神社には本殿や拝殿の建物、あるいは神前幕や賽銭箱などに家紋のような紋章が描かれているのを目にします。
これを神社における「神紋」といいます。(神紋を設定していない神社もあります)
神紋の起源は明らかになっていませんが、鎌倉時代の日本の歴史書である『吾妻鏡(あづまかがみ)』の治承4(1180)年9月10日条に、甲斐国(山梨県)の武士だった武田信義が、諏訪大社上社本宮のあたりに宿泊したところ、梶の葉の文様の直垂を着して、葦毛の馬に乗った勇士の夢を見たとの逸話が書かれています。
この記録によって、当時すでに諏訪大社では梶紋を神紋として用いていたことが想像できます。
麻の葉紋(麻紋)は、その名前から植物の麻に由来したものと思われるかもしれませんが、もとは正六角形の幾何学的な星形の文様です。
連続文様として描かれたものの一部分が抜き出されてこのような紋になったと考えられています。
その形が植物の麻の葉に似ていることから、麻の葉紋と名付けられました。

麻は、春に発芽してその年に枯れる1年草です。その成長が早いことから子どもの健やかな成長を願う象徴として好まれていました。
なお、江戸時代には、人気歌舞伎役者だった5代目、岩井半四郎が、八百屋お七で有名な『其往昔恋江戸染(そのむかしこいのえどぞめ)』という演目で、浅葱色に染められた麻の葉鹿の子の振り袖衣裳を着てお七の役を演じました。その姿から女性たちの間で麻の葉の文様が流行しました。
麻の葉紋の神社には、大麻比古神社(徳島県)、山崎忌部神社(徳島県)、青麻神社(宮城県)などがあります。
・参考文献