ご存じの方も多いと思いますが、2023年秋の臨時国会で大麻取締法改正案が可決・成立、12月13日付の官報にて公布されました。
大麻取締法は大麻を麻薬として規制する法律と、適正に栽培する法律に分けられました。
後者は、「大麻草の栽培の規制に関する法律」(略称:大麻草栽培法)と名前を変え、栽培に特化した法律です。(2025年に施行予定)※法改正に向けた議論の経緯については、こちらに書いております。
この法律についてどう変わったか?産業用から見た主な点を下記に示します。
・規制の対象
【×規制対象】
麻薬及び向精神薬取締法の「麻薬」に指定されるもの。
【○規制対象外】
成熟した茎、種子、政令で定める基準値を超えない大麻草の形状を有しない製品。
・栽培の目的
医療および産業の分野への利用
例:大麻由来医薬品、国産のCBD製品、バイオプラスチック、建材、ヘンプ食品など。
・免許の種類
【都道府県知事の免許】
第一種大麻草採取栽培者(一般製品原料)
【厚生労働大臣の免許】
第二種大麻草採取栽培者(医薬品原料)
大麻草研究栽培者
・栽培地の要件
全国的な統一基準を設ける。THC濃度が基準値以下の大麻草には、特に厳しい防犯体制を求
めない。THC濃度が基準値を超える大麻草は厳格な管理下での栽培が可能。
・免許期間
第一種大麻草採取栽培者:3年
第二種大麻草採取栽培者:1年
大麻草研究栽培者:1年
・種子の扱い
【播種用】
海外品種は第一種大麻草採取栽培者が輸入可。
第一種大麻草採取栽培者間の譲渡可。
【食用/飼料用】
国内生産、全国流通のいずれも可能。ただし、発芽不能処理をすること。
・花葉の加工
第一種大麻草採取栽培者が厚生労働大臣の許可を得れば、自社加工&委託加工が可能。
・CBD製品
THCの残留限度値を設定(別途政令で定める)
THC検査体制を整備(登録検査機関、未定)
CBD医薬品として承認後に食薬区分の対象に(未定)
CBD化粧品は、ポジティブリストの対象に(未定)
以上、未定のこともあります。
伝統・日本文化の観点から見れば、新しい法制度ではTHC濃度が低い品種は麻薬に該当しないため、高さ2メートルを超える柵や監視カメラの設置などの過剰な規制を強いられることはないです。
日本の伝統を守るために、「第一種大麻草採取栽培者」の下で、若い農業研修生の育成などもできるようになると思います。
新規、産業用途の栽培者免許はほとんど交付されない状態がつづいていましたが、これから新しい産業、神事や伝統的な利用とともに大麻農家が増える方向になればと願うばかりです。
・参考文献
農業経営者2024年1月号(農業技術通信社)、【時事解説】75年振りに改正案が可決!大麻取締法はどう変わった?(赤星栄志)