日本の未来を担う女子神職のために☆
国産精麻の飾り紐がついた釵子(さいし)。
女子神職がつける髪飾り、釵子。
麻縄職人が撚ったきなりの細い精麻の紐を組みひも職人が絹の日陰糸と同じようにあげまき結び、蜷(にな)結びで仕上げたものができました。(帯締めや羽織紐、アクセサリーなどとして知られる京くみひもの歴史は平安遷都までさかのぼり、貴族文化のなかで衣冠束帯の付属品として発達。京くみひもはこの公家組みひもの流れを祖とします)
おお麻(ヘンプ)は霊気を持つものとして古来祭祀神儀に用いられてきた神聖な植物です。
いわゆる祓い、癒し、身のお守りなどにつながっています。
祭祀の正装、礼装の際に。
・京都/株式会社山川について
明治19年創業。現在、代表は山川正彦氏(5代目)。伝統的な技法と材料を守りつつ、神社仏閣用の麻製品を手がけて120年以上。つくられているものに、その仕事に携わった職人の名前が入ることはありません。
今日の技術に満足することなく、日々精進。手仕事による伝統工芸は一級品です。
京都府指定「京の神祇装束調度品 伝統工芸品」認定。
※明治維新まで皇室のあった京都では、各種の式典や行事が多く、また神社の神事も盛んであるため、それらの道具や衣装をつくる専門工芸が古くから発達してきました。神祇調度とはいわゆる神具と呼ばれるもので、三宝や神殿などの木製の道具類のほか、鏡、御簾、几帳、旗、幕、雅楽器などがあります。神祇装束は、宮中の装束や神主の衣服、各種の伝統的な式典や行事などに用いられる衣装とその付属品をさします。いずれも多品種少量生産で、手づくりが大部分を占めます。街ぐるみの分業パワーに加え、産地と消費地が一体になっている京都ならではの伝統工芸です。
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飾り結び(あげまき結び、蜷結び)部分。職人の技で美しく。 |
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飾り結び下部。それぞれ2ミリ径を切る細い紐です。 |
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釵子内側。正装の際には中央円筒部分に心葉(造花)を取り付けできます。 |
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頭のサイズに合わせ、留め具で8段階のサイズ調節が可能。 |
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信頼と安心。京都府指定「京の神祇装束調度品 伝統工芸品」です。 |
《有職装束、有職故実(ゆうそくこじつ)について》
「有職故実」は古くは「有識故実」と書き、「古(いにしえ)の事実の知識があること」を意味した。古の事実とは、儀礼・服装・調度品・食事・殿舎・乗物その他、朝廷・公家社会の生活にかかわるすべての事物についての先例のことである。平安中期以降、安定した地位を得た公家貴族たちは「故実」すなわち先例を踏襲することを第一に重んじるようになり、一生涯の日常生活全般がその影響下にあった。つまり有職装束とは、「朝廷・公家社会における服装」と言い換えても間違いないであろう。 故実を重視した公家社会の装束は、時代の流れの中でいくらかの変容は見られるものの、大筋のところでは千年前からの伝統を連綿と受け継いでいる。21世紀の現代においても、皇室行事・宮中儀式、そして神社などにおいては、これらの装束が実際に着用されている。このことは、世界の服飾史全体から見て奇跡的なことであるが、世界に誇るべきこれら有職装束は特殊なものとされ、その知識は日本人の中でもあまり普及してはいない。(中略) 有職故実の文献にしばしば登場する単語が「可依人可依便」(人によるべし便によるべし)である。一定の決まり事があったとしても、その人の官位や年齢、体型・体調などによって装束の着付けは変化する。また昼夜・晴雨・寒暖その他、さまざまなTPOによっても着るべき装束が適宜変わってくる。そうした例外を許容するのが公家の有職故実なのであり、その融通性が魅力でもある。(中略) けれども注意せねばならないのは「有職故実は生き物である」ということである。私たち現代日本人の衣食住について見ても、各人の趣味・嗜好、年齢、経済力、社会的立場などによって千変万化である。過去の時代においてもそうした例外は数多く存在したのであるから、有職故実の世界に「絶対」はない。千年の歴史の中から、ある1つの事象だけ切り取って、それを金科玉条にすることは、有職故実の本義にもとっている。 |
「有職装束大全」八條忠基著(平凡社)序より引用。
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女子神職の正装の例。(「有職装束大全」P199より) |
釵子・国産大麻(精麻)紐付きは、年々増加している女子神職のための古くて新しい髪飾りです。 ・釵子本体は、銅地本金メッキ製で、サイズはフリーサイズ(金環部留め具にて8段階調節可)です。心葉(造花)付き。 ・麻縄職人が国産極上質の精麻(野州麻、栃木県産)の細い紐を撚り、それを組ひも職人が飾り結び(あげまき結び、蜷結び)をし仕上げております。紐の長さは約58センチ。 ・儀礼の正装、礼装の際に。 ・紐部分のみのご注文も承ります。 ・『取扱説明書』をお付けします。古神道(伯家神道)の作法により潔斎してお送りさせていただきます。(火打ち石を使います。古墳時代にはすでに使われていたことが知られており、切り火は不浄を断ち邪をはらう日本古来の風習です) ・参考文献 『有職装束大全』八條忠基著(平凡社)、『図解巫女』朱鷺田 祐介著(新紀元社)、『京の手仕事名人寄席』吉田敦著(文理閣)など |