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精麻の注連縄を探して【File009】徳島・三ツ木八幡神社編

大麻(精麻)の注連縄をさがして【File009】~徳島・三ツ木八幡神社編~

阿波忌部氏の直系、三木家の氏神さま。三ツ木八幡神社

徳島・三ツ木八幡神社(神麻しめ縄奉納神事)

2019年11月14~15日に予定されている天皇即位にともなう践祚大嘗祭(せんそだいじょうさい)。これは、即位に際し天皇が初めて新穀をめされ、皇祖および天神地祇に供し奉る儀式で、即位後1回限りの特別な式典です。

新元号は令和で、4月30日今上天皇は退位し、翌日皇太子殿下が即位されますが、この践祚大嘗祭に欠かせない麻織物、麁服(あらたえ)が阿波忌部氏の直系・御殿人(みあらかんど)である三木家から調進されます。

3月31日、徳島県木屋平の三木山山頂部に鎮座する三ツ木八幡神社(祭神:応神天皇、神功皇后、仲哀天皇)にて神麻しめ縄奉納神事が執り行われました。

主催はNPO法人神麻注連縄奉納有志の会(安間信裕代表)。安間さんが主催される神麻しめ縄奉納に参加させていただくのは3回目です。

寒の戻りの肌寒い中、地元徳島県はじめ全国各地から集まった約15名が、忌部神社宮司、三木家当主の三木信夫さん、氏子の皆さまのご協力を得て、神麻しめ縄4本、鈴緒1本を奉納させていただきました。

今回は地元の方とNPO法人の会員のみという参加条件だったためいつもより奉仕参加者は少なめです。

9時半に現地集合。掛け替えのため拝殿の古いしめ縄、鈴緒を取りはずし、しめ縄に紙垂を付ける作業をし、また拝殿内部にしめ縄を張り巡らすための金具を取り付けます。

まず奉納に先立ち拝殿にて、しめ縄奉納報告祭。お祓い、祝詞奏上ののち三木さん、安間さんの順で玉串奉奠。

その後、奉仕参加者はいつものように貸与された白い法被をまとい、鈴緒用の金具を取り付けたり、拝殿内部にしめ縄を張り巡らせたり、、

次に拝殿のしめ縄、本殿のしめ縄を設置。最後に鈴緒を取り付けました。(あとで今回もしめ縄、鈴緒を調製した京都・山川さんにお聞きすると一番太い本殿のしめ縄は直径7.5cmとのことです))

奉仕参加者は少ないものの何度か経験されている方が多かったからでしょう、テキパキと作業が進んだように思います。

そして、しめ縄奉納報告祭。お祓い、祝詞奏上ののち安間さんが代表して玉串奉奠。

徳島・三ツ木八幡神社(神麻しめ縄奉納神事)紙垂取り付け中
奉納前にしめ縄に紙垂を取り付け中。
徳島・三ツ木八幡神社(神麻しめ縄奉納神事)本殿しめ縄
本殿のしめ縄設置後、前垂れの長さを適宜カット。


最後に宮司から「ここが日本の麻の根幹です。天皇に調進される麁服はここから出発します」という主旨のお言葉がありました。

その後、神社前で集合写真を撮影。

こののち、三木家住宅(国指定重要文化財)で直会です。

お座敷に上がらせていただくのは私は4年ぶり2回目。このような形で来ようとはまったく思っていませんでした。

まず三木さんのお礼の言葉。「ここは海抜552mでしだれ桜はスズメがいないのでつついたりせず咲くと散らずにずっと2週間そのままです。それから、(ずっと観察してきて)下の桜がぜんぶ咲かないとここの桜は咲きません。」

また同時に、「麻はいろいろな所で栽培できますが、織物に適した麻はこういう高いところでないとできない。そういう場所を先祖が見つけたことはすごいことと思います。」と貴重なお話がありました。

徳島・三ツ木八幡神社(神麻しめ縄奉納神事)三木家で直会
宮司、三木さん、氏子さまを囲んで三木家で直会。
徳島・三ツ木八幡神社(神麻しめ縄奉納神事)三木家住宅のしだれ桜並木
三木家住宅のしだれ桜並木。


安間さんがお礼の言葉とともに「大嘗祭が無事執り行われますよう、麁服が無事調進されますように」とごあいさつされました。安間さんのまっすぐな思いが伝わってきます。みんなの気持ちは同じだと思いました。

歓談しながら皆で食事。三木さんが三ツ木八幡神社にてお供えしていた宮中でしか手に入らないという二重橋という日本酒(純米吟醸酒)をふるまってくださいました(車だったので飲めず残念!)。

最後に「こっちで写真を」と三木さん。「古語拾遺」の中に記されている麻植郡の地名の由来が書かれた掛け軸がかけてある奥の応接間で皆で記念撮影し、お開きとなりました。

徳島・三ツ木八幡神社(神麻しめ縄奉納神事)しだれ桜
三ツ木小学校・中学校跡を整備した貢公園のしだれ桜。後方は三ツ木八幡神社。
徳島・三ツ木八幡神社(神麻しめ縄奉納神事)三木家住宅にて
三木家住宅にて記念撮影。


何度も同じ場所や人をたずねるとだんだん親しみが強くなることありませんか?その場所に実際におもむくこと、直接話をすること。
三木家住宅を含む三木山の山頂付近は「空地(そらち)」と呼ばれ、東には安徳天皇や土御門上皇の御座所伝説、空海伝説も残る東宮山と天行山が形造られ聖地ということを今回あらためて実感しました。

見事なしだれ桜並木が見ごろを迎えている中、大嘗祭へ向け麁服調進の準備が進んでいることをひしひしと感じる今回の奉納でした。

麁服が無事調進されますことを切に願います。


(文責・加藤義行)



参考文献:
「日本の建国と阿波忌部」林博章著
「美馬文化いななき第14号」ふるさとの宝 木屋平 麁服調進の復活(美馬市文化協会)
「麻の文化を守り育てる」日本麻振興会パンフレット(※「大麻」の名は明治以降の外来種と区別するため)

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