国産精麻の「日本の伝統色」。草木染め各色の在庫充実へ一歩一歩

神社の鈴緒やお寺の鰐口紐(鐘緒)など神社仏閣用の麻製品の染色には、99%化学染料が使われています。

もともと人間は自然界の植物などから染料を取り出し、布を染めてきました。今も各地には草木染めをする産地があったり、作家、職人がいらっしゃったりします。

さぬきいんべでは2016年から藍染め、草木染めの精麻製品を増やしていっておりますが、このほど草木染めされた国産精麻の紫色(本藍+茜染め)、緑色(本藍+ざくろ染め)、黄色(ざくろ染め)50グラムの在庫を持つようにしました。

草木染めされた国産精麻(上より紫・緑・紫色)
草木染めされた国産精麻(上より紫・緑・紫色)

極上の国産精麻をベースに上の3色以外に下記の色(染め)が可能です。

* 赤色(茜染め)

* 紺色(本藍染め)

きなりを含め計6色です。〔緑、黄、赤、白(きなり)、紫色は五色緒、五色旗や真榊の「五色」〕

神具用途はじめ、伝統工芸、アート、手芸・アクセサリーなどお使いいただければと思います。

梅、桜、藤、桔梗、菊、紅葉。日本人は四季それぞれに移り変わる山野の植物の姿を鑑賞して楽しみ、詩や歌に詠んでその心を表わすとともに、自らの衣裳にもこうした美しい色彩を染めて楽しんできた。これが日本の伝統色である。花や樹の色を美しく染め上げるため、植物の花、葉、樹、根などのどこかに潜んでいる色素を採り出して染めてきたのである。
今からおよそ150年前、19世紀の中葉、ヨーロッパを中心に吹き荒れた産業革命の嵐は、それまでの職人衆が自らの肉体とわずかな道具を使って行なっていた仕事を、機械へと変えてしまった。染色では、それまでは植物から色を採っていたのに、石炭のコールタールから、化学的に合成する染料を発明したのである。
日本には明治時代の中頃、文明開化の名のもとにヨーロッパの産業革命の成果が怒濤のように押し寄せてきた。京の堀川の近くに軒を連ねていた染屋も同じで、またたくまに、スプーン一杯の粉で便利に染まる化学染料に変わってしまった。
日本人が飛鳥・天平の昔から江戸時代の終わりまで育んできた、日本の伝統色は失われたのである。(「自然の色を染める」吉岡幸雄・福田伝士監修(紫紅社)はじめに~より)

染めは、染め職人による手染めで、自然な色をできるだけ長くお楽しみいただけるよう濃く染めております。また扱いやすいように精麻は麻縄職人がある程度裂いております。

 

 

・参考文献

「自然の色を染める」吉岡幸雄・福田伝士監修(紫紅社)

 

身曾岐神社宮司 坂田安儀先生(2022年1月5日ご逝去)をお偲びして

宮司とはじめてお目にかかったのは2005(平成17)年8月に身曾岐神社(山梨県北杜市)で開かれた日本の精神文化の源流である古神道の奥義を広く一般に相伝するための講座、初学修行座(当時3泊4日)の聴聞でした。

講師として立たれた宮司は神道や古事記についてホワイトボードに書きながらご説明してくださっていたことを思い出します。

この講座を紹介いただいたのが知り合いだった同神社の神職からでしたので、ありがたいことに私は宮司(伯家神道)の直門として入門させていただけたようです。

宮司とのことで一番心に残っていますのは、2011年10月12日に神社で上記の神職とご一緒に宮司にお会いすることになり、今何してる?と聞かれたときのことです。(このときが宮司とお話した最後でした)

古神道を学ぶ過程で行きついた仕事のこと、おお麻(ヘンプ)のことや神道との関わりをお話し、さぬきいんべの名刺をお渡しすると、「古神道を現代風に伝えるのは素敵だ」とおっしゃられ、「これが漢字(讃岐忌部)だったら頭を下げなければいけない」と。(誰でも読め親しみやすいように屋号を「さぬきいんべ」とさせていただきました)

また、「四国へ行きたい」ともおっしゃり、大麻比古神社(徳島県)や金刀比羅宮(香川県)の名を挙げると、ああ行きたいねぇと目を輝かせられていたように思います。

この頃は前年に創業はしたものの香川県高松市での活動を断念、実家のある愛媛県西条市へ引っ越し、活動を一時休止した上で再開ししばらくしてでしたので宮司とのこの面談で大いにエールをいただいた、背中を押していただいたと思っております。

他にも、いつか四国をご案内したいと神社をピックアップしていたこと、東京でのご修行や相伝での直会でのことなど宮司との思い出は遠方ですので私は機会は少ないと思いますが数々思い出されます。

衷心より、ご冥福をお祈り申し上げます。

宮司はじめご神縁の皆様と。出雲大社正式参拝(2009年)の折に。
宮司はじめご神縁の皆様と。出雲大社正式参拝(2009年)の折に。

精麻の鈴緒とともに。菊理媛命(くくりひめのみこと)をお祀りする京都・白山神社

1月半ば過ぎ、出張の折、京都の白山神社へお参りさせていただきました。

ご祭神の1柱が菊理媛命で、引き寄せられた感じがします。

というのも、いまよく聴いているのが昨秋コンサートを拝聴した森田梅泉さんのアルバム「くくり姫」だからです。

コンサートで、くくり姫という曲の前にこんなナレーションが流れました。「混沌とした時代にしか現れないくくり姫」と言っていたのを覚えています。

 

白山神社(京都市)の本殿
白山神社(京都市)の本殿

3年前もこの神社の前を通ったのですが、お参りはせず白山神社(白山信仰、すなわち白山比咩神社を総本社とする白山神社は各地に鎮座)がこんなところにあるというのにとどまりました。

 

境内は掃除が行き届いており、小さいながらもきれいな神社です。

本殿、末社にも精麻の鈴緒がかけられていました。

拝殿に鈴が吊されているのは、巫女が神楽鈴を振るのと同様に、参拝者自らが神を前に鈴の音で祓い清める為のものです。その鈴を鳴らす綱が「鈴緒」です。神聖なる鈴を鳴らす綱である為、古来より神聖な植物とされる麻で作られてきました。鈴緒の『緒』の文字には「魂をつなぐもの」という意味合いがあります。鈴を鳴らし、自らの魂を振るい起こす鈴緒は、まさに神仏にその魂を繋ぐものともいえるでしょう。(明治19年創業 神社仏閣用麻製品調整 株式会社山川パンフレットより)

ご案内してくださった山川様、本岡様ありがとうございました。

この後、鈴緒の六角桐枠の文字彫り職人にバッタリお会いし、私も少しお話できました。

なぜwebショップのキャッチコピーは「四国から始国(しこく)へ」なのか?

年頭にある方から、webショップのキャッチコピー「四国から始国(しこく)へ」とはどういうことか?と聞かれました。

さぬきいんべwebショップのバナー
さぬきいんべwebショップのバナー

口頭でお答えさせていただいたのですが、いい質問をいただいたと思い頭を整理する意味で書いてみます。

古事記の国生み神話によると四国は淡路島の次にできた最初の国(伊予二名島)です。

四国は麻に関しても歴史が古く、代々、天皇の践祚大嘗祭に麁服(麻織物)を調進してきた阿波忌部直系・三木家、徳島県の旧麻植郡をはじめ、また大麻山が3つも存在することなど、四国は麻の国と言っていいほど、麻にまつわる歴史、地名や神社が数多く残っています。

ですので、麻の文化の再興も、四国からはじめて行く、はじまっていくという意味を込めました。(“麻の文化、織物技術の伝承を”という言葉は三木家28代当主、三木信夫さんが令和の大嘗祭前に取材を受け語ったこちらの記事からいただきました。共感しましたので)

お断りしておくと、始国というのは私が考えた言葉ではありません。はじめて聞いたのは当時住んでおりました香川県高松市で2006年にあった某講演会だったと思います。

 

ちなみに昨年後半ぐらいから日本の原点にスポットライトが当たっているように思います。(それぞれの人の原点は何かということも大切になっていると思います)

昨年ご紹介した古神道の研究をしている河野貴希さんも今年の初詣におすすめの神社について以下の淡路島の3社を挙げておられます。

1.おのころ島神社(兵庫県南あわじ市)

2.岩上神社(兵庫県淡路市)

3.伊弉諾神宮(兵庫県淡路市)

この順番のコースをたどると、“日本の原点”を肌で感じることができるそうです。(トータルヘルスデザイン発行「元気な暮らし」2022年1月号P56より)

日本の原点をたどると、必然的に「四国から始国へ」ということになっていくと思いますがいかがでしょう?

「旧暦新年2022」1年のいいスタートが切れるように、開催中(2月3日まで)

あらためまして、新年おめでとうございます。

2022年1月4日で、さぬきいんべは13年目を迎えました。

昨年は、8月に一昨年納めさせていただいた国産精麻の草木染め五色緒付きの鉾先鈴を用い、長野県・熊野皇大神社にて浦安の舞が奉奏(奉納)されました。(その以降、東京都内の神社の月次祭にて奉奏されているそうです)

一方で、2月から6月末まで第1回 大麻の麻縄活用コンテストを開催、優秀賞と特別賞を選ばせていただきました。優秀賞を受賞された方は、そのことをご自身でSNSに投稿したところ急に脚光を浴びるようになり、精麻飾りワークショップの講師として招かれたり、さらに「日本の神様カード」著者の大野百合子さんと精麻についてYouTube動画で対談したりするなどご活躍されているそうです。(作ることを続けられるとは思いましたが、そこまでになるとは予想しておりませんでした)

3~4月はClubhouseで瓊奈川神社宮司(翡翠の巫女)・松井久子先生からご依頼を受け、麻についてお話させていただきました。人前で話すのは得意ではないため躊躇しましたが、いい体験でした。これがあったおかげで7月から、愛媛県内で開催されている精麻飾りワークショップ(主催:はぐくみの木IKUKO先生)につながっていったのだと思います。開催のすべてではありませんが、時に出向いて麻についてお話したりさせていただきました。

さぬきいんべは6月から、おお麻(ヘンプ)専門神具店として展開しております。神様を大切にする人が増えますように活動してまいりますので本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

2月3日の節分まで「旧暦新年2022」を開催中です。(旧正月は2月1日、立春は2月4日)

旧暦については一昨年の拙記事「旧暦と行事、日本は二本立てでできている」が参考になると思います。旧暦の新年に本当の“令和4壬寅年”がスタートします。

合計5000円~のお買い上げ毎に京都・山川製のオリジナル国産精麻アクセサリーをプレゼント中です。本年のいいスタートが切れますように。

国産精麻の製品を介して、「巫女体質™」の先輩から後輩へ受け継がれる真心

新年あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

昨年の暮れ、瓊奈川(ぬなかわ)神社宮司の松井久子先生が「巫女体質™」の先輩から後輩へ、受け継がれる真心と題してブログでご紹介くださいました。

同神社では家庭祭祀を学ぶ「お清め士講座」を開講しておりますが、このほど先輩(5期)お清め士から後輩(6期)へ卒業(お清め士認定)のお祝いの品が手渡されたそうです。

ご紹介されているとおり、さぬきいんべの祓い具(精麻製品)を手づくりの熨斗(のし)と水引をかけて贈られるのが伝統になっているとのこと。

誠にありがたいことです。

はじまりはブログのリンク先に紹介されていますように、2020年9月、同講座2期生の西田さんが国産大麻(精麻)・ミニ鈴緒を工夫して箱詰めし後輩へ贈られたことから。(職人により箱詰めすることもできますが、このときはミニ鈴緒と箱をご注文いただき、同じ結ぶことでも個性が出ることから、ご自分で箱詰めしたらより心のこもったものになるのでは?とご提案)

箱詰めした写真を西田さんが送ってくださり、想像以上の創造(オリジナル)性に驚いたことを思い出します。

今回贈る側となった方(5期)からは「皆でさぬきいんべ様のお品を手元に持つことでさらに一体感が生まれているようにも思います。」と、また松井先生から「さぬきいんべさまのお品は、お清め士の暮らしを支えてくださるありがたいものばかりで、感謝しております。」とお言葉をいただいております。

なお、なぜお清めが必要なのかや、お清め士講座については2021年10月に電子書籍として出版されている松井先生のご著書、「巫女体質」(SeleneBooks)がわかりやすいと思います。(こちらで試し読みもできます)

 

今後も良いものができるように日々精進してまいります。国産精麻の製品の普及と発展を祈りつつ。