3年ぶり通常通り斎行。地元「西条まつり」における祈りと祭りの継承を思う

3年ぶりに地元、西条まつりが通常通り開催されることに。

「西条まつり」とは、五穀豊穣を神に感謝する神事で、愛媛県西条市内に鎮座する伊曽乃神社、嘉母神社、石岡(いわおか)神社、飯積(いいづみ)神社の4つの神社の例祭(秋祭り)の総称です。

祭りの期間中は、学校が休みになり、学校も参加を奨励していましたので、だんじりや太鼓台についてロープを引っ張ったり、太鼓をたたいたり、楽しい思い出しか残っていません。

そのためだと思います。地域に根付いて、会社やお店が休みになったり、お盆や正月に帰省しない人でも祭りには帰ってくるといわれています。

私は2010年まで香川県に住んでいました。(やはり、祭り期間には)毎年帰りたいと思ったものです。

2007(平成19)年に香川県立ミュージアムで「讃岐の祭り展」を開催の折、中四国の自治体を対象に祭りのポスターを募集したところ、1番に届いたのは西条市(西条まつり)で、2番目は新居浜市(新居浜太鼓祭り)だったそうです。新居浜市はポスターを持参してきたと聞きました。

それぐらい祭りにかける思いが熱いのが西条市と新居浜市だと思います。

この話は以前、前職が同ミュージアムの学芸員だった愛媛大学法文学部の胡(えべす)光先生の講演で聞き覚えています。

お祭りの高揚感、躍動感は何とも言えません。日本人のDNAに組み込まれているかのような祭囃子のメロディや掛け声は切っても切れないものだと思います。

西条まつりで麻(精麻)がつかわれているか調べたところ、神社や各神楽所での神事の際の大幣でつかわれています。(巫女による浦安の舞の奉納もあります)

伊曽乃神社の堀川修巧宮司は今年6月発行の社報のなかで、下記のように述べておられます。

ご先祖様たちが千年二千年と護り伝えてきた大切な「祈り」と「祭り」を後世へつなげていかなければなりません。1日も早く日常が戻り、いつも通りの祭りが斎行できることを切に祈っています。

神事の作法、屋台の組み立て、囃子、提灯の制作など祭りにかかわる伝統文化は幅広いです。ここに精麻をふくむ、麻の文化も入ります。祭りの中断はこの伝統文化継承に非常に大きな影響を及ぼすことがこの2年でおわかりになった人も多いのではないでしょうか。

無事に祭りが実施され、町に祭り囃子が戻りますように。

 

 

・参考文献

「礒野」伊曽乃神社社報(2022年6月発行)

 

 

いま、西条まつりに思う、1年が祭りにはじまり祭りに終わること

10月といえば、西条まつり

今年も規模縮小で斎行されますが、地元びいきということで書いてみます。

気がついたときには、祭りがありました。小学生のときは校区が、だんじりと太鼓台がある、神社でいえば伊曽乃神社と飯積神社の氏子が含まれていましたので、両神社の祭礼がある3日間、10月15日は(平日なら)朝礼のみ、16日、17日は休みでした。

学校も祭りへの参加を奨励していましたので、この3日間は昼も夜も、だんじりや太鼓台について行き、ロープで引っ張ったり太鼓をたたいたり楽しかった思い出しかありません。(2社とも宮出しは夜中~早朝)

伊曽乃神社・宮出しでのだんじりの奉納(2019年10月15日)
伊曽乃神社・宮出しでのだんじりの奉納(2019年10月15日)

 

いま思うと、西条は神様を大切にしている地域なんだと思います。(香川に住んでいたときは、ちょうさや獅子があったりそういうものがないことはないですが、祭りになるとお盆やお正月に帰ってこない人でも帰ってくるという西条市出身の人の気持ちは他地域の人には理解できないと思います)

西条市のカレンダーは10月からはじまると言われています。実際10月からはじまるカレンダーも販売されています。

「1年は祭りにはじまり祭りに終わる」

自然に溶け込んだ形で、大切なことを知らず知らず教えられてきたのですね。

西条まつりでは、氏子各町が保有するだんじり、みこし、太鼓台(のべ百数十台)が奉納しますが、奉納とは「神仏を楽しませ鎮めるため」です。

飯積神社前・太鼓台かきくらべ(2019年10月17日)
飯積神社前・太鼓台かきくらべ(2019年10月17日)

令和になって、コロナ禍のおかげで本当に大切なものは何かということが問われているように思います。もうおわかりかもしれませんが、大切なものの1つは神事です。西条でも昨年、感染拡大防止のため、だんじりや太鼓台の運行が取りやめになった中でも神事(各神楽所における)はおこなわれていました。昔からずっと続いてきていることです。

祭りの日が近づくとなんだかそわそわしてきます。早くだんじりの奉納やだんじり、太鼓台の統一運行が見られるようになるのを楽しみにしています。

西条は「住みたい田舎」No.1だそうです。移住されてきた方にとって、西条まつりはどう映るのでしょう?