ、鈴緒を振ることでその人を祓い清めることから「鈴祓え」と呼ばれています。精麻でなわれた鈴緒は神霊と人をつなぐ架け橋です。

日本麻文化フォーラム2024(愛媛県伊予市)

 

日本麻文化フォーラム2024(愛媛県伊予市)

当日はご覧の4名のゲストと、出店で東京ほか、四国4県から同志が集まります(麻心、あわたま、こころ商店、caravan SHANTI SHANTI、牧工房、本藍染めTonbiii、お麻守り屋青游庵、infinity harmony、お昼寝ぴーちゃん、精麻セラピーNOAH、よろぷふ堂、あさとしずく、大麻飾り工房、Mi-Co Lodge、その他、飲食の出店もあり)

ゲストの吉岡敏朗監督は2017年、徳島・大麻比古神社への麻のしめ縄奉納の際にお会いしました。

また、岡沼隆志さんは2016年、京都での麻のイベントの際、お会いしましたが、当時こうおっしゃっていたことを思い出します。「個人的に毎年、(香川県)善通寺市の大麻神社と、奥の院にあたるのでしょうか?大麻山の龍王社(実際は金刀比羅宮の末社)にお参りさせていただいておりご縁を感じます。」

当日は麻に詳しい地元神社の宮司、徳島で麻栽培を目指している人もこられると聞いております。

11月17日、会場でお待ちしております。(別の日でもお問合せいただければこの鈴緒を見ていただけます)

四国の麻栽培再生キャンペーンpart3(再)も延長して開催中です。

みろく涼香舞をグループホームでも。国産大麻(精麻)五色房付きの前天冠とともに

再三ご紹介しています謡曲仕舞奉納家・一扇様。

観世流梅若派緑幸会 井上和幸師と井上貴美子師に師事。

お能の美しい曲を謡いながら舞う「みろく涼香舞(すずかまい)」を、世界平和と皆さまの幸福を願い神社仏閣等で奉納されていますが、このたびはじめてグループホームで舞われた由。

一扇様のブログ「和み文化の風の声」によると、義母から着物で来てほしいとリクエストがあったものの、厳しい暑さなどでなかなか実現しなかったのが、諸々タイミングが合い、9月が義母の誕生月ということもあり、グループホームの職員の方々も受け入れてくださり、みろく涼香舞を舞わせていただくことができたそうです。

義理の母だけでなく他の方々も笑顔で喜んでくださいました。

また施設で働いていらっしゃる方々もたいへん喜んでくださいました。

笑顔の義母とのツーショット、一扇様のSNSでは、当日のみろく涼香舞を舞うショートムービーもアップされ、皆さまに何かが伝わったのだと思います。

すばらしい活動と思いました。前天冠・国産大麻(精麻)五色緒も陰で活躍しうれしい限りです。

 

戦国最強の剣豪・塚原卜伝のドラマにみる巫女(物忌)の姿

9月1日朝、テレビをつけると、「物忌(巫女)采子」の字幕と精麻を頭に巻いた幼い子どもの姿が目に飛び込んできました。

精麻が映るあまりのタイミングのよさに引き込まれ、最後まで見てしまいました。

これは堺雅人さん主演の時代劇(原作・津本陽)の再放送で、塚原卜伝(ぼくでん)とは、戦国時代、鹿島(いまの茨城県鹿嶋市)に生まれ、17歳で武者修行の旅に出て、生涯数多の真剣勝負や合戦にのぞんで一度も負傷しなかったという伝説的な剣豪だとか。

ドラマのなかで、堺雅人さん演じる塚原新右衛門は巫女(物忌)から2度ほど、神託を伝えられていました。

物忌は古代より神託を伝える巫女として鹿島大神宮で最も重んじられてきた神職、このドラマは舞台となる鹿島神宮や室町時代の風俗、文化などを忠実に再現しようとしているようで、描かれていた巫女のシーンも精麻とともに日本の原風景と思われます。

9月1日放送の第7話「卜伝見参」は最終回で、9月8日(日) 午前6:52 までこちらで見逃し配信中です。

興味がある方はご覧ください。

ちなみに、冒頭の「物忌(巫女)采子」とは、先の巫女の没後、数年を経て物忌を継いだ少女です。

大相撲の世界でみられるもう1つの精麻、出し幣(だしっぺい)

大相撲の土俵入りの際に横綱がつける綱(モノとしての横綱)は、精麻でつくられていることは既にご存じの方も多いと思います。

この綱はしめ縄の一種で、しめ縄は不浄なものの侵入を禁ずる印として張るものであり、内には聖なる神が宿るものとされています。

そのため、それを締めることが許された横綱は、肉体に特別な力が宿るものと解釈されます。

横綱を小型化、再現した国産大麻(精麻)・ミニチュア横綱(写真は雲竜型)
横綱を小型化、再現した国産大麻(精麻)・ミニチュア横綱(写真は雲竜型)

相撲の世界でこのほか、櫓太鼓が鳴る櫓の最上部に、先端に精麻と御幣をつけた2本の竹竿が下げられます。

 

これを出し幣(だしっぺい)といい、天下泰平と五穀豊穣、場所中の晴天を祈るものとされます。

 

 

・参考文献

地域資源を活かす 生活工芸双書「大麻(あさ)」(農山漁村文化協会)

日本相撲協会公式サイト

国産大麻(精麻)・より紐、より縄。神具として他にない五色縄も可能

5年前より取扱いしはじめた神社仏閣用の麻製品を手がける京都・山川の麻縄職人のよる国産大麻(精麻)・より紐、より縄

太さは2ミリから、3ミリ、5ミリ、6ミリ、8ミリ、10ミリ、15ミリをお選びいただけ、これ以外の太さも製作できます。

主に、しめ縄をはじめとする神具、作品づくり、アクセサリーなどにご活用いただいております。

当初は、きなりだけでしたが、紺色(藍染め)にはじまり計五色〔緑(藍+ざくろ染め)、黄(ざくろ染め)、赤(茜染め)、紫(藍+茜染め)〕の精麻の染めができるようになるに伴って、単色、二色・三色(二本撚りは二色、三本撚りは三色)、五色のより紐、より縄も可能になっております。

国産大麻(精麻)・より紐(五色、草木染め)。写真は5ミリ径。
五色の国産大麻(精麻)・より紐(草木染め)。写真は5ミリ径。

特に、五色のより紐、より縄は京都・山川のオリジナルで、ご神前の威儀具(いぎぐ)として設けられている真榊や神輿渡御の行列の五色旗と同じように、草木染めの緑(青の代用)・黄・赤・きなり・紫(黒の代用)の色の順によられています。(三色と五色縄は、細いと手間がかかりすぎるため、誠に恐れいりますが5ミリ以上とさせていただきます)

※五色の鈴緒は京都の晴明神社など、五色の鰐口紐は四国霊場23番札所・薬王寺等に染色は草木染めではありませんが設置されています。

お客様よりいただいた直近のより紐、より縄のご感想は下記のとおりです。

商品が届きました。とっても満足です。ありがとうございます。
職人さんのお仕事とのこと感心しました。

 

迅速、丁寧なご対応、ありがとうございました。

今回はお守りを下げるのに使用いたします。
それに相応しいお品物だと思いました。

2024年9月30日まで大麻の麻縄活用コンテスト協賛として、CLUBさぬきいんべ会員様は5%OFFとさせていただいております。上記の用途に限らず幅広くご活用いただければ幸いに思います。

愛媛県の一部、神輿渡御で神職がかける精麻、「えどそ」とは

愛媛県の一部に、力紙に塩を包んで精麻で結んだ「えどそ」というお守りのようなものがあります。

SNSで県内の神社の宮司がご紹介されていて、知りました。

地域でいいますと、今治市菊間から松山市城北、三津地区のお祭りで神輿渡御の際、神職がかけたり、輿守(こしもり、お神輿を担ぐ人)がつけたり、子どもはこれに鈴をつけたりするようです。

麻は神の依り代、神様の宿る繊維といわれ、神社やお寺でいろいろ使われています。

先月、愛媛民芸館、五百亀記念館で開催されていた沖縄・喜如嘉の芭蕉布展へ行き、芭蕉布の小さな袋に塩(マース)を入れたストラップをたまたま手に入れていました。

塩を包んでいる点で、「えどそ」と同じと思いましたし、芭蕉はもともと薬草で、織られた着物は「体内に宿る魂を守る」という神秘的な力をもつと信じられていたそうです。

厄よけ、魔よけ、身を守る文化として、日本中いたるところにある(あった)ものではないでしょうか?

四国の麻栽培再生キャンペーンpart3(再)を延長、継続中です。

 

 

 

 

神社参拝の際に鳴らす鈴の意味とは

多くの神社には、拝殿の中央、ちょうど賽銭箱の真上あたりに、銅や真ちゅう製の大きな鈴が吊られており、この鈴に添えて麻縄や、紅白・五色の布などを垂らして、参拝者はこれを振り動かして鈴を鳴らし、お参りをします。

神聖なる鈴を鳴らす縄であるため、古来神聖な植物とされる麻でもともと作られてきました。(鈴緒といいます)神社によっては神仏習合の影響により、鈴の代わりに鰐口(わにぐち)が設けられている場合もあります。

社頭に設けられた鈴は、その清々しい音色で参拝者を敬虔な気持ちにするとともに参拝者を祓い清め、神霊の発動を願うものと考えられています。(鈴緒の「緒」の文字には「魂をつなぐもの」という意味合いがあります)

国産大麻(精麻)でできた鈴緒(保護網付き)
国産大麻(精麻)でできた鈴緒(保護網付き)

また、巫女が神楽舞を舞う際に用いる神楽鈴も、社頭の鈴と同様の意味によるものです。古くは巫女が神楽を舞うことにより神がかりして人々に神の意志を伝えており、このために必要なものとされていました。

このほか、お守りなどの授与品に鈴が用いられるのは、魔よけや厄よけ開運のためともいわれています。

古事記や日本書紀には記されていない神祇祭祀に関わる古伝承も載せられている「古語拾遺(こごしゅうい)」という平安時代の書物には、天の岩屋にお隠れになられた天照大御神の心をひくために、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が鈴をつけた矛を持って舞ったことが記され、宮中では天皇陛下が天照大御神をご親拝なされる際に、女性で祭祀をつかさどる内掌典(ないしょうてん)が御鈴を鳴らして奉仕することがあるように、神事における鈴振りは今日まで重要な意味を持ってきています。

 

 

・参考文献

「神道いろは」神社本庁教学研究所監修(神社新報社)

「明治19年創業 神社仏閣用麻製品調整 株式会社山川パンフレット」