皇祖・天照大御神(あまてらすおおみかみ)をお祀りし、日本国民の総氏神として崇敬される伊勢の神宮。
神宮では、年間に1500回に及ぶ恒例祭典が斎行されています。
日本の津々浦々に祀られる神社は、その土地の人々によってそれぞれ手厚く祀られてきました。
毎年、ここで祭りが行われ、豊作を祈願し、感謝してきました。長い間、稲の豊作が社会発展の基礎であったからです。
日本人と米との関係は、日本書紀では天孫降臨に際して天照大神(あまてらすおおみかみ)が仰せられた「三大神勅(しんちょく)」の1つ、「斎庭(ゆにわ)の穂(いなほ)の神勅」に象徴されています。「わたしが高天原で食している斎庭の稲穂をわが御子(みこ)に与えよう」との内容で、天照大神から皇孫に授けられた稲穂が日本人の米食の契機となったことが示されています。
民俗芸能の神楽、獅子舞なども祭りのなかで継承されてきました。神社は、その意味で日本人の祈りの原点です。
そして、神祀る日本人のこころは、日常に根付いています。
そのうちの1つが家庭内に鎮座する小さな神社といえる神棚です。
伊勢神宮のお札である神宮大麻を納めるための棚がその起源とされ、室町時代以降、庶民の間で室内に神棚を設けることが定着しました。
神棚には、神社をかたどった宮形を置き、正面中央に神鏡、左右に榊をかざる榊立て、神灯を照らす灯明を置いて前面上方にしめ縄を張ります。しめ縄は聖と俗をわける象徴で、一般に太い方が正面右にくるようにします。そして、宮形の内部にお札を祀ります。
・参考文献
「皇室」令和6年秋104号(公益財団法人 日本文化興隆財団)
「図解 神道としきたり事典」茂木貞純著(PHP研究所)