身曾岐神社宮司 坂田安儀先生(2022年1月5日ご逝去)をお偲びして

宮司とはじめてお目にかかったのは2005(平成17)年8月に身曾岐神社(山梨県北杜市)で開かれた日本の精神文化の源流である古神道の奥義を広く一般に相伝するための講座、初学修行座(当時3泊4日)の聴聞でした。

講師として立たれた宮司は神道や古事記についてホワイトボードに書きながらご説明してくださっていたことを思い出します。

この講座を紹介いただいたのが知り合いだった同神社の神職からでしたので、ありがたいことに私は宮司(伯家神道)の直門として入門させていただけたようです。

宮司とのことで一番心に残っていますのは、2011年10月12日に神社で上記の神職とご一緒に宮司にお会いすることになり、今何してる?と聞かれたときのことです。(このときが宮司とお話した最後でした)

古神道を学ぶ過程で行きついた仕事のこと、おお麻(ヘンプ)のことや神道との関わりをお話し、さぬきいんべの名刺をお渡しすると、「古神道を現代風に伝えるのは素敵だ」とおっしゃられ、「これが漢字(讃岐忌部)だったら頭を下げなければいけない」と。(誰でも読め親しみやすいように屋号を「さぬきいんべ」とさせていただきました)

また、「四国へ行きたい」ともおっしゃり、大麻比古神社(徳島県)や金刀比羅宮(香川県)の名を挙げると、ああ行きたいねぇと目を輝かせられていたように思います。

この頃は前年に創業はしたものの香川県高松市での活動を断念、実家のある愛媛県西条市へ引っ越し、活動を一時休止した上で再開ししばらくしてでしたので宮司とのこの面談で大いにエールをいただいた、背中を押していただいたと思っております。

他にも、いつか四国をご案内したいと神社をピックアップしていたこと、東京でのご修行や相伝での直会でのことなど宮司との思い出は遠方ですので私は機会は少ないと思いますが数々思い出されます。

衷心より、ご冥福をお祈り申し上げます。

宮司はじめご神縁の皆様と。出雲大社正式参拝(2009年)の折に。
宮司はじめご神縁の皆様と。出雲大社正式参拝(2009年)の折に。

今年も1年間ありがとうございました~年末感謝祭2019

年末感謝祭2019

来年のエネルギーが世の中に入ってきて予兆を感じる頃になってきた感があります。

今年も年末感謝祭を1年間の感謝を込めてさせていただきます。

お買い上げいただいたお客様全員に、日本各地をひらいた阿波忌部についてのカラーパンフレットをプレゼント中です(お一人様1部限り、2019年12月31日まで)。

今年は元号が令和となり、ご存じの通り、新天皇即位にともなう大嘗祭(11月14~15日)に大麻の織物、麁服(あらたえ)が阿波忌部の直系である三木家(当主・三木信夫さん)より調進、愛知県豊田市で作られた絹織物「繪服(にぎたえ)」とともに供えられました。

阿波忌部のことがわかりやすくまとめられたA4全10ページのカラーパンフレットです。日本の原点を見つめ未来を創る、そういう時期にふさわしい内容と思います。(個人的にはP8の忌部の精神がおすすめ、これは2013年に今治市であった三木さんの講演の際にも拝聴した覚え)

ぜひ楽しみにお待ちください。(^^)/

備前と讃岐忌部の関係は?

4年前、玉造りをされている青舟さんから紹介いただいた方で、岡山・備前市伊部に鎮座する天津神社の神職がいます。〔私事、神職の知り合い(すぐ連絡取れる)はこの方含めて4人います〕

青舟さんらしく?封書で紹介いただいたので、すぐ電話をかけその神職と少しお話をさせていただきました。

天津神社の近くに忌部神社があること、自身備前焼をされていることなどをお聞きし、忌部っぽいつながり、ご縁を感じました。

以後一度訪れたいところの1つです。

 

それから、香川県在住時代の職場の後輩で、後に結婚され長船(おさふね)という姓になった人がいます。

年賀状で結婚を知った際、(讃岐にしては)変わった姓と思っていました。

それが、1年半前に岡山へ行った際、備前長船という道路標識を見たので、帰ってからその長船さんに関係あるかとたずねました。

刀剣には詳しくはありませんが(青舟さんは詳しいです)、瀬戸内市に備前長船刀剣博物館というのがあるんですね。

長船さんいわく、先祖が刀を作る人みたいなことを聞いたことがあるのと、旦那さんが小さい頃、祖父と一緒にその刀剣博物館へ行ったことがあるとも。

そして、香川県の観音寺市一角に長船さんが数軒固まっているそうです。

 

前々からSNSで投稿をしていると知らず知らず香川、徳島だけでなく岡山の方々ともつながり、ご縁ができたので何か讃岐忌部と関係があると思っていました。

最近、知人と岡山の話になり、吉備津彦とか、温羅(うら)、備前焼の話になったので、上記のことを思い出しました。岡山には笠岡とか気になる地名もあります。

2005年だったと思いますけど、私は吉備津神社へお参り、その際に鳴釜神事を体験しました。

「温羅」という日本酒を作っている方もSNSで知り合い、その後西条市へ来られた際お会いしたことがあります。他にも縁を感じる方がいます。

注目される「瀬戸内の島々」と、讃岐忌部

讃岐粟島からの眺望
2019年の正月、讃岐忌部について電話である人と話しました。
 
お相手は忌部氏に興味を持ち調べている香川県在住の方です。
 
この方と話したのは30分あまり。讃岐忌部について調べたことは、Wikipediaに投稿していますが、まだまだ知らないことがあると思いました。
 
さて、米紙NYタイムズが2019年1月9日の電子版に掲載した「2019年に行くべき52ヶ所」に「Setouchi Islands(瀬戸内の島々)」が日本で唯一選出されたニュースを聞き、私は讃岐忌部を思いました。
 
古語拾遺によると、讃岐忌部の祖神は手置帆負命(たおきほおひのみこと)です。古語拾遺(解説含む)では「手置」は「手を置いて物を計量する」、「帆負」の解は甚だ困難とそこまで言及されてませんが、ご神名とその事蹟から類推すれば船大工、少なくとも船(帆船)に関係する神様と思っています。
 
讃岐粟島からの眺望
早朝、粟島・城ノ山より見た讃岐富士(中央)方面
 
古墳時代には讃岐国でつくった石棺(くり抜き式)が、旧石器~縄文時代には讃岐の国分台や金山産のサヌカイトが瀬戸内海を渡り各地に移動しています。船による各地との交易の跡と思われます。
 
2010年に、さぬきいんべを創業してから必然か、職人、手仕事などが周りに集まってきたと同時に、それを境に瀬戸内海に引っ張り出される機会が増えたのも、讃岐忌部のご縁の気がします。
 
創業後に訪れた瀬戸内の島々

粟島(11)、豊島(1)、犬島(1)、直島(1)、男木島(1)、女木島(1)、小蔦島(1)、櫃石島(1)、大三島(5)、小豆島(1)、伊吹島(1)、瀬居島(2)、志々島(1)、黄島(1) ※( )内は回数

これらの島の多くに祭祀遺跡と思われる巨石があるのは偶然でしょうか。つまり歴史が古いということです。(直近では愛媛県大島に住んでいる方とご縁ができました)

 

2019年は4月より瀬戸内国際芸術祭が開催されています。世界から注目されるこのイベントが香川県から発信されていることもおもしろいです。
 
以下の展示も開催中です。
・「いざ船旅へ-大阪商船からのごあんない-」(高松市歴史資料館 学習室)2019年3月24日(日)まで。
・テーマ展「瀬戸内の海人たち」(愛媛県歴史文化博物館)2019年9月1日(日)まで(※会期延長)。
・瀬戸内ヒストリア-芸予と備讃を中心に-(愛媛県歴史文化博物館)2019年9月21日(土)~11月24日(日)

櫃石島より岡山・鷲羽山方面
島にある「櫃岩」が島名の由来、櫃石島の海岸より岡山・鷲羽山方面を望む
 
伝統工芸、職人や手仕事に光が当たっているのとともに、昔からさまざまな物資や文化を運んできた瀬戸内海に光が再び当たっているのも感じます。
 
人類最古の乗り物は船。昔の人たちは海から陸を見ていた、言い換えれば海を大切にしていたと思います。海からの視点、大事だと思うのです。
 
 
参考文献:
「古語拾遺」斎部広成撰、西宮一民校注(岩波書店)
「県史37 香川県の歴史」(山川出版社)