2012年の夏から2013年の末まで大麻と絹の織物を販売させていただいていました。
糸づくりもその方ご自身がされ、経糸の絹は愛媛県産の晩秋繭「あけぼの」を手びき。
緯糸の大麻は栃木県産の大麻(野州麻)を手績み。
丹念に心を込めて織り上げられていて、清らかで繊細なハリとツヤのある布だったことを思い出します。
この方は多摩美術大学芸術学科映像学部卒業後、23歳のとき、写真を撮るために移住した沖縄県与那国島で機織りの仕事に出会いました。
そこで、島の伝統工芸品に指定されている「与那国花織り」の技法を学び、織り子(※)になったそうです。
その後、愛媛県西予市野村町で国産繭(まゆ)からの「座繰り糸ひき」の技術を習得。
さらに、大麻の歴史に興味をもち、大麻の布を自らの手にとって感じてみたくなり、麻績みの技術を習得されました。
(※)織り子=機織りをする人。沖縄県与那国島の織物の歴史は古く、おおよそ500年。与那国町伝統工芸館では、織り子の養成により与那国織の伝統を継承するための養成活動が行われている。
さらにお聞きすると、麻績みは与那国島のお婆さんから習ったそう。
そして、今の「よりひめ(R)」(麻糸産み後継者養成講座)の活動が始まる前に大麻博物館(栃木県)の高安淳一さんからも麻績みを教わったそうですが、それは与那国島で教わったのとは少し違うとのこと。
日本各地には地域によって育まれた方法、昔から代々受け継がれてきたものがあるのだと思います。
それを後世に受け継げるようにしたいですね!(間に合ううちに)
手間をかけた時間と、作り手の想いが感じられる命のかたまりのような上品で美しい布でした。