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徳島・木屋平の三木家住宅、資料館

~製作の現場をたずねて~

静かな山里にある徳島県最古の民家、三木家住宅

今上天皇の大嘗祭の折に「斎麻畑」となった三木家住宅・資料館前。

徳島県木屋平の静かな山里。三木山の頂上に近い標高552mに建てられた三木家住宅は、江戸時代の初期に建築されたと推定される徳島県で一番古い民家です(昭和51年2月3日、国指定重要文化財)。

三木家住宅(国指定重要文化財)
茅葺き寄棟造りの大規模な民家。


三木家は、阿波忌部氏の直系で、歴代の践祚大嘗祭(天皇即位の儀式)に、御衣御殿人 (みぞみあらかんど)として、麁服(※)を調進して朝廷と深い繋がりを持っていました。

現在、第28代当主である三木信夫(以下、三木)さんが家を守っておられます。

今回、天皇即位の大嘗祭に献上した麁服作成に使用した一連の資料を展示している、住宅の横にある資料館と、住宅を見学させていただきました。


(※)麁服(あらたえ)・・・麻の繊維で織られた織物のこと。



天皇即位の大嘗祭に献上された麁服に関しての貴重な展示

まず、資料館を見せていただきます。

三木家には、鎌倉時代から室町時代にかけての古文書「三木家文書」(徳島県指定有形文化財)が伝えられています。

これは、践祚大嘗祭のときに使用される麁服の調進関係の文書や、細川氏など支配層からの感状類など45通からなる古文書で、当時の様子を知ることができる貴重な資料です。

麁服調進は、南北朝の動乱にいたり、以降中断していましたが、古例により大正天皇の大嘗祭に復活し、昭和、平成の大嘗祭に麁服を調進しています。

三木家資料館の展示資料
館内には、写真や道具類が展示されている。


資料館に入ってパッと目に入ってくるのは、紡女の白い格衣と緋(深紅色)の袴。館内には、古文書、その様子を伝える写真、木でつくられた麻蒸し桶や麻舟、織機などの貴重な資料が展示されています。

三木家資料館の展示写真
「麁服織り初め式」の様子を伝える写真。


なお、この資料館は、地元の有志の方々の協力により運営されています。


築350年以上、保存状態が良好。主人しか入れない部屋も。


次に、住宅の方を三木さんにご案内していただきました。

間取りは全国でも例のない整型八間取りで、当初は台所土間と床上の8室でしたが現在、西側より2つ目の前面の部屋は土間に改装されているそうです。

建築されたのは江戸時代の初期ということですから、350年以上もの間、風雪に耐えてきたということになります。

三木家住宅の座敷
土間からみた座敷。


靴を脱いで座敷にあがらせていただき進んでいくと、一番奥にお客様をお迎えする“サキオモテ”の部屋(応接間)があります。

三木さんは、子供の頃この部屋には兄弟の中でも三木さんしか入れてくれなかったと仰っていました。家の北東隅には、テングノマ(別名イラズノマ)という主人しか入れない部屋もあるそうです。

三木家住宅(国指定重要文化財)のパンフレット
三木家住宅のことを伝えるパンフレット(三木さんからいただいた) 
壁に掛かる額。
壁に掛かる額。


今回、三木家住宅は「保存状態がよい大規模な民家で、中世山岳武士の系譜を引く家の遺構としてきわめて価値が高い」というのを十分うかがい知ることができたと思います。

三木さん、お忙しい中、お時間を割いていただきありがとうございました。


山崎忌部神社の石碑
麁服が織られたことを記念する石碑(山崎忌部神社)。


山崎忌部神社
山川町の山崎忌部神社。


この日は三木家住宅のあと、山崎忌部神社(吉野川市山川町)、大麻比古神社(鳴門市大麻町)にお参りさせていただき、帰路につきました。



(文責・加藤義行)



三木家住宅・資料館
徳島県美馬市木屋平字貢143

資料館の開館日:不定(土・日・祭日開館が基本ですが、お休みの場合があります)。※冬季休業(12月~3月)
営業時間:10:00~16:00
お問い合わせ先:美馬市教育委員会 文化・スポーツ課
TEL:0883-52-8011



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