アラソと精麻のちがいについて。同じ植物から生まれる2つの繊維

アラソ(皮麻)と精麻のちがいについて書いてみます。

アラソ精麻は、同じ植物が元でありながら、不思議なくらいその見た目や感じるものがちがい、加工の段階と用途が異なります。

アラソは、大麻のエネルギーそのもの、人の手がはいりすぎていない分、自然の根源的な力を感じる方が多いのではないでしょうか。(感じ方に個人差があると思います)

古い時代や地域によっては、「麻そのものの霊力」を重んじ、祓いや結界につかわれたようです。現代ではタタミの縦糸、久留米絣(国指定無形文化財)の糸を防染のため手くくりする際などにつかわれています。

精製される前の繊維、アラソ
精製される前の繊維、アラソ

対して精麻は、神様の宿る神聖な繊維、神の依り代といわれ、現在の神社祭式では祓い清めに用いられます。(お客様の1人は、アラソは原石や隕石のような麻そのもの、生命そのもののパワフルな感じ、精麻は磨かれたクリスタルのような曇りのない純粋なエネルギーと表現されています)

 

「JOMON(縄文)」を世界語にした縄文研究の第一人者で、國學院大學名誉教授だった故・小林達雄先生(1937~2025年)は、王冠型土器と火焔型土器(これらの土器は2つで1つ)のように、縄文人には「2つで1つ」という哲学があり、その哲学思想が縄文以降もつづいているとおっしゃっています。

これは、「陰陽」は大陸から渡ってきたといわれていますが、陰陽道自体、日本が起源ということです。

たとえば、伊勢神宮であれば、内宮と外宮、あるいは正宮と荒祭宮(あらまつりのみや)というように。狛犬もそうですし、風神雷神などもそうです。

同じように、アラソと精麻は、同じ大麻という植物のなかで、別の側面をもつ「2つで1つ」の繊維ではないでしょうか。

目的に合わせて使い分けるといいと思います。

 

 

・参考文献

「地域資源を活かす 生活工芸双書 大麻あさ」倉井耕一・赤星栄志・篠﨑茂雄・平野哲也・大森芳紀・橋本智著(農山漁村文化協会)

「元気アップ通信」2025年9月号(トータルヘルスデザイン)