-四国には3つ大麻山がある。
20年以上前のこと。私は香川県民でした。当時勤めていた会社の人から香川・善通寺市の大麻山(おおさやま、標高616.3m)山頂に「GW頃見ごろになる桜(ボタンザクラ)がある」と聞き、それを見ようと大麻山に登りました。
この頃はまったく意識していませんでした。
その後十数年して、その標高約405mにある野田院古墳へ行くとはつゆ知らず。
山の名は、この周辺が古代に麻の生産地であったことに由来しています。(善通寺市デジタルミュージアム 大麻山より)
この大麻山の東麓に忌部氏の祖神、天太玉命(あめのふとだまのみこと)を祀った大麻神社が鎮座しています。
その後、神社含む古神道に関心を持ち始めた2005年に徳島・大麻比古神社の背部に形造られる大麻山へ(標高538m)登りました。頂上には奥宮・峯神社が鎮座しています。2008年頃、大麻比古神社へ立ち寄った際もう1回登ったと思います。
古くはこの大麻山は船舶航行の目印とされ、頂上に猿田彦大神が祀られていました。後に大麻比古神社に合祀されましたが、その信仰は今も息づいています。
2014年、金刀比羅宮ならびに奥社・巖魂神社にお参りしたその足で、善通寺・大麻山の龍王社へ。ある方から「最近、龍王社あたりが明るくなっている」と聞いたのでした。周辺には「上代噴気孔遺址 龍王池」の石碑があります。
そのすぐ後、小豆島の磐座を紅雲亭一葉さんのご案内で巡った際に、地区名の由来となっている大石「黒岩さん」のある黒岩地区から大麻山(太麻山、標高427.2m)を遙拝しました。小豆島の大麻山の山容は鷲が羽を広げたように見えませんか?
紅雲亭さんによると、小豆島の大麻山は応神天皇が麻布を振ったとの伝承があるとのことでした。
四国の3つの大麻山。地図上で線を引いて“トライアングル”と表現している方もいますね。
四国は始国(しこく)。そう聞いたのが確か2006年でした。日本神話の「国生み」において、四国は淡路島に次いで2番目に伊予二名島(いよのふたなじま)として生まれました。
神世とはふるきむかしの事ならず今を神世としる人ぞかみ(井上正鐵)
その通りそうなっている気がしてなりません。
参考文献:
「週間日本の神社No.67忌部神社・大麻比古神社」(デアゴスティーニ)
「阿波一宮大麻比古神社御由緒畧記」パンフレット