旧暦10月は神在月。八百万の神が訪れるとき、出雲では何が行われるか

出雲地方では、旧暦10月は神在月(かみありづき)。

出雲大社から約1キロ離れた稲佐の浜。波の音が響く中、かがり火がたかれ、神迎祭の祝詞が奏上されるのが旧暦10月10日の夜です。(2025年は11月29日で土曜日となっており、より多くの参列者が予想されると思われます)

日本全国の八百万(やおよろず)の神は、稲佐の浜に参集します。

そして、稲佐の浜へ訪れた神様たちは神籬(ひもろぎ)に遷され、絹垣を取り囲む神職や氏子などとともに出雲大社へ向かいます。

その後、神楽殿にて宮司はじめ、多くの神職らが神在祭をおこないます。

神在祭では朝から夜まで神事がおこなわれ、その後神様が宿る神籬は境内にある十九社(いわば宿泊施設)へと遷されます。そして、翌日の旧暦11日から17日までの7日間、神様はそこを宿とし滞在されるのです。

 

そこで、神様は何をされるか。さまざまな取り決め、日本や私たちの繁栄や安泰、それに縁結びや五穀豊穣などについて話し合う、神はかり(=会議)がおこなわれます。

その会場は稲佐の浜にほど近い上宮(かみのみや)といわれており、上宮と十九社では毎朝お供えし、祝詞を奏上します。

本社では旧暦11日と15日、17日にお供え物をし、祝詞を奏上します。夜は神楽殿で夜神楽祈祷などがあり、多くの参拝者が訪れます。

旧暦17日の最終日には夕方、十九社に帰路につく神様をお迎えに行きます。(その際もこられたときと同じように絹垣で覆われて遷されていきます)その後、拝殿において神等去出祭(からさでさい)がおこなわれ、神様は出雲大社をお立ちになられます。

 

以前は地元の人や出雲大社の崇敬者だけが訪れるだけでしたが近年、神在祭期間中の一般の観光客が増えているようです。

 

 

 

・参考文献

「伊勢神宮と出雲大社」(エイ出版社)