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京都の株式会社山川

~製作の現場をたずねて~

日本の伝統が息づく京都。創業120年の老舗、株式会社山川

京都・株式会社山川の作業風景

明治19年の創業。神社やお寺の麻製品を手がけている株式会社山川は、JR京都駅から北北東約3.5km、二条通と麩屋町通りの交差点を西へ少し行ったところにあります。

2015(平成27)年4月23日に、お願いして特別に作業場を見せていただきました。

撚房(製作中)
製作中の鰐口紐、鈴緒の房。1本1本縄によっているため一般的な「切房」より長持ちするそう。


ちょうどお寺の鰐口紐(わにぐちひも、※1)の製作がされていて、器具を使って麻縄を撚り合わせていく作業中です。

使われている精麻は、貴重な国産品(※2)。赤、緑に染めたものもあり、3本(3色)の麻縄が器具を用いて見る見るうちに撚り合わされ1本の鰐口紐になりました。

その後、ハサミを使って鰐口紐の表面をきれいにしていきます。

※1 鰐口はお寺の堂前に吊される金属製の音具。参拝者が紐を振って打ち鳴らすことで神仏に来意を伝えるとされている。
※2 戦前、日本で約1万ヘクタール栽培されていた大麻は減少し、現在では5ヘクタール未満になっている。2014(平成26)年に都道府県知事の許可を受けた栽培者は33人。高齢化や新たな許可が進まないことから生産者は急激に減少している。



状態により、品質が異なる原材料の精麻を選ぶ厳しい目。

原材料となる精麻は、大麻草の茎の表皮部分を乾燥させたものです。

原材料となる精麻(野州麻)。
原材料となる国産の精麻。赤や緑、その他の色に自社で染めるという。


大麻草の刈り取りから精製までには多くの工程を経ますが、強度・色・つや・丈の長さ・表面の質などにより、「極上」「上」「並」に大きく分けられるそうです。

当然、それによって価格も異なります。見せていただくと、質のいいものは、“透明感”があるのがわかりました。

また、代表取締役の山川正彦(以下、山川)さんは、国産の精麻と海外産の精麻の品質を比較すると、どうしても国産の精麻に軍配が上がるとも仰います。

厳しい目で精麻を見る。当たり前のことですが、いい原材料なくして、いい製品はできないのです。

さらに、神社などからの要望で白い色の精麻を求められるお話もうかがいました。精麻を人為的に硫黄くん蒸して白くしたものを慣例的に用いているそう(何事も清浄を好み、色においても質素を尊ぶ風潮があって白色が用いられることが多いのだと思われます)。

そのままの状態の極上の精麻を見せていただきましたが、黄金色で美しい。白くするとどうしても繊維の強度が落ちるらしく、素材を生かすという点からそのままの精麻で製品づくりしていった方がいいと私的には思いました。

精麻。写真上が並質、下が上質。
上が並質、下が上質の精麻。違いわかりますか?



慣れた手さばき。見えない部分も大切に。これぞ職人の技。


京都にはこういった仕事に関わっている職人が数多くいます。

例えば、神社の鈴緒に使う本坪鈴は京都の伝統技術を受け継ぐ錺(かざり)金具師の手仕事によるもの、桐枠(鈴緒や鰐口紐の持ち手の木の部分)なども京都の木工技術を駆使して木工職人が手掛けたものを使用しています。(「京都神祇工芸協同組合」が組織されているそう)

ひとつの製品にも、多くの職人の技術が込められているのです。

桐枠を見せていただくと、どれも美しく、「メイドイン京都」といった感じを受けます。

桐枠。京都の職人による手仕事品。
桐枠。これも京都の職人による手仕事品。文字はまた別の職人による。


なお、桐枠に文字を彫る職人などは今、京都に2人しかいないそうです。

次に、麻縄を手で撚っていく1つひとつの作業を見ると、慣れた手さばきで、淡々と作業されている印象。

また、見えない部分も丁寧に施工されていて、これぞ京都の職人というのを感じました。

麻縄を撚っていく作業風景。
慣れた手つきで、麻縄を撚っていく。まさに職人技。



製品への思い。大量生産とは明らかに異なる手仕事の品。


午後から、製品が納められている京都市内の神社仏閣を案内していただきました。

ある神社の鈴緒は、長く使っている関係で自重により長さが伸びて、房の部分が下に置いてあるお賽銭箱に当たっていました。

神社に納めた鈴緒の例。
製作された神社の鈴緒。下部がお賽銭箱にあたって傷んでいた。
 上賀茂神社(賀茂別雷神社)
 京都には3000以上の神社仏閣があるようです。写真は上賀茂神社。


山川さんは、手がけた鈴緒を自分の子どものように見られ、「時々、メンテナンスしてほしい」と仰っていました。

また、「丈夫な縄を作るために、しっかり撚りの入る麻芯にこだわっている」そう。

こうした関係の製品は、見た目が同じものを機械で大量生産することもできるかもしれません。

しかし、こだわりを持って職人が1つひとつ丹念に手仕事されているからこそ、形は同じでも「違いがある」というのを今回感じさせていただきました。

(文責・加藤義行)



株式会社 山川
〒604-0951 京都市中京区二条通麩屋町西
Tel:075-231-1027
Fax:075-221-8178
http://asa-yamakawa.com/



山川の手仕事の品はこちら☆

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