7月22日、三重県にて「麻績みを知る・体験する」講座。麻績み体験ワークショップのお知らせ

7月22日(土)13時~、三重県にて麻績みの講座があります。

講師は、「よりひめ(R)」で知られる一般社団法人日本古来の大麻を継承する会です。

1.大麻繊維に触れながら学ぶことができる入門講座と、2.麻績み体験ワークショップの2本立て。

ワークショップへの参加は入門講座が必須ですが、ワークショップに参加すると自分でつくった麻糸をオガラに巻いて持ち帰ることができるそうです。

詳しくは、こちら

麻の文化、織物技術の継承をしていく、貴重な場と思います。さらに自分たちの住む地域の歴史と伝統文化を知るきっかけになれば幸いです。

なお、以前に麻績み、織物についてこんな記事「純国産の大麻と絹の織物が教えてくれたもの」を書いております。

 

また、同県内で麻の栽培地、加工場の見学も7月23日(日)13時~にあります。生産者に詳しい解説をいただきながらの見学です。申込みはこちら

行ってきた方の感想を聞きました。迷われるなら参加をおすすめします。(麻績みの講座ともにお問合せは直接主催者へお願いします)

 

 

 

 

なぜ、日本では「神様が国を生む(国生み)」「麻糸を績む(麻績み)」というか?

遠い遠い昔、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)の二柱の神が天上から「天の沼矛」で大海原をかき回したところ、矛先から滴り落ちた雫が凝り固まって「おのころ島」ができました。

二柱の神はそこに降り立ち、夫婦の契りを結んで誕生したのが、日本で最初に生まれた島、淡路島だと伝えられています。

続いて次々と島を生み、やがて誕生したのが日本だといいます。日本で最古の歴史書「古事記」に記されたこの壮大な天地創造のストーリーが今に伝わる日本神話です。

四国は伊予之二名島(いよのふたなのしま)として登場し、淡路島に次いで2番目にできました。

 

古事記では、国生みといって、神様が国をつくられたのではなく、神様が国を生んでるんですね。どうしてでしょうか?

伊弉諾神宮の宮司、本名孝至さんはこうおっしゃっています。

日本で初めてご夫婦となられた神様がお生みになった子供たちは日本の島々となりました。この「国生み神話」の中には、夫婦や家族の愛、悲しみ、苦しみ、確執など、まるで人間のような心模様が記されています。これは、神様が天上から人をつくられたのではなく、天から地に降りた神様が人と同じ姿をしていたご先祖であることの表れでしょう。日本では、現在の私たちの親、祖父母、代々を遡れば、神様が生まれた神代につながっていくと考えられています。(「AWAJI ISLAND 日本のはじまり淡路島 日本遺産」パンフレット(淡路島日本遺産委員会)P6より)

聞いたことがあるでしょうか、先祖は30代遡ると10億人を越えます。さらに遡ると、、神代につながっていきそうですね。

「先祖の魂は子孫に伝はる 我が身生まれてあるは、即ち是れ、先祖の身分かれたる故也」

江戸初期の朱子学者、林羅山は、神(先祖)と人の関係を上のように説いています。親の魂は子に引き継がれ、その親にも両親があり、さかのぼっていけばいくほど、顔も知らない先祖の魂(こころ)や肉体が、今を生きる自分に積み重なって、引き継がれていることを思い知らされます。

一方、麻糸を績(う)むというのは精麻を細かく裂いて指先で均等の太さにつなぐこと。麻績(おう)みといいます。

国生みと麻績み。字はちがいますが、同じ「うむ」「うみ」です。

共通点は親(元)とつながりがあることだと思います。その親(元)と本質が同じということです。「つくられた」だと、親(元)とは異質な感じがしませんか?

日本のもとは伊弉諾尊、伊弉冉尊という神様、麻糸のもとは精麻、そのつながりを「うむ」という言葉で表しているのではないかと思いました。

 

 

・参考文献

「AWAJI ISLAND 日本のはじまり淡路島 日本遺産」パンフレット(淡路島日本遺産委員会)

「AWAJI ISLAND guide book」(淡路島観光協会発行)

「現代語古事記」竹田恒泰著(学研)

「神様の御用人6」浅葉なつ著(メディアワークス文庫)

純国産の大麻と絹の織物が教えてくれたもの

杼と織り途中の布

2012年の夏から2013年の末まで大麻と絹の織物を販売させていただいていました。

糸づくりもその方ご自身がされ、経糸の絹は愛媛県産の晩秋繭「あけぼの」を手びき。

緯糸の大麻は栃木県産の大麻(野州麻)を手績み。

丹念に心を込めて織り上げられていて、清らかで繊細なハリとツヤのある布だったことを思い出します。

高野さんによる手績み大麻糸
手績み大麻糸(緯糸)

この方は多摩美術大学芸術学科映像学部卒業後、23歳のとき、写真を撮るために移住した沖縄県与那国島で機織りの仕事に出会いました。

そこで、島の伝統工芸品に指定されている「与那国花織り」の技法を学び、織り子(※)になったそうです。

その後、愛媛県西予市野村町で国産繭(まゆ)からの「座繰り糸ひき」の技術を習得。

さらに、大麻の歴史に興味をもち、大麻の布を自らの手にとって感じてみたくなり、麻績みの技術を習得されました。

(※)織り子=機織りをする人。沖縄県与那国島の織物の歴史は古く、おおよそ500年。与那国町伝統工芸館では、織り子の養成により与那国織の伝統を継承するための養成活動が行われている。

 

さらにお聞きすると、麻績みは与那国島のお婆さんから習ったそう。

そして、今の「よりひめ(R)」(麻糸産み後継者養成講座)の活動が始まる前に大麻博物館(栃木県)の高安淳一さんからも麻績みを教わったそうですが、それは与那国島で教わったのとは少し違うとのこと。

大麻と絹の織物
大麻と絹の織物(左側は緯糸に藍染め大麻糸がランダムに入ったもの)

日本各地には地域によって育まれた方法、昔から代々受け継がれてきたものがあるのだと思います。

それを後世に受け継げるようにしたいですね!(間に合ううちに)

手間をかけた時間と、作り手の想いが感じられる命のかたまりのような上品で美しい布でした。